明 細 書 電気二重層キャパシ夕及びその製造方法 技術分野
本発明は、 各種電気機器及び電気自動車用の回生用や、 電力貯蔵用として用い られる大容量用の電気二重層キャパシ夕及びその製造方法に関する。 背景技術
電気二重層キャパシ夕は、 集電体の形成されたアルミ等の導電箔を複数枚、 セ パレ一夕を間に挟んで捲回もしくは積層し、 非水系電解液中と共にケースの中に 封止されたものであり、 近年、 各種電気機器及び電気自動車用の回生用や、 電力 貯蔵用として用途が広がっている。 そのため、 電気二重層コンデンサの更なる高 性能化、 大容量化、 信頼性の改善、 低コスト化が求められている。
従来提案されていた電気二重層キャパシ夕では、 特開平 1— 1 6 4 0 1 7号公 報に提案されるように、 ポリテトラフルォロエチレン (P T F E ) などのバイン ダ一を活性炭や力一ボンと混練し、集電体とするものが提案されていた。 し力 し、 フッ素系バインダ一材料を集電体中に均一に分散させることは難しく、 また専用 溶剤を用いることが課題になっていた。 こうした課題を解決すべく、 特開平 6— 3 1 6 7 8 4号公報ではカーボンブラヅクと P T F Eの均一混合粉末の製造手法 として超音波ホモジナイザーの使用が、 特開平 6— 2 0 3 8 4 9号公報及び特開 平 8— 2 0 3 5 3 6号公報では燃料電池の燃料電極とその触媒製造方法及び電池 の運転方法において、 触媒及びニッケルをカーボンブラックと共に分散させる手 法として超音波ホモジナイザーの使用が提案されているが、 高分散化には限度が めった。
また特開昭 6 3 - 1 0 4 3 1 6号公報では、 ガラス転移温度が一 1 0 °C以下 のエラストマ一を集電体に用いることが提案されている。 エラストマ一の例とし ては、 N B R、 S B R、 フッ素ゴム、 シリコンゴム等のバインダーが提案されて いる。 そして有機溶剤にこうしたバインダ一を溶解し、 これにケヅチェンブラヅ
クを混合して両者を分散し、溶剤を蒸発後、 ロールでブレンドし成形する方法や、 ロールにエラストマーを卷付け、 ケヅチェンブラックを添加して、 混合、 ブレン ド、 成形を同時に行うことが提案されている。 こうした手法は、 昔よりタイヤを 初めとするゴム練物の製法で作成されたものであり、 リチウム二次電池や鉛二次 電池に並ぶ高容量のものを作成することは難しかしい。 こうした事例としては、 特開平 7— 3 3 1 2 0 1号公報でも、 膨張黒鉛のバインダ一として、 ゴム材を混 練することが提案されている。この場合、ゴム材はトルエン等の溶媒に溶解され、 炭素粉末を加えて混練された後、 熱処理するものである。 また特開平 8— 2 5 0 3 8 0号公報では、 アクリルニトリルブタジエンゴム等の粉末をキシレン等の溶 剤に溶解させた後、 活性炭粉末やアセチレンブラックと混合させ、 最後に溶剤を 蒸発させて選られた混合物を加圧成形法や押し出し成形金型を用い厚み 5 0〜5 0 0 mに成形する方法が提案されている。 こうした、 従来の溶解方法では、 ゴム剤が完全溶解 (言い換えると数オングストロームの分子状態まで溶解もしく は分散) してしまうため、 活性炭表面の数オングストロームの電気二重層を形成 する微細孔まで塞いでしまうため、 製品の容量値を大きく下げてしまうことが問 題であった。 従来こうした課題を解決するため、 ゴムと活性炭の混練ゃ集電体の 成形方法を工夫されていたが限度があつた。
また特開昭 6 2 - 1 6 5 0 6号公報や特開昭 6 2 - 1 7 9 7 1 1号公報では、 活性炭粉末を水を分散媒とするラテックスに分散させ、 この混合溶液を脱水処理 して分散液などの溶剤を除去し、 選られた凝集物を乾燥し、 ついでこの凝集物を 粉砕し、 さらにこれを造粒し、 最後に加圧し、 直径 1 6 mm <D、 厚み 0。 9 m mの円板状の集電体を形成することが提案されている。 しかし、 この場合、 乾燥 や粉砕のコストがかかつてしまうものであった。
一方、 特開平 3— 2 8 0 5 1 8号公報では、 カルボキシェチルセルロースのァ ンモニゥム塩等を水に溶解し、 ここに活性炭を混合分散して作成した溶液をロー ルコ一ティング、 ドク夕一ブレードコ一ティング等の手法で、 アルミニウム基材 上に塗布する電気二重層キャパシ夕の製造方法が提案されている。 また特開昭 5 7 - 6 0 8 2 8号公報等ではプレスにより塗膜密度を上げることが提案されてい るが、 集電体が硬くてもろいため高圧のプレスでないと塗膜密度が上がらない。
また高圧のプレスをかけると、 電極塗膜が割れたり、 導電箔から剥離したり、 更 に導電箔自身がワカメ状に伸びたり変形したりしてしまう。 この場合、 樹脂量を 少なくすることでプレス圧力を若干量だけ下げられるが、 樹脂量が少ないため集 電体塗膜の結着強度が不足し (例えば、 導電箔と活性炭塗膜の接着強度が不足し たり、 活性炭塗膜自体に凝集破壊が発生する) ため捲回や積層時に、 集電体が割 れたり剥がれたりすることが問題になっていた。 発明の開示
本発明はこのような従来の問題点を解決するものであり、 更なる大容量化、 大 型化、 薄層化、 低コスト化を低減できる電気二重層コンデンサ及びその製造方法 を提供しょうとするものである。
この目的を達成するために本発明の電気二重層コンデンサ及びその製造方法は、 活性炭及び導電性付与剤がカルボキシメチルセルロース樹脂のアンモニゥム塩、 ポリビニールアルコール、 メチルセルロース、 ヒドロキシプロピルセルロース樹 脂のいずれか一種類以上と、 4フッ化エチレン樹脂と共に分散されて形成された 集電体として、 導電箔の少なくとも一平面以上に密度 0 . 3 5 g/ c c以上 1 .
5 0 g/ c c以下で形成され、 前記導電箔は複数枚がセパレ一夕を介して捲回ま たは積層され、 非水系電極液中に取出し電極と共に封口されており、 これいによ り従来の電気二重層コンデンサは、 コイン形や高さ数 c m以下の小さなものであ つたが、 こうした新しい集電体を用いることで、 更なる大型化、 大容量化、 低コ スト化に対応することを特徴とするものである。
またこの製造方法によれば、 集電体自身の柔軟性、 重点密度、 結着力、 捲回性、 高厚塗りへの対応、 等価直列抵抗の低減、 インピーダンスの低減が可能になり、 この集電体を用いた電気二重層コンデンサの性能を大幅に向上することができる c
図面の簡単な説明
第 1図は本発明の一実施例における捲回形電気二重層キャパシ夕の構成図、 第 2図は集電体と導電箔の捲回性を評価する様子を説明するための斜視図、 第 3図 は積層形電気二重層キャパシ夕の構成図、 第 4図は高圧分散機の構成図、 第 5図
は粘度変化の一例を対数にて示した特性図である。 発明を実施するための最良の形態
(実施例 1 )
第 1図は本発明の一実施例における捲回形電気二重層キャパシ夕の構成図を示 す。 第 1図において、 1はケースで、 この中に、 導電箔 2の表面に本特許の特徴 であるカルボキシメチルセルロース樹脂のアンモニゥム塩、 ポリビニールアルコ ール、 メチルセルロース、 ヒドロキシプロピルセルロース樹脂のいずれか一種類 以上と、 4フッ化工チレン樹月旨 (もしくはポリテトラフルォロエチレン: P T F E ) と共に分散されて形成された集電体 3として、 導電箔の少なくとも一平面以 上に密度 0。 3 5 g/ c c以上 1。 5 0 g/ c c以下で形成され結着されている。 またこの集電体 3の形成された導電箔は、 複数枚が、 セパレ一夕 4を介して捲回 されて捲回体 5 aを形成している。 この捲回体 5 aを形成する複数枚の導電箔 2 に、 複数本の取出し電極 6が接続され、 封ロ材 7を介して、 端子 8に接続されて いる。 なお、 実際の電気二重層キャパシタは、 捲回体 5 aが、 ケース 1の中に、 電解液と共に封口された状態になっている。
更に詳しく説明する。 純水中 5 0 0重量部に 4フッ化工チレン (固形分 5 0 % のェマルジヨンを乾燥重量として) 6重量部、 カルボキシメチルセルロース 6部 を溶解させ、 更にこの中に活性炭粉末 1 0 0重量部と導電性付与剤としてのァセ チレンブラック 1 0重量部を投入し、 均一に分散させ、 電極液とする。 次にこの 電極液の表面を化学エッチングにより導電笵 (幅 1 0 0 mm、 長さ 2 0 m) の両 面に、 塗付機を用いて、 塗付し、 片面 8 0 / m厚の塗膜を形成し、 集電体とし た。
得られた箔状電極塗膜に取出し電極を接続しセパレー夕を介して所定長さ分を 捲回して、 アルミケースに入れた。 電解液としてはプロピレンカーボネート液に テトラェチルアンモニゥムテトラフルォロボレートを 1 m o 1 / 1溶解したもの 前記アルミケースに入れ、 前記集電体を濡らし、 更に取出し電極の一部が外部に 露出するようにゴムパッキンを用いて封口し電気二重層キャパシ夕を作成した (以下発明品 1と呼ぶ)。
比較のため、 第 1の従来例としてカルボキシメチルセルロースを用いて、 純水 5 0 0重量部に 6重量部を溶解させ、 更にこの中に活性炭粉末 1 0 0とァセチレ ンブラック 1 0重量部を投入し、 均一に分散させ、 電極液としょうとした。 しか し活性炭、 特にアセチレンブラヅクは純水中に分散させることができなかった。 そこでエチルアルコール 3 0 0重量部を追加し分散させた (アルコール以外にァ ンモニァの添加も同様な効果が得られた)。 この電極液 (以下、 従来電極液と呼 ぶ) を、 同様に導電箔の両面に、 塗付し、 乾燥後に片面 8 0〃m厚の塗膜を形 成した。 更に 1 1 0 °Cで 1 2 0分遠赤外線乾燥した。 この箔状電極塗膜を同じ 長さ (同じ面積だけ) セパレ一夕を介して捲回し、 同様に電気二重層キャパシ夕 を作成した (以下従来品 1と呼ぶ)。
また比較のために、 第 2の従来例として 4フッ化工チレンだけを用いて同様に 電極液を作成し、 同様に導電箔の両面に塗工し、 同様に電気二重層キャパシ夕を 作成した (以下従来品 2と呼ぶ)。
次に発明品 1と従来品 1、 2の加速試験をしたところ、 発明品 1の方が特性の 劣化は少なかった。 そこで、 集電体を形成する各塗膜の非水系電解液や水に対す る再溶解試験を行い、 更にこの前後での結着強度を測定した。 発明品 1の場合、 再溶解試験でも異常が無く、 結着強度も再溶解試験の前後で変化もなかった。 一方、 従来品 1、 2では、 集電体を捲回した際に、 塗膜割れや塗膜剥離が発生 することが有った。 次に出来上がった各種集電体を何度も曲げたり伸ばしたりし たところ、 発明品 1ではクラックの剥離は発生しなかったが、 従来品 2ではこう した現象が発生し、 4フッ化工チレン単体では、 塗膜の成膜性に課題が有り、 ボ タン形やコイン形では活用可能であっても、 捲回形や積層形への展開が難しいこ とが判る。 また、 従来品 1、 2に比較して、 発明品 1の方が塗膜中の水分量の除 去が容易であった。 これは 4フッ化工チレン自体には吸水性、 水溶性が無いため と考えられる。このように 4フッ化工チレン(4フヅ化エチレン自体には吸水性、 水溶性が無く、 適当な柔軟性があるが、 成膜性に欠ける) を、 他の樹脂材料と組 み合わせることで、 集電体の物理特性を向上できと共に、 製品の信頼性も向上さ せられた。
なお 4フッ化エチレン自体は水に溶けないが、 予め水等の溶剤中にエマルジョ
ン状態として分散させることで取扱いや電極液の製造が楽になる。 このようなェ マルジヨン型の 4フッ化エチレンの場合、 純水中に界面活性剤等を用いて分散さ れている場合が多い。 そのため出来上がった 4フヅ化工チレンの種類によっては P Hが異なる。 電気二重層キャパシ夕の電極液を製造する場合は、 中性もしくは 弱アルカリ性のものが望ましい。 電気二重層キャパシ夕に用いる活性炭の種類に よっては、 活性炭の処理によっては表面化学物質としてカルボキシル基が残留物 として残っている場合が有る。 こうした活性炭は、 弱アルカリ性の樹脂溶液中に 分散させることは容易である。 しかし樹脂溶液の酸性度が高いと場合、 活性炭を 均一に分散させにくくなる。 このため 4フッ化工チレンの分散液の P Hは、 5以 上 1 2以下が望ましい。
なお 4フッ化工チレンの添加量は、 活性炭 1 0 0重量部に対して、 4フッ化工 チレン固形分で (乾燥重量として) 1重量部以上 2 0重量部以下が望ましい。 0 . 5重量部以下の場合は添加効果が低く、 2 5重量部以上の場合、 逆に製品の容量 を落としてしまうことがある。
なおにェマルジヨン状態の 4フヅ化エチレンを用いることで、 4フッ化工チレ ン中の分散剤を有効に活用でき、 アルコールやアンモニア等の環境負荷物質を添 加することなく電極液を作成できる。 特に電極液中の揮発成分を水 (あるいは純 水) だけにすることで、 設備の清掃を含む作業環境を改善できる。 なお 4フッ化 エチレンの粒径は 1〃m以下が望ましい。 1 . 5〃m以上の場合、 均一に分散 させることが難しい。
4フッ化工チレンと混合する樹脂としては、 カルボキシメチルセルロース、 ポ リビニールアルコール、 メチルセルロース、 ヒドロ機器プロピルセルロース等の 汎用の水溶性高分子材料を用いることができる。 こうした水溶性高分子材料と混 合して用いることで、 塗膜の耐水性と結着性を両立させる。 またこうした樹脂を 添加することで、 0 . 1 mm以下の厚みでも、 1 mm以上の厚みでも自由に商品 に応じた厚みが塗工できるように、 例えば 1ボイズ以上 2 0 0ボイズ以下と言つ た範囲で粘度を容易に調整することができる。 こうした樹脂を添カ卩していない場 合、 電極液の粘度は 0 . 5ボイズ以下になり、 更に塑性 (チキソトロピ一性) が 高くなつてしまうため、 0 . 0 5 mm以下の厚みは塗工できても 0 . 1 mm以上
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の厚みは塗工できない、 あるいは毎回同じ厚みを形成することが出来ない、 と言 つた問題が生じ易い。 このように、 4フヅ化工チレンを、 カルボキシメチルセル 口—ス等の水溶性高分子と共に用いることで、 塗膜精度を高めることができる。 なお本発明において、 集電体の密度は 0. 35 g/c c以上 1. 50g/c c が望ましい。 0. 30 g/c c以下の場合、 集電体密度が低く、 捲回時に塗膜に 割れ等の不良が発生しにくくなるが、 製品に組んだときの容量が低くなつてしま う。 また 1 · 55 g/c c以上の場合、 非水系電極液が集電体内部に浸透しにく くなり、 製品に組んだときの容量を低くしたり、 インピーダンスを高めてしまう ことがある。
(実施例 2 )
第 2図は集電体と導電箔の捲回性を評価する様子を説明するものである。 第 2 図において、 活性炭及び導電性付与剤は樹脂をバインダ一樹脂と共に集電体 3と して、 導電箔 2の表面に結着された状態で、 集電体 3と導電箔 2の捲回性を評価 する様子を説明するものである。 第 2図において、 9は丸棒であり、 丸棒 9の周 りに、 適当な幅に切断された、 少なくとも一表面に集電体 3が結着された導電箔 2を巻き付け、 一定の力で矢印に示す方向に集電体 3の形成された導電箔 2をし ごくことで、 その集電体 3の捲回性 (捲回形電気二重層キャパシ夕に使えるか、 あるいは積層形電気二重層キャパシ夕でも必要な耐たわみ性が得られるかなど を) を評価する。 第 2図 (A) は、 集電体 3が導電箔 2から剥がれ、 更に集電体 3自体が破断面 10を形成した様子を示す。 第 2図 (B) は、 集電体 3は導電箔 2から剥がれず、 集電体 3の表面に微細クラック 1 1を形成した様子を示す。 な おここで微細クラック 1 1と破断面 10の大きな違いは、 集電体 3と導電箔 2の 界面破壊の有無である。 第 2図 (C) は、 集電体 3から導電箔 2が剥がれず、 破 断や微細クラック 1 1が無い状態の正常面 12を形成している。
こうした評価方法を用いて、 実施例 2では、 更に 4フッ化工チレンを用いた集 電体塗膜の厚塗り化について説明する。
まず、 純水中 500重量部に 4フヅ化工チレン (固形分 30%のェマルジヨン を使用) 12重量部、 カルボキシメチルセルロースの一部を NH4イオンで置換 したもの (以下 CMC— NH 4と呼ぶ) を分散させ、 更にこの中に活性炭粉末 1
0 0とアセチレンブラック 1 0重量部を投入し、均一に分散させ、電極液とする。 次にこの電極液を導電箔上に塗付し、 乾燥させ、 実施例 1と同様に電気二重層キ ャパシタを作成した (以下発明品 2と呼ぶ)。
比較のため、 従来例としてカルボキシメチルセルロース (一部を N H 4イオン で置換したもの) を用いて、 電気二重層キャパシタを作成した (以下従来品 3と 呼ぶ)。
出来上がった塗膜を各々比較したところ、 発明品 2の集電体の場合 Ι πιπι Φ とより細い径にまで巻くことができた。 一方、 従来品 3の場合、 3 mm <Dより 小さい径に巻いたところ割れや剥がれが発生した。このため製品(アルミケース) の中に捲回できる集電体の長さは、 発明品 2の方が従来品 3に比較して長くする ことができ、 製品の容量及びエネルギー密度を高くすることができた。 このよう に 4フッ化エチレンを添加することで製品容量を高めることができた。 また従来 品 3に捲回性を高めるため、 水溶性可塑剤としてグリセリンを電極液中に必要量 添加したところ、 Ι πιπι Φ程度の細い径まで捲回できたが、 製品に組んだ時に 逆に容量値が低下してしまった。
なお 4フッ化エチレンと従来の水溶性樹脂を混合して用いる場合、 添加される 活性炭や導電性付与剤(特に、 これら材料の粒径や比表面積によって)によって、 出来上がる電極液の濃度は大きく変化することがある。 そのため電極液の粘度は 1ボイズ以上 2 0 0ボイズ以下の範囲になるように組成を設定することが望まし い。 0 . 5ボイズ以下では粘度が低すぎて、 5 以上の厚みを塗膜を形成 することは難しく、 出来上がっても厚み差が ± 5 より大きくなつてしまう。 また 3 0 0ボイズ以上の粘度の場合、 5 0〃m以上の厚い塗膜の形成は容易で あるが、 レべリング性 (電極液自体が重力の作用によって塗付ムラを無くすよう に流れること) が悪くなり、 生産性が落ちる。 電気二重層キャパシ夕としての製 造するには集電体の厚み差 (最大厚みと最小厚みの差) は、 5〃m以下が望ま しい。 1 0 mを超えると、 同じ長さの集電体を捲回した場合であっても、 出 来上がった捲回物の直径が異なってしまう場合が有る。 このため塗工機 (ドク夕 —ブレードコ一ター等) で塗付する際は、 ここに説明したように、 水溶性高分子 を添加することで、 塗付しやすい粘度 (5〜1 0 0ボイズ程度が望ましい) に粘
度を最適化することができ、 更に塗膜の厚み差を 5 m以下に押さえることに より、 製造工程の安定化と製品のバラツキ低減が可能になる。 こうして、 製品間 の容量値のバラツキを最小限に抑えることができる。
このように、 4フッ化工チレンを含む樹脂によって、 活性炭及び導電性付与剤 を集電体 3として結着させることで、 捲回性を高めることができる。 次に第 2図 を用いて、 導電箔 2上の集電体 3の捲回性を評価する様子を説明する。 第 2図に おいて、 9は丸棒であり、 丸棒 9の周りに、 製品幅に切断された、 少なくとも一 表面に集電体 3が結着された導電箔 2を巻き付けることで、 その集電体 3の捲回 性を評価するものである。 第 2図 (A ) は、 集電体 3が導電箔 2から剥がれ、 更 に集電体 3自体が破断面 1 0を形成した様子を示し、 この状態の評価は X (捲 回が不可能) に相当する。 第 2図 (B ) は、 集電体 3は導電箔 2から剥がれず、 集電体 3の表面に微細クラック 1 1を形成した様子を示し、 この状態の評価は △ (捲回性に劣る) に相当する。 第 2図 (C ) は、 集電体 3から導電笵 2が剥 がれず、 集電体 3の表面に割れやクラック等のダメージが発生していない様子を 示し、 この状態の評価は〇 (捲回性が良好) に相当する。 なお、 こうした評価 は、 導電箔 2の両面に集電体 3を形成し、 この両面について交互に、 各 1 0回〜 1 0 0回行った。
従来提案されていたラテックスを含まない集電体では、 その厚みが 5 0 j m では、 捲回直径が 5 mmでも、 第 2図 (C ) で有ったが、 8 0 z mと厚くなつ た場合、 第 2図 (B ) の△ (捲回性に劣る) になることがあった。 また 1 5 0 〃m以上の厚みにした場合、 捲回直径が 5 mmでも、 第 2図 (A ) の x (捲回 が不可能) になる場合も有った。 また厚みが 5 0 mでも、 捲回直径を 4 mm、 3 mm、 2 mと小さくするほど、 第 2図 (B ) の△ (捲回性に劣る) の現象 が発生することが有った。 なお、 こうした集電体の捲回性に関しては、 集電体塗 膜中の残留水分量にも影響を受けることが経験的に知られている。 そのため、 集 電体中の残留水分を 3 0 %以上に調整することで、 捲回時に微細クラック 1 1や 破断面 1 0が発生しにくくすることもできる。 しかし残留水分を正確に制御する ことは難しく、 季節によって、 気温によって大きく影響を受けてしまうことが問 題で有った。
一方、 本実施例 2の 4フッ化工チレンを含む樹脂の場合、 集電体厚みを 1 0 0 / m、 2 0 0〃mと厚くし、 かつ捲回直径を 2 mm以下にした場合でも、 捲回 時に微細クラック 1 1や破断面 1 0が発生しなかった。 更に集電体の残留水分の 水分を変化させて同様に実験したが、残留水分が 5 %以下でも、残留水分が 5 0 % 以上でも、 同様に微細クラック 1 1や破断面 1 0が発生することは無かった。 こ のように、 フッ化工チレンを含む集電体を用いることで、 従来に増して、 高密度 な捲回や、 集電体の高厚膜化が可能にできる。
(実施例 3 )
4フッ化エチレン樹脂を少なくし、 従来の水溶性樹脂としてポリビニールアル コールを用いし、 更に水溶性樹脂の重合 (硬化) による不溶化(耐水化) するこ とを試みた。 まず純水中 5 0 0重量部に 4フッ化工チレン 2重量部、 ポリビニー ルアルコール樹脂を 1 0重量部溶解させ、 更にここに重合剤としてジルコニァ化 合物を添加した。 次にこの中に活性炭粉末 1 0 0とアセチレンブラック 1 0重量 部を投入し、 均一に分散させ、 電極液とする。 次にこの電極液を同様に導電箔に 塗付し、 片面 8 0 /z m厚になるようにした。 この電極塗膜の耐水化を試みたと ころ、 1 2 0 °Cから 1 5 0 °Cの温度で 5分から 1 0分程度熱処理することで、 耐水化 (不溶化) することがわかった。 こうして作成した耐水化することで塗膜 の残留水分が吸着されにく くなつた。 なお、 3 0 0 °C以上の温度では、 樹脂の 分解が進むため塗膜が脆くなる。 なお重合剤を添加していない場合、 1 3 0 °C 以下 1 2時間熱処理しても電極塗膜を充分耐水化することはできなかつた。
なおこうした重合開始剤もしくは反応開始剤としてジルコニァ化合物を用いる 場合は、バインダ 1 0 0重量部に対して、 1重量部以上 1 0重量部以下添加させ、 乾燥もしくは熱処理によって、 非水溶化させることが望ましい。 添加量が少ない と水溶性樹脂の非水溶化が不十分となり、 添加量が多すぎると電気二重層キャパ シ夕の製品特性 (容量値やエネルギー密度など) を下げてしまう。 こうした重合 開始剤や反応開始剤としては、 反応後は、 イオン化せず安定した金属酸化物にな るものが望ましい。 こうすることで、 残った重合開始剤や反応開始剤であっても 電気二重層キャパシ夕の特性を劣化させることはない。 また重合開始剤もしくは 反応開始剤を用いることで、 ほかにもメチルセル口一ス、 ヒドロキシメチルセル
ロース等の各種高分子材料も用いることができる。 この場合であっても、 4フッ 化工チレンの添加と併用することが望ましい。 なお未反応のジルコニァ化合物の 関しては、 酸素のある状態で熱処理を行うことで安定したジルコニァ酸化物に変 化させられ、 電気二重層キャパシ夕中の残留水分や非水系電極液と反応すること はない。
(実施例 4 )
実施例 4では、 第 3図を用いて積層形の電気二重層キャパシ夕について説明す る。 第 3図において、 直方体のケース 1の中に、 導電箔 2の少なくとも一面以上 に形成された集電体 3が、 複数枚、 セパレ一夕 4を介して接続されている。 積層 体 5 bにすることで、商品の外形を立方体にすることができ、死角を減らせられ、 有効体積も増加できるため、 単位体積当たりの容量 (容量密度) を捲回型に比べ て 3 0 %近く高めることができる。 また製品の厚みを数 mmと薄く設定したまま で、 製品の大きさを数十 c m角にすることができ、 搭載機器の薄層化、 小型化に 貢献することができる。
さらに詳しく説明する。 まず厚み l mm、 2 0 O mm x 3 0 0 mmの超薄層 大型積層形の電気二重層キャパシ夕を試作した。 製品にある程度の弾力性や変形 に対する耐久性が要求される。 こうした場合、 従来の硬質の集電体では、 割れた り欠けたりする心配が有った。 そこで本実施例 4で作成した集電体 3を、 1 8 0 X 2 8 O mmの寸法で複数枚を切り取り、 これを市販のセパレ一夕を介して、 複数枚積層し、 非水系電極液中に取出し電極と共に封口し、 超薄層電気二重層キ ャパシ夕を作成した。 これは、 曲がりや反りに強く、 無理やりたわませても、 電 気的特性や信頼性に悪影響は表れなかった。 このような変形試験を行った後、 ラ テックス品を.分解して集電体 3の状態を調べたが、 異常は無かった。
比較のために、 高圧分散を行っていない集電体を用いて、 同様に集電体を作成 し、 同じようにまず厚み 1 mm、 2◦ O mm x 3 0 O mmの超薄層大型積層形 の電気二重層キャパシ夕を試作した。 しかしこの場合、 集電体 3自体が弾力性が 無く撓みにくく、 硬い板状であった。 こうして作成したものは、 小さく曲げたと ころ、 電気的特性が急激に下がってしまった。 後で解析したところ、 集電体膜に 多数の割れが発生し、 導電箔の一部も破損して、 場所によってはショートしかけ
ている場合もあった。 このようにして、 電極液を高圧分散することで、 集電体内 部に 4フッ化エチレン微粒子が均一に分散し、 集電体の性能を上げられた。
なお、 こうした薄層の電気二重層キャパシ夕を複数個、 直列接続し、 ユニット 化することで、 耐電圧を高められ、 D C— D Cコンバータ等を用いて電圧変換す る際も、 その変換効率を高められる。
また、 こうした薄層の電気二重層キャパシ夕を複数個、 並列接続し、 ユニット 化することで、 容量を大幅に増やせられる。 また電気二重層キャパシ夕を選別、 ランク分けすることで、 より安定した特性のものを組立てることもできる。
このような超薄層の電気二重層キャパシ夕は、 捲回形に比べて、 E S R (等価 直列抵抗) を低くしゃすく、 周波数特性も良いため、 パソコン、 T V、 エアコン、 各種暖房機等に用レ、ることができる。 またレ一ザ一ビームプリンタ等で急激に大 電流が要求される場合の、 電圧降下を防止する用途に用いることができる。
(実施例 5 )
4フッ化エチレンの添加した集電体のプレス実験を行った。 すると発明品 1の 場合、 従来品 1、 2に比較して半分以下の圧力で、 密度を 1 0 %以上上げられ、 製品容量も増加した。 一方、 4フッ化工チレンを添加していない従来品 1、 2の 場合、 塗膜がプレス表面に接着し、 塗膜剥がれが発生する場合が有った。 これは、 4フッ化工チレンを添加することで、 集電体がプレスに接着しにくくなつた (剥 離性が改善された) のも一原因と考えられた。
なお、 導電性付与剤としては、 アセチレンブラック、 ケッチェンブラック、 グ ラファイ ト微粉末等の炭素系導電材料を用いることができる。 あるいはポリピロ —ル等の導電性高分子や金属微粉末を用いることができる。 このとき、 導電性付 与剤の量は、 .活性炭 1 0 0重量部に対して、 2重量部以上 1 0重量部以下が望ま しい。 導電性付与剤の量が 1重量部以下の場合は、 電極塗膜の導電性が落ちるた め、 製品に組んだときの E S R (等価直列抵抗) やインピーダンスが高くなる可 能性が有る。 また 1 5重量部以上添加した場合は、 製品中に充填できる活性炭量 がその分、 減少することになり、 製品容量を下げる可能性が有る。
なお集電体に用いる導電箔の表面を粗面化することにより、 電極塗膜の結着性 を高め、 塗膜の剥離確率を低減することができる。 粗面化の手段としては、 サン
ドブラスト加工ゃェッチング加工を用レヽることができる。
(実施例 6 )
実施例 6では、 ラテックスを含む樹脂により活性炭及び導電性付与剤を、 集電 体として導電箔表面に形成し、電気二重層キャパシ夕を製造する方法を説明する。 まず、活性炭には市販の比表面積 1 5 0 0〜2 0 0 0平方メートル/ gのものを、 導電性付与剤としては同様に市販のアセチレンブラックを用いた。 次にカルボキ シメチルセルロース水溶液とラテックスの混合水溶液の中に、 前記活性炭とァセ チレンブラヅクを添加し、 分散させ、 電極液とした。 次にこの電極液を、 市販の 導電箔の上の両面に、 片面の乾燥厚みが 1 0 0〃mになる様に、 塗工した。 次 にこの集電体 3を第 1図に示すように、 所定幅に切断しセパレー夕 4を介して、 複数枚を、 最小卷き径 2 πιιη Φで捲回し始め、 最終巻き径 8 πιπι Φで止め、 捲 回体 5 aを作成した。 捲回体 5 aを形成する複数の導電箔に、 各々取出し電極 6 を接続し、 Φ 1 O mmの円筒状ケース 1に入れ、 所定の電解質で浸析させ、 端 子 8付きの封ロ材 7で封口した (以下発明品 3と呼ぶ)。
比較のために、 カルボキシメチルセルロース水溶液の中に、 前記活性炭とァセ チレンブラヅクを添加し、 分散させ、 電極液とした。 次にこの電極液を、 市販の 導電箔の上の両面に、 片面の乾燥厚みが 1 0 0 mになる様に、 塗工した。 次 にこの集電体 3を第 1図に示すように、 所定幅に切断しセパレー夕 4を介して、 複数枚を、 捲回しようとしたが、 最小巻き径 2 mmでは、 第 2図 (A ) や (B ) に示す様な現象が発生する場合が有った。 そこで、 しかたなく最小巻き径 5 mm Φで捲回し始め、 最終卷き径 8 ΙΪΙ ΠΙ Φで止め、 捲回体 5 aを作成した。 これを 同様に Φ 1 0 mmの円筒状ケースに入れ、 電気二重層キャパシ夕を作成した (以 下従来品 4と呼ぶ)。 発明品 3と従来品 4の特性を調べたところ、 発明品 3の方 が、 容量が 1 0 %以上大きかった。 この原因は、 従来品 4に比較し、 発明品 3の 方が、 より巻き数が大きく (集電体長さが長くなり) なるためと考えられた。
(実施例 7 )
実施例 7では、 ラテックス及び各種材料の組成比について、 更に最適化した状 態を説明する。 まず純水中 5 0 0重量部にラテックス (固形分 5 0 %のェマルジ ヨンを乾燥重量として) 1 2重量部を分散させ、 更にこの中に活性炭粉末 1 0 0
重量部と導電性付与剤としてのアセチレンブラック 1 0重量部を投入し、 均一に 分散させ、 電極液とする。 次にこの電極液の表面を化学エッチングにより粗面化 した導電箔 (幅 1 0 0 mm、 長さ 2 0 m) の両面に、 塗付機を用いて、 塗付し、 片面 8 0 m厚の塗膜を形成し、 集電体とした。
得られた箔状電極塗膜に取出し電極を接続しセパレー夕を介して所定長さ分を 捲回して、 アルミケースに入れた。 電解液としてはプロピレンカーボネート液に テトラェチルアンモニゥムテトラフルォロボレートを l m o 1 / 1溶解したもの 前記アルミケースに入れ、 前記集電体を濡らし、 更に取出し電極の一部が外部に 露出するようにゴムパッキンを用いて封口し電気二重層キャパシ夕を作成した (以下発明品 4と呼ぶ)。
比較のため、 従来例としてカルボキシメチルセルロースを用いて、 純水 5 0 0 重量部に 6重量部を溶解させ、 更にこの中に活性炭粉末 1 0とアセチレンブラッ ク 1 0重量部を投入し、均一に分散させ、 電極液としょうとした。 しかし活性炭、 特にァセチレンブラックは純水中に分散させることができなかつた。 そこでェチ ルアルコール 3 0 0重量部を追加し分散させた (アルコール以外にアンモニアの 添加も同様な効果が得られた)。 この電極液 (以下、 従来電極液と呼ぶ) を、 同 様に粗面化した導電箔の両面に、 塗付し、 乾燥後に片面 8 0 / m厚の塗膜を形 成した。 更に 1 1 0 °Cで 1 2 0分遠赤外線乾燥した。 この箔状電極塗膜を同じ 長さ (同じ面積だけ) セパレ一夕を介して捲回し、 同様に電気二重層キャパシタ を作成した (以下従来品 5と呼ぶ)。
次に発明品 4と従来品 5の信頼性の評価をしたところ、 発明品 4の方が特性の 劣化は少なかった。 そこで、 集電体を形成する各塗膜の非水系電解液や水に対す る再溶解試騄を行い、 更にこの前後での結着強度を測定した。 発明品 4の場合、 再溶解試験でも異常が無く、 結着強度も再溶解試験の前後で変化もなかった。 一方、 従来品 5では、 集電体が電解液中に溶出している場合が有り、 結着強度 も低下していた。 また樹脂自体の水分吸着性 (湿潤させた後の水の蒸発速度) を 測定したところ、 発明品 4のほうが、 従来品 5より水分吸着の影響を受け難いこ とがわかった。 また各集電体を何度も曲げたり伸ばしたりしたところ、 発明品 4 ではクラックの剥離は発生しなかつたが、従来品 5ではこうした現象が発生した。
このようにラテックスを用いることで (ラテックス自体には吸水性、 水溶性が 無いため)、 集電体の物理特性を向上でき、 製品の信頼性も向上できた。
なおラテックス自体は弾性ゴムであるが、 こうした材料を水の中にエマルジョ ン状態として分散させることで取扱いや電極液の製造が楽になる。 ラテックスと しては、 天然ラテックス以外に、 S B R (スチレンブタジエンゴム)、 N B R (二 トリルブタジエンゴム) 等の合成品も用いることができる。 このような合成ラテ ッタスには、 他にもブタジエン共重合体、 スチレンブタジエン共重合体、 カルボ キシ変性スチレンブ夕ジェン共重合体が有る。 こうしたラテックスのェマルジョ ンは水の中に 3 0から 7 0重量%の濃度でェマルジヨン状態で分散されているい るものが多いため、 電極液に用いる場合、 所定濃度に純水で希釈して、 活性炭や 導電性付与剤を添加することが望ましい。 電極塗膜用として用いるラテックスの ェマルジヨンの場合、 ェマルジヨン粒子の大きさは 0 . 1〃m以下のものが望 ましい。 0 . 3 m以上のものを用いて作成した電極液の場合、 凝集は沈殿が 起きる場合がある。
ラテックスの場合、純水中に界面活性剤等を用いて分散されている場合が多い。 そのため出来上がったラテックスの種類によっては P Hが異なる。 電気二重層キ ャパシ夕の電極液を製造する場合は、 中性もしくは弱アル力リ性のものが望まし い。 電気二重層キャパシ夕に用いる活性炭の種類によっては、 活性炭の処理によ つては表面化学物質としてカルボキシル基が残留物として残っている場合が有る こうした活性炭は、 弱アルカリ性の樹月旨溶液中に分散させることは容易である。 しかし樹脂溶液の酸性度が高いと場合、 活性炭を均一に分散させにくくなる。 こ のためラテックスの分散液の P Hは、 5以上 1 2以下が望ましい。
なおラテックスェマルジヨンの添加量は、 活性炭 1 0 0重量部に対して、 ラテ ックス固形分で (乾燥重量として) 4重量部以上 2 0 0重量部以下が望ましい。 ラテックスだけを樹脂として電極液を作成する場合、 3重量部以下の場合は接着 強度が低くなる。 一方、 3 0 0重量部以上の場合、 活性炭の種類によっては製品 の容量を落とすことが有った。
このようにェマルジヨン状態のラテックスを用いることで、 ラテックス中の分 散剤を有効に活用でき、 アルコールやアンモニア等の環境負荷物質を添加するこ
となく電極液を作成できる。 特に電極液中の揮発成分を水 (あるいは純水) だけ にすることで、 設備の清掃を含む作業環境を改善できる。
(実施例 8 )
実施例 8では、 第 3図を用いて積層形の電気二重層キャパシ夕について説明す る。 第 3図において、 直方体のケース 1の中に、 導電箔 2の少なくとも一面以上 に形成されたラテックスを含む集電体 3が、 複数枚、 セパレ一夕 4を介して接続 されている。 積層体 5 bにすることで、 商品の外形を立方体にすることができ、 死角を減らせられ、 有効体積も増加できるため、 単位体積当たりの容量 (容量密 度) を捲回型に比べて 3 0 %近く高めることができる。 また製品の厚みを数 mm と薄く設定したままで、 製品の大きさを数十 c m角にすることができ、 搭載機器 の薄層化、 小型化に貢献することができる。
さらに詳しく説明する。 まず厚み l mm、 2 0 0 mm x 3 0 0 mmの超薄層 大型積層形の電気二重層キャパシ夕を試作した。 まず実施例 1の場合、 製品にあ る程度の弾力性や変形に対する耐久性が要求される。 こうした場合、 従来の硬質 の集電体では、 割れたり欠けたりする心配が有った。 しかし本実施例 8で作成し た集電体 3を、 1 8 0 X 2 8 0 mmの寸法で複数枚を切り取り、 これを市販の セパレー夕を介して、複数枚積層し、非水系電極液中に取出し電極と共に封口し、 超薄層電気二重層キャパシタを作成した (以下発明品 5と呼ぶ)。 この発明品 5 は、 曲がりや反りに強く、 無理やりたわませても、 電気的特性や信頼性に悪影響 は表れなかった。 このような変形試験を行った後、 発明品 5を分解して集電体 3 の状態を調べたが、 異常は無かった。
比較のために、 従来の集電体として刈るボキシメチルセルロースを用いて、 同 様に集電体 3を作成し、 同じようにまず厚み 1 mm、 2 0 O mm x 3 0 O mm の超薄層大型積層形の電気二重層キャパシ夕を試作した(以下従来品 6と呼ぶ)。 従来品 6の場合、 集電体 3自体が弾力性が無く橈みにくく、 硬い板状であった。 第 2図 (A) や第 2図 (B ) に示すような、 ダメージが集電体 3に発生すること が有った。 こうして作成した従来品 6は、 小さく曲げたところ、 電気的特性が急 激に下がってしまった。 後で解析したところ、 集電体膜に多数の割れが発生し、 導電箔の一部も破損して、 場所によってはショートしかけている場合もあった。
このようにして、 集電体自体にラテックスを添加することで、 超薄層の積層形の 電気二重層キャパシタを安定して作成することができる。
なお、 こうした薄層の電気二重層キャパシ夕を複数個、 直列接続し、 ユニット 化することで、 耐電圧を高められ、 D C— D Cコンバータ等を用いて電圧変換す る際も、 その変換効率を高められる。
また、 こうした薄層の電気二重層キャパシ夕を複数個、 並列接続し、 ユニット 化することで、 容量を大幅に増やせられる。 また電気二重層キャパシ夕を選別、 ランク分けすることで、 より安定した特性のものを組立てることもできる。
このような超薄層の電気二重層キャパシ夕は、 捲回形に比べて、 E S R (等価 直列抵抗) を低くしゃすく、 周波数特性も良いため、 パソコン、 T V、 エアコン、 各種暖房機等に用レ、ることができる。 またレ一ザ一ビームプリンタ等で急激に大 電流が要求される場合の、 電圧降下を防止する用途に用いることができる。
(実施例 9 )
純水中 5 0 0重量部にラテックス (固形分 3 0 %のェマルジヨンを使用) 1 2 重量部、 カルボキシメチルセルロースの一部を N H 4イオンで置換したもの (以 下 C M C D N H 4と呼ぶ) を分散させ、 更にこの中に活性炭粉末 1 0とァセチレ ンブラック 1 0重量部を投入し、 均一に分散させ、 電極液とする。 次にこの電極 液を同様に粗面化した導電箔上に塗付し、 乾燥させ、 実施例 1と同様に電気二重 層キャパシタを作成した (以下発明品 6と呼ぶ)。
比較のため、 従来例としてカルボキシメチルセルロース (一部を N H 4イオン で置換したもの) を用いて、 電気二重層キャパシ夕を作成した (以下従来品 7と 呼ぶ)。
出来上がった塗膜を各々比較したところ、 発明品 6の集電体の場合 Ι πιπι Φ とより細い径にまで巻くことができた。 一方、 従来品 7の場合、 3 πιπι Φより 小さい径に卷いたところ割れや剥がれが発生した。このため製品(アルミケース) の中に捲回できる集電体の長さは、 発明品 6の方が従来品 7に比較して長くする ことができ、 製品の容量及びエネルギー密度を高くすることができた。
なおラテックスと従来の水溶性樹脂を混合して用いる場合、 添加される活性炭 や導電性付与剤 (特に、 これら材料の粒径や比表面積によって) によって、 出来
上がる電極液の濃度は大きく変化することがある。 そのため電極液の粘度は 2ポ ィズ以上 2 0 0ボイズ以下の範囲になるように組成を設定することが望ましい。 0 . 5ボイズ以下では粘度が低すぎて、 5 0〃m以上の厚みの塗膜を形成する ことは難しく、 出来上がっても厚み差が ± 5 mより大きくなつてしまう。 ま た 3 0 0ボイズ以上の粘度の場合、 5 0 m以上の厚い塗膜の形成は容易であ るが、 レべリング性 (電極液自体が重力の作用によって塗付ムラを無くすように 流れること) が悪くなり、 生産性が落ちる。 電気二重層キャパシ夕としての製造 するには集電体の厚み差 (最大厚みと最小厚みの差) は、 5 m以下が望まし い。 1 0 mを超えると、 同じ長さの集電体を捲回した場合であっても、 出来 上がつた捲回物の直径が異なつてしまう場合が有る。
本発明のラテックス入りの集電体の場合、 ラテックスのみをバインダ一として 用いても良い。 またラテックス入りの電極液を導電箔上に、 塗工する際には、 ド クタ一ブレード等の塗工機を用いることができる。 塗工機の種類によっては、 適 正な電極液粘度が決まっている。 この場合は、 ラテックス以外に、 水溶性高分子 (カロボキシメチルセルロース、 ポリビニールアルコール、 メチルセルロース、 ヒドロキシェチルセルロース等の水溶性高分子) を、 必要に応じて添加すること で、 塗付しやすい粘度 (例えば 5〜1 0 0ボイズ) に調整することができ、 結果 的に塗膜の厚み差を 5 jLL m以下の高精度に押さえることができ、 製造工程の安 定化と製品のバラヅキ低減が可能になる。
(実施例 1 0 )
ラテックス樹脂を少なくし、 従来の水溶性樹脂を増やし、 更に水溶性樹脂の重 合 (硬化) による不溶化(耐水化) することを試みた。 まず純水中 5 0 0重量部 にラテックス 2重量部、 ポリビニール樹脂を 1 0重量部溶解させ、 更にここに重 合剤としてジルコニァ化合物を添加した。 次にこの中に活性炭粉末 1 0とァセチ レンブラック 1 0重量部を投入し、 均一に分散させ、 電極液とする。 次にこの電 極液を同様に粗面化した導電箔に塗付し、 片面 8 0〃 m厚になるようにした。 この電極塗膜の耐水化を試みたところ、 1 2 0 °Cから 1 5 0 °Cの温度で 5分か ら 1 0分程度熱処理することで、 耐水化 (不溶化) することがわかった。 こうし て作成した耐水化することで塗膜の残留水分が吸着されにくくなつた。 なお、 3
0 0 °C以上の温度では、 樹脂の分解が進むため塗膜が脆くなる。 なお重合剤を 添加していない場合、 1 3 0 °C以下 1 2時間熱処理しても電極塗膜を充分耐水 化することはできなかった。
なおこうした重合開始剤もしくは反応開始剤としてジルコニァ化合物を用いる 場合は、バインダ 1 0 0重量部に対して、 1重量部以上 1 0重量部以下添加させ、 乾燥もしくは熱処理によって、 非水溶化させることが望ましい。 添加量が少ない と水溶性樹脂の非水溶化が不十分となり、 添加量が多すぎると電気二重層キャパ シ夕の製品特性 (容量値やエネルギー密度など) を下げてしまう。 こうした重合 開始剤や反応開始剤としては、 反応後は、 イオン化せず安定した金属酸化物にな るものが望ましい。 こうすることで、 残った重合開始剤や反応開始剤であっても 電気二重層キャパシ夕の特性を劣化させることはない。 また重合開始剤もしくは 反応開始剤を用いることで、 ほかにもメチルセルロース、 ヒドロキシメチルセル ロース等の各種高分子材料も用いることができる。 この場合であっても、 ラテツ タスの添加と併用することが望ましい。 なお未反応のジルコニァ化合物の関して は、 酸素のある状態で熱処理を行うことで安定したジルコニァ酸化物に変化させ られる。 電気二重層キャパシタ中の残留水分や非水系電極液と反応することはな い。
なおラテックス樹脂のガラス転移温度 (軟化点の一種) は、 2 0 °C以上の場 合、 できあがった集電体ゃ塗膜の柔軟性が低くなる。 このためラテックス樹脂の ガラス転移温度は 0 °C以下、 特に一 1 0 °C以下の低いものが望ましい。
なお、 ラテックスと混合する樹脂としては、 カルボキシメチルセルロース、 ポ リビニールアルコール、 メチルセルロース、 ヒドロ機器プロピルセルロース等の 水溶性高分子材料を用いることができる。 こうした水溶性高分子材料と混合して 用いることで、 塗膜の耐水性と結着性を両立させる。 またこうした樹脂を添加す ることで、 0 . 1 mm以下の厚みでも、 1 mm以上の厚みでも自由に商品に応じ た厚みが塗工できるように、 例えば 1ボイズ以上 2 0 0ボイズ以下と言った範囲 で粘度を容易に調整することができる。 こうした樹脂を添加していない場合、 電 極液の粘度は 0 . 5ボイズ以下になり、 更に塑性 (チキソトロピ一性) が高くな つてしまうため、 0 . 0 5 mm以下の厚みは塗工できても 0 . 1 mm以上の厚み
は塗工できない、 あるいは毎回同じ厚みを形成することが出来ない、 と言った問 題が生じ易い。 このようにラテックスを、 カルボキシメチルセルロース等の水溶 性高分子と共に用いることで、 塗膜精度を高めることができる。
なお本発明において、 集電体の密度は 0 . 3 5 g/ c c以上 1 . 5 0 g/ c c が望ましい。 0 . 3 0 g/ c c以下の場合、 集電体密度が低く、 捲回時に塗膜に 割れ等の不良が発生しにくくなるが、 製品に組んだときの容量が低くなつてしま う。 また 5 5 g/ c c以上の場合、 非水系電極液が集電体内部に浸透しにく くなり、 製品に組んだときの容量を低くしたり、 インピーダンスを高めてしまう ことがある。
(実施例 1 1 )
ラテックスの添加した集電体 (実施例 9の発明品 6 ) のプレス実験を行った。 すると発明品 6の場合、 従来品 7に比較して半分以下の圧力で、 密度を 1 0 %以 上上げられた。 またプレス前後で塗膜の柔軟性や結着強度を低下することは無か つた。 また集電体の伸び (特に導電箔の変形) も無かった。 こうしてプレス圧力 や力レンダ圧力を下げることで、 設備費を押さえるとともに生産性を上げること につながり。 集電体の伸び (特に導電箔の変形) を押さえられた。 一方、 従来品 7の場合、 プレスをすることで塗膜の柔軟性や結着強度を低下した。 また圧力を 上げると集電体が変形した。
なお、 導電性付与剤としては、 アセチレンブラック、 ケッチェンブラック、 グ ラファイ ト微粉末等の炭素系導電材料を用いることができる。 あるいはポリピロ ール等の導電性高分子や金属微粉末を用いることができる。 このとき、 導電性付 与剤の量は、 活性炭 1 0 0重量部に対して、 2重量部以上 2 0重量部以下が望ま しい。 導電性付与剤の量が 1重量部以下の場合は、 電極塗膜の導電性が落ちるた め、 製品に組んだときの E S R (等価直列抵抗) やインピーダンスが高くなる可 能性が有る。 また 1 5重量部以上添加した場合でも、 溶剤に溶解したゴム材料に 比較して、 本特許ではゴム材料はェマルジヨン状態なので、 特に容量低減は発生 しない。 そのため、 2 0 0重量部以上添加した場合でも、 求める製品容量を得る ことができる。 なお、 5 0 0重量部以上入れた場合、 製品中に充填できる活性炭 量がその分、 減少することになり、 製品容量を下げる可能性がある。
(実施例 1 2 )
ラテックスの粒径について、 実験した結果を実施例 1 2で説明する。 まず、 粒 径 1 0〃m、 5〃m、 1〃m、 0 . 1〃m、 0 . 0 1 m以下の、 5種類のラ テックスを用意した。 そして実施例 1に記載したように、 各種集電体を試作した ところ、 粒径 1 0 Π1と 5 zmのものは、 活性炭粉末と共に分散させると、 凝 集体 (ママコ) を作り易く、 また出来あがった電気二重層キャパシ夕自体の電気 的特性も設計値より低くなつた。 一方の、 粒径 l〃m、 0 . l〃m、 0 . 0 1 m以下の 3種類のラテックスに関しては、 活性炭粉末と共に分散させても、 凝集体を作らず、 塗工性、 量産性も優れ、 設計値通りの電気的特性が得られた。 このように、 ラテックスの粒径は 1 m以下にすることで、 活性炭や導電性付 与剤と混合した際でも、 凝集体を作りにくなる。 なお、 ラテックスの粒径が数ォ ングストローム以下になった場合、 活性炭表面の細孔を埋めて、 電気二重層を作 りにくくなる心配があるため、 1 0オングストローム以上の大きさが望ましい。
(実施例 1 3 )
集電体中の樹脂は、 ラテックス樹脂だけでもよいが、 カルボキシメチルセル口 —ス樹脂、 ポリビニールアルコール、 メチルセルロース、 ヒドロキシェチルセル ロースのいずれか一種類以上と混合して用レヽることができる。 ラテックス樹脂だ けで電極液を作成した場合、 出来あがった電極液の粘度が低くなり過ぎ、 塗工し にくくなることがある。 こうした場合、 上述したような水溶性樹脂とラテックス 樹脂を混合させることで、 電極液の粘度を調整することができる。
なお、 こうした樹脂とラテックス樹脂を混合させる場合、 まず純水中にラテツ クス樹脂 (ラテックス水溶液) を入れ、 均一に分散させた後 (乳白色な均一溶液 になる)、 ここにカルボキシメチルセルロース等の樹脂粉体を入れ、 攪拌し、 溶 解することが望ましい。 樹脂溶液にラテックス水溶液を添加した場合、 ラテヅク ス粒子を均一に分散させるのに、かなりの労力が必要となるばかりか、凝集体や、 不均一分散の原因になることがある。
なお、 こうしたラテックス粒子は、 若干量の界面活性剤の添加された水を主成 分とする溶媒中に分散されたェマルジョン状態であるが、 このェマルジヨンの P Hは 4以上 1 2以下が望ましい。 P Hが 3以下の場合や 1 3以上のェマルジヨン
の場合、 活性炭を均一に分散できないことがある。
電極液を作成する際、 イオン交換水や純水を用いることで、 電気二重層キャパ シ夕の信頼性を落とす一原因になる、 不純物イオン濃度を下げられる。 またこの 際に、 アンモニアやアルコールを添加することで、 活性炭の濡れ性を改善するこ とができる。
なお日本化学会編 (丸善株式会社発行) の標準化学用語辞典 (平成 3年発行) によると、 ラテックスは、"従来は天然ゴムラテックスをさしたが、 合成ゴム及 びゴム系以外の合成樹脂ェマルジョンを出現してからは、 これらを総称してラテ ックスと言うようになった" と記載されている。 つまり、 本特許においてラテ ックスとは、 天然ゴムや合成ゴムにこだわるものでなく、 合成樹脂のェマルジョ ンも含むものであり、 こうした樹脂が活性炭もしくはアセチレンブラック、 ケッ チェンブラック等の粒子間に点在し、 これらが前記粒子同士を点接触させるもの である。 また本特許においてェマルジヨンとは、 同標準化学用語辞典に示すよう に、"液体溶質中に、 これに難溶な他の液体微粒子が分散している系" である力 液体微粒子以外に、 粘着性や弾性を有するゲル状微粒子であってもよい。 また溶 媒は油であっても良いが、 環境問題や作業性を考えると、 水系が望ましい。 また 溶解とは、 同標準化学用語辞典によると、"物質が液体に溶けて均一な液相にな る現象" と記載されているように、 従来の溶剤に溶解された樹脂材料では、 活 性炭等の微粒子の表面 (及びその表面の微細孔自体も) 覆うため製品特性を下げ てしまう可能性が有る。 しかし本発明のようなェマルジヨンもしくはラテックス は電極液内に分散された場合でも、 出来あがった集電体 3中で、 点在することが 予想され、 活性炭が賦活化されてできた微細孔を塞ぐ可能性も少なくなる。
なお、 低軟化点樹脂としては、 T g (ガラス転移温度) が、 — 1 0 °C以下の ものを選び、 こうしたものをラテックスに加工することもできる。 低軟化点樹脂 は、 重合や架橋可能なものも多く、 こうしたものを選ぶことでより製品の信頼性 を高められる。 なお、 低軟化点樹脂としては、 Tg (ガラス転移温度) が一 1 0 °C 以下のものとしては、 可塑剤が添加されたものでも良いが、例えば、塩化ビエル、 エチレン口塩ビ共重合樹脂、 塩化ビニリデン系ラテックス、 塩素化樹脂、 酢酸ビ ニル樹旨、 ポリビニールプチラール、 ポリビニールホルマール、 ビスフエノール
系エポキシ樹旨、 ポリウレタン樹旨等がある。 また S B R (スチレンブタジエン ラバ一)、 ブタジエンゴム、 イソプレンゴム、 N B R (アクリロニトリルロブ夕 ジェン□共重合ゴム)、 ウレタンゴム、 シリコンゴム、 アクリルゴム、 各種エラ ストマ一を用いることができる。 こうした樹脂を水溶†生ィ匕したり、 微粒子化 (ラ テックス化) することで、 高圧分散を行う際、 電極液の作業性、 安全性を高める ことができる。
(実施例 1 4 )
なお電極液の粘度は 1ボイズ以上 2 0 0ポィズ以下の範囲が、 集電体としての 塗工性が良い。 また集電体の厚みは 2 0〃m以上であることが望ましく、 5 0 0 m以上であっても問題はない。 また集電体の厚み差は 5 z m以下であるほ うが、 製品の容量バラツキが低減でき、 安定した製品を供給できる。
なお、 4フッ化工チレン樹脂と共に、 低軟化点樹脂を添加することで、 塗膜の 割れ防止に効果がある。 低軟化点樹脂としては、 T g (ガラス転移温度) が、 一 1 0 °C以下のものが望ましい。 T gが— 1 0 °C以上のものは、 室温では硬く、 集電体を形成した場合に、 ヒビゃ剥がれ、 微細クラックの原因になりやすい。 こ うした低軟化点樹脂は、 重合や架橋可能なものも多く、 こうしたものを選ぶこと でより製品の信頼性を高められる。 なお、 低軟化点樹脂としては、 Tg (ガラス転 移温度) がー 1 0 °C以下のものとしては、 可塑剤が添加されたものでも良いが、 例えば、塩化ビニル、 エチレン一塩ビ共重合樹脂、塩化ビニリデン系ラテックス、 塩素化樹脂、 酢酸ビニル樹 β旨、 ポリビニールプチラール、 ポリビニールホルマー ル、 ビスフエノ一ル系エポキシ樹旨、ポリウレ夕ン樹旨等がある。また S B R (ス チレンブ夕ディェンラバ一)、 ブタジエンゴム、 イソプレンゴム、 N B R (ァク リロ二トリル一ブタジエン一共重合ゴム)、 ウレタンゴム、 シリコンゴム、 ァク リルゴム、 各種エラストマ一を用いることができる。 更に、 こうした樹脂を水溶 †生ィ匕したり、 微粒子化 (ラテックス化) することで、 高圧分散を行う際、 電極液 の作業性、 安全性を高めることができる。
このようにラテックスを用いることで (ラテックス自体には吸水性、 水溶性が 無いため)、 集電体の物理特性を向上でき、 製品の信頼性も向上できた。
なおラテックス自体は弾性ゴムであるが、 こうした材料を水の中にエマルジョ
ン状態として分散させることで取扱いや電極液の製造が楽になる。 ラテックスと しては、 天然ラテックス以外に、 S B R (スチレンブタジエンゴム)、 N B R (二 トリルブタジエンゴム) 等の合成品も用いることができる。 このような合成ラテ ックスには、 他にもブタジエン共重合体、 スチレンブタジエン共重合体、 カルボ キシ変性スチレンブタジエン共重合体が有る。 こうしたラテックスのェマルジョ ンは水の中に 3 0から 7 0重量%の濃度でェマルジヨン状態で分散されているい るものが多いため、 電極液に用いる場合、 所定濃度に純水で希釈して、 活性炭や 導電性付与剤を添加することが望ましい。 電極塗膜用として用いるラテックスの ェマルジヨンの場合、 ェマルジヨン粒子の大きさは 0 . l〃m以下のものが望 ましい。 0 . 3〃m以上のものを用いて作成した電極液の場合、 凝集は沈殿が 起きる場合がある。
ラテックスの場合、純水中に界面活性剤等を用いて分散されている場合が多い。 そのため出来上がったラテックスの種類によっては P Hが異なる。 電気二重層キ ャパシ夕の電極液を製造する場合は、 中性もしくは弱アル力リ性のものが望まし レ、。 電気二重層キャパシ夕に用いる活性炭の種類によっては、 活性炭の処理によ つては表面化学物質としてカルボキシル基が残留物として残っている場合が有る こうした活性炭は、 弱アルカリ性の樹脂溶液中に分散させることは容易である。 しかし樹脂溶液の酸性度が高いと場合、 活性炭を均一に分散させにくくなる。 こ のためラテックスの分散液の P Hは、 5以上 1 2以下が望ましい。
なおラテックスェマルジヨンの添加量は、 活性炭 1 0 0重量部に対して、 ラテ ックス固形分で (乾燥重量として) 1重量部以上 2 0 0重量部以下が望ましい。 ラテックスだけを樹脂として電極液を作成する場合、 0 . 5重量部以下の場合は 接着強度が低くなる。 一方、 2 5 0重量部以上の場合、 製品の容量を落としてし まうことがある。
またェマルジョン状態のラテックスを用いることで、 ラテックス中の分散剤を 有効に活用でき、 アルコールやアンモニア等の環境負荷物質を添加することなく 電極液を作成することもできる。 こうして設備の清掃を含む作業環境を改善でき る。
なお日本化学会編 (丸善株式会社発行) の標準化学用語辞典 (平成 3年発行)
によると、 ラテックスは、"従来は天然ゴムラテックスをさしたが、 合成ゴム及 びゴム系以外の合成樹脂ェマルジヨンを出現してからは、 これらを総称してラテ ックスと言うようになった" と記載されている。 つまり、 本特許においてラテ ックスとは、 天然ゴムや合成ゴムにこだわるものでなく、 合成樹脂のェマルジョ ンも含むものであり、 こうした樹脂が活性炭もしくはアセチレンブラック、 ケッ チェンブラック等の粒子間に点在し、 これらが前記粒子同士を点接触させるもの である。 また本特許においてェマルジヨンとは、 同標準化学用語辞典に示すよう に、"液体溶質中に、 これに難溶な他の液体微粒子が分散している系"であるが、 液体微粒子以外に、 粘着性や弾性を有するゲル状微粒子であってもよい。 また溶 媒は油であっても良いが、 環境問題や作業性を考えると、 水系が望ましい。 また 溶解とは、 同標準化学用語辞典によると、"物質が液体に溶けて均一な液相にな る現象" と記載されているように、 従来の溶剤に溶解された樹脂材料では、 活 性炭等の微粒子の表面 (及びその表面の微細孔自体も) 覆うため製品特性を下げ てしまう可能性が有る。 しかし本発明のようなェマルジヨンもしくはラテックス は電極液内に分散された場合でも、 出来あがった集電体中で、 点在することが予 想され、 活性炭が賦活化されてできた微細孔を塞ぐ可能性も少なくなる。
(実施例 1 5 )
実施例 1 5では、 ラテックスを用い、 同様に高圧分散実験した結果を示す。 従 来のラテックスを含まない集電体では、 その厚みが 5 0〃mでは、 捲回直径が 5 mmでも、 第 4図 (C ) で有ったが、 8 0〃mと厚くなつた場合、 第 4図 (B ) の△ (捲回性に劣る) になることがあった。 また 1 5 0 m以上の厚みにした 場合、 捲回直径が 5 mmでも、 第 4図 (A ) の x (捲回が不可能) になる場合 も有った。 た厚みが 5 0〃mでも、 捲回直径を 4 mm、 3 mm、 2 mmと小 さくするほど、 第 4図 (B ) の△ (捲回性に劣る) の現象が発生することが有 つた。 なお、 こうした集電体の捲回性に関しては、 集電体塗膜中の残留水分量に も影響を受けることが経験的に知られている。 そのため、 集電体中の残留水分を 3 0 %以上に調整することで、 捲回時に微細クラック 1 1や破断面 1 0が発生し にくくすることもできる。 しかし残留水分を正確に制御することは難しく、 季節 によって、 気温によって大きく影響を受けてしまうことが問題で有った。
一方、 実施例 3のラテックスを含む集電体の場合、 集電体厚みを 1 0 0 m、 2 0 0 ^ 111と厚くし、 かつ捲回直径を 2 mm以下にした場合でも、 捲回時に微 細クラック 1 1や破断面 1 0が発生しなかった。 更に集電体の残留水分の水分を 変化させて同様に実験したが、 残留水分が 5 %以下でも、 残留水分が 5 0 %以上 でも、 同様に微細クラック 1 1や破断面 1 0が発生することは無かった。 このよ うに、 ラテックスを含む集電体を用いることで、従来に増して、高密度な捲回や、 集電体の高厚膜化が可能にできる。
(実施例 1 6 )
実施例 1 6では、 ラテックスを含む樹脂により活性炭及び導電性付与剤を、 集 電体として導電箔表面に形成し、 電気二重層キャパシ夕を製造する方法を説明す る。 まず、 活性炭には市販の比表面積 1 5 0 0〜2 0 0 0平方メートル/ gのも のを、 導電性付与剤としては同様に市販のアセチレンブラックを用いた。 次に力 ルポキシメチルセル口一ス水溶液とラテックスの混合水溶液の中に、 前記活性炭 とアセチレンブラックを添加し、 高圧分散させ、 電極液とした。 次にこの電極液 を、 市販の導電箔の上の両面に、 片面の乾燥厚みが 1 0 0 mになる様に、 塗 ェした。 次にこの集電体 3を第 1図に示すように、 所定幅に切断しセパレ一夕 4 を介して、 複数枚を、 最小巻き径 2 πιπι Φで捲回し始め、 最終巻き径 8 πιπι Φ で止め、 捲回体 5 aを作成した。 捲回体 5 aを形成する複数の導電箔に、 各々取 出し電極 6を接続し、 Φ 1 0 mmの円筒状ケース 1に入れ、 所定の電解質で浸 析させ、 端子 8付きの封ロ材 7で封口した (発明品 7と呼ぶ)。
比較のために、 カルボキシメチルセルロース水溶液の中に、 前記活性炭とァセ チレンブラックを添加し、 高圧分散させ、 電極液とした。 次にこの電極液を、 巿 販の導電箔の上の両面に、 片面の乾燥厚みが 1 0 0 mになる様に、 塗工した。 次にこの集電体 3を第 1図に示すように、所定幅に切断しセパレ一夕 4を介して、 複数枚を、 捲回しようとしたが、 最小巻き径 2 mmでは、 第 4図 (A) や第 4図
( B ) に示す様な現象が発生する場合が有った。 そこで、 しかたなく最小巻き径 5 πιπι Φで捲回し始め、 最終巻き径 8 πιπι Φで止め、 捲回体 9を作成した。 こ れを同様に Φ 1 0 mmの円筒状ケースに入れ、 電気二重層キャパシ夕を作成し た (以下従来品 8と呼ぶ)。 発明品 7と従来品 8の特性を調べたところ、 発明品
7の方が、 容量が 1 0 %以上大きかった。 この原因は、 従来品 8に比較し、 ラテ ックス品の方が、 より巻き数が大きく (集電体長さが長くなり) なるためと考え られた。
更に詳しく説明する。 純水中 5 0 0重量部にラテックス (固形分 5 0 %のエマ ルジョンを乾燥重量として) 1 2重量部を分散させ、 更にこの中に活性炭粉末 1 0 0重量部と導電性付与剤としてのアセチレンブラック 1 0重量部を投入し、 高 圧分散させ、 電極液とした。
こうして分散させた電極液の表面を化学エッチングにより粗面化した導電箔
(幅 1 0 0 mm、 長さ 2 0 m) の両面に、 塗付機を用いて、 塗付し、 片面 8 0 m厚の塗膜を形成し、 これを集電体 3とした
得られた箔状電極塗膜に取出し電極を接続しセパレ一タを介して所定長さ分を 捲回して、 アルミケースに入れた。 電解液としてはプロピレンカーボネート液に テトラェチルアンモニゥムテトラフルォロボレ一トを 1 m o 1 / 1溶解したもの 前記アルミケースに入れ、 前記集電体を濡らし、 更に取出し電極の一部が外部に 露出するようにゴムパヅキンを用いて封口し電気二重層キャパシ夕を作成した
(以下発明品 8と呼ぶ)。
比較のため、 従来例としてカルボキシメチルセルロースを用いて、 純水 5 0 0 重量部に 6重量部を溶解させ、 更にこの中に活性炭粉末 1 0とアセチレンブラヅ ク 1 0重量部を投入し、 均一に分散させ、 電極液としょうとした。 しかし活性炭、 特にアセチレンブラックは純水中に分散させることができなかった。 そこでェチ ルアルコール 3 0 0重量部を追加し分散させた (アルコール以外にアンモニアの 添加も同様な効果が得られた)。 この電極液 (以下、 従来電極液と呼ぶ) を、 同 様に粗面化した導電箔の両面に、 塗付し、 乾燥後に片面 8 0 m厚の塗膜を形 成した。 更に 1 1 0 °Cで 1 2 0分遠赤外線乾燥した。 この箔状電極塗膜を同じ 長さ (同じ面積だけ) セパレ一夕を介して捲回し、 同様に電気二重層キャパシ夕 を作成した (以下従来品 9と呼ぶ)。
次に発明品 8と従来品 9の加速試験をしたところ、 発明品の方が特性の劣化は 少なかった。 そこで、 集電体を形成する各塗膜の非水系電解液や水に対する再溶 解試験を行い、 更にこの前後での結着強度を測定した。 発明品の場合、 再溶解試
験でも異常が無く、 結着強度も再溶解試験の前後で変化もなかった。
一方、 従来品 9では、 再溶解が見られ、 結着強度も再溶解試験後で下がってい た。 また樹脂自体の水分吸着性 (湿潤させた後の水の蒸発速度) を測定したとこ ろ、 発明品 8のほうが、 従来品 9より 1桁以上、 水分吸着性が小さいことがわか つた。 また各集電体を何度も曲げたり伸ばしたりしたところ、 発明品 8ではクラ ックの剥離は発生しなかったが、 従来品 9ではこうした現象が発生した。
(実施例 17 )
純水中 500重量部にラテックス (固形分 30%のェマルジヨンを使用) 12 重量部、 カルボキシメチルセルロースの一部を NH 4イオンで置換したもの (以 下 CMC— NH4と呼ぶ) を分散させ、 更にこの中に活性炭粉末 10とァセチレ ンブラック 10重量部を投入し、 均一に分散させ、 電極液とする。 なおこの分散 には、 第 4図に示すような高圧分散機を用いた。 第 4図において、 13は投入口 であり、 ここから予備混練の終了した電極液を投入する。 14は圧力部で、 投入 された電極液を油圧ポンプ等で 100Kg/cm2以上の高圧状態にすることが できる。 また 15は分散混合部で、 ここでは高圧状態の電極インキを特殊な治具 に吹き付けたり、 複数個のキヤビラリーから高圧で噴出された電極液同士をぶつ け合わせたりすることで、 分散を行う場所である。 圧力部において、 電極液は少 なくとも 100Kg/cm2以上の高圧力に昇圧させられる。 この分散時の圧力 は、 圧力部 14 (もしくは圧力部 14と分散混合部 15の間) に圧力計を取付け ることでモニタ一することができる。 また分散混合部 15の内部は、 局所的にダ ィャモンド製もしくはセラミック製もしくは超硬金属で形成しておくことで、 摩 耗から守ることができる。 こうして、 100 Kg/cm 2以上の高圧を印加した 電極液を分散混合部分に導入して、 音速を超える速度で液同士を (または液を所 定治具に) 衝突、 分散させるものである。 こうして高圧分散された電極液は排出 口 4から排出される。 こうした装置としては、 米国ゴ一リン社製の圧力式ホモジ ナイザー等を用いることができる。 こうした装置を用いることで電極液に 100 Kg/cm 2以上 (装置仕様によっては 3000Kg/cm2以上) の高圧を印 加しながら分散させることで、 容易に集電体塗膜の密度を 0. 50g/c c以上 に向上させられる。 なお電極液への不純物混入を避けながら分散機の長寿命化、
分散の安定化をするには、 混合分散部分の材質には、 ダイヤモンド製もしくはセ ラミツク製もしくは超硬金属製のものを用いることが望ましい。
次にこの電極液を同様に粗面化した導電箔上に塗付し、 乾燥させ、 実施例 1と同 様に電気二重層キャパシタを作成した (以下発明品 9と呼ぶ)。
比較のため、 従来例としてカルボキシメチルセルロース (一部を N H 4イオン で置換したもの) をラテックスェマルジヨンを添加することなく、 電気二重層キ ャパシ夕を作成した (以下従来品 1 0と呼ぶ)。
出来上がった塗膜を各々比較したところ、 発明品 9の集電体の場合 1 πιπι Φ とより細い径にまで巻くことができた。 一方、 従来品 1 0の場合、 3 mm <Dよ り小さい径に巻いたところ割れや剥がれが発生した。 このため製品 (アルミケー ス) の中に捲回できる集電体の長さは、 発明品 9の方が従来品 1 0に比較して長 くすることができ、 製品の容量及びエネルギー密度を高くすることができた。 なおラテックスと従来の水溶性樹脂を混合して用いる場合、 添加される活性炭 や導電性付与剤 (特に、 これら材料の粒径や比表面積によって) によって、 出来 上がる電極液の濃度は大きく変化することがある。 そのため電極液の粘度は 1ポ ィズ以上 2 0 0ボイズ以下の範囲になるように水溶性樹脂の組成を設定すること が望ましい。 0 . 5ポィズ以下では粘度が低すぎて、 5 0 Π1以上の厚みの塗 膜を形成することは難しく、 出来上がっても厚み差が土 5 / mより大きくなつ てしまう。 また 3 0 0ボイズ以上の粘度の場合、 5 0〃m以上の厚い塗膜の形 成は容易であるが、 レべリング性 (電極液自体が重力の作用によって塗付ムラを 無くすように流れること) が悪くなり、 生産性が落ちる。 電気二重層キャパシ夕 としての製造するには集電体の厚み差 (最大厚みと最小厚みの差) は、 5〃m 以下が望ましい。 1 0 z mを超えると、 同じ長さの集電体を捲回した場合であ つても、 出来上がった捲回物の直径が異なってしまう場合が有る。 このため塗工 機 (ドク夕一ブレードコ一夕一等) で塗付する際は、 ここに説明したように、 水 溶性高分子を添加することで、 塗付しやすい粘度 (2〜1 0 0ボイズ程度が望ま しい) に粘度を最適化することで、 塗膜の厚み差を 5〃m以下に押さえること ができ、 製造工程の安定化と製品のバラツキ低減が可能になる。
また従来の電極液の分散方法として、 回転式のホモジナイザー、 超音波式ホモ
ジナイザー、 及びその他各種ミキサー、 ボールミル、 サンドミル等を用いて実験 したが、 塗膜の密度は 0. 25 /0 0から0. 30 g/c c程度であった。 一 方、 高圧分散を行った場合の塗膜密度は 0. 50g/c cから 0. 65 g/c c となり、 製品の容量密度を大幅に改善することができた。 また比較のために超音 波ホモジナイザーを用いたが、 塗膜密度は殆ど増加せず、 その分散効果は見られ なかった。
またラテックスの場合、 安定化剤として各種の界面活性剤が添加されている場 合が多い。 このため、 従来の分散方法 (各種ミキサー、 ボールミル、 サンドミル 等) では、 空気と共に電極液をかき回すため泡が発生やすくなる。 電極液に発生 した泡は、 真空脱泡処理しても完全には抜けきれず、 塗膜集電体内部に残ったり (密度低下や容量低下の原因になる)、乾燥表面に痘痕状の痕跡を残してしまう。 いずれの場合も、 製品の容量密度を下げる原因になってしまう。 一方、 高圧分散 方法の場合は、 電極液は高圧下(空気に触れることなく)で液同士をぶつけたり、 当て板に打ち付けたりすることで分散するため、 泡は発生しにくレ、。
また電極塗膜にラテックスを混入することで、 塗膜の柔軟性及び曲げに対する 強度を大幅に改善できた。 そのため塗膜の厚みを、 500 m以上 (5mm程 度まで) 上げた場合でも、 捲回の際にクラック (塗膜割れや塗膜剥がれ) 等の不 良を発生させることなく所定の製品を製造できた。 また塗膜の柔軟性と結着力を 両立しながら大幅に改善できたため、 導電箱の変形を最小限に抑えながらプレス やカレンダ一加工を行うこともできた、 この結果、 塗膜密度を容易に 0. 40g /c c以上、 つまり 0. 75から0. 95まで大幅に増加でき、 更に製品の高性 能化を可能にできた。 なお塗膜密度を 1. 50 g/c c以上にした場合、 製品容 量が下がってしまった。 この原因は、 密度が高くなりすぎ、 電気二重層を形成す るだけの非水系電極液 (及びイオン) が集電体内部に充填できなかったためと考 えられる。
(実施例 18 )
ラテックス樹脂を少なくし、 従来の水溶性樹脂を増やし、 更に水溶性樹脂の重 合 (硬化) による不溶化(耐水化) することを試みた。 まず純水中 500重量部 にラテックス 2重量部、 ポリビニールアルコール樹脂を 10重量部溶解させ、 更
にここに重合剤としてジルコニァ化合物を添加した。 次にこの中に活性炭粉末 1 0重量部とアセチレンブラック 1 0重量部を投入し、 均一に分散させ、 電極液と する。 次にこの電極液を同様に粗面化した導電箔に塗付し、 片面 8 0 πι厚に なるようにした。 この電極塗膜の耐水化を試みたところ、 1 2 0 から 1 5 0 °〇 の温度で 5分から 1 0分程度熱処理することで、 耐水化 (不溶化) することがわ かった。 こうして作成した耐水化することで塗膜の残留水分が吸着されにくくな つた。 なお、 3 0 0 °C以上の温度では、 樹脂の分解が進むため塗膜が脆くなる。 なお重合剤を添加していない場合、 1 3 0 °C以下 1 2時間熱処理しても電極塗 膜を充分耐水化することはできなかった。
なおこうした重合開始剤もしくは反応開始剤としてジルコニァ化合物を用いる 場合は、バインダ 1 0 0重量部に対して、 1重量部以上 1 0重量部以下添加させ、 乾燥もしくは熱処理によって、 非水溶化させることが望ましい。 添加量が少ない と水溶性樹脂の非水溶化が不十分となり、 添加量が多すぎると電気二重層キャパ シ夕の製品特性 (容量値やエネルギー密度など) を下げてしまう。 こうした重合 開始剤や反応開始剤としては、 反応後は、 イオン化せず安定した金属酸化物にな るものが望ましい。 こうすることで、 残った重合開始剤や反応開始剤であっても 電気二重層キャパシ夕の特性を劣化させることはない。 また重合開始剤もしくは 反応開始剤を用いることで、 ほかにもメチルセルロース、 ヒドロキシメチルセル ロース等の各種高分子材料も用いることができる。 この場合であっても、 ラテツ クスの添加と併用することが望ましい。 なお未反応のジルコ二ァ化合物の関して は、 酸素のある状態で熱処理を行うことで安定したジルコニァ酸化物に変化させ られる。 電気二重層キャパシ夕中の残留水分や非水系電極液と反応することはな い。
なおラテックス樹脂のガラス転移温度 (軟化点の一種) は、 2 0 °C以上の場 合、 できあがった集電体ゃ塗膜の柔軟性が低くなる。 このためラテックス樹脂の ガラス転移温度は 0 °C以下、 望ましくは一 1 0 °C以下の低いものが望ましい。
(実施例 1 9 )
ラテックスの添加した集電体のプレス実験を行った。 するとラテックスを添加 したものの場合、ラテックスを添加していないものに比較して半分以下の圧力で、
密度を 1 0 %以上上げられた。 またプレス前後で塗膜の柔軟性や結着強度を低下 することは無かった。 また集電体の伸び (特に導電箔の変形) も無かった。 こう してプレス圧力やカレンダ圧力を下げることで、 設備費を押さえるとともに生産 性を上げることにつながり。集電体の伸び(特に導電箔の変形)を押さえられた。 一方、 従来品の場合、 プレスをすることで塗膜の柔軟性や結着強度を低下した。 また圧力を上げると集電体が変形した。
なお、 導電性付与剤としては、 アセチレンブラックの他にも、 ケツチエンプラ ック、 グラフアイ ト微粉末等の炭素系導電材料を用いることができる。 あるいは ポリピロール等の導電性高分子や金属微粉末を用レ、ることができる。 このとき、 導電性付与剤の量は、 活性炭 1 0 0重量部に対して、 2重量部以上 1 0重量部以 下が望ましい。 導電性付与剤の量が 1重量部以下の場合は、 電極塗膜の導電性が 落ちるため、 製品に組んだときの E S R (等価直列抵抗) やインピーダンスが高 くなる可能性が有る。 また 1 5重量部以上添加した場合は、 製品中に充填できる 活性炭量がその分、 減少することになり、 製品容量を下げる可能性が有る。
なお塗膜密度は、 用いる活性炭の平均粒径や粒度分布によっても左右される。 しかしどの場合においても、高圧式分散方法を用いた場合、その塗膜密度を 1 0 % から 3 0 %向上させることができ、 製品容量を 5 0 %以上高めることができた。 なお高圧式分散機の圧力は、 1 0 0 K g/ c m 2以上が必要である。 8 0 K g / c m 2以下では圧力が足りず分散効果も不十分であることが多い。 分散圧力は 2 5 0 K g/ c m 2以上、 5 0 0 K g/ c m 2以上が望ましい。 こうした高圧分 散を行う場合、 電極液が 5 0 °Cから 8 0 °C程度に自己発熱し、 電極液のロット 変動の原因になることがある。 そのため電極液の発熱を最小限に抑える水冷機構 を付加することが望ましい。 また 1 0 0 0 K g/ c m 2以上の分散が可能な超高 圧分散機を用いることもできる。 また分散回数は、 1回に限る必要は無い。 所定 の電極液を複数回、 同じ分散機で繰返し処理することにより、 電極液の品質を安 定化できる。 また分散圧力が脈動する (圧力が規則的に上下する) 場合でも、 複 数回繰返して分散させることで、 分散度合レ、を安定化できる。
なお捲回形電気二重層コンデンサ以外に、 積層形電気二重層コンデンザへも応 用できることは言うまでもない。 また、 捲回形や積層形に関係なく、 複数個を直
列接続することにより、、 高容量化すると共に、 等価直列抵抗を低減でき、 大電 流を短時間に取出せるようになる。
また同様に捲回形や積層形に関係なく、 複数個を並列接続することにより、 等 価直列抵抗を低減でき、 大電流を短時間に取出せるようになる。
なお日本化学会編 (丸善株式会社発行) の標準化学用語辞典 (平成 3年発行) によると、 ラテックスは、"従来は天然ゴムラテックスをさしたが、 合成ゴム及 びゴム系以外の合成樹脂ェマルジヨンを出現してからは、 これらを総称してラテ ックスと言うようになった" と記載されている。 つまり、 本特許においてラテ ヅクスとは、 天然ゴムや合成ゴムにこだわるものでなく、 合成樹脂のェマルジョ ンも含むものであり、 こうした樹脂が活性炭もしくはアセチレンブラック、 ケッ チェンブラック等の粒子間に点在し、 これらが前記粒子同士を点接 ^5させるもの である。 また本特許においてェマルジヨンとは、 同標準化学用語辞典に示すよう に、"液体溶質中に、 これに難溶な他の液体微粒子が分散している系" であるが、 液体微粒子以外に、 粘着性や弾性を有するゲル状微粒子であってもよい。 また溶 媒は油であっても良いが、 環境問題や作業性を考えると、 水系が望ましい。 また 溶解とは、 同標準化学用語辞典によると、"物質が液体に溶けて均一な液相にな る現象" と記載されているように、 従来の溶剤に溶解された樹脂材料では、 活 性炭等の微粒子の表面 (及びその表面の微細孔自体も) 覆うため製品特性を下げ てしまう可能性が有る。 しかし本発明のようなェマルジヨンもしくはラテックス は電極液内に分散された場合でも、 出来あがった集電体 7中で、 点在することが 予想され、 活性炭が賦活化されてできた微細孔を塞ぐ可能性も少なくなる。
(実施例 2 0 )
実施例 2 0では、 集電体の高膜厚化に取組んだ。 集電体が厚くなると、 捲回時 にヒビゃクラックが発生することが問題になる。 第 2図は、 捲回性の評価方法の 一例を示すものである。 第 2図において、 9は丸棒であり、 丸棒 9の周りに、 製 品幅に切断された、 少なくとも一表面に集電体 3が結着された導電箔 2を巻き付 けることで、 その集電体 3の捲回性を評価するものである。 第 2図 (A) は、 集 電体 3が導電箔 2から剥がれ、 更に集電体 3自体が破断面 1 0を形成した様子を 示し、 この状態の評価は X (捲回不可能) に相当する。 第 2図 (B ) は、 集電
体 3は導電箔 2から剥がれず、 集電体 3の表面に微細クラック 1 1を形成した様 子を示し、 この状態の評価は△ (捲回性に劣る) に相当する。 第 2図 (C ) は、 集電体 3から導電箔 2が剥がれず、 集電体 3の表面に破断面 1 0やクラック 1 1 等のダメージが発生していない様子を示し、 この状態の評価は〇 (捲回性が良 好) に相当する。 なお、 こうした評価は、 導電箔 6の両面に集電体 7を形成し、 この両面について交互に、 各 1 0回? 1 0 0回行った。
更に詳しく説明する。 純水中に、 低軟化点樹脂を溶解し、 ここに活性炭粉末と 導電性付与剤としてのアセチレンブラックを添加し、 充分攪拌し、 これを電極液 とした。 次にこの電極液を、 第 4図に示す高圧分散機を用いて、 数回分散した。 実施例 1と同様に、 電極液を高圧分散することで粘度が大幅に低くなつた。 こう して作成した電極液 (第 5図の 1 8に相当) をろ過し、 そのまま導電箔の上に片 面の乾燥厚みが 5 0 になるよう塗工した (以下発明品 1 0と呼ぶ)。
比較のために、 高圧分散機を通す前の電極液(第 5図の 1 7に相当)をろ過し、 そのまま導電箔の上に、 片面の乾燥厚みが 5 0 0〃mになる様、 塗工した (従 来品 1 1と呼ぶ)。 これら集電体について第 2図に示すような評価を行った。 す ると発明品 1 0では全数が (C ) 状態であった。 一方の従来品 1 1では (A) 状 態や (B ) 状態が多く、 (C ) 状態は得られなかった。 そこで、 各集電体の断面 を S E M (走査型電子顕微鏡) で観察したところ、 発明品 1 0に比べ、 従来品 1 1は、 集電体塗膜の内部に密度ムラ (及び疎密) が有り、 これが捲回性の差の主 原因で有ることが予想された。 こうして作成した発明品 1 0を捲回し、 捲回体 9 を完成させ、第 1図に示すような電気二重層コンデンサを作成することができた。 し力 し、 従来品 1 1では、 捲回の際、 塗膜が割れてしまい、 捲回体 5 aを作成す ることは出来なかった。 また電気二重層コンデンサも作成することができなかつ o
なお、 低軟化点樹脂としては、 T g (ガラス転移温度) が、 — 1 0 °C以下の ものが望ましい。 T gがー 1 o °c以上のものは、 室温では硬く、 集電体を形成 した場合に、 ヒビゃ剥がれ、 微細クラックの原因になりやすい。 こうした低軟化 点樹脂は、 重合や架橋可能なものも多く、 こうしたものを選ぶことでより製品の 信頼性を高められる。 なお、 低軟化点樹脂としては、 T g (ガラス転移温度) が
— 1 o °c以下のものとしては、 可塑剤が添加されたものでも良いが、 例えば、 塩化ビニル、 エチレン口塩ビ共重合樹脂、 塩化ビニリデン系ラテックス、 塩素化 樹脂、 酢酸ビニル樹脂、 ポリビニールプチラール、 ポリビニールホルマール、 ビ スフエノ一ル系エポキシ樹脂、 ポリウレタン樹脂等がある。 また S B R (スチレ ンプタディェンラバ一)、 ブタジエンゴム、 イソプレンゴム、 N B R (ァクリロ 二トリル一ブタジエン一共重合ゴム)、 ウレタンゴム、 シリコンゴム、 アクリル ゴム、 各種エラストマ一を用いることができる。 更に、 こうした樹脂を水溶性化 したり、 微粒子化 (ラテックス化) することで、 高圧分散を行う際、 電極液の作 業性、 安全性を高めることができる。
(実施例 2 1 )
第 4図は高圧分散機の概念図を示し、 第 4図において投入口 1 3から投入され た、 電極液は、 圧力部 1 4で 1 0 0 K g/ c m 2以上の圧力に加圧され、 混合分 散部 1 5で圧力分散され、 排出口 1 6から排出される。 この電極液は、 導電箔上 に塗工され、 集電体となる。 第 1図は、 この集電体を用いて、 作成した捲回形電 気二重層コンデンサの構成図を示す。第 1図において、 1はケースで、 この中に、 導電箔 2の表面にバインダ一樹脂により活性炭及び導電性付与剤が集電体 3とし て結着されている。 またこの集電体 3の形成された導電箔 2は複数枚が、 セパレ —夕 4を介して捲回されて捲回体 5 aを形成している。 この捲回体 5 aを形成す る複数枚の導電箔 6に、 複数本の取出し電極 6が接続され、 封ロ材 7を介して、 端子 8に接続されている。 なお、 実際の電気二重層キャパシ夕は、 捲回体 9が、 ケース 1の中に、 電解液と共に封口された状態になっている。
更に詳しく説明する。 純水中に、 カルボキシメチルセルロース樹脂を溶解し、 ここに活性 粉末と導電性付与剤としてのアセチレンブラックを添加し、 充分攪 拌し、 これを電極液とした。 次にこの電極液を、 第 4図に示す高圧分散機を用い て、 数回分散した。 この結果、 電極液の粘度が大幅に低くなつた。 第 4図は粘度 変化の一例を対数グラフにて示すものであり、 1 7は高圧分散処理前の電極液の 粘度であり、 1 8は高圧分散処理後の電極液の粘度である。 このように、 高圧分 散処理することにより、 電極液の粘度を大幅に低減することができる。 こうして 作成した電極液 (第 3図の 1 4に相当) をろ過し、 そのまま導電箔の上に片面の
乾燥厚みが 50 /mになる用塗工した。 最後に第 2図に示す様に組立て、 所定 の電解液を注入し製品とした (以下発明品 1 1と呼ぶ)。
比較のために、 高圧分散機を通す前の電極液 (第 3図の p i 3に相当) をろ過 し、 そのまま導電箔の上に、 片面の乾燥厚みが 50 /mになる様、 塗工した。 最後に第 2図に示す様に組立て、 所定の電解液を注入し製品とした (以下従来品 12と呼ぶ)。 こうして作成したサンプル電気特性を測定したところ、 従来品 1 2に比べ、 発明品 1 1の方が、 50%以上容量値が高くなつていた。 また発明品 1 1の方が従来品に比べ、 インピーダンス (及び等価直列抵抗) が半分以下に下 がっていた。 このように、 高圧分散を行うことで、 容量やインピーダンスを大幅 に改善することができた。 またこれらサンプルの信頼性評価を行ったが、 共に問 題は発生しなかった。
次に、 なぜ同じ材料を用いて作成したもの同士が、 これだけ特性が異なるのか を、 試作サンプルを分解して調べた。 各集電体の密度を測定したところ、 従来品 12は0. 30 g/c cであったが、 発明品では 0. 45 g/c cであった。 こ のことから、 高圧分散を行うことで、 活性炭や導電性付与剤がより緻密化できた ことが判った。
(実施例 22 )
実施例 22では、 高圧分散機を用いて、 アルコールやアンモニア等を添加する ことなく、 所定の電極液 (及び所定の集電体塗膜) を作成する様子を説明する。 このように、 純水 (もしくはイオン交換水) のみを溶剤として用いることで、 塗 ェ機からの有機溶剤の排気を無くせ、 環境に考慮しながら製品を作成することが できる。 第 2図に示す高圧分散機で、 更に高分散化した。 第 2図は高圧分散機の 概念図を示し、 第 2図において投入口 10から投入された電極液は、 圧力部 1 1 で 100Kg/cm2以上の圧力に加圧され、 分散混合部 12で高圧分散され、 排出口 13から排出される。 またこうした分散は、 必要に応じて複数回繰り返す ことになる。
まず、実施例 1に示した手順でアルコールやアンモニア等を添加することなく、 粒径 1〃m以下の大きさで水中に分散されたェマルジヨン状態の 4フッ化工チ レン樹脂からなる樹脂溶液に、 活性炭と導電性付与剤をその中に分散させて所定
の電極液を作成した。 この電極液を実際に集電体として所定厚みに塗工したとこ ろ、 その密度は 0 . 3 0〜0 . 3 5 g/ c cであり、 表面に多数の凝集体がぶつ ぶっと残ったざらざら面であった。 このぶつぶつを解析したところ、 破断面が真 つ白で、 4フヅ化工チレンの凝集体であることが判った。 つまり 4フッ化工チレ ンは凝集し易いことがわかる。 そこでこの電極液に関して、 分散方法を工夫する ことでより、 4フッ化工チレンの分散を高め、 高密度かつ表面の平滑な集電体を 形成することとした。 そこでこの電極液を、 第 3図の分散機で複数回繰り返して 分散させた。 すると、 電極液の粘度は、 半分以下になり、 粒度分布計で測定して も非常に高分散されていることが判った。そこで、 この電極液を用いて、 同様に、 導電箔の上に所定厚みに塗工したところ、 その密度は 0 . 4 0〜0 . 7 0 g/ c cであり、 その表面も非常に平滑で、 光沢も有った。そこで各々を製品に組んで、 その容量とインピーダンスを測定したところ、 高圧分散したサンプルは、 してい ないサンプルに比べ、容量は 5 0 %以上高く、インピーダンスは 3 0 %低かった。 このように同じ電極液組成にも関わらず、こうした高圧分散機を用レ、ることで、 分散性の劣る電極液に対しても大きな効果があった。
なお、 こうした高圧分散機としては、 様々なものが市販されているが、 こうし た用途はほとんどが牛乳の再分散や各種ェマルジヨンの作成に用いられ、 こうし た電極液の作成に用いられた例はない。 なお、 こうした高圧分散機を電極液の作 成に用いる場合、 少なくとも 1 0 0 K g/ c m 2以上の圧力を電極液に印加でき る加圧部分と、 ダイャモンド製もしくはセラミック製もしくは超硬金属製の分散 混合部分から構成さることが望ましい。 こうした硬質材料を必要に応じて高圧分 散機の部材に用いることで、 設備のメンテナンスを容易にすると同時に、 製品の 安定化、 低コスト化を実現できる。 産業上の利用可能性
以上のように本発明の電気二重層コンデンザの製造方法を用レ、ることにより、 集電体の柔軟性、 厚塗り性、 捲回性等を改善し、 更に集電体の容量密度を大幅に 高めることができ、 電気二重層コンデンサの大型化、 大容量化、 低コスト化に対 する課題を解決できる。
請 求 の 範 囲 活性炭及び導電性付与剤がカルボキシメチルセルロース樹脂のアンモニゥ ム塩、 ポリビニールアルコール、 メチルセルロース、 ヒドロキシプロピル セルロース樹脂のいずれか一種類以上と、 4フッ化エチレン樹脂と共に分 散されて形成された集電体として、 導電箔の少なくとも一平面以上に密度 0. 35 /。 0以上1. 50 g c c以下で形成され、 前記導電箔は複 数枚がセパレー夕を介して捲回または積層され、 非水系電極液中に取出し 電極と共に封口されている電気二重層キャパシ夕。
活性炭及び導電性付与剤がカルボキシメチルセルロース樹脂のアンモニゥ ム塩、 ポリビニールアルコール、 メチルセルロース、 ヒドロキシプロピル セルロース樹脂のいずれか一種類以上と、 ラテックス樹脂と共に分散され て形成された集電体として、 導電箱の少なくとも一平面以上に密度 0. 3 5 /0 0以上1. 50 g/c c以下で形成され、 前記導電箔は複数枚が セパレ一夕を介して捲回または積層され、 非水系電極液中に取出し電極と 共に封口されている電気二重層キャパシ夕。
活性炭及び導電性付与剤がカルボキシメチルセルロース樹脂のアンモニゥ ム塩、 ポリビニールアルコール、 メチルセルロース、 ヒドロキシプロピル セルロース樹脂のいずれか一種類以上と、 低軟化点樹脂と共に分散されて 形成された集電体として、 導電箔の少なくとも一平面以上に密度 0. 35 g/c c以上 1. 50 g/c c以下で形成され、 前記導電箔は複数枚がセ パレー夕を介して捲回または積層され、 非水系電極液中に取出し電極と共 に封口されている電気二重層キャパシ夕。
活性炭及び導電性付与剤がカルボキシメチルセルロース樹脂のアンモニゥ ム塩、 ポリビニールアルコール、 メチルセルロース、 ヒドロキシプロピル セルロース樹脂、 低軟化点樹脂、 4フッ化工チレン、 もしくはラテックス の少なくとも 1種類以上の樹脂と共に分散されて形成された集電体として、 導電箔の少なくとも一平面以上に密度 0. 35 /0 (3以上1. 50 g/ c c以下で形成され、 前記集電体において樹脂 100重量部に対してジル
コニァもしくはジルコニァ酸化物が 1重量部以上 1 0重量部以下含まれ、 前記導電箔は複数枚がセパレー夕を介して捲回または積層され、 非水系電 極液中に取出し電極と共に封口されている電気二重層キャパシ夕。
活性炭及び導電性付与剤がカルボキシメチルセルロース樹脂のアンモニゥ ム塩、 ポリビニールアルコール、 メチルセルロース、 ヒドロキシプロピル セルロース樹脂、 低軟化点樹脂、 4フッ化工チレン、 もしくはラテックス の少なくとも 1種類以上の樹脂と共に分散されて形成された集電体として、 導電箔の少なくとも一平面以上に前記集電体は導電箔の少なくとも一表面 以上にトータル 1 0 0 m以上の 1 0 mm以下の厚みでかつ Φ 5 mm以下 に巻けるだけの柔軟性のある状態で結着され、 前記導電箔は複数枚がセパ レー夕を介して捲回または積層され、 非水系電極液中に取出し電極と共に 封口されている電気二重層キャパシ夕。
請求の範囲第 1〜 5項のいずれかに記載の電気二重層キャパシ夕が複数個、 直列接続された電気二重層キャパシ夕。
請求の範囲第 1〜 5項のいずれかに記載の電気二重層キャパシ夕が複数個、 並列接続された電気二重層キャパシ夕。
活性炭及び導電性付与剤はカルボキシメチルセルロース樹脂のアンモニゥ ム塩、 ポリビニールアルコール、 メチルセルロース、 ヒドロキシプロピル セルロース樹脂、 低軟化点樹脂のいずれか一種類以上の樹脂と、 粒径 1 / m以下の大きさで水中に分散されたェマルジヨン状態のラテックス、 もし くは 4フッ化工チレンの分散液に分散、 もしくは溶解されなる電極液を作 成し、 前記電極液を導電箔の上に所定厚みで塗付、 乾燥して作成した集電 体は、 セパレー夕を介して捲回され、 非水系電極液中に取出し電極と共に 封口する電気二重層キャパシ夕の製造方法。
イオン交換水もしくは純水中に必要に応じてアンモニアもしくはアルコ一 ルを添加されることなく、 ここに活性炭及び導電性付与剤は、 粒径 l / m 以下の大きさで水中に分散されたェマルジヨン状態のラテックスを含む樹 脂溶液中に分散され、 電極液を構成した後、 導電箔の上に塗付、 乾燥され 集電体となり、 セパレー夕を介して捲回または積層され、 非水系電極液中
に取出し電極と共に封口する電気二重層キャパシ夕の製造方法。
. ラテックス樹脂は、 若干量の界面活性剤の添加された水を主成分とする 溶媒中に分散されたェマルジヨン状態のものであり、 前記ェマルジヨンの P Hは 4以上 1 2以下である請求の範囲第 8項または第 9項に記載の電気 二重層キャパシ夕の製造方法。
. 導電箔の一面以上に形成された活性炭とバインダと導電性付与剤からな る集電体層は、 プレスまたはカレンダー加工により、 密度もしくは表面性 を改善された後、 セパレー夕を介して捲回または積層され、 非水系電解液 中に取出し電極と共に封口された請求の範囲第 8項または 9項に記載の電 気二重層キャパシ夕の製造方法。
. 活性炭 1 0 0重量部に対して、 ラテックスを含むバインダは乾燥重量で 1重量部以上 2 0 0重量部以下である請求の範囲第 1〜 5項のいずれかに . 1ポィズ以上 2 0 0ボイズ以下の電極液は、 連続した導電箔の第 1面に 2 0〃m以上の所定の厚みに対して、 土 1 0〃m以下の厚み精度で均一に 塗布され、 完全に乾燥しきらない様に半乾燥で、 一度巻き取られた後、 残 りの第 2面に 2 0〃m以上の所定の厚みに対して、 土 1 0 m以下の厚み 精度で均一に塗布され、 最後に半乾燥の第 1面と、 第 2面の集電体を同時 に乾燥させた後、 再度巻き取ることで、 前記導電箔の両面に集電体を形成 する請求の範囲第 8項または第 9項に記載の電気二重層キャパシ夕の製造 方法。
. 少なくとも 1 0 0 K g/ c m 2以上の圧力を電極液に印加できる加圧部 分と、 ダイャモンド製もしくはセラミック製もしくは超硬金属製の分散混 合部分から構成された高圧分散機を用いて、 所定の電極液を圧力 1 0 0 K g/ c m 2以上で複数回分散または混合させる請求の範囲第 8項または第 9項に記載の電気二重層キャパシタの製造方法。
. カルボキシメチルセルロース樹旨、 ポリビニールアルコール、 メチルセ ルロース、 ヒドロキシプロピルセルロース、 ラテックスの少なくともいず れか一種類の樹脂の水溶液中に、 粒径 1 m以下の大きさで水中に分散さ
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れたェマルジヨン状態の 4フッ化エチレン樹脂からなる樹脂溶液に、 活性 炭と導電性付与剤をその中に分散させてできた電極液を作成し、 高圧分散 機を用いて圧力 100Kg/cm2以上で分散された後、 前記電極液を導 電箔の上に所定厚みで塗付、 乾燥して作成した集電体は、 セパレ一夕を介 して捲回または積層され、 非水系電極液中に取出し電極と共に封口する電 気二重層キャパシ夕の製造方法。
. アンモニアもしくはアルコールが添加されることなく所定材料が溶解ま たは分散された電極液は、 導電箔の上に塗付、 乾燥され密度 0. 45 g/ 0〇以上1. 50 g/c c以下で集電体となり、 セパレー夕を介して捲回 または積層され、 非水系電極液中に取出し電極と共に封口する電気二重層 キャパシ夕の製造方法。
. 4フッ化工チレン樹脂は、 若干量の界面活性剤の添加された水の中に分 散されたェマルジヨン状態のものであり、 前記ェマルジヨンの PHは 5以 上 12以下である請求の範囲第 8項または第 9項に記載の電気二重層キヤ パシ夕の製造方法。
. 活性炭 100重量部に対して、 4フッ化工チレンを含むバインダは乾燥 重量で 1重量部以上 200重量部以下である請求の範囲第 1から 7項のい ずれかに記載の電気二重層キャパシ夕及びその製造方法。
. 電極液の粘度は 1ボイズ以上 200ポィズ以下であり、 集電体の厚みは 20〃m以上であり、 集電体の厚み差は 5〃m以下である請求の範囲第 1 から 7項のいずれかに記載の電気二重層キャパシ夕。
. 少なくとも 100Kg/cm2以上の圧力を電極液に印加できる加圧部 分と、 ダイヤモンド製もしくはセラミック製もしくは超硬金属製の分散混 合部分から構成された高圧分散機を用いて、 所定の電極液を圧力 100K g/c m 2以上で複数回分散または混合させる請求の範囲第 8項または第 9項に記載の電気二重層キャパシ夕の製造方法。
. 活性炭及び導電性付与剤はバインダ樹脂は、 純水もしくはイオン交換水 中で、 活性炭と導電性付与剤と共に、 高圧分散機を用いて圧力 10 OKg /cm 2以上で分散されて電極液となり、 導電箔の上に塗膜として塗付、
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乾燥され集電体となり、 セパレー夕を介して捲回または積層され、 非水系 電極液中に取出し電極と共に封口する電気二重層キャパシ夕の製造方法。. カルボキシメチルセルロース樹旨、 ポリビニールアルコール、 メチルセ ルロース、 ヒドロキシェチルセルロースのいずれか一種類以上の樹脂を水 中にラテックスもしくは 4フッ化工チレン微粒子と共に溶解または分散さ れた後、 更に活性炭と導電性付与剤を添加され、 最後に高圧分散機を用い て分散された後、 前記電極液を導電箔の上に所定厚みで塗付、 乾燥して作 成した集電体は、 セパレ一夕を介して捲回され、 非水系電極液中に取出し 電極と共に封口する電気二重層キャパシ夕の製造方法。
. アンモニアもしくはアルコールが添加されることなく所定材料が溶解ま たは分散された電極液は高圧分散機を用いて分散された後、 導電箔の上に 塗付、 乾燥され集電体となり、 セパレ一夕を介して捲回または積層され、 非水系電極液中に取出し電極と共に封口する電気二重層キャパシ夕の製造 方法。
. ラテックスもしくは 4フッ化工チレン微粒子は、 必要に応じて若干量の 界面活性剤の添加された水の中に分散されたェマルジヨン状態のものであ り、 前記ェマルジヨンの Ρ Ηは 5以上 1 2以下であり、 活性炭及び導電性 付与剤と共に高圧分散機を用いて分散される請求の範囲第 8項または第 9 項に記載の電気二重層キャパシタの製造方法。