WO1991017070A1 - Air bag type rider-protective device - Google Patents

Description

明 細 書

エアバッグ式乗員保護装置

〔産業上の利用分野〕

本発明は、 自動車の衝突時に作動し、 乗員を保護するエアバッグ 又はエアバッグ式乗員保護装置に関するものである。 さらに、 本発 明は乗員保護用のエアバッグに取り付けられる補助バッグに関する。

〔従来の技術〕

エアバッグ式乗員保護装置は、 エアバッグ基布内にガス発生器を 内蔵してなり、 自動車の衝突時、 その衝擊感知に応じて瞬時にガス 発生器内のガス発生剤を発火燃焼させ、 発生するガスによりェアバ ッグを膨張させ、 これにより乗員を保護するものである。

周知の如く、 エアバッグ式乗員保護装置は、 運転席用であれば 40 〜60 、 客席用であれば 150 〜 180 容量の可撓性袋からなるバッ グ基布内にガス発生器を内蔵してなり、 車両等の衝突時に於いては その衝撃感知に応じて瞬時にガス発生器内のガス発生剤を発火燃焼 させ、 発生するガスによりバッグを膨脹展開させ、 この展開したバ ッグ基布により乗員を拘束して乗員を保護するものである。 そして、 かかるエアバッグは衝突から 30ミ リ秒前後の間に一旦完全にバッグ 基布を膨脹展開させてから、 拘束された乗員の前屈による加圧によ り内部のガスの一部分をエアバッグの底部に設けた通常内径 20~ 60 ミ リ メ ー トルの円形で、 かつ複数個の排気孔 （以下ベン トホールと 称する） から人体に排出ガスが当たらない方向で車内に連続的に排 出し、 これによつて乗員に対する膨脹したエアバッグの反発による 傷害並びにエネルギー吸収による高い衝擊力の発生を防止する様に なっている。 エアバッグに内蔵されるガス発生器はバッグを極めて 急速に膨脹させるよう、 通常ペレツ ト状、 ディスク状等のガス発生 剤が用いられる。 また、 その燃焼時間を短縮する為、 ガス発生器の 燃焼圧力を高めて使用することから、 通常ミス ト状または微粒子状 の物質が燃焼ガスに同伴排出される。

また、 従来技術ではベン トホールよりバッグ内のガスが急速に車 内に排出されてしまうため、 初回の衝突以降の二次、 三次の衝突或 いは転倒の際に生じる衝撃に対する緩衝効果を全く失ってしまう。 〔図面の簡単な説明〕

第 1図は本発明の運転者席用バッグ装置の一例の構成を示す側面 略示図、 第 2図はバッグの展開直後の状態を示す略示図、 第 3図は 補助バッグの展開時の状態を示す略示図である。 第 4図は本発明の 客席用バッグ装置の一例の構成を示す側面略示図、 第 5図はバッグ の展開直後の状態を示す略示図、 第 6図は補助バッグの展開時の状 態を示す略示図、 第 7図は第 1図のバッグ装置の要部断面略示図で 第 8図は運転席用エアバッグに取り付けられた本発明の補助バッ グの一部断面略示図、 第 9図は客席用エアバッグに取り付けられた 本発明の補助バッグを示す略示図、 第 10図は第 9図中の A— A断面 略示図である。

1 …バッグ

2 …ガス発生器 3…補助バッグ

4 ···ベン トホー レ

5…カバー

6 …ステア リ ングホイ ール

第 11図は本発明による展開した状態の衝擊吸収用袋体の別の実施 例を示す断面図である。

第 12図は第 11図の袋体の基布を示す斜視図であり、 （ a ) は補助 バッグ某布を、. ( b ) は上部基布を、 ( π ) は下部基布 それぞれ 示す斜視図である。 図中、

11 補助バッグ基布

12 上部基布

13 下部基布

14 ガス発生器

15 ベン トホール

16 補強基布

17 コ一ティ ング層

18 ガス発生器取付穴

19 縫糸

〔本発明の開示〕

本発明は、 この要求に答えるため、 ガス発生器内の濾過装置を小 型軽量化した場合に濾過が不充分となって極微量のミ ス ト状または 微粒子状の物質がガス発生器外へ排出されても支承のないようなェ アバッグ式乗員保護装置を提供することを課題とする。 本発明の装置は、 衝突を検知する加速度セ ンサ、 ガス発生器及び エアバッグ等から主として構成されている。 またこのエアバッグは、 通常は二枚の基布をその外周部を縫製した袋体としたものである。 本発明はエアバッグに関わる。

本発明者らはェアバッグ式乗員保護装置の改良に関し銳意検討を 重ねた結果、 エアバッグのペントホール或いはその他の放出ガスを 通過させる通気性部分の外部に接続して、 可撓性で且つエアバッグ が乗員の衝突による衝擊カを吸収し終わるまでに排出するガスを収 容するに必要十分な容量 （通常発生する全ガス量の 30%以下） を有 する補助バッグを、 エアバッグの膨脹展開時に補助バッグの展開を 阻害しない位置に 1個以上接着剤あるいは糸を用いて気密に取り付 けることにより、 発生ガスを車内に放出することなしにェアバッグ の機能が発揮されることを発見し、 本発明に到ったものである。 即ち本発明は、 ガス発生器と、 それから発生したガスにより膨張 展開し、 その後、 その内蔵ガスを放出して人体の衝擊カを吸収する 構造のエアノ ッグと、 エアバッグはベン トホールを有し、 そのエア バッグ基布外にエアバッグからの放出ガスをべン トホールより収容 する少なく とも 1つの補助バッグを有するエアバッグ式乗員保護装 ¾であ 。

換言すれば本発明は、 エアバッグの排出ガスを収容する補助バッ グを取り付けたことを特徵とするエアバッグである。

上記本発明により、 ェアバッグのベン トホールからの排出ガスを 収容する補助バッグをエアバッグに取り付け、 車内にガスを排出さ せないようにした。 よってガスの濾過装置を小型軽量化した即ち小 型で軽量なエアバッグ装置を可能とする。

エアバッグが運転席用エアバッグであり、 補助バッグが該運転席 用エアバッグの先端外周部に取り付けられたり、 又はエアバッグが 客席用エアバッグであり、 補助バッグが該客席用エアバッグの両側 面部に取り付けられることもある。

本発明によれば、 排出ガスのベン トホールに補助バッグを接続し て取り付けることにより、 ガス発生器内の濾過装置を小型軽量化で き、 ひいてはガス発生器全体を小型軽量化できるという効果を有す o

本発明の補助バッグをエアバッグに取り付けることによりガス発 生器を小型軽量化でき良好な衝擊吸収機能を有するエアバッグが提 供される。

本発明のエアバッグ及び補助バッグの基布に用いられる素材とし ては、 ナイ ロ ン 66、 ナイ ロ ン 6、 ポ リ エステル、 ァラ ミ ツ ド、 ポ リ アミ ド等の繊維からなる織布、 或はこれらの繊維からなる不織布、 これらの素材からなるフ ィ ルム、 又さらには、 これらの繊維で強化 されたフ イ ルム等を用いることができる。

更に、 上記基布は合成ゴム等のガス不透過性膜でコ一ティ ングす るのがよい。 合成ゴムは各種タイプが用いる事ができるが、 広い温 度範囲で柔軟性と難燃性の面より シ リ コ ンゴムやク ロ ロプレンゴム が好んで用いられる。

〔実施態様 1〕 以下図面により本発明を具体的に説明するが、 本発明は図面に示 した例に限定されるものではない。

第 1 〜 3図は本発明の運転者席用エアバッグ式乗員保護装置の一 例を示すが、 本発明に使用するガス発生器 2は軽量且つ小型の構造 のもので、 バッグ 1を膨脹させるに十分な量のガス発生剤、 点火装 置及び発生ガスの濾過装置から主として構成されバッグ 1内に内蔵 されている。 かかるガス発生器 2はその外周をバッグ 1で覆われて ステア リ ングホイ ール 6の中央に取り付けられ、 その上にカバー 5 が設けられるが （第 1図） 、 本発明のエアバッグ式乗員保護装置に 於いては、 バッグ 1のベン トホール 4に補助バッグ 3が接続して取 り付けられている （第 7図参照） 。 第 7図は第 1図の折り畳まれた バッグ 1、 補助バッグ 3及びガス発生器 2の配置の状態を示す略示 図で、 補助バッグ 3はバッグ 1のベン トホール 4に接続されている _c いま自動車が衝突し点火信号が点火装置に送られると点火装置が 発火し、 その火炎によりガス発生剤が燃焼を開始し、 ミス ト状或い は微粒子状の燃焼生成物を含む発生ガスは濾過装置を通り、 濾過さ れた後バッグ 1 に流入し、 バッグ 1を急速に第 2図に示す如く膨脹 展開させる。 尚この際補助バッグ 3は、 この段階でのバッグ内圧が 低く且つベン トホール 4が存在するため、 第 2図に示す如く殆ど畳 まれた状態でとどまる。 引き続き次の段階で第 3図に示す如く人体 が展開したバッグ 1を押し潰す状態になると、 バッグ内部のガス圧 が上昇し、 ガスはベン トホール 4を経て補助バッグ 3に流入し、 こ れを第 3図に示す如く展開させる。 この際バッグ 1 は収縮し、 人体 の受ける加速度の増大を抑制する。 しかもこの際バッグ内のガスは バッグ 1 と補助バッグ 3の内部に封入されるから、 車内に流出する ことはない。

第 4〜 6図は本発明の客席用ェアバッグ式乗員保護装置の一例を 示すが、 その構造及び作動は第 1 〜 3図に示したものと同様である。 第 7図は第 1図のバッグ装置の要部断面略示図である。

第 8図において、 3は可撓性補助バッグ、 1 はエアバッグ、 2は ガス発生器、 4 はベン ト ホール、 6 はステア リ ングホイ ールを表す。 本発明に使用する可撓性補助バッグ 3の材質は特に規定されるも のでない。 好ま しく はエアバッグ 1 と同一の材質、 例えばナイ 口 ン、 ケブラ等の高張力有機繊維からなる織布にィ ソプレン等のゴム或い は可撓性樹脂膜を付与した軽量のガス不透過性有機高分子膜である。 また、 本発明に用いるガス発生剤は、 通常その燃焼により副生す る ミ ス ト状或いは微粒子状物質を分離するための濾過機構等を備え た高燃焼圧のガス発生器 2中に組み込んで使用されるが、 該機構等 は、 膜の損傷等のバッグ機能を損なうような損傷をバッグが被らな い程度の分離機能を有すればよく、 従来必要とされる程度までの分 離機能は必要ない。 また、 大気圧下で十分な燃焼性、 例えば大略 30 ミ リ秒以内で燃焼が完結し、 しかも副生物 ·発熱量等のバッグ機能 を損傷する因子の少ないガス発生剤であれば直接バッグ内に配置し て使用することができる。

本発明の補助バッグの容量はェアバッグの膨張開始の時点から初 回の衝擊吸収終了の時点までにベン トホール 4より排出されるガス の大気圧下で占める体積によって決まり、 通常は平均圧が 0. 5 気圧、 時間が数十ミ リ秒以下であれば発生ガスの 30%以下である。 しかし ながら、 この値はあくまでも概略値であり、 エアバッグの容量、 車 の衝擊速度或いはベン トホールの内径等により補助バッグの容量は 決められる。

〔実施態様 2〕

また、 本発明の補助バッグの取り付け位置はエアバッグの膨張を 阻害せず、 しかも乗員の衝突時に受ける衝撃力を有効に吸収できる ようにするため、 運転席用エアバッグであれば、 該運転席用ェアバ ッグの先端外周部（第 8図）が、 客席用エアバッグであれば、 該客席 用ェアバッグの両側面部（第 9図及び第 10図）が最適である。

〔実施態様 3〕

第 11図に本発明の補助バッグ付きエアバッグの一実施例を示す。 本発明によるエアバッグの製造方法は、 次の工程からなる。 最初 に、 予め合成ゴムでガス不透過性を付与した平面視ほぼ円形の上部 基布、 補助バッグ基布、 及び下部基布各一枚を用意し、 此の順に重 ね合わせ、 外周部に沿って縫製し、 一体化する。 その際、 補助バッ グ基布の外径は必然的に他の基布より大きくなる為、 その外周部に 皺状の癖を付ける等の処理を予め行い、 外周を他の基布のそれに揃 えて置けば、 縫製の工程は容易なものとなる。 また更に、 バッグの 展開の際、 補助バッグ基布がベン トホールよりの高温排気ガス流を 受ける箇所には、 合成ゴム層の厚みを増やす等の焼損を受けぬ処理 を予め行っておく。 次に、 此の縫製部分に未加硫ゴムの液を浸漬、 加硫し一体化する。 此の様に一体化されたバッグは、 ガス発生器の 取り付け穴を介して内外を引っ繰り返して完成する。

補助バッグ基布の大きさは、 バッグの人体に対する衝擊吸収動作 終了までにベン トホールより排出されるガスを常圧で収容するに充 分な容積が得られる大きさである。 更にまた、 従来のエアバッグ基 布に於いては、 作動時のバッグ内部の圧力上昇 （約 2気圧） に耐え る為の充分な強度を保持させる必要があるが、 ベン トホールより捕 助バッグ内に流入するガス圧は大気圧と大差なく、 従って補助バッ グ基布の強度は比較的に小さいもので良いが、 バッグを畳み込んだ 際の容積を出来るだけ小さ くすることが好ま しく、 従って上、 下部 基布とも同一材質で強度的に可能な限り薄い基布である事が好まし い o

第 11図に示した本発明の補助バッグ付きエアバッグは、 外径 95cm の補助バッグ基布 11と、 外径 64cmの上部基布 12と、 外径 64craの下部 基布 13とから成り、 上部基布 12には内径 2. 5cm で 4個のベン トホー ル 15が設けられ、 又下部基布 13にはガス発生器取付穴 18が設けられ、 コーティ ング層 17を介して外周部を縫糸 19により縫製され、 袋状に 一体化される。 ベン トホール 15とガス発生器取付穴 18の内側には補 強基布 16を取付け、 高温、 高圧且つ高速のガス流による損傷を防ぐ よ にし/ ο

本発明の補助バッグ付きエアバッグにガス発生器を取付け、 展開 · 膨張を行い、 その展開状況を高速度カメ ラで撮影 · 観察した。 これ によると補助バッグは上部基布 12に密着した状態で展開し、 全く膨 張は認められなかったが、 上部基布 12の展開完了後、 徐々にベン ト ホール 15から排出されるガスによる補助バッグの展開 ·膨張がガス の外部空間に漏出する事なく、 行われる事が認められた。

本発明による衝擊吸収バッグは、 前述のように通常のエアバッグ に補助バッグを取付ける事により、 ベン トホールが車室内に開放さ れていないため、 ガス発生器からのガスにミ ス ト状物質又は微粒子 状の物質を含んでいても安全であり、 又ベン トホールによる衝突吸 収機能が維持されるだけでなく、 バッグによる緩衝効果が相対的に 長時間持続されるため、 より安全な衝擊吸収バッグを安価に提供す ることができる。

Claims

請 求 の 範 囲 ガス発生器と、 それから発生したガスにより膨張展開し、 その 後、 その内蔵ガスを放出して人体の衝擊カを吸収する構造のエア ノヾッグと、 エアノ ッグはベン トホー レを有し、 そのエアパッグ基 布外にエアバッグからの放出ガスをベン トホールより収容する少 なく とも 1つの補助バッグを有するエアバッグ式乗員保護装置。

エアバッグが運転席用エアバッグであり、 補助バッグが該運転 席用エアバッグの先端外周部に取り付けられる請求項 1記載の乗 員保護装置。

エアバッグが客席用エアバッグであり、 補助バッグが該客席用 エアバッグの両側面部に取り付けられる請求項 1記載の乗員保護 補助バッグがェアバッグの上半部におおいかぶさる構造である 請求項 1記載の乗員保護装置。