WO1999008367A1 - Commutateur au carbone et son procede de production - Google Patents

Commutateur au carbone et son procede de production Download PDF

Info

Publication number
WO1999008367A1
WO1999008367A1 PCT/JP1998/003284 JP9803284W WO9908367A1 WO 1999008367 A1 WO1999008367 A1 WO 1999008367A1 JP 9803284 W JP9803284 W JP 9803284W WO 9908367 A1 WO9908367 A1 WO 9908367A1
Authority
WO
WIPO (PCT)
Prior art keywords
carbon
layer
metal layer
committer
copper
Prior art date
Application number
PCT/JP1998/003284
Other languages
English (en)
French (fr)
Inventor
Junichi Saito
Shunji Kumagai
Original Assignee
Mitsuba Corporation
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to US09/485,183 priority Critical patent/US6222298B1/en
Application filed by Mitsuba Corporation filed Critical Mitsuba Corporation
Priority to CA002299473A priority patent/CA2299473C/en
Priority to DE69837849T priority patent/DE69837849T2/de
Priority to BR9811084-5A priority patent/BR9811084A/pt
Priority to JP2000506714A priority patent/JP4177958B2/ja
Priority to EP98933899A priority patent/EP1003269B1/en
Priority to KR10-2000-7000576A priority patent/KR100484407B1/ko
Publication of WO1999008367A1 publication Critical patent/WO1999008367A1/ja

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02KDYNAMO-ELECTRIC MACHINES
    • H02K13/00Structural associations of current collectors with motors or generators, e.g. brush mounting plates or connections to windings; Disposition of current collectors in motors or generators; Arrangements for improving commutation
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01RELECTRICALLY-CONDUCTIVE CONNECTIONS; STRUCTURAL ASSOCIATIONS OF A PLURALITY OF MUTUALLY-INSULATED ELECTRICAL CONNECTING ELEMENTS; COUPLING DEVICES; CURRENT COLLECTORS
    • H01R39/00Rotary current collectors, distributors or interrupters
    • H01R39/02Details for dynamo electric machines
    • H01R39/04Commutators
    • H01R39/06Commutators other than with external cylindrical contact surface, e.g. flat commutators
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01RELECTRICALLY-CONDUCTIVE CONNECTIONS; STRUCTURAL ASSOCIATIONS OF A PLURALITY OF MUTUALLY-INSULATED ELECTRICAL CONNECTING ELEMENTS; COUPLING DEVICES; CURRENT COLLECTORS
    • H01R39/00Rotary current collectors, distributors or interrupters
    • H01R39/02Details for dynamo electric machines
    • H01R39/04Commutators
    • H01R39/045Commutators the commutators being made of carbon
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01RELECTRICALLY-CONDUCTIVE CONNECTIONS; STRUCTURAL ASSOCIATIONS OF A PLURALITY OF MUTUALLY-INSULATED ELECTRICAL CONNECTING ELEMENTS; COUPLING DEVICES; CURRENT COLLECTORS
    • H01R43/00Apparatus or processes specially adapted for manufacturing, assembling, maintaining, or repairing of line connectors or current collectors or for joining electric conductors
    • H01R43/06Manufacture of commutators
    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02KDYNAMO-ELECTRIC MACHINES
    • H02K13/00Structural associations of current collectors with motors or generators, e.g. brush mounting plates or connections to windings; Disposition of current collectors in motors or generators; Arrangements for improving commutation
    • H02K13/006Structural associations of commutators
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10TTECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
    • Y10T29/00Metal working
    • Y10T29/49Method of mechanical manufacture
    • Y10T29/49002Electrical device making
    • Y10T29/49009Dynamoelectric machine
    • Y10T29/49011Commutator or slip ring assembly

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Motor Or Generator Current Collectors (AREA)
  • Contacts (AREA)
  • Manufacture Of Switches (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)

Description

明 細 書 カーボンコミテ一夕およびその製造方法 技術分野
本発明は、 モータのコミテ一夕 (整流子) に係わり、 特にモータのブラシとの 摺動部にカーボンが用いられたカーボンコミテ一夕およびその製造方法に関する ものである。 背景技術
自動車等の燃料供給ポンプにおいては、 モ一夕とポンプが一体とされて燃料タ ンク内に組み付けられた、 いわゆるインタンク式のものが知られており、 このよ うなインタンク式の燃料供給ポンプでは、 タンク内の燃料がポンプからモータハ ウジング内を通って外部に供給さ +1るため、 モータのコミテ一夕は直接燃料に接 触することになる。 ところが、 燃料としてアルコール入りガソリンを用いる自動 車などにあっては、 一般的な銅製のコミテ一夕を用いたモータでは、 ガソリン中 のアルコールによってブラシに摺接するコミテ一夕の摺動部の銅が浸食されてし まうという問題が生じることが知られている。 そこで、 このような問題を解決す るため、 例えば特開平 8— 3 0 8 1 8 3号公報などにおいて、 ブラシとの摺動部 にカーボンが用いられたカーボンコミテ一夕が提案されている。
この公報に記載されたカーボンコミテ一夕は、 合成樹脂より成る絶縁性のボス 部に、 カーボン粉末を圧粉成形して焼結した複数のセグメント (整流子片) を、 互いに絶縁された状態で環状に配列したものであり、 各セグメントには導電性端 子部材として銅製のライザ片がセグメン卜と一体に焼結されて取り付けられてい る。 また、 この公報においては、 上記導電性端子部材とセグメントとの電気的接 合を確保するため、 導電性端子部材の周囲に導電性の金属粉末を圧粉成形して焼 結したり、 あるいはかかる金属粉末とカーボン粉末との混合粉末を、 導電性端子 部材側からセグメントのブラシとの摺動部側に向けてカーボン粉末比率が多くな るように層状に形成して焼結したりすることも提案されている。 そして、 このよ うな金属粉末として、 上記公報記載の力一ボンコミテ一タでは、 ライザ片との熱 膨張係数を近似させるために、 ライザ片と同材質の銅粉末や銅粉末の表面に二ッ ケルメツキを施したものが選択されている。
ところが、 このような銅粉末やニッケルメツキを施した銅粉末は、 カーボン粉 末の焼結温度である 7 0 0〜9 0 0 °C程度の温度では、 焼結によリライザ片とー 体に接合されることはなく、 焼結されたセグメントにおいては、 ライザ片と上記 銅粉末の焼結体とが単に接触しているだけの不安定な状態となってしまう。 しか も、 このような金属粉末の圧粉成形体は焼結する際に収縮することが知られてお リ、 従ってたとえ熱膨張係数を近似させるために上記金属粉末としてライザ片と 同材質の銅粉末等を選択したとしても、 銅粉末等の焼結体とライザ片との間に隙 間が生じやすいという問題があつた。
また、 上記カーボン粉末と銅粉末とを層状にして焼結した場合、 カーボン粉末 の部分においては、 このカーボン粉末に添加される結合剤が熱分解したり炭化し たりすることによリ、 熱膨張する割合に比べて収縮する割合の方が大きくなる。 ところが、 銅粉末の部分が収縮する割合は、 このカーボン粉末が収縮する割合に 対しては小さく、 その一方で焼結中の銅粉末の熱膨張はカーボン粉末に比べて大 きいため、 上記カーボン粉末と銅粉末の部分との境界にずれが生じてしまい、 こ れにより焼結後のセグメン卜がこの境界面で剥離しゃすくなってしまうという問 題も生じる。 従って、 これらにより、 上記従来のカーボンコミテ一夕では、 特に 上述のようなアルコールを含んだ燃料中においては、 長期に渡って安定した電気 的、 機械的接合を得るのは困難となってしまう。
本発明は、 このような背景の下になされたもので、 上述のように摺動部にカー ボンが用いられたカーボンコミテ一夕において、 セグメントと導電性端子部材と の電気的および機械的接合を長期に渡ってより安定的に確保することがカーボン コミテ一夕を提供することを目的としている。 発明の開示
上記課題を解決して、 このような目的を達成するために、 本発明のカーボンコ ミテ一夕は、 一端がブラシとの摺動部とされるとともに他端側には導電性端子部 材が固着された複数のセグメン卜が、 絶縁性のボス部に互いに絶縁された状態で 環状に配列され、 セグメントの摺動部側にはカーボン層が形成される一方、 カー ボン層と導電性端子部材との間には、 導電性端子部材の主成分となる物質と該物 質と合金化可能な物質を焼結して成る金属層が設けられていることを特徴とする。 金属層は、 導電性端子部材の主成分となる物質と該物質よリも融点の低い物質を 焼結して成り、 例えば銅および錫を焼結して成る。 なお、 金属層中に含まれる錫 に代えて亜鉛、 アンチモン、 鉛等を使用してもよい。 しかるに、 このようなカー ボンコミテ一夕は、 例えば上記従来のコミテ一夕と同様、 導電性端子部材の周囲 に上記金属層を形成する金属粉末を充填するとともに、 摺動部側にはカーボン粉 末を充填して圧粉成形し、 これを焼結することによって製造されるが、 この焼結 の際、 上記金属粉末層においては、 融点が 2 3 2 °Cと低い錫の粉末が最初に溶融 し、 銅粉末粒子と導電性端子部材とをぬらして、 いわゆる液相焼結が引き起こさ れる。
すなわち、 かかる液相焼結では、 まず溶融した錫の液相中に銅が溶け込み、 銅 成分の比率を増大させながら固相成分で飽和するまで液相の量が増加するととも に、 固相の銅にも錫は拡散する。 また、 このとき粒子の再配列が起こって導電性 端子部材の熱膨張による応力を緩和する。 そして、 小さな銅粒子が優先的に液相 に溶解して大きな銅粒子上に固相として析出し、 このような溶解再析出過程によ つて粒成長が促されることによリ、 上記応力を緩和しながら金属層の銅成分が錫 成分と合金化 (青銅化) して導電性端子部材ゃカーボン層と一体化し、 これによ リセグメントと導電性端子部材とが電気的および機械的に安定して接合されるの である。 さらに、 このように金属層の錫成分が液相をなして焼結することにより 、 焼結時の収縮、 熱膨張の割合の相違によって金属層と導電性端子部材ゃカーボ ン層との間に隙間やずれが生じても、 上記液相が上記隙間を埋めたりずれによる 応力を緩和したりするので、 金属層と導電性端子部材ゃカーボン層との剥離を防 いでより高い接合性を確保することができる。 なお、 導電性端子部材のカーボン 層側のみに金属層を設けるようにしても、 十分な電気的機械的接合性を得ること ができる。
ここで、 上記金属層において、 銅成分に対して錫成分が多くなりすぎると、 焼 結中に脆い金属間化合物のような好ましくない相が形成されるとともに、 焼結温 度によっては錫成分の濃度が銅錫合金系における安定な α固溶体中の錫濃度の上 限を越えてしまうおそれがある一方、 逆に錫成分が少なすぎると、 錫が粒径の小 さい銅粉末と優先的に合金化して、 導電性端子部材と合金化する割合が少なくな つたり、 カーボン層との間での応力緩和が損なわれて、 金属層と導電性端子部材 やカーボン層との間に十分な接合性が得られなくなるおそれがある。 このため、 上記金属層における銅と錫との重量比は 9 8 . 0 : 2 . 0〜8 6 . 5 : 1 3 . 5 の範囲に設定されるのが望ましく、 より望ましくは 9 5 . 0 : 5 . 0 - 9 0 . 0 : 1 0 . 0の範囲に設定される。
また、 上述のように上記カーボン層を形成するカーボン粉末と上記金属層を形 成する銅および錫の混合粉末とを圧粉成形して焼結し、 セグメントを形成する場 合には、 その焼結温度が低すぎると液相による上記の効果が十分に奏功されずに 導電性端子部材とセグメン卜との接合が不安定となるおそれがあリ、 一方逆に焼 結温度が高すぎると、 液相の割合が増加して成形体の形状を保持できなくなり、 場合によっては焼結中に導電性端子素材を伝わって液相が流れ出すおそれが生じ る。 そこで、 このような問題を解決するため、 本発明のカーボンコミテ一夕の製 造方法においては、 上記焼結温度を 8 0 0〜8 5 0 °Cとしている。
また、 上記カーボンコミテ一夕の製造方法においては、 上述のようにカーボン 層を形成するカーボン粉末と金属層を形成する銅および錫の混合粉末とを圧粉成 形した圧粉成形体を焼結することにより、 上記銅および錫の混合粉末を焼結した 際に生じる液相がカーボン粉末の粒界に浸透して、 いわゆるアンカー効果を生じ るので、 カーボン層と金属層との接合性をより確実に確保することが可能となる 。 一方、 このような圧粉成形体を形成するに際して、 カーボン層を形成するカー ボン粉末と金属層を形成する銅および錫の混合粉末とのうち、 一方を圧粉成形型 に充填して圧縮した後に他方を充填して圧粉成形することにより、 焼結されたセ グメン卜におけるカーボン層の層厚の均一化を図ることができ、 カーボン層の摩 耗により金属層が部分的に露出してコミテ一夕の寿命が短縮されるような事態を 防止することができる。
また、 本発明のカーボンコミテ一夕は、 一端がブラシとの摺動部とされるとと もに他端側には導電性端子部材が固着された複数のセグメントを、 絶縁性のボス 部に互いに絶縁された状態で環状に配列し、 上記セグメントの摺動部側にはカー ボン層を形成する一方、 上記カーボン層と導電性端子部材との間には、 カーボン、 導電性端子部材の主成分となる物質と該物質と合金化可能な物質を焼結して成る 金属層を設けたことを特徴とする。 金属層はカーボン、 導電性端子部材の主成分 となる物質および該物質よりも融点の低い物質を焼結して成り、 例えば、 カーボ ン、 銅および錫を焼結して成る。 なお、 金属層中に含まれる錫に代えて亜鉛、 ァ ンチモン、 鉛等を使用してもよい。 しかるに、 このようなカーボンコミテ一夕は、 例えば上記従来のコミテ一夕と同様、 導電性端子部材の周囲に上記金属層を形成 するカーボン、 銅、 および錫の混合粉末を充填するとともに、 摺動部側にはカー ボン粉末を充填して圧粉成形し、 これを焼結することによって製造されるが、 こ の焼結の際、 上記混合粉末の層においては、 融点が 2 3 2 °Cと低い錫の粉末が最 初に溶融し、 これが銅粉末粒子と導電性端子部材とをぬらして、 いわゆる液相焼 結が引き起こされる。
すなわち、 かかる液相焼結では、 まず溶融した錫の液相中に銅が溶け込み、 銅 成分の比率を増大させながら固相成分で飽和するまで液相の量が増加するととも に、 固相の銅にも錫は拡散する。 また、 このとき粒子の再配列が起こって導電性 端子部材の熱膨張による応力を緩和する。 そして、 小さな銅粒子が優先的に液相 に溶解して大きな銅粒子上に固相として析出し、 このような溶解再析出過程によ つて粒成長が促されることにより、 上記応力を緩和しながら銅成分が錫成分と合 金化 (青銅化) して導電性端子部材ゃカーボン層と一体化し、 これによリセグメ ン卜と導電性端子部材とが電気的および機械的に安定して接合されるのである。 さらに、 このように金属層の錫成分が液相をなして焼結することにより、 焼結時 の収縮、 熱膨張の割合の相違によつて金属層と導電性端子部材ゃカーボン層との 間に隙間やずれが生じても、 上記液相が上記隙間を埋めたりずれによる応力を緩 和したりするとともに、 この液相が力一ボン層のカーボン粉末の粒界に浸透して 、 いわゆるアンカー効果を生じるので、 金属層と導電性端子部材ゃカーボン層と の剥離を防いでよリ高い接合性を確保することが可能となる。
—方、 本発明のカーボンコミテ一夕では、 上記金属層が、 液相焼結を生じる錫 および銅に加えてカーボンを含有しており、 この金属層中のカーボンと上記カー ボン層を構成するカーボンとが焼結の際に結合することによつてもアンカー効果 が生じるので、 液相によるアンカー効果とも相俟って、 金属層とカーボン層との 境界面における強度の一層の向上を図ることができる。 また、 このように金属層 にカーボンが含まれることによつても熱応力が緩和されるので、 金属層の剥離が さらに確実に防止される。 しかも、 こうして金属層に比較的柔らかいカーボンが 含有されることにより、 例えば銅錫合金のみによって金属層が形成されている場 合などに比べ、 金属層が硬くなりすぎるのを防いでセグメントの加工性が損なわ れるのを防止することができる。 さらにまた、 カーボン自体は 1 0 0 0 °C程度の 高温でも軟化することはないので、 上述のように焼結の際に銅と錫とによって液 相が生じても、 金属層に含有されるカーボンが骨材として作用して、 焼結体の形 状を安定させることができる。 なお、 上記従来のカーボンコミテ一夕では導電性 端子部材の周囲に銅粉末等を配置して焼結しているが、 本発明では導電性端子部 材のカーボン層側のみに金属層を設けるようにしても、 十分な電気的機械的接合 性を得ることができる。
ここで、 上記金属層においては、 この金属層に含有されるカーボンの割合が少 なすぎると、 特に金属層の硬度が大きくなリすぎてセグメン卜の加工性の劣化が 十分に防止できなくなるほか、 該金属層中のカーボンによるカーボン層とのアン カー効果や熱応力の緩和、 あるいは焼結体の形状安定といった上述の作用効果も 十分に奏功されなくなるおそれがあり、 好ましくない。 一方、 カーボンはライザ 片を形成する銅等とは焼結中に反応したりしないため、 逆にこの金属層中のカー ボンの割合が多すぎると、 ライザ片と金属層との接合が不十分となつて剥離が生 じやすくなるおそれがあり、 やはり好ましくない。 このため、 金属層における力 一ボンの含有率は 2〜2 5 wt %の範囲に設定されるのが望ましい。 また、 上記作 用効果を一層確実に奏功するには、 金属層におけるカーボンの含有率は 1 0〜2 0 ^ %の範囲に設定されるのが、 より望ましい。
また、 上記金属層の銅と錫との割合については、 銅成分に対して錫成分が多く なりすぎると、 焼結中に脆い金属間化合物のような好ましくない相が形成される とともに、 焼結温度によっては錫成分の濃度が銅錫合金系における安定な α固溶 体中の錫濃度の上限を越えてしまうおそれがある一方、 逆に錫成分が少なすぎる と、 錫が粒径の小さい銅粉末と優先的に合金化して、 導電性端子部材と合金化す る割合が少なくなつたり、 カーボン層との間での応力緩和が損なわれて、 金属層 と導電性端子部材ゃカ一ボン層との間に十分な接合性が得られなくなるおそれが ある。 このため、 上記金属層層における銅と錫との重量比は 9 8 . 0 : 2 . 0〜 8 6 . 5 : 1 3 . 5の範囲に設定されるのが望ましく、 より望ましくは 9 5 . 0 : 5 . 0〜9 0 . 0 : 1 0 . 0の範囲に設定される。
また、 上述のようにセグメントを形成するに際して、 上記カーボン層を形成す るカーボン粉末と上記金属層を形成するカーボン、 銅、 および錫の混合粉末とを 圧粉成形して焼結する場合には、 その焼結温度が低すぎると液相による上記の効 果が十分に奏功されずに導電性端子部材とセグメントとの接合が不安定となるお それがある一方、 逆に焼結温度が高すぎると、 金属層にカーボンを含有している にも拘わらず、 液相の割合が増加して成形体の形状を保持できなくなるおそれが あり、 場合によっては焼結中に導電性端子素材を伝わって液相が流れ出すおそれ も生じる。 そこで、 このような問題を解決するため、 本発明のカーボンコミテ一 夕の製造方法においては、 上記焼結温度を 8 0 0〜 8 5 0 °Cとするのが望ましい 。 一方、 このような圧粉成形体を形成するに際しては、 カーボン層を形成する力 一ボン粉末と金属層を形成するカーボン、 銅、 および錫の混合粉末とのうち、 一 方を圧粉成形型に充填して圧縮した後に他方を充填して圧粉成形することにより 、 焼結されたセグメントにおけるカーボン層の層厚の均一化を図ることができ、 カーボン層の摩耗により金属層が部分的に露出してコミテ一夕の寿命が短縮され るような事態を防止することができる。
さらに、 本発明のカーボンコミテ一夕は、 一端がブラシとの摺動部とされると ともに他端側には導電性端子部材が固着された複数のセグメントを、 絶縁性のボ ス部に互いに絶縁された状態で環状に配列し、 上記セグメン卜の摺動部側には力 一ボン層を形成する一方、 上記カーボン層と導電性端子部材との間には、 導電性 端子部材の主成分となる物質と該物質と合金化可能な物質を焼結して成る金属層 を設け、 さらにこの金属層と上記カーボン層との間に、 カーボンおよび導電性端 子部材の主成分となる物質から成る中間層を設けたことを特徴とする。 金属層は、 導電性端子部材の主成分となる物質および該物質よりも融点の低い物質を焼結し て成り、 例えば銅および錫を焼結して成る。 なお、 金属層中に含まれる錫に代え て亜鉛、 アンチモン、 鉛等を使用してもよい。 しかるに、 このようなカーボンコ ミテ一夕は、 例えば上記従来のコミテ一夕と同様、 導電性端子部材の周囲に上記 金属層を形成する銅と錫との混合粉末を、 また摺動部側にはカーボン粉末を、 さ らにこれらの間に上記中間層を形成するカーボンおよび銅の混合粉末をそれぞれ 充填して圧粉成形し、 これを焼結することによって製造されるが、 この焼結の際、 金属層となる上記銅および錫の混合粉末層においては、 融点が 2 3 2 °Cと低い錫 の粉末が最初に溶融し、 銅粉末粒子と導電性端子部材とをぬらして、 いわゆる液 相焼結が引き起こされる。
すなわち、 かかる液相焼結では、 まず溶融した錫の液相中に銅が溶け込み、 銅 成分の比率を増大させながら固相成分で飽和するまで液相の量が増加するととも に、 固相の銅にも錫は拡散する。 また、 このとき粒子の再配列が起こって導電性 端子部材の熱膨張による応力を緩和する。 そして、 小さな銅粒子が優先的に液相 に溶解して大きな銅粒子上に固相として析出し、 このような溶解再析出過程によ つて粒成長が促されることによリ、 上記応力を緩和しながら金属層の銅成分が錫 成分と合金化 (青銅化) して導電性端子部材と一体化し、 これにより金属層と導 電性端子部材とが電気的および機械的に安定して接合されるのである。 さらに、 このように金属層の錫成分が液相をなして焼結することにより、 焼結時の収縮、 熱膨張の割合の相違によつて金属層と導電性端子部材との間に隙間やずれが生じ ても、 上記液相が上記隙間を埋めたり、 ずれによる応力を緩和したりするので、 金属層と導電性端子部材との剥離を防いでより高い接合性を確保することができ る。 なお、 導電性端子部材のカーボン層側のみに金属層を設けるようにしても、 十分な電気的機械的接合性を得ることができる。
そして、 上記構成のカーボンコミテ一夕では、 この金属層とカーボン層との間 に、 さらにカーボンおよび銅から成る中間層が設けられており、 焼結時には、 金 属層の液相焼結がこの中間層にまで拡散することにより中間層の銅と合金化して 金属層と中間層とが接合される一方、 中間層のカーボンが上記カーボン層のカー ボンと結合することにより中間層はカーボン層とも接合されるので、 結果的にこ の中間層を介してカーボン層と金属層とが一体化されることとなり、 従ってセグ メン卜と導電性端子部材とが電気的、 機械的に安定的に接合されることとなる。 また、 このように中間層を設けることにより、 例えばカーボン層と銅および錫よ り成る金属層とを直接接合した場合などに比べ、 焼結時にカーボン層と金属層と の間に作用する熱応力を緩和することができ、 焼結温度が比較的高温の場合であ つてもセグメントの各層間に剥離が生じたりするのを確実に防止することができ る。
ここで、 この中間層におけるカーボンと銅との割合は、 カーボンの含有率が極 端に少なすぎると中間層とカーボン層との接合性が損なわれる一方、 逆にカーボ ンの含有率が極端に多くて銅の含有率が少なすぎると、 中間層とカーボン層との 相違が無くなつて金属層と中間層との接合性が損なわれるおそれが生じる。 従つ て、 上記中間層におけるカーボンと銅との割合は、 カーボンの含有率が 1 0〜4 0 ^^ %の範囲に設定されるのが望ましい。 また、 この中間層においては、 金属層 側からカーボン層側に向かうに従い、 カーボン含有率を段階的、 あるいは連続的 に漸次多くなるように設定して、 中間層に傾斜機能を与えるようにしてもよく、 これにより中間層とカーボン層および金属層との接合性の一層の安定化を図るこ とが可能となる。
一方、 上記金属層においては、 銅成分に対して錫成分が多くなりすぎると、 焼 結中に脆い金属間化合物のような好ましくない相が形成されるとともに、 焼結温 度によっては錫成分の濃度が銅錫合金系における安定な α固溶体中の錫濃度の上 限を越えてしまうおそれがあり、 逆に錫成分が少なすぎると、 錫が粒径の小さい 銅粉末と優先的に合金化して、 導電性端子部材と合金化する割合が少なくなつた リ、 カーボン層との間での応力緩和が損なわれて、 金属層と導電性端子部材ゃカ 一ボン層との間に十分な接合性が得られなくなるおそれがある。 このため、 上記 金属層における銅と錫との重垦比は 9 8 . 0 : 2 . 0〜8 6 . 5 : 1 3 . 5の範 囲に設定されるのが望ましく、 より望ましくは 9 5 . 0 : 5 . 0〜9 0 . 0 : 1 0 . 0の範囲に設定される。
また、 上述のように上記カーボン層を形成するカーボン粉末と、 上記中間層を 形成するカーボンおよび銅の混合粉末と、 上記金属層を形成する銅および錫の混 合粉末とを圧粉成形した圧粉成形体を焼結することによつて上記セグメン卜を形 成する場合には、 その焼結温度が低すぎると液相焼結による上記効果が十分に奏 功されずに導電性端子部材とセグメントとの接合が不安定となるおそれがある一 方、 逆に焼結温度が高すぎると、 却って液相の割合が増加して焼結体の形状が不 安定となるおそれがある。 このため、 上記焼結温度は 8 0 0〜8 5 0 °Cの範囲に 設定されるのが望ましい。 ただし、 上記カーボンコミテ一夕では、 中間層によつ て焼結温度が高温でも焼結時の熱応力の緩和を図ることができるので、 焼結体の 形状保持が可能な条件の下では焼結温度を 9 0 0 °C程度まで上昇させても、 十分 安定した接合性を確保することが可能である。
さらに、 このような圧粉成形体を形成するに際しては、 カーボン層を形成する カーボン粉末と金属層を形成する銅および錫の混合粉末とのうち、 一方を圧粉成 形型に充填して圧縮した後に、 中間層を形成するカーボンおよび銅の混合粉末を 充填し、 次いで上記カーボン粉末と銅および錫の混合粉末との他方を充填して圧 粉成形することにより、 焼結されたセグメントにおけるカーボン層や中間層の層 厚の均一化を図ることができ、 これらカーボン層や中間層の摩耗により金属層が 部分的に露出してコミテ一夕の寿命が短縮されるような事態を防止することがで さる。 図面の簡単な説明
図 1は、 本発明の一実施形態のカーボンコミテ一夕 1を示すセグメント 3の先 端面 3 a側からの平面図である。
図 2は、 図 1における Z Z断面図である。
図 3は、 本発明の一実施形態のカーボンコミテ一夕 1の製造方法に係わるライ ザ片素板 2 1の (a ) は平面図、 (b ) は ( a ) の b b断面図である。
図 4は、 本発明の一実施形態のカーボンコミテ一夕 1の製造方法に係わる圧粉 成形型 2 5の断面図であって、 (a ) は圧粉成形型 2 5を分割した状態、 (b ) はカーボン粉末層 2 6および金属粉末層 2 7を形成した状態、 (c ) は突き固め 型 2 8により圧粉成形した状態を示す。
図 5は、 本発明の一実施形態のカーボンコミテ一夕 1の製造方法に係わる圧粉 成形体 29の模式的に示された断面図である。
図 6は、 本発明の一実施形態のカーボンコミテ一夕 1の製造方法に係わる焼結 体 30の模式的に示された断面図である。
図 7は、 ライザ片素板 2 1が連結された焼結体 30の (a) は平面図、 (b) は (a) の b断面図である。
図 8は、 金属層 1 1における錫成分の重量比と、 金属層 1 1とカーボン層 1 0 およびライザ片 4 (銅板 3 1 ) との剥がし強度との関係を示す図である。
図 9は、 図 8に示した関係を測定するに際して用いたテス卜ピースの断面図で ある。
図 1 0は、 本発明の一実施形態のカーボンコミテ一夕 1 0 1を示すセグメント 1 03の先端面 1 03 a側からの平面図である。
図 1 1は、 図 1 0における Z Z断面図である。
図 1 2は、 本発明の一実施形態のカーボンコミテ一夕 1 0 1の製造方法に係わ るライザ片素板 1 2 1の (a) は平面図、 (b) は (a) の b b断面図である。 図 1 3は、 本発明の一実施形態のカーボンコミテ一夕 1 0 1の製造方法に係わ る圧粉成形型 1 25の断面図であって、 (a) は圧粉成形型 1 25を分割した状 態、 (b) はカーボン粉末層 1 26および混合粉末層 1 27を形成した状態、 (c) は突き固め型 1 28A, 1 28 Bにより圧粉成形した状態を示す。
図 1 4は、 本発明の一実施形態のカーボンコミテ一夕 1 0 1の製造方法に係わ る圧粉成形体 1 29の模式的に示された断面図である。
図 1 5は、 本発明の一実施形態のカーボンコミテ一夕 1 01の製造方法に係わ る焼結体 1 30の模式的に示された断面図である。
図 1 6は、 ライザ片素板 1 2 1が連結された焼結体 1 30の (a) は平面図、 (b) は (a) の b b断面図である。
図 1 7は、 金属層 1 1 1におけるカーボンの含有率と、 金属層 1 1 1の抗折強 度および金属層 1 1 1 とカーボン層 1 1 0およびライザ片 1 04 (銅板〗 33) との剥がし強度との関係を示す図である。
図 1 8は、 図 1 7に示した抗折強度を測定するに際して用いたテス卜ピース 1 3 1の斜視図である。 —
12
図 1 9は、 図 1 7に示した剥がし強度を測定するに際して用いたテス卜ピース 1 32の断面図である。
図 20は、 本発明の一実施形態のカーボンコミテ一夕 20 1を示すセグメント 203の先端面 203 a側からの平面図である。
図 2 1は、 図 20における ZZ断面図である。
図 22は、 本発明の一実施形態のカーボンコミテ一夕 20 1の製造方法に係わ るライザ片素板 22 1の (a) は平面図、 (b) は (a) の b b断面図である。 図 23は、 本発明の一実施形態のカーボンコミテ一夕 20 1の製造方法に係わ る圧粉成形型 225の断面図であって、 (a) は圧粉成形型 225を分割した状 態、 (b) はカーボン粉末層 226および第 1、 第 2の混合粉末層 227, 22 8を形成した状態、 (c) は突き固め型 229 A, 229 Bにより圧粉成形した 状態を示す。
図 24は、 本発明の一実施形態のカーボンコミテ一夕 20 1の製造方法に係わ る圧粉成形体 230の模式的に示された断面図である。
図 25は、 本発明の一実施形態のカーボンコミテ一夕 20 1の製造方法に係わ る焼結体 23 1の模式的に示された断面図である。
図 26は、 ライザ片素板 221が連結された焼結体 23 1の (a) は平面図、 (b) は (a) の b b断面図である。
図 27は、 中間層 2 1 2におけるカーボンの含有率と、 中間層 2 1 2とカーボ ン層 2 1 0および金属層 2 1 1との間の剥がし強度との関係を示す図である。 図 28は、 図 27に示した関係を測定するに際して用いたテス卜ピース 23 1 の断面図である。 実施例
(第 1の実施の形態)
図 1および図 2は、 本発明のカーボンコミテ一夕の一実施形態を示すものであ る。 本実施形態のカーボンコミテ一夕 1は、 例えば上述したようなインタンク式 の燃料ポンプのモータに用いられるものであつて扁平形構造をなしておリ、 絶縁 性の樹脂によって略円盤状に形成されたボス部 2と、 このボス部 2の円形をなす 先端面 2 aに、 周方向に等間隔をおいて環状に配列される複数 (本実施形態では 8つ) のセグメント 3…とから構成されており、 これらのセグメント 3…の先端 面 3 aが、 モータのブラシに摺接する摺動部とされている。 さらに、 各セグメン 卜 3には導電性端子部材としてライザ片 4が取り付けられていて、 このライザ片 4の一端部 4 aは上記ボス部 2の外周に突出させられている。
上記ボス部 2の先端面 2 aには、 その中央部に内壁部 5が、 また外周側には外 壁部 6がそれぞれ円筒状に形成される一方、 セグメント 3は、 図 1に示すように 上記先端面 3 aが扇型をなすブロック状に形成されていて、 このようなセグメン 卜 3が、 上記内外壁部 5 , 6間にそれぞれ放射状を呈するようにして配設される ことにより、 上述のようにボス部 2に環状に配列されている。 なお、 ボス部 2の 周方向に隣り合うセグメント 3, 3同士の間には、 上記内外壁部 5, 6を切り欠 いてボス部 2の上記先端面 2 aから一段凹む凹溝 2 bを形成するように、 ボス部 2の径方向に延びるスリツ卜 7が形成されており、 このスリット 7によって上記 隣り合うセグメント 3 , 3同士は互いに絶縁された状態とされている。 また、 上 記内壁部 5の内周部はボス部 2の他端面側に貫通していて、 当該カーボンコミテ 一夕 1をモータの回転軸に固定するための軸孔 8とされている。
さらに図 2に示すように、 ボス部 2の上記内壁部 5の外周面 5 aはセグメン卜 3の内周側の凹円弧面 3 bに密着形成される一方、 上記外壁部 6の内周面 6 aは セグメント 3の外周側の凸円弧面 3 cに密着形成されている。 なお、 内壁部 5の 先端面 5 bはセグメント 3の先端面 3 aに対して一段後退する位置に形成される 一方、 外壁部 6の先端面 6 bは上記先端面 3 aと面一となるように形成されてい る。 また、 ボス部 2の先端面 2 aの外周の上記外壁部 6の内周面 6 aとなす隅部 には、 段部 9が形成されている。
一方、 本実施形態において導電性端子部材とされる上記ライザ片 4は、 銅また は銅合金により形成された板状部材であって、 図 2に示すようにセグメン卜 3の 後端面 3 dから僅かに先端面 3 a側に寄った位置に埋設され、 ボス部 2の径方向 においてセグメン卜 3の略中程から外周側に延びて上記外壁部 6を貫通し、 さら に後端側に L字型に屈曲するとともに外壁部 6の外周面に沿って延びる幅広部 4 bを介して上記一端部 4 aに至っておリ、 この一端部 4 aは、 後端側に延びる舌 W
14 片が先端側に向けて V字状に折り曲げられた形状とされている。 また、 このライ ザ片 4の他端部 4 cは、 上記セグメント 3の後端面 3 dからボス部 2の上記先端 面 2 aに垂直に食い込むように突出させられている。
そして、 本実施形態のカーボンコミテ一夕 1においては、 上記セグメント 3の 摺動部とされる先端面 3 a側の部分が、 カーボンに適宜の結合剤を混合して成る カーボン層 1 0とされるとともに、 上記ライザ片 4の周囲の後端面 3 d側の部分 は、 銅および導電性端子部材であるライザ片 4と合金化可能であつてライザ片 4 よりも融点の低い物質、 例えば錫より成る金属層 1 1 とされている。 さらに、 よ リ詳しくは、 この金属層 1 1においては、 銅および錫が液相焼結されることによ リ、 銅と錫との合金、 すなわち青銅が析出しており、 この合金化は銅または銅合 金より成るライザ片 4にも及んでいて、 これによリライザ片 4は、 上記カーボン 層 1 0および金属層 1 1、 すなわちセグメント 3と一体化されている。 なお、 こ の金属層 1 1 においては、 その銅成分と錫成分との重量比が、 98. 0 : 2. 0 〜86. 5 : 1 3. 5の範囲、 より望ましくは 95. 0 : 5. 0〜90. 0 : 1 0. 0の範囲に設定されており、 本実施形態では 90. 0 : 1 0. 0とされてい る。 また、 本実施形態ではこの金属層 1 1の厚さは、 セグメント 3の厚さの約 1 /2程度とされている。 なお、 金属層 1 1中に含まれる錫の全量または一部に代 えて亜鉛、 アンチモン、 鉛等から選択される 1種または 2種以上の元素を使用し てもよい。
次に、 このような構成のカーボンコミテ一夕 1を製造する場合の本発明の製造 方法の一実施形態について、 図 3ないし図 7によリ説明する。 まず、 かかるカー ボンコミテ一夕 1を製造するに際しては、 図 3に示すような各セグメント 3…と 一体化されるライザ片 4…の原型となるライザ片素板 2 1が用意される。 このラ ィザ片素板 2 1は、 銅板または銅合金板から外形円板状に形成されたものであつ て、 本実施形態では厚さ 0. 6聽の無酸素銅板からプレス成形により形成されて おり、 製造されるカーボンコミテ一夕 1の外径よりも十分大きな内径を有する円 環板状のリング状部 22の内周に、 上記ライザ片 4…と同数のライザ素片 23— がー体に連結された構成とされている。 ここで、 これらのライザ素片 23…は、 ライザ片 4の上記他端部 4 cとなる内周端部 23 aが予め折り曲げられている以 外は、 上記ライザ片 4を平板状に延ばした形状に形成されているとともに、 製造 されたカーボンコミテ一夕 1において環状に配列されるセグメン卜 3…内のライ ザ片 4…と同様に放射状に配設されていて、 さらにこのライザ片 4の上記一端部 4 aとなる外周端部 2 3 bが上記リング状部 2 2に一体に連結されている。 次いで図 4 ( a ) に示すように、 このライザ片素板 2 1を、 上記セグメント 3 の寸法に対して焼結時の収縮を考慮した寸法の円環状のキヤビティ 2 4を有する 圧粉成形型 2 5に同軸的に設置し、 さらに図 4 ( b ) に示すようにこのキヤビテ ィ 2 4内に、 セグメント 3の先端面 3 aとなる側 (キヤビティ 2 4の底面側) に カーボン粉末と結合剤との混合粉末を充填してカーボン粉末層 2 6を形成すると ともに、 後端面 3 d側となる上記ライザ片素板 2 1のライザ素片 2 3…の周辺に 銅および錫の混合粉末を充填して金属粉末層 2 7を形成する。 なお、 これらカー ボン粉末層 2 6および金属粉末層 2 7をキヤビティ 2 4に充填するに際しては、 まずキヤビティ 2 4の底面側にカーボン粉末と結合剤との混合粉末を充填して力 一ボン粉末層 2 6を形成した後、 一旦このカーボン粉末層 2 6を仮押し型等によ り弱く押圧してその厚さが均一となるように均し、 しかる後このカーボン粉末層 2 6の上に銅および錫の混合粉末を充填して上記金属粉末層 2 7を形成するのが 望ましい。
また、 本実施形態では、 上記カーボン粉末層 2 6を形成する混合粉末として、 天然黒鉛と人造黒鉛とを混合したカーボン粉末にフエノール系の結合剤を加え、 これを混練、 乾燥、 粉砕した後に分級して、 粒度が約 5 0 0 t m以下となるよう に調整したものが用いられている。 一方、 上記金属粉末層 2 7を形成する混合粉 末としては、 電解銅粉と粉砕錫粉とを上述した所定の重量比となるように配合し 、 V型混合器で混合したものが用いられている。
そして、 このようにキヤビティ 2 4内に充填されたカーボン粉末層 2 6および 金属粉末層 2 7を、 図 4 ( c ) に示すように油圧プレス等を用いた突き固め型 2 8 A , 2 8 Bにより 3 t / c m 2程度の大きな成形圧で押圧してライザ片素板 2 1 ごと圧粉成形し、 図 5に示すようにカーボン粉末層 2 6と金属粉末層 2 7とから なる二層構造の円環状の圧粉成形体 2 9を形成する。 なお、 この圧粉成形の際、 上記ライザ素片 2 3の折り曲げられた内周端部 2 3 aは、 金属粉末層 2 7から突 出して上記突き固め型 2 8 Aに形成された凹所 2 8 a内に収容される。 さらに、 こうして成形された圧粉成形体 2 9は、 ライザ板素片 2 1 ごと上記圧粉成形型 2 5から抜き出される。
次に、 この圧粉成形体 2 9を焼結炉に装入して焼き固めることにより、 図 6お よび図 7に示すように上記セグメン卜 3…の原型となる円環状の焼結体 3 0を焼 結するのであるが、 このとき、 圧粉成形体 2 9全体としては上記カーボン粉末層 2 6と金属粉末層 2 7とが互いに一体的に焼結されて上記焼結体 3 0に形成され 、 またカーボン粉末層 2 6ではカーボン粉末が結合剤を介して結合させられて上 記カーボン層 1 0が形成される一方、 上記金属粉末層 2 7においては、 上述した ように液相焼結が生じて上記ライザ素片 2 3の表面および銅粉末と錫粉末とが合 金化し、 これにより、 ライザ素片 2 3と一体に接合された状態で上記金属層 1 1 が形成される。 従って、 こうして焼結された焼結体 2 5においては、 セグメント 3…の摺動部となる上記先端面 3 a側のカーボン層 1 0から後端面 3 d側の金属 層 1 1までが、 ライザ片 4となるライザ素片 2 3と電気的、 機械的に一体に接合 されることとなる。 なお、 上記圧粉成形体 2 9を焼結して焼結体 3 0を形成する 際の焼結温度は、 8 0 0〜8 5 0 °Cの範囲に設定されるのが望ましく、 本実施形 態では 8 2 5 °C前後とされている。
次に、 この焼結体 3 0に、 絶縁性を有する樹脂による加圧成形法 (モールディ ング法) によってボス部 2を一体成形する。 すなわち、 図 7に示すように焼結さ れた上記焼結体 3 0においては、 円環状の焼結体 3 0の外周面にライザ素片 2 3 の一端部 (ライザ片 4の一端部 4 aおよび幅広部 4 bとなる部分) が突出すると ともに、 さらにその外周にはライザ片素板 2 1のリング状部 2 2がー体に連結さ れたままであり、 またセグメント 3…の後端面 3 dとなる上記金属層 1 1側の端 面からは、 ライザ素片 2 3の内周端部 2 3 aが突出している。 そこで、 この焼結 体 3 0の外径よりも上記ボス部 2の外壁部 6の厚さ分だけ大きな外径の円盤状の キヤビティを有し、 かつ上記軸孔 8の位置に円柱部を備えたモールド型に、 該焼 結体 3 0を、 上記金属層 1 1側の端面をキヤビティ側に向けて同軸に設置し、 次 いでこのキヤビティ内に溶融した上記樹脂を流し込んで加圧、 冷却することによ リ、 上記内外壁部 5, 6および軸孔 8を備え、 かつその先端面 2 aに上記ライザ —
1 7 素片 2 3の内周端部 2 3 aが食い込んだボス部 2を、 この焼結体 3 0に一体に成 形するのである。
さらに、 こうしてボス部 2が焼結体 3 0に一体に成形された後でも、 ボス部 2 の外周からは上記ライザ片素板 2 1が突出したままであるので、 まずこのライザ 片素板 2 1のライザ素片 2 3の上記外周端部 2 3 bとリング状部 2 2との間を切 断して各ライザ素片 2 3を独立させ、 次いで上記幅広部 4 bを後端側に折り曲げ るとともに外壁部 6の外周面に沿って湾曲させ、 また上記外周端部 2 3 bを V字 状に折り曲げて上記形状のライザ片 4に成形する。 そして、 周方向に隣り合う各 ライザ片 4, 4同士の間に、 上記焼結体 3 0からボス部 2の上記先端面 2 aに僅 かに食い込む深さのスリッ卜 7…を、 円環状の焼結体 3 0の径方向に沿って上記 外壁部 6の外周面から軸孔 8に達するように切削加工等によつて形成し、 焼結体 3 0を扇型のブロック状に分割して互いに絶縁されたセグメント 3…とすること により、 上記構成のカーボンコミテ一夕 1が製造される。
しかるに、 このようにして製造されるカーボンコミテ一夕 1においては、 ブラ シとの摺動部とされるセグメン卜 3…の先端面 3 aがカーボン層 1 0によって形 成されているので、 アルコール含有量の多い燃料のインタンク式燃料ポンプのモ 一夕に使用しても、 セグメント 3が浸食されたり、 燃料が変質したりすることが ない。 そして、 その一方で、 導電性端子部材としてのライザ片 4の周囲に設けら れるセグメント 3の金属層 1 1が銅および錫を焼結して成るものであって、 この 金属層 1 1が上述のように液相焼結を生じてライザ片 4と合金化することにより 、 セグメント 3とライザ片 4とを電気的、 機械的に確実に一体接合することがで きる。 しかも、 こうして金属層 1 1が液相焼結することにより、 その溶解再析出 過程において、 小さな銅粉末粒子が優先的に溶解して大きな粒子上に析出するこ とにより粒子の再配列が生じ、 これによつてライザ片 4 (ライザ素片 2 3 ) の熱 膨張による応力が緩和されるとともに、 このライザ素片 2 3の熱膨張や収縮に関 わらず、 液相が常にライザ素片 2 3の周囲の隙間を埋めるように作用するので、 焼結後のセグメント 3はよリー層確実かつ強固にライザ片 4と接合されることと なる。
また、 このように上記金属層 1 1が液相焼結を生じて液相が存在することによ リ、 カーボン層 1 0と金属層 1 1との間の応力も緩和され、 仮に上記圧粉成形体 2 9の焼結中にカーボン層 1 0と金属層 1 1 との収縮、 膨張の割合の相違によつ て両者の間に隙間等が生じたりしても、 銅錫合金の液相がこの隙間を埋める作用 を生じて、 カーボン層 1 0と金属層 1 1との接合性を確実に確保することができ る。 さらに、 液相焼結により溶けた銅錫合金は、 カーボン層 1 0の粒子の間に入 リ込みやすくなるので、 カーボン層 1 0と金属層 1 1との間にアンカー効果が生 じ、 これらが剥離し難くなるという効果も得られる。 従って、 上記構成のカーボ ンコミテ一夕 1によれば、 従来のような不完全な接合によってセグメント 3…同 士の間で電気的抵抗値にばらつきが生じたり、 使用中にセグメント 3とライザ片 4との間に接触不良を生じたりするような事態を未然に防止することができ、 た とえ上述したようなアルコールを含む燃料中等においても、 コミテ一夕として長 期に渡つて安定かつ優れた性能を得ることが可能となる。
ところで、 本実施形態においては、 この金属層 1 1における銅と錫との重量比 を 9 0 : 1 0としているが、 この重量比において錫成分の比率が大きくなりすぎ ると、 圧粉成形体 2 9の焼結中に銅と錫との金属間化合物的な脆い相が金属層 1 1に形成されてしまい、 これによりセグメント 3とライザ片 4との確実な接合が 阻害されるおそれがあるとともに、 焼結温度によっては金属層 1 1の錫成分の濃 度が銅錫合金系における安定な α固溶体中の錫濃度の上限を越えてしまうおそれ があるので、 望ましくない。 一方、 逆に錫成分の比率が小さくなりすぎても、 溶 融した錫が、 粒径が小さく合金化し易い銅粉末粒子と優先的に合金化してしまい 、 その分ライザ素片 2 3と合金化する割合が少なくなつてしまうので、 やはリセ グメン卜 3とライザ片 4との良好な接合性が損なわれるおそれがあリ、 望ましく ない。
例えば、 図 8は、 図 9に示すようなテス卜ピース 3 1を図中矢印方向に引っ張 つた際に、 ライザ片に見立てた銅板 3 2と銅および錫を焼結して成る金属層 1 1 との間、 またはこの金属層 1 1とカーボン層 1 0との間で剥離が生じたときの引 つ張り荷重 (剥がし強度) を、 上記金属層 1 1における錫成分の重量比を種々に 変化させて測定した結果を示すものであるが、 この図 8に示されるように上記剥 がし強度は、 錫成分の重量比が小さいうちはこの錫成分重量比が増大するに従い 増加する傾向を示し、 すなわち接合強度が増大してゆくが、 錫成分重量比が 5. 0〜1 0. 0wt%の範囲では 1 0 kg f 程度の高い強度で安定し、 さらに錫成分重 量比を増大させると、 減少する傾向を示している。 また、 錫成分の重量比が小さ いうちにテストピース 31が剥離する場合は上記銅板 32と金属層 1 1との間で 剥離が生じていたのに対し、 錫成分重量比を大きくした場合にはカーボン層 1 0 と金属層 1 1 との間でテス卜ピース 3 1が剥離することが認められた。
ここで、 通常このようなコミテ一夕においては、 そのセグメントにおける接合 強度は 1 · 5 kg f 程度あれば十分とされている。 従って、 図 8に示す結果より上 記金属層 1 1における錫成分の重量比は 2. 0(^%以上であればよい。 一方、 こ のような銅錫合金において、 液相焼結を生じる 800°C付近での安定した α固溶 体の錫成分濃度の上限値は 1 3. 5wt%である。 従って、 上記金属層 1 1 におけ る銅と錫との重量比は、 本実施形態のように 98. 0 : 2. 0-86. 5 : 1 3 . 5の範囲に設定されるのが望ましい。 また、 焼結温度等に変動が生じた場合で も、 金属層 1 1 とライザ片 4およびカーボン層 1 0との間に十分な接合強度を確 保して剥離等を確実に防止するには、 上記の結果より金属層 1 1 における銅と錫 との重量比を、 さらに上述のように 95. 0 : 5. 0〜90. 0 : 1 0. 0の範 囲に設定するのが望ましい。
一方、 このようなカーボンコミテ一夕 1を製造するに際して、 本実施形態の製 造方法では、 カーボン粉末と銅および錫との混合粉末とを層状に圧粉成形してラ ィザ片素板 2 1を備えた圧粉成形体 29を形成し、 この圧粉成形体 29を 825 °C前後で焼結して焼結体 30とし、 セグメント 3…に成形しているが、 このとき の焼結温度が低すぎると上述の液相焼結が十分に促進されずに、 合金化によるセ グメン卜 3とライザ片 4との良好な接合性が損なわれるおそれが生じる。 また、 逆に焼結温度が高すぎると、 溶融した錫の液相に溶け込む銅成分が増大して液相 の量が多くなりすぎ、 焼結中にライザ素片 23を伝わって流れ出したり、 焼結体 30の形状自体を維持できなくなったりするおそれが生じる。 このため、 本実施 形態の製造方法のように、 カーボン粉末層 26と金属粉末層 27とを有する圧粉 成形体 29を焼結してセグメント 3を得る場合には、 その焼結温度は上述の通り 800〜850°Cの範囲に設定されるのが望ましい。 さらに、 このような圧粉成形体 2 9を形成するに際しては、 上述のように、 ま ず圧粉成形型 2 5に、 上記カーボン粉末層 2 6および金属粉末層 2 7の一方 (本 実施形態ではカーボン粉末層 2 6 ) を形成し、 これを仮押ししてその層の厚さを 均一にした後に、 他方 (本実施形態では金属粉末層 2 7 ) を形成して圧粉成形す るのが望ましく、 このような構成を採ることにより、 焼結後におけるセグメント 3のカーボン層 1 0および金属層 1 1の層厚を均一にすることができるので、 例 えばブラシとの摺動部とされる上記セグメント 3の先端面 3 aに摩耗が生じた場 合などに、 カーボン層 1 0の厚さの不均一により金属層 1 1が部分的に露出して しまうような事態を未然に防止することができ、 このような金属層 1 1の露出に よってカーボンコミテ一夕 1の寿命が短縮されるのを防ぐことができる。
なお、 本実施形態では初めにカーボン粉末層 2 6を形成して仮押しした後に金 属粉末層 2 7を形成しているが、 例えば圧粉成形型 2 5の底面側に上記ライザ片 素板 2 1を配置しておいて、 最初に銅および錫粉末を充填して金属粉末層 2 7を 形成し、 これを仮押しして層厚を均一にした後に、 カーボン粉末等を充填して力 —ボン粉末層 2 6を形成し、 圧粉成形するようにしてもよい。 また、 本実施形態 ではライザ素片 2 3の周りに金属粉末層 2 7を形成したが、 ライザ素片 2 3の力 一ボン粉末層 2 6側の面のみに金属粉末層 2 7を形成して金属層 1 1を形成する ようにしてもよく、 このようにすることにより、 セグメント 3をより薄く形成で きるという利点が得られる。
さらに、 本実施形態の製造方法では、 上述のようにライザ素片 2 3…が連結さ れたライザ片素板 2 1に円環状に圧粉成形体 2 9を圧粉成形して焼結し、 こうし て得られた円環状の焼結体 3 0に絶縁樹脂製のボス部 2を加圧成形した上でスリ ッ卜 7…を形成することにより、 互いに絶縁されたセグメント 3…を成形するよ うにしているが、 例えば初めから独立したライザ素片 2 3に扇形ブロック状に圧 粉成形体 2 9を成形し、 これを焼結したセグメント 3を間隔をあけて複数環状に 配列した上で絶縁性樹脂を加圧成形してボス部 2を形成し、 これらのセグメント 3…を一体化してカーボンコミテ一夕 1を製造するようにしてもよい。 また、 円 環状の圧粉成形体 2 9を焼結して円環状の焼結体 3 0を得る代わりに、 中実の円 板状の圧粉成形体から中実円板状の焼結体を焼結し、 その中央に貫通孔を形成す るとともに扇形に分割してセグメント 3…を形成するようにしてもよい。
一方、 本実施形態のカーボンコミテ一夕 1においては、 セグメント 3の後端面 3 dからライザ片 4の他端部 4 cが垂直に突出してボス部 2の先端面 2 aに食い 込んでおり、 これによつてボス部 2とセグメント 3との接合強度が確保されてい るが、 ボス部 2の加圧成形前にこの他端部 4 cを例えば外周側に斜めに折り曲げ るなどしておけば、 接合強度の向上を図ることができる。 また、 このようにライ ザ片 4の他端部 4 cを突出させることなく、 もしくはこれに加えて、 ボス部 2の 成形前に、 セグメント 3…の内外周側の凹凸円弧面 3 b, 3 cに凹溝を形成した り、 あるいはこれら凹凸円弧面 3 b, 3 cとセグメント 3の先端面 3 aとの稜線 部の面取りを施したりした上で、 樹脂を加圧成形してボス部 2を形成することに より、 この凹溝や面取りの部分に樹脂が回り込んでセグメント 3がボス部 2に係 止されるので、 一層の接合強度の向上を促すことができる。
さらに、 本実施形態のカーボンコミテ一夕 1では、 セグメント 3のカーボン層 1 0と金属層 1 1 とが、 それぞれセグメント 3の厚さの約 1 2の層厚で 2層に 分けられるように形成されているが、 例えば金属層〗 1をライザ片 4の周囲だけ に形成するようにしたり、 カーボン層 1 0と金属層 1 1 との間に中間層を設けた リ、 カーボン層 1 0から金属層 1 1 に向けてカーボン成分に対する銅および錫の 金属成分の比率が大きくなるように形成したりしてもよい。 また、 本実施形態で は、 本発明のカーボンコミテ一夕をインタンク式の燃料ポンプのモータに用いる 場合について説明したが、 このようなものに限らず、 他の種のモータのコミテ一 タとして使用することも、 勿論可能である。 さらにまた、 本実施形態のカーボン コミテ一夕 1は扁平形構造をなしているが、 一般的な円柱形のコミテ一夕に本発 明を適用することも、 勿論可能である。
(第 2の実施の形態)
図 1 0および図 1 1は、 本発明のカーボンコミテ一夕の一実施形態を示すもの である。 本実施形態のカーボンコミテ一夕 1 0 1は、 例えば上述したようなイン タンク式の燃料ポンプのモータに用いられるものであって扁平形構造をなしてお り、 絶縁性の樹脂によって略円盤状に形成されたボス部 1 0 2と、 このボス部 1 0 2の円形をなす先端面 2 aに、 周方向に等間隔をおいて環状に配列される複数 (本実施形態では 8つ) のセグメント 1 0 3…とから構成されており、 これらの セグメント 1 0 3…の先端面 3 aが、 モータのブラシに摺接する摺動部とされて いる。 さらに、 各セグメント 1 0 3には導電性端子部材としてライザ片 1 0 4が 取り付けられていて、 このライザ片 1 0 4の一端部 1 0 4 aは上記ボス部 1 0 2 の外周に突出させられている。
上記ボス部 1 0 2の先端面 1 0 2 aには、 その中央部に内壁部 1 0 5が、 また 外周側には外壁部 1 0 6が、 互いに同軸の円筒状にそれぞれ形成される一方、 個 々のセグメント 1 0 3は、 図 1 0に示すように上記先端面 1 0 3 aが扇形をなす ブロック状に形成されていて、 このようなセグメント 1 0 3…が、 それぞれその 内外周側面を上記内外壁部 1 0 5 , 1 0 6に密着させて、 内壁部 1 0 5を中心と した放射状を呈するようにボス部 1 0 2の先端面 1 0 2 aに環状に配列されてい る。 また、 ボス部 1 0 2の周方向に隣り合うセグメント 1 0 3, 1 0 3同士の間 には、 上記内外壁部 1 0 5, 1 0 6を切り欠いてボス部 1 0 2の径方向に延び、 かつ上記先端面 1 0 2 aから一段凹む凹溝 1 0 2 bを形成するようにスリット 1 0 7が形成されており、 このスリット 1 0 7によって上記隣り合うセグメント 1 0 3, 1 0 3同士は互いに絶縁された状態とされている。 さらに、 上記内壁部 1 0 5の内周部はボス部 1 0 2の他端面側に貫通していて、 当該カーボンコミテ一 タ 1 0 1をモータの回転軸に固定するための軸孔 1 0 8とされている。 なお、 内 壁部 1 0 5の先端面 1 0 5 aはセグメント 1 0 3の先端面 1 0 3 aに対して一段 後退する位置に形成される一方、 外壁部 1 0 6の先端面 1 0 6 aは上記先端面 1 0 3 aと面一となるように形成されている。 また、 ボス部 1 0 2の先端面 1 0 2 aと上記外壁部 1 0 6の内周面とがなす隅部には、 段部 1 0 9が形成されている。 一方、 本実施形態においてセグメント 1 0 3に取り付けられて導電性端子部材 とされる上記ライザ片 1 0 4は、 銅または銅合金により形成された板状部材であ つて、 図 1 1 に示すようにセグメント 1 0 3の後端面 1 0 3 bから僅かに先端面 1 0 3 a側に寄った位置に埋設され、 ボス部 1 0 2の径方向においてセグメント 1 0 3の略中程から外周側に延びて上記外壁部 1 0 6を貫通し、 さらに後端側に L字型に屈曲するとともに外壁部 1 0 6の外周面に沿って延びる幅広部 1 0 4 b を介して上記一端部 1 04 aに至っており、 この一端部 1 04 aは、 後端側に延 びる舌片が先端側に向けて V字状に折り曲げられた形状とされている。 また、 こ のライザ片 1 04の内周側の他端部 1 04 cは、 上記セグメント 1 03の後端面 3 bからボス部 1 02の上記先端面 1 02 aに垂直に食い込むように突出させら れている。
そして、 本実施形態のカーボンコミテ一夕 1 0 1においては、 上記セグメント 1 03の摺動部とされる先端面〗 03 a側の部分が、 カーボンに適宜の結合剤を 混合して成るカーボン層 1 1 0とされるとともに、 上記ライザ片 1 04の周囲の 後端面 3 b側の部分は、 カーボン、 銅、 および導電性端子部材であるライザ片 4 と合金化可能であってライザ片 4よりも融点の低い物質、 例えば錫より成る金属 層 1 1 1とされている。 さらに、 より詳しくは、 この金属層 1 1 1 においては、 銅および錫が液相焼結されることにより、 銅と錫との合金、 すなわち青銅が析出 しておリ、 この合金化は銅または銅合金より成るライザ片 1 04にも及んでいて、 これによリライザ片 1 04は金属層 1 1 1に接合されてセグメント 1 03と一体 化されている。 なお、 この金属層 1 1 1におけるカーボンの含有率は、 重量比率 で 2〜25wt%の範囲、 より望ましくは 1 0〜20wt%の範囲に設定されていて、 本実施形態では 1 5 %とされている。 一方、 カーボンを除いた銅成分と錫成分 との重量比は、 98. 0 : 2. 0〜86. 5 : 1 3. 5の範囲、 より望ましくは 95. 0 : 5. 0〜90. 0 : 1 0. 0の範囲に設定されており、 本実施形態で は 90. 0 : 1 0. 0とされている。 さらに、 本実施形態ではこの金属層 1 1 1 の厚さは、 セグメント 1 03の厚さの約 1 2程度とされている。 なお、 金属層 1 1 1中に含まれる錫の全量または一部に代えて亜鉛、 アンチモン、 鉛等から選 択される 1種または 2種以上の元素を使用してもよい。
次に、 このような構成のカーボンコミテ一夕 1 01を製造する場合の本発明の 製造方法の一実施形態について、 図 1 2ないし図 1 6により説明する。 まず、 か かるカーボンコミテ一夕 1 0 1を製造するに際しては、 図 1 2に示すような各セ グメント 1 03…と一体化されるライザ片 1 04…の原型となるライザ片素板 1 2 1が用意される。 このライザ片素板 1 2〗は、 銅板または銅合金板から外形円 板状に形成されたものであって、 本実施形態では厚さ 0. 6隱の無酸素銅板から プレス成形により形成されており、 製造されるカーボンコミテ一夕 1 0 1の外径 よりも十分大きな内径を有する円環板状のリング状部 1 2 2の内周に、 上記ライ ザ片 1 0 4…と同数のライザ素片 1 2 3…がー体に連結された構成とされている。 ここで、 これらのライザ素片 1 2 3 ···は、 ライザ片 1 0 4の上記他端部 1 0 4 c となる内周端部 1 2 3 aが予め折り曲げられている以外は、 上記ライザ片 1 0 4 を平板状に延ばした形状に形成されているとともに、 製造されたカーボンコミテ 一夕 1 0 1において環状に配列されるセグメン卜 1 0 3…内のライザ片 1 0 4… と同様に放射状に配設されていて、 さらにこのライザ片 1 0 4の上記一端部 1 0 4 aとなる外周端部 1 2 3 bが上記リング状部 1 2 2に一体に連結されている。 次いで図 1 3 ( a ) に示すように、 このライザ片素板 1 2 1を、 上記セグメン 卜 1 0 3の寸法に対して焼結時の収縮を考慮した寸法の円環状のキヤビティ 1 2 4を有する圧粉成形型 1 2 5に同軸的に設置し、 さらに図 1 3 ( b ) に示すよう にこのキヤビティ 1 2 4内に、 セグメント 1 0 3の先端面 1 0 3 aとなる側 (キ ャビティ 1 2 4の底面側) にカーボン粉末と結合剤との混合粉末を充填してカー ボン粉末層 1 2 6を形成するとともに、 後端面 1 0 3 b側となる上記ライザ片素 板 1 2 1のライザ素片 1 2 3…の周辺にカーボン、 銅、 および錫の混合粉末を充 填して混合粉末層 1 2 7を形成する。 ここで、 本実施形態では、 上記カーボン粉 末層 1 2 6を形成する混合粉末として、 天然黒鉛と人造黒鉛とを混合したカーボ ン粉末にフエノール系の結合剤を加え、 これを混練、 乾燥、 粉砕した後に分級し て、 粒度が約 5 0 0 t m以下となるように調整したものが用いられている。 一方、 上記混合粉末層 1 2 7を形成する混合粉末としては、 上記と同じく天然黒鉛と人 造黒鉛とを混合したカーボン粉末と電解銅粉と粉砕錫粉とを上述した所定の重量 比となるように配合し、 V型混合器で混合したものが用いられている。
なお、 これらカーボン粉末層 1 2 6および混合粉末層 1 2 7をキヤビティ 1 2 4に充填するに際しては、 まずキヤビティ 1 2 4の底面側にカーボン粉末と結合 剤との混合粉末を充填してカーボン粉末層 1 2 6を形成した後、 一旦このカーボ ン粉末層 2 6を仮押し型等により弱く押圧してその厚さが均一となるように均し、 しかる後このカーボン粉末層 1 2 6の上に銅および錫の混合粉末を充填して上記 混合粉末層 1 2 7を形成するのが望ましい。 そして、 このようにキヤビティ 1 2 4内に充填されたカーボン粉末層 1 2 6および混合粉末層 1 2 7を、 図 1 3 ( c ) に示すように油圧プレス等を用いた突き固め型 1 2 8 A, 1 2 8 Bにより 3 t / c m 2程度の大きな成形圧で押圧してライザ片素板 1 2 1ごと圧粉成形し、 図 1 4に示すようにカーボン粉末層〗 2 6と混合粉末層 1 2 7とからなる二層構 造の円環状の圧粉成形体 1 2 9を形成する。 なお、 この圧粉成形の際、 上記ライ ザ素片 1 2 3の折り曲げられた内周端部 1 2 3 aは、 混合粉末層 1 2 7から突出 して上記突き固め型 1 2 8 Aに形成された凹所 1 2 8 a内に収容される。
さらに、 こうして成形された圧粉成形体 1 2 9を、 ライザ板素片 1 2 1ごと上 記圧粉成形型 1 2 5から抜き出し、 焼結炉に装入して焼き固めることにより、 図 1 5および図 1 6に示すように上記セグメント 1 0 3…の原型となる円環状の焼 結体 1 3 0を焼結するのであるが、 このとき、 圧粉成形体 1 2 9全体としては上 記カーボン粉末層 1 2 6と混合粉末層 1 2 7とが互いに一体的に焼結されて上記 焼結体 1 3 0に形成され、 またカーボン粉末層 1 2 6ではカーボン粉末が結合剤 を介して結合させられて上記カーボン層 1 1 0が形成される一方、 上記混合粉末 層 2 7においては、 上述したように液相焼結が生じて上記ライザ素片 1 2 3の表 面および銅粉末と錫粉末とが合金化し、 これにより、 ライザ素片 1 2 3と一体に 接合された状態で上記金属層 1 1 1が形成される。 従って、 こうして焼結された 焼結体 1 3 0においては、 セグメント 1 0 3…の摺動部となる上記先端面 1 0 3 a側のカーボン層 1 1 0から後端面 3 b側の金属層 1 1 1までが、 ライザ片 1 0 4となるライザ素片 2 3と電気的、 機械的に一体に接合されることとなる。 なお、 上記圧粉成形体 1 2 9を焼結して焼結体 1 3 0を形成する際の焼結温度は、 8 0 0〜8 5 0 °Cの範囲に設定されるのが望ましく、 本実施形態では 8 2 5 °C前後と されている。
次いで、 こうして形成された焼結体 1 3 0に、 絶縁性を有する樹脂による加圧 成形法 (モールディング法) によってボス部 1 0 2を一体成形する。 すなわち、 図 1 6に示すように焼結された上記焼結体 1 3 0においては、 円環状の焼結体 1 3 0の外周面にライザ素片 1 2 3の一端部 (ライザ片 1 0 4の一端部 1 0 4 aお よび幅広部 1 0 4 bとなる部分) が突出するとともに、 さらにその外周にはライ ザ片素板 1 2 1のリング状部 1 2 2がー体に連結されたままであり、 またセグメ ント 1 0 3…の後端面 1 0 3 bとなる上記金属層 1 1 1側の端面からは、 ライザ 素片 1 2 3の内周端部 1 2 3 aが突出している。 そこで、 この焼結体 1 3 0の外 径よりも上記ボス部 1 0 2の外壁部 1 0 6の厚さ分だけ大きな外径の円盤状のキ ャビティを有し、 かつ上記軸孔 1 0 8の位置に円柱部を備えたモールド型に、 該 焼結体 1 3 0を、 上記金属層 1 1 1側の端面をキヤビティ側に向けて同軸に設置 し、 次いでこのキヤビティ内に溶融した上記樹脂を流し込んで加圧、 冷却するこ とにより、 上記内外壁部 1 0 5, 1 0 6および軸孔 1 0 8を備え、 かつその先端 面 1 0 2 aに上記ライザ素片 1 2 3の内周端部 1 2 3 aが食い込んだボス部 1 0 2を、 この焼結体 1 3 0に一体に成形するのである。
さらに、 こうしてボス部 1 0 2が焼結体 1 3 0に一体に成形された後でも、 ボ ス部 1 0 2の外周からは上記ライザ片素板 1 2 1が突出したままであるので、 ま ずこのライザ片素板 1 2 1のライザ素片 1 2 3の上記外周端部 1 2 3 bとリング 状部 1 2 2との間を切断して各ライザ素片 1 2 3を独立させ、 次いで上記幅広部 1 0 4 bを後端側に折り曲げるとともに外壁部 1 0 6の外周面に沿って湾曲させ、 また上記外周端部 1 2 3 bを V字状に折り曲げて上記形状のライザ片 1 0 4に成 形する。 そして、 周方向に隣り合う各ライザ片 1 0 4, 1 0 4同士の間に、 上記 焼結体 1 3 0からボス部 1 0 2の上記先端面 1 0 2 aに僅かに食い込む深さのス リツ卜 1 0 7…を、 円環状の焼結体 1 3 0の径方向に沿って上記外壁部 1 0 6の 外周面から軸孔 8に達するように切削加工等によって形成し、 焼結体 1 3 0を扇 型のブロック状に分割して互いに絶縁されたセグメント 1 0 3…とすることによ リ、 上記構成のカーボンコミテ一夕 1 0 1が製造される。
しかるに、 このようにして製造されたカーボンコミテ一夕 1 0 1においては、 ブラシとの摺動部とされるセグメント 1 0 3…の先端面 1 0 3 aがカーボン層 1 1 0によって形成されているので、 アルコール含有量の多い燃料のインタンク式 燃料ポンプのモータに使用しても、 セグメント 1 0 3が浸食されたり、 燃料が変 質したりすることがない。 そして、 その一方で、 導電性端子部材としてのライザ 片 1 0 4と上記カーボン層 1 1 0との間に設けられる金属層 1 1 1が、 カーボン、 銅、 および錫を焼結して成るものであって、 このうちの銅および錫成分が上述の ように液相焼結を生じてライザ片 1 0 4と合金化するとともに、 液相焼結により 溶けた銅錫合金はカーボン層 1 1 0の粒子の間に入り込んでカーボン層 1 1 0と の間にアンカー効果を生じる。 さらに、 金属層 1 1 1に含まれるカーボンがカー ボン層 1 1 0と結合することによつても両者の間にアンカー効果が生じるので、 これらによってセグメント 1 0 3とライザ片 1 0 4とを電気的、 機械的に確実か つ強固に一体接合することができる。
また、 こうして金属層 1 1 1が液相焼結することにより、 その溶解再析出過程 において粒子の再配列が生じ、 これによつてライザ片 1 0 4 (ライザ素片 2 3 ) の熱膨張による応力が緩和されるとともに、 このライザ素片 2 3の熱膨張や収縮 に関わらず、 液相が常にライザ素片 1 2 3の周囲の隙間を埋めるように作用する。 同様に、 この液相が存在することにより、 カーボン層 1 1 0と金属層 1 1 1 との 間の応力も緩和され、 仮に上記圧粉成形体 2 9の焼結中にカーボン層 1 1 0と金 属層 1 1 1 との収縮、 膨張の割合の相違によって両者の間に隙間等が生じたりし ても、 銅錫合金の液相がこの隙間を埋める作用を生じる。 そして、 さらに金属層
1 1 1にカーボンが含有されることによつても熱応力が緩和され、 これらにより、 カーボン層 1 1 0と金属層 1 1 1との間、 および金属層 1 1 1 とライザ片 1 0 4 との間での剥離が生じ難くなるので、 上記構成のカーボンコミテ一夕 1 0 1によ れば、 セグメント 1 0 3…同士の間で電気的抵抗値にばらつきが生じたり、 セグ メン卜 1 0 3とライザ片 1 0 4との間に接触不良を生じたりするような事態を防 止することができ、 たとえ上述したようなアルコールを含む燃料中においても、 コミテ一夕として長期に渡って安定かつ優れた性能を得ることが可能となる。 ところで、 上記金属層 1 1 1において液相焼結により形成される銅錫合金は、 例えば従来のように銅粉末だけを焼結したものなどよりも硬く、 従って金属層 1
1 1が銅および錫から成る銅錫合金のみで形成されていたりすると、 セグメント
1 0 3…同士を絶縁させるために焼結体 1 3 0にスリット 1 0 7を形成する際の 加工性が損なわれ、 多くの加工時間を要したり、 スリット形成のための刃具の寿 命短縮を招いたりするおそれがある。 ところが、 上記カーボンコミテ一夕 1 0 1 ではこの金属層 1 1 1に比較的柔らかいカーボンが含有されており、 これによつ て金属層 1 1 1が硬くなりすぎるのを抑えることができるので、 上記スリット 1
0 7を形成する場合などにおいても、 加工時間の短縮を図るとともに刃具の寿命 を延長させることが可能となる。 一方、 金属層 1 1 1が銅および錫のみで形成さ れていると、 焼結温度が高すぎたりした場合には、 焼結中に液相が流出してしま つて焼結体 1 3 0としての形状を維持できなくなるおそれが生じるが、 上記カー ボンコミテ一夕 1 0 1では、 この金属層 1 1 1に含有されるカーボンが高温でも 軟化したり溶融したりすることなく、 骨材として作用して金属層 1 1 1の形状を 安定させることができるので、 所望の形状、 寸法の焼結体 1 3 0を確実に形成す ることが可能となる。
ここで、 本実施形態では上述のように、 この金属層 1 1 1に含有されるカーボ ンの含有率を重量比で 1 5 wt %としているが、 このカーボンの含有率が少なすぎ ると、 残りの銅錫合金によって金属層 1 1 1が硬くなりすぎ、 セグメント 1 0 3 の加工性の劣化が十分に防止できなくなるおそれが生じる。 また、 金属層 1 1 1 中のカーボンによるカーボン層 1 1 0とのアンカー効果や熱応力の緩和、 あるい は焼結体 1 3 0の形状安定といった作用効果も十分に奏功されなくなるおそれが 生じる。 一方、 逆にこの金属層 1 1 1中のカーボンの含有率が多すぎると、 カー ボンはライザ片 1 0 4を形成する銅等とは焼結中に反応しないため、 ライザ片 1 0 4と金属層 1 1 1との接合が不十分となって、 両者の間に剥離が生じやすくな るおそれが生じる。
例えば、 図 1 7は、 図 1 8に示す金属層 1 1 1のテス卜ピース 1 3 1 と図 1 9 に示すセグメント 1 0 3のテストピース 1 3 2とを用いて、 金属層 1 1 1の加工 性とセグメント 1 0 3の剥離に対する強度とが、 金属層 1 1 1におけるカーボン の含有率によってどのように変化するかを調べたものである。 ここで、 金属層 1
1 1の加工性については、 カーボン、 銅、 および錫をカーボン含有率以外は本実 施形態と同じ条件で焼結した幅 Wcm、 厚さ t cmの金属層 1 1 1の上記テス卜ピー ス 1 3 1を、 図 1 8に示すように距離 L cm離れた 2点で支持し、 この 2点の中間 位置において該テス卜ピース 1 3 1にその厚さ方向に荷重を加え、 テス卜ピース
1 3 1が破壊したときの最大荷重 P kg f から 1 . 5 X P · L / ( W · t 2 ) により 算出される抗折強度 (kg f Zcm2 ) を測定した。 また、 セグメント 1 0 3の剥離強 度については、 さらにカーボン層 1 1 0も含めて上記と同様に焼結したセグメン 卜 1 0 3のテス卜ピース 1 3 2を図 1 9の矢印方向に引っ張った際に、 ライザ片 —
29 に見立てた銅板 1 3 3と金属層 1 1 1 との間、 または金属層 1 1 1とカーボン層 1 1 0との間で剥離が生じたときの引っ張り荷重 (剥がし強度) を測定した。 しかるに、 この図 1 7に示されるように、 テストピース 1 3 1の抗折強度およ びテス卜ピース 1 3 2の剥がし強度とも、 金属層 1 1 1におけるカーボン含有率 が増大するに従い漸次低下しておリ、 すなわちカーボン含有率の増大に伴い加工 しゃすくなるとともに剥離しやすくなつている。 ここで、 このようなカーボン、 銅、 および錫より成る焼結体 1 3 0にスリット加工を施す場合においては、 抗折 強度が 2 0 0 0 kg f /cm2以下であれば加工時間の増大や刃具の寿命短縮を十分に 防止できる。 従って、 図 1 7に示す抗折強度の結果より金属層 1 1 1における力 一ボンの含有率は 2 wt %以上とされるのが望ましい。 一方、 通常このようなコミ テ一夕においては、 そのセグメント〗 0 3における剥がし強度は 1 . 5 kg f 程度 あれば十分とされている。 従って、 図 1 7に示す結果より上記金属層 1 1 1にお ける力一ボンの含有率は 2 5 wt %以下とされるのが望ましい。 また、 焼結体 1 3 0を形成する際の焼結温度等の変動に関わらず、 良好な加工性と十分な耐剥離性 とを確実に両立させるには、 金属層 1 1 1におけるカーボンの含有率は、 上記範 囲の中でも特に 1 0〜2 0 wt %の範囲に設定されるのが望ましい。
なお、 本実施形態においては、 この金属層 1 1 1 において力一ボンを除いた銅 と錫との重量比を 9 0 : 1 0としているが、 この重量比において錫成分の比率が 大きくなりすぎると、 焼結中に銅と錫との金属間化合物的な脆い相が金属層 1 1 1に形成されてしまい、 これによりセグメント 1 0 3とライザ片 1 0 4との確実 な接合が阻害されるおそれがあるとともに、 焼結温度によっては金属層 1 1 1の 錫成分の濃度が銅錫合金系における安定な α固溶体中の錫濃度の上限を越えてし まうおそれがある。 また、 逆に錫成分の比率が小さくなりすぎても、 溶融した錫 が、 粒径が小さく合金化し易い銅粉末粒子と優先的に合金化してしまい、 その分 ライザ素片 2 3と合金化する割合が少なくなつて、 やはりセグメント 1 0 3とラ ィザ片 1 0 4との良好な接合性が損なわれるおそれがる。 そこで、 上述したカー ボンコミテ一夕のセグメント 1 0 3に与えられるべき十分な剥がし強度と、 銅錫 合金において液相焼結を生じる 8 0 0 °C付近での安定した α固溶体の錫成分濃度 の上限値が 1 3 . 5 wt %であることとから、 上記金属層 1 1 1における銅と錫と の重量比は、 本実施形態のように 9 8 . 0 : 2 . 0〜8 6 . 5 : 1 3 . 5の範囲 に設定されるのが望ましく、 より望ましくは 9 5 . 0 : 5 . 0〜9 0 . 0 : 1 0 . 0の範囲に設定される。
一方、 このようなカーボンコミテ一夕〗 0 1を製造するに際して、 本実施形態 の製造方法では、 カーボン粉末とカーボン、 銅、 および錫の混合粉末とを層状に 圧粉成形して、 ライザ片素板 1 2 1を備えた圧粉成形体 2 9を形成し、 この圧粉 成形体 1 2 9を 8 2 5 °C前後で焼結して焼結体 1 3 0とし、 セグメント 1 0ョ… に成形しているが、 このときの焼結温度が低すぎると上述の液相焼結が十分に促 進されずに、 合金化によるセグメント 1 0 3とライザ片 1 0 4との良好な接合性 が損なわれるおそれが生じる。 また、 逆に焼結温度が高すぎると、 溶融した錫の 液相に溶け込む銅成分が増大して液相の量が多くなリすぎ、 焼結中にライザ素片 1 2 3を伝わって流れ出したり、 カーボンの骨材としての効果にも関わらず焼結 体 1 3 0の形状自体を維持できなくなったりするおそれが生じる。 このため、 本 実施形態の製造方法のようにカーボン粉末層 2 6と混合粉末層 1 2 7とを有する 圧粉成形体 2 9を焼結してセグメント 1 0 3を得る場合には、 その焼結温度は上 述の通り 8 0 0〜8 5 0 °Cの範囲に設定されるのが望ましい。
さらに、 このような圧粉成形体 1 2 9を形成するに際しては、 上述のように、 まず圧粉成形型 1 2 5に、 上記カーボン粉末層 1 2 6および混合粉末層 1 2 7の 一方 (本実施形態ではカーボン粉末層 1 2 6 ) を形成し、 これを仮押ししてその 層の厚さを均一にした後に、 他方 (本実施形態では混合粉末層 1 2 7 ) を形成し て圧粉成形するのが望ましく、 このような構成を採ることにより、 焼結後におけ るセグメント 1 0 3のカーボン層 1 1 0および金属層 1 1 1の層厚を均一にする ことができるので、 例えばブラシとの摺動部とされる上記セグメント 1 0 3の先 端面 1 0 3 aに摩耗が生じた場合などに、 カーボン層 1 1 0の厚さの不均一によ り金属層 1 1 1が部分的に露出してしまうような事態を未然に防止することがで き、 このような金属層 1 1 1の露出によってカーボンコミテ一夕 1 0 1の寿命が 短縮されるのを防ぐことができる。
なお、 本実施形態では初めにカーボン粉末層 1 2 6を形成して仮押しした後に 混合粉末層 1 2 7を形成しているが、 例えば圧粉成形型 1 2 5の底面側に上記ラ ィザ片素板 1 2 1を配置しておいて、 最初にカーボン、 銅、 および錫の混合粉末 を充填して混合粉末層 1 2 7を形成し、 これを仮押しして層厚を均一にした後に、 カーボン粉末等を充填してカーボン粉末層 1 2 6を形成し、 圧粉成形するように してもよい。 また、 本実施形態ではライザ素片 1 2 3の周りに混合粉末層 1 2 7 を形成したが、 ライザ素片 1 2 3のカーボン粉末層 1 2 6側の面のみに混合粉末 層 1 2 7を形成して金属層 1 1 1を形成するようにしてもよく、 このようにする ことにより、 セグメント〗 0 3をより薄く形成できるという利点が得られる。 さらに、 本実施形態の製造方法では、 上述のようにライザ素片〗 2 3…が連結 されたライザ片素板 1 2 1に円環状に圧粉成形体 1 2 9を圧粉成形して焼結し、 こうして得られた円環状の焼結体 1 3 0に絶縁樹脂製のボス部 1 0 2を加圧成形 した上でスリット 1 0 7…を形成することにより、 互いに絶縁されたセグメント 1 0 3…を成形するようにしているが、 例えば初めから独立したライザ素片 1 2 3に扇形ブロック状に圧粉成形体 1 2 9を成形し、 これを焼結したセグメント 1 0 3を間隔をあけて複数環状に配列した上で絶縁性樹脂を加圧成形してボス部 1 0 2を形成し、 これらのセグメント 1 0 3…を一体化してカーボンコミテ一夕 1 0 1を製造するようにしてもよい。 また、 円環状の圧粉成形体 1 2 9を焼結して 円環状の焼結体 1 3 0を得る代わりに、 中実の円板状の圧粉成形体から中実円板 状の焼結体を焼結し、 その中央に貫通孔を形成するとともに扇形に分割してセグ メン卜 1 0 3…を形成するようにしてもよい。
—方、 本実施形態のカーボンコミテ一夕 1 0 1においては、 セグメント 1 0 3 の後端面 3 bからライザ片 1 0 4の他端部 4 cが垂直に突出してボス部 1 0 2の 先端面 1 0 2 aに食い込んでおり、 これによつてボス部 1 0 2とセグメント 1 0 3との接合強度が確保されているが、 ボス部 1 0 2の加圧成形前にこの他端部 4 cを例えば外周側に斜めに折り曲げるなどしておけば、 接合強度の向上を図るこ とができる。 また、 このようにライザ片 1 0 4の他端部1 0 4 cを突出させるこ となく、 もしくはこれに加えて、 ボス部 1 0 2の成形前に、 セグメント 1 0 3〜 の内外周側面に凹溝を形成したり、 あるいはこれら内外周側面とセグメント 1 0 3の先端面 1 0 3 aとの稜線部の面取りを施したりした上で、 樹脂を加圧成形し てボス部 1 0 2を形成することにより、 この凹溝や面取りの部分に樹脂が回り込 んでセグメント 1 0 3がボス部 1 0 2に係止されるので、 一層の接合強度の向上 を促すことができる。
さらに、 本実施形態のカーボンコミテ一夕 1 0 1では、 セグメント 1 0 3の力 一ボン層 1 1 0と金属層 1 1 1とが、 それぞれセグメント 1 0 3の厚さの約 1 / 2の層厚で 2層に分けられるように形成されているが、 例えば金属層 1 1 1をラ ィザ片 1 0 4の周囲だけに形成するようにしたり、 カーボン層 1 1 0と金属層 1 1 1との間に中間層を設けたり、 カーボン層 1 1 0側から金属層 1 1 1側に向け て、 金属層 1 1 1のカーボンに対する銅および錫の比率が大きくなるように形成 したりしてもよい。 また、 本実施形態では、 本発明のカーボンコミテ一夕をイン タンク式の燃料ポンプのモータに用いる場合について説明したが、 このようなも のに限らず、 他の種のモータのコミテ一夕として使用することも、 勿論可能であ る。 さらにまた、 本実施形態のカーボンコミテ一タ 1 0 1は扁平形構造をなして いるが、 一般的な円柱形のコミテ一夕に本発明を適用することも、 勿論可能であ る。
(第 3の実施の形態)
図 2 0および図 2 1は、 本発明のカーボンコミテ一夕の一実施形態を示すもの である。 本実施形態のカーボンコミテ一夕 2 0 1は、 例えば上述したようなイン タンク式の燃料ポンプのモータに用いられるものであって扁平形構造をなしてお リ、 絶縁性の樹脂によって略円盤状に形成されたボス部 2 0 2と、 このボス部 2 0 2の円形をなす先端面 2 0 2 aに、 周方向に等間隔をおいて環状に配列される 複数 (本実施形態では 8つ) のセグメント 2 0 3…とから構成されており、 これ らのセグメント 2 0 3…の先端面 2 0 3 aが、 モータのブラシに摺接する摺動部 とされている。 さらに、 各セグメント 2 0 3には導電性端子部材としてライザ片 2 0 4が取り付けられていて、 このライザ片 2 0 4の一端部 2 0 4 aは上記ボス 部 2 0 2の外周に突出させられている。
上記ボス部 2 0 2の先端面 2 0 2 aには、 その中央部に内壁部 2 0 5が、 また 外周側には外壁部 2 0 6が、 互いに同軸の円筒状にそれぞれ形成される一方、 個 々のセグメント 2 0 3は、 囡 2 0に示すように上記先端面 2 0 3 aが扇形をなす ブロック状に形成されていて、 このようなセグメント 2 0 3…が、 それぞれその 内外周側面を上記内外壁部 2 0 5, 2 0 6に密着させて、 内壁部 2 0 5を中心と した放射状を呈するようにボス部 2 0 2の先端面 2 0 2 aに環状に配列されてい る。 また、 ボス部 2 0 2の周方向に隣り合うセグメント 2 0 3, 2 0 3同士の間 には、 上記内外壁部 2 0 5, 2 0 6を切り欠いてボス部 2 0 2の径方向に延び、 かつ上記先端面 2 0 2 aから一段凹む凹溝 2 0 2 bを形成するようにスリッ卜 2 0 7が形成されており、 このスリット 2 0 7によって上記隣り合うセグメント 2 0 3, 2 0 3同士は互いに絶縁された状態とされている。 さらに、 上記内壁部 2 0 5の内周部はボス部 2 0 2の他端面側に貫通していて、 当該カーボンコミテ一 夕 2 0 1をモータの回転軸に固定するための軸孔 2 0 8とされている。 なお、 内 壁部 2 0 5の先端面 2 0 5 aはセグメント 2 0 3の先端面 2 0 3 aに対して一段 後退する位置に形成される一方、 外壁部 2 0 6の先端面 2 0 6 aは上記先端面 2 0 3 aと面一となるように形成されている。 また、 ボス部 2 0 2の先端面 2 0 2 aと上記外壁部 2 0 6の内周面とがなす隅部には、 段部 2 0 9が形成されている。 一方、 本実施形態においてセグメント 2 0 3に取り付けられて導電性端子部材 とされる上記ライザ片 2 0 4は、 銅または銅合金により形成された板状部材であ つて、 図 2 1に示すようにセグメント 2 0 3の後端面 2 0 3 bから僅かに先端面 3 a側に寄った位置に埋設され、 ボス部 2 0 2の径方向においてセグメント 2 0 3の略中程から外周側に延びて上記外壁部 2 0 6を貫通し、 さらに後端側に L字 型に屈曲するとともに外壁部 2 0 6の外周面に沿って延びる幅広部 2 0 4 bを介 して上記一端部 2 0 4 aに至っており、 この一端部 2 0 4 aは、 後端側に延びる 舌片が先端側に向けて V字状に折り曲げられた形状とされている。 また、 このラ ィザ片 2 0 4の内周側の他端部 2 0 4 cは、 上記セグメン卜 2 0 3の後端面 2 0 3 bからボス部 2 0 2の上記先端面 2 0 2 aに垂直に食い込むように突出させら れている。
そして、 本実施形態のカーボンコミテ一夕 2 0 1においては、 上記セグメント 2 0 3の摺動部とされる先端面 2 0 3 a側の部分が、 カーボンに適宜の結合剤を 混合して成るカーボン層 2 1 0とされるとともに、 上記ライザ片 2 0 4の周囲の 後端面 2 0 3 b側の部分は銅および導電性端子部材であるライザ片 4と合金化可 能であってライザ片 4よりも融点の低い物質、 例えば錫より成る金属層 2 1 1と され、 これらカーボン層 2 1 0と金属層 2 1 1 との間には、 カーボンおよび銅よ リ成る中間層 2 1 2が介装されている。 さらに、 より詳しくは、 上記金属層 2 1 1においては、 銅および錫が液相焼結されることにより、 銅と錫との合金、 すな わち青銅が析出しており、 この合金化は銅または銅合金より成るライザ片 204 にも及んでいて、 これによリライザ片 204は、 上記カーボン層 2 1 0および金 属層 2 1 1、 すなわちセグメント 203と一体化されている。 なお、 この金属層 2 1 1においては、 その銅成分と錫成分との重量比が、 98. 0 : 2. 0〜86. 5 : 1 3. 5の範囲、 より望ましくは 95. 0 : 5. 0〜90. 0 : 1 0. 0の 範囲に設定されており、 本実施形態では 90. 0 : 1 0. 0とされている。 また、 上記中間層 1 1 2においては、 カーボンの含有率が 1 0〜40wt%の範囲に設定 されるのが望ましく、 本実施形態ではカーボンと銅との体積割合が 1 : 1前後と なるように、 20wt%に設定されている。 なお、 金属層 2 1 1中に含まれる錫の 全量または一部に代えて亜鉛、 アンチモン、 鉛等から選択される 1種または 2種 以上の元素を使用してもよい。
次に、 このような構成のカーボンコミテ一夕 20 1を製造する場合の本発明の 製造方法の一実施形態について、 図 22ないし図 26により説明する。 まず、 か かるカーボンコミテ一夕 201を製造するに際しては、 図 22に示すような各セ グメン卜 203…と一体化されるライザ片 204…の原型となるライザ片素板 2 2 1が用意される。 このライザ片素板 22 1は、 銅板または銅合金板から外形円 板状に形成されたものであって、 本実施形態では厚さ 0. 6隱の無酸素銅板から プレス成形により形成されており、 製造されるカーボンコミテ一夕 20 1の外径 よりも十分大きな内径を有する円環板状のリング状部 222の内周に、 上記ライ ザ片 204…と同数のライザ素片 223…がー体に連結された構成とされている。 ここで、 これらのライザ素片 223…は、 ライザ片 204の上記他端部 204 c となる内周端部 223 aが予め折り曲げられている以外は、 上記ライザ片 204 を平板状に延ばした形状に形成されているとともに、 製造されたカーボンコミテ 一夕 201 において環状に配列されるセグメン卜 203…内のライザ片 204… と同様に放射状に配設されていて、 さらにこのライザ片 204の上記一端部 4 a —
35
となる外周端部 2 2 3 bが上記リング状部 2 2 2に一体に連結されている。
次いで図 2 3 ( a ) に示すように、 このライザ片素板 2 2 1を、 上記セグメン 卜 2 0 3の寸法に対して焼結時の収縮を考慮した寸法の円環状のキヤビティ 2 2 4を有する圧粉成形型 2 5に同軸的に設置し、 図 2 3 ( b ) に示すようにこのキ ャビティ 2 4内に、 セグメント 2 0 3の先端面 3 aとなる側 (キヤビティ 2 2 4 の底面側) にカーボン粉末と結合剤との混合粉末を充填してカーボン粉末層 2 2 6を形成し、 次にこのカーボン粉末層 2 2 6の上にカーボンおよび銅の混合粉末 を充填して第 1の混合粉末層 2 2 7を形成し、 さらにその上のセグメント 2 0 3 の後端面 2 0 3 b側となる上記ライザ片素板 2 2 1のライザ素片 2 2 3…の周辺 に銅および錫の混合粉末を充填して第 2の混合粉末層 2 2 8を形成する。
なお、 本実施形態では、 上記カーボン粉末層 2 2 6を形成する混合粉末として、 天然黒鉛と人造黒鉛とを混合したカーボン粉末にフエノール系の結合剤を加え、 これを混練、 乾燥、 粉砕した後に分級して、 粒度が約 5 0 0 t m以下となるよう に調整したものが用いられている。 また、 上記第 2の混合粉末層 2 2 8を形成す る混合粉末としては、 電解銅粉と粉砕錫粉とを上述した所定の重量比となるよう に配合し、 V型混合器で混合したものが用いられている。 さらに、 上記第 1の混 合粉末層 2 2 7を形成する混合粉末としては、 上記カーボン粉末層 2 2 6を形成 するカーボン粉末および結合剤の混合粉末と、 第 2の混合粉末層 2 2 8を形成す る電解銅粉とを、 上述した所定のカーボン含有率となるように配合したものが用 いられている。
ここで、 これらカーボン粉末層 2 2 6および第 1、 第 2の混合粉末層 2 2 7, 2 2 8を形成する際は、 まずキヤビティ 2 2 4の底面側にカーボン粉末と結合剤 との混合粉末を充填してカーボン粉末層 2 2 6を形成した後、 一旦このカーボン 粉末層 2 2 6を仮押し型等により弱く押圧して、 その厚さが均一となるように均 すのが望ましい。 また、 次いでこのカーボン粉末層 2 2 6の上にカーボンおよび 銅の混合粉末を充填して第 1の混合粉末層 2 2 7を形成した後にも、 この第 1の 混合粉末層 2 2 7を仮押し型等によって再び弱く押圧して均し、 しかる後この第 1の混合粉末層 2 2 7の上に銅および錫の混合粉末を充填して第 2の混合粉末層 2 2 8を形成するのが望ましい。 そして、 このようにキヤビティ 2 2 4内に充填されたカーボン粉末層 2 2 6お よび第 1、 第 2の混合粉末層 2 2 7, 2 2 8を、 図 2 3 ( c ) に示すように油圧 プレス等を用いた突き固め型 2 2 9 A , 2 2 9 Bにより 3 t / c m 2程度の大きな 成形圧で押圧してライザ片素板 2 2 1ごと圧粉成形し、 図 2 4に示すようにカー ボン粉末層 2 2 6および第 1、 第 2の混合粉末層 2 2 7 , 2 2 8からなる 3層構 造の円環状の圧粉成形体 2 3 0を形成する。 なお、 この圧粉成形の際、 上記ライ ザ素片 2 2 3の折り曲げられた内周端部 2 2 3 aは、 上記第 2の混合粉末層 2 2 8から突出して上記突き固め型 2 2 9 Aに形成された凹所 2 2 9 a内に収容され る。 さらに、 こうして成形された圧粉成形体 2 3 0は、 ライザ片素板 2 2 〗ごと 上記圧粉成形型 2 2 5から抜き出される。
次に、 この圧粉成形体 2 3 0を焼結炉に装入して焼き固めることにより、 図 2 5および図 2 6に示すように上記セグメント 2 0 3…の原型となる円環状の焼結 体 2 3〗を焼結するのであるが、 このとき、 上記カーボン粉末層 2 2 6ではカー ボン粉末が結合剤を介して結合させられて上記カーボン層 2 1 0が形成されると ともに、 上記第 1の混合粉末層 2 2 7においても、 カーボン粉末が結合剤によつ て結合するのに伴って、 カーボン粉末と混合された銅粉末も結合されて中間層 2 1 2が形成される。 また、 上記第 2の混合粉末層 2 2 8においては、 上述したよ うに液相焼結が生じて上記ライザ素片 2 2 3の表面および銅粉末と錫粉末とが合 金化し、 これにより、 ライザ素片 2 2 3と一体に接合された状態で上記金属層 2 1 1が形成される。
さらに、 この圧粉成形体 2 3 0の焼結時には、 上記カーボン粉末層 2 2 6の力 一ボン粉末と第 1の混合粉末層 2 2 7に含有されるカーボン粉末とが結合剤を介 して結合させられることにより、 上記カーボン層 2 1 0と中間層 2 1 2とが一体 に焼結させられる一方、 第 2の混合粉末層 2 2 8における錫粉末の銅粉末との液 相焼結は、 第 1の混合粉末層 2 2 7に含有される銅粉末にも及び、 これにより上 記金属層 2 1 1 と中間層 2 1 2も一体に焼結される。 従って、 こうして焼結され た焼結体 2 3 1においては、 セグメント 2 0 3…の摺動部となる上記先端面 2 0 3 a側のカーボン層 2 1 0から中間層 2 1 2を経て後端面 3 b側の金属層 2 1 1 までが、 ライザ片 2 0 4となるライザ素片 2 2 3と電気的、 機械的に一体に接合 されることとなる。 なお、 上記圧粉成形体 2 3 0を焼結して焼結体 2 3 1を形成 する際の焼結温度は、 8 0 0〜8 5 0 °Cの範囲に設定されるのが望ましく、 本実 施形態では 8 2 5 °C前後とされている。
次に、 この焼結体 2 3 1に、 絶縁性を有する樹脂による加圧成形法 (モールデ イング法) によってボス部 2 0 2を一体成形する。 すなわち、 図 2 6に示すよう に焼結された上記焼結体 2 3 1においては、 円環状の焼結体 2 3 1の外周面にラ ィザ素片 2 2 3の一端部 (ライザ片 2 0 4の一端部 2 0 4 aおよび幅広部 2 0 4 bとなる部分) が突出するとともに、 さらにその外周にはライザ片素板 2 2 1の リング状部 2 2 2がー体に連結されたままであり、 またセグメント 2 0 3…の後 端面 2 0 3 bとなる上記金属層 2 1 1側の端面からは、 ライザ素片 2 2 3の内周 端部 2 2 3 aが突出している。 そこで、 この焼結体 2 3 1の外径よりも上記ボス 部 2 0 2の外壁部 2 0 6の厚さ分だけ大きな外径の円盤状のキヤビティを有し、 かつ上記軸孔 2 0 8の位置に円柱部を備えたモールド型に、 該焼結体 2 3 1を、 上記金属層 2 1 1側の端面をキヤビティ側に向けて同軸に設置し、 次いでこのキ ャビティ内に溶融した上記樹脂を流し込んで加圧、 冷却することにより、 上記内 外壁部 2 0 5 , 2 0 6および軸孔 2 0 8を備え、 かつその先端面 2 0 2 aに上記 ライザ素片 2 2 3の内周端部 2 2 3 aが食い込んだボス部 2 0 2を、 この焼結体 2 3 1に一体に成形するのである。
さらに、 こうしてボス部 2 0 2が焼結体 2 3 1に一体に成形された後でも、 ボ ス部 2 0 2の外周からは上記ライザ片素板 2 2 1が突出したままであるので、 ま ずこのライザ片素板 2 2 1のライザ素片 2 2 3の上記外周端部 2 2 3 bとリング 状部 2 2 2との間を切断して各ライザ素片 2 2 3を独立させ、 次いで上記幅広部 2 0 4 bを後端側に折り曲げるとともに外壁部 2 0 6の外周面に沿って湾曲させ、 また上記外周端部 2 2 3 bを V字状に折り曲げて上記形状のライザ片 2 0 4に成 形する。 そして、 周方向に隣り合う各ライザ片 2 0 4, 2 0 4同士の間に、 上記 焼結体 2 3 1からボス部 2 0 2の上記先端面 2 0 2 aに僅かに食い込む深さのス リツ卜 2 0 7…を、 円環状の焼結体 2 3 1の径方向に沿って上記外壁部 2 0 6の 外周面から軸孔 2 0 8に達するように切削加工等によって形成し、 焼結体 2 3 1 を扇型のブロック状に分割して互いに絶縁されたセグメント 2 0 3…とすること により、 上記構成のカーボンコミテ一夕 2 0 1が製造される。
しかるに、 このようにして製造されるカーボンコミテ一夕 2 0 1においては、 ブラシとの摺動部とされるセグメント 2 0 3…の先端面 2 0 3 aがカーボン層 2 1 0によって形成されているので、 アルコール含有量の多い燃料のインタンク式 燃料ポンプのモータに使用しても、 セグメント 2 0 3が浸食されたり、 燃料が変 質したりすることがない。 また、 その一方で、 導電性端子部材としてのライザ片 2 0 4の周囲に設けられるセグメント 2 0 3の金属層 2 1 1が銅および錫を焼結 して成るものであって、 この金属層 2 1 1が上述のように液相焼結を生じてライ ザ片 2 0 4と合金化する。 そして、 この金属層 2 1 〗 と上記カーボン層 2 1 0と の間には、 カーボンおよび銅より成る中間層 2 1 2が設けられており、 上述のよ うにこの中間層 2 1 2のカーボンがカーボン層 2 1 0と結合するとともに金属層 2 1 1の液相焼結が該中間層 2 1 2の銅にまで及ぶことにより、 カーボン層 2 1 0と金属層 2 1 1 とが中間層 2 1 2を介して一体化されるので、 セグメント 2 0 3とライザ片 2 0 4とを電気的、 機械的に確実かつ強固に一体接合することがで さる。
また、 こうして金属層 2 1 1が液相焼結することにより、 その溶解再析出過程 において粒子の再配列が生じ、 これによつてライザ片 2 0 4 (ライザ素片 2 2 3 ) の熱膨張による応力が緩和されるとともに、 このライザ素片 2 2 3の熱膨張 や収縮に関わらず、 液相が常にライザ素片 2 2 3の周囲の隙間を埋めるように作 用する。 その一方で、 この金属層 2 1 1と上記カーボン層 2 1 0との間に介装さ れる上記中間層 2 1 2により、 例えば上記圧粉成形体 3 0の焼結中にカーボン層 2 1 0と金属層 2 1 1との収縮、 膨張の割合の相違によって両者の間に熱応力が 生じたりしても、 これを中間層 2 1 2によって緩和することができるので、 カー ボン層 2 1 0と中間層 2 1 2との間や中間層 2 1 2と金属層 2 1 1との間に剥離 等が生じるのを防ぐことができる。 これは、 特に上記焼結温度が 8 5 0〜9 0 0 °C程度の比較的高い場合に有効である。 従って、 上記構成のカーボンコミテ一夕 2 0 1によれば、 このように焼結温度が高い場合であっても、 従来のような不完 全な接合によってセグメント 2 0 3…同士の間で電気的抵抗値にばらつきが生じ たり、 使用中にセグメント 2 0 3とライザ片 2 0 4との間に接触不良を生じたり するような事態を未然に防止することができ、 たとえ上述したようなアルコール を含む燃料中等においても、 コミテ一夕として長期に渡って安定かつ優れた性能 を得ることが可能となる。
ところで、 本実施形態では、 上記中間層 2 1 2におけるカーボンの含有率を 1 0〜4 O wt %の範囲としているが、 この中間層 2 1 2のカーボンの含有率が少な すぎると、 焼結の際にカーボン層 2 1 0と結合する中間層 2 1 2のカーボン成分 も少なくなるため、 これらカーボン層 2 1 0と中間層 2 1 2との間で剥離が生じ やすくなリ、 逆に中間層 2 1 2のカーボン含有率が多すぎて銅の含有率が少なく なると、 上記金属層 2 1 1と液相焼結する中間層 2 1 2の銅成分も少なくなるの で、 これら金属層 2 1 1 と中間層 2 1 2との間で剥離が生じやすくなる。 例えば、 図 2 7は、 この中間層 2 1 2におけるカーボン含有率以外は上記実施形態のセグ メン卜 2 0 3と同様に焼結した図 2 8に示すようなテス卜ピース 2 4 1を図中矢 印方向に引っ張った際に、 カーボン層 2 1 0と中間層 2 1 2との間、 または金属 層 2 1 1 と中間層 2 1 2との間に剥離が生じたときの引っ張り荷重 (剥がし強 度) を、 上記中間層 2 1 2におけるカーボンの含有率を変化させて測定したもの である。 ただし、 このテス卜ピース 2 4 1 において符号 2 4 2で示すのは、 ライ ザ片に見立てた銅板である。
しかるに、 この図 2 7に示されるように、 中間層 2 1 2におけるカーボン含有 率が 1 0〜4 O wt %で剥がし強度が増大している。 ここで、 このカーボン含有率 が 1 0 \^ %以下の場合には、 カーボン含有率が増大するに従い剥がし強度も増大 しているが、 カーボン含有率が 1 0 >^ %以上の場合には、 カーボン含有率が増大 するに従い剥がし強度は緩やかに減少する傾向を示している。 また、 カーボン含 有率が少ないうちはカーボン層 2 1 0と中間層 2 1 2との間でテス卜ピース 2 4 1が剥離していたのに対し、 カーボン含有率が増大すると金属層 2 1 1 と中間層 2 1 2との間での剥離が生じることが認められた。 従って、 上記図 2 7の結果か らも、 中間層 2 1 2におけるカーボンの含有率は、 本実施形態のように 1 0〜4 0^ %の範囲とされるのが望ましい。
なお、 本実施形態では上記金属層 2 1 1における銅と錫との重量比を 9 0 : 1 0としているが、 この重量比において錫成分の比率が大きくなりすぎると、 焼結 中に銅と錫との金属間化合物的な脆い相が金属層 2 1 1に形成されてしまい、 こ れによりセグメント 2 0 3とライザ片 2 0 4との確実な接合が阻害されるおそれ があるとともに、 焼結温度によっては金属層 2 1 1の錫成分の濃度が銅錫合金系 における安定な a固溶体中の錫濃度の上限を越えてしまうおそれがある。 また、 逆に錫成分の比率が小さくなりすぎても、 溶融した錫が、 粒径が小さく合金化し 易い銅粉末粒子と優先的に合金化してしまい、 その分ライザ素片 2 2 3と合金化 する割合が少なくなつて、 やはりセグメント 2 0 3とライザ片 2 0 4との良好な 接合性が損なわれるおそれがる。 そこで、 かかるカーボンコミテ一夕 2 0 1にお いてセグメント 2 0 3とライザ片 2 0 4との間に与えられるべき十分な剥がし強 度と、 銅錫合金において液相焼結を生じる 8 0 0 °C付近での安定した α固溶体の 錫成分濃度の上限値が 1 3 . 5 wt %であることとから、 上記金属層 2 1 〗におけ る銅と錫との重量比は、 本実施形態のように 9 8 . 0 : 2 . 0〜8 6 . 5 : 1 3 . 5の範囲に設定されるのが望ましく、 より望ましくは 9 5 . 0 : 5 . 0 - 9 0 . 0 : 1 0 . 0の範囲に設定される。
一方、 このようなカーボンコミテ一夕 2 0 1を製造するに際して、 本実施形態 の製造方法では、 カーボン粉末より成るカーボン粉末層 2 2 6と、 カーボンおよ び銅の混合粉末よリ成る第 1の混合粉末層 2 2 7と、 銅および錫の混合粉末より 成る第 2の混合粉末層 2 2 8とを層状に圧粉成形してライザ片素板 2 2 1を備え た圧粉成形体 2 3 0を形成し、 この圧粉成形体 2 3 0を 8 2 5 °C前後で焼結して 焼結体 2 3 1とし、 セグメント 2 0 3…に成形しているが、 このときの焼結温度 が低すぎると上述の液相焼結が十分に促進されずに、 合金化によるセグメント 2 0 3とライザ片 2 0 4との良好な接合性が損なわれるおそれが生じる。 また、 逆 に焼結温度が高すぎると、 溶融した鍚の液相に溶け込む銅成分が増大して液相の 量が多くなりすぎ、 焼結中にこの液相がライザ素片 2 2 3を伝わって流れ出した りして焼結体 2 3 1の形状自体を維持できなくなったりするおそれが生じる。 こ のため、 本実施形態の製造方法のように、 カーボン粉末層 2 2 6と第 1、 第 2の 混合粉末層 2 2 7, 2 2 8とを有する圧粉成形体 2 3 0を焼結してセグメント 2 0 3を得る場合には、 その焼結温度は上述の通り 8 0 0〜8 5 0 °Cの範囲に設定 されるのが望ましい。 ただし、 本実施形態のカーボンコミテ一夕 2 0 1では、 上記中間層 2 1 2によ つて焼結時のカーボン層 2 1 0と金属層 2 1 1との間の熱応力が緩和されるので、 例えば上記第 2の混合粉末層 2 2 8のカーボンと銅との配合比 (カーボンの含有 率) を調整するなどして、 焼結体 2 3 1の形状を十分に維持できる条件とした場 合には、 8 5 0〜9 0 0 °C程度の高温で圧粉成形体 2 3 0を焼結して焼結体 2 3 1を得ることも可能であり、 このように高温で焼結された焼結体 2 3 1では、 金 属層 2 1 1の液相焼結が促進されてライザ片 2 0 4 (ライザ素片 2 2 3 ) との接 合性が向上するのは勿論、 中間層 2 1 2とカーボン層 2 1 0および金属層 2 1 1 との接合性の向上と上述した中間層 2 1 2による熱応力の緩和効果とにより、 剥 がし強度をさらに増強させることが可能となる。 ちなみに、 上記実施形態におい て成形された圧粉成形体 2 3 0と、 これと同じ組成のカーボン粉末層 2 2 6と第 2の混合粉末層 2 2 8とを中間層 2 1 2となる第 1の混合粉末層 2 2 7を介さず に直接積層した圧粉成形体とを、 上述したような条件の下で 8 5 0 °Cで焼結した 場合、 後者の圧粉成形体を焼結した焼結体の剥がし強度は 6 . 6 kg f であったの に対し、 上記圧粉成形体 3 0の焼結体の剥がし強度は 1 5 . 7 kg f であり、 剥が し強度の大幅な向上が認められた。
さらに、 このような圧粉成形体 2 3 0を形成するに際しては、 上述のように、 まず圧粉成形型 2 2 5に、 上記カーボン粉末層 2 2 6および第 2の混合粉末層 2 2 8の一方 (本実施形態ではカーボン粉末層 2 2 6 ) を形成し、 これを仮押しし てその層の厚さを均一にし、 次いでその上に上記第 1の混合粉末層 2 2 7を形成 して再び仮押しすることにより層厚を均一にし、 しかる後上記力一ボン粉末層 2 2 6および第 2の混合粉末層 2 2 8の他方 (本実施形態では混合粉末層 2 2 7 ) を形成して圧粉成形するのが望ましい。 しかるに、 このような構成を採ることに より、 焼結後におけるセグメント 2 0 3のカーボン層 2 1 0および金属層 2 1 1 の層厚を均一にすることができるので、 例えばブラシとの摺動部とされる上記セ グメン卜 2 0 3の先端面 2 0 3 aに摩耗が生じた場合などに、 カーボン層 2 1 0 の厚さの不均一により金属層 2 1 1が部分的に露出してしまうような事態を未然 に防止することができ、 このような金属層 2 1 1の露出によってカーボンコミテ 一夕 2 0 1の寿命が短縮されるのを防ぐことができる。 ただし、 本実施形態のよ うに先に形成されたカーボン粉末層 2 2 6を仮押しして層厚を均一にした場合に は、 これにより焼結後のカーボン層 2 1 0の厚さも均一となるので、 その後の第 1の混合粉末層 2 2 7の仮押しは省略してもよい。
なお、 本実施形態では初めにカーボン粉末層 2 2 6を形成して仮押しした後に 第 1、 第 2の混合粉末層 2 2 7 , 2 2 8を形成しているが、 例えば圧粉成形型 2 2 5の底面側に上記ライザ片素板 2 2 1を配置しておいて、 最初に銅および錫粉 末を充填して第 2の混合粉末層 2 2 8を形成し、 これを仮押しして層厚を均一に した後に、 カーボンおよび銅粉末を充填して第 1の混合粉末層 2 2 7を形成し、 さらにその上にカーボン粉末等を充填してカーボン粉末層 2 2 6を形成し、 圧粉 成形するようにしてもよい。 また、 本実施形態ではライザ素片 2 2 3の周りに金 属層 2 1 1となる第 2の混合粉末層 2 2 8を形成したが、 ライザ素片 2 2 3の力 —ボン粉末層 2 2 6側の面のみにこの第 2の混合粉末層 2 2 8を形成して金属層 2 1 1を形成するようにしてもよく、 このような構成を採ることにより、 セグメ ン卜 2 0 3をより薄く形成できるという利点が得られる。
さらに、 本実施形態の製造方法では、 上述のようにライザ素片 2 2 3…が連結 されたライザ片素板 2 2 1に円環状に圧粉成形体 2 3 0を圧粉成形して焼結し、 こうして得られた円環状の焼結体 2 3 1に絶縁樹脂製のボス部 2 0 2を加圧成形 した上でスリツ卜 2 0 7…を形成することにより、 互いに絶縁されたセグメン卜 2 0 3…を成形するようにしているが、 例えば初めから独立したライザ素片 2 2 3に扇形ブロック状に圧粉成形体 3 0を成形し、 これを焼結したセグメント 2 0 3を間隔をあけて複数環状に配列した上で絶縁性樹脂を加圧成形してボス部 2 0 2を形成し、 これらのセグメント 2 0 3…を一体化してカーボンコミテ一夕 2 0 1を製造するようにしてもよい。 また、 円環状の圧粉成形体 3 0を焼結して円環 状の焼結体 2 3 1を得る代わりに、 中実の円板状の圧粉成形体から中実円板状の 焼結体を焼結し、 その中央に貫通孔を形成するとともに扇形に分割してセグメン 卜 2 0 3…を形成するようにしてもよい。
一方、 本実施形態のカーボンコミテ一夕 2 0 1においては、 セグメント 2 0 3 の後端面 3 bからライザ片 2 0 4の他端部 4 cが垂直に突出してボス部 2 0 2の 先端面 2 aに食い込んでおり、 これによつてボス部 2 0 2とセグメント 2 0 3と の接合強度が確保されているが、 ボス部 2 0 2の加圧成形前にこの他端部 4 cを 例えば外周側に斜めに折り曲げるなどしておけば、 接合強度の向上を図ることが できる。 また、 このようにライザ片 2 0 4の他端部 2 0 4 cを突出させることな く、 もしくはこれに加えて、 ボス部 2 0 2の成形前に、 セグメント 2 0 3…の内 外周側面に凹溝を形成したり、 あるいはこれら内外周側面とセグメント 2 0 3の 先端面 3 aとの稜線部の面取りを施したりした上で、 樹脂を加圧成形してボス部 2 0 2を形成することにより、 この凹溝や面取りの部分に樹脂が回り込んでセグ メン卜 2 0 3がボス部 2 0 2に係止されるので、 一層の接合強度の向上を促すこ とができる。
さらに、 本実施形態の力一ボンコミテ一夕 2 0 1では、 上記中間層 2 1 2を力 一ボンの含有率が均一な一つの層として形成しているが、 例えばこの中間層 2 1 2におけるカーボンの含有率を、 金属層 2 1 1側からカーボン層 2 1 0側に向か うに従い漸次連続的に多くなるようにしたり、 あるいはこの中間層 2 1 2を、 金 属層 2 1 1側からカーボン層 2 1 0側に向かうに従いカーボン含有率が段階的に 多くなる複数の層によって構成するようにしてもよい。 しかして、 このような構 成を採ることにより、 カーボン含有率が高い中間層 2 1 2のカーボン層 2 1 0側 では、 焼結の際のカーボン同士の接合性が向上される一方、 カーボン含有率が低 く、 すなわち銅の含有率が高い中間層 2 1 2の金属層 2 1 1側では、 金属層 2 1 1における液相焼結がより広く中間層 2 1 2に拡散するので、 カーボン層 2 1 0、 金属層 2 1 1、 および中間層 2 1 2をより確実に一体化することができる。 また、 本実施形態では、 本発明のカーボンコミテ一夕をインタンク式の燃料ポンプのモ 一夕に用いる場合について説明したが、 このようなものに限らず、 他の種のモー 夕のコミテ一夕として使用することも、 勿論可能である。 さらにまた、 本実施形 態のカーボンコミテ一夕 2 0 1は扁平形構造をなしているが、 一般的な円柱形の コミテ一夕に本発明を適用することも、 勿論可能である。 産業上の利用可能性
本発明によれば、 セグメントの摺動部がカーボン層により形成されていて、 ァ ルコールを含む燃料中でもセグメントの浸食等を防ぐことができる一方、 上記力 一ボン層と導電性端子部材との間には銅および導電性端子部材と合金化可能な物 質、 例えば錫を焼結して成る金属層が設けられており、 この金属層を焼結する際 に銅および錫が液相焼結を起こしてカーボン層および導電性端子部材と電気的、 機械的に確実に一体接合されるので、 セグメント同士で電気的抵抗値にばらつき を生じたり、 セグメントと導電性端子部材とが接触不良を起こしたりするのを防 いで、 長期に渡って安定かつ優れた性能を奏するカーボンコミテ一夕を提供する ことができる。
また、 本発明によれば、 セグメントの摺動部がカーボン層により形成されてい て、 アルコールを含む燃料中でもセグメントの浸食等を防ぐことができる一方、 上記カーボン層と導電性端子部材との間には、 カーボン、 銅、 および導電性端子 部材と合金化可能な物質、 例えば錫を焼結して成る金属層が設けられており、 こ の金属層を焼結する際に銅および錫が液相焼結を起こしてカーボン層および導電 性端子部材と電気的、 機械的に確実に一体接合されるので、 セグメン卜同士で電 気的抵抗値にばらつきを生じたり、 セグメントと導電性端子部材とが接触不良を 起こしたりするのを防いで、 長期に渡って安定かつ優れた性能を奏するカーボン コミテ一夕を提供することができる。 また、 金属層に含まれるカーボンによって、 カーボン層との間にアンカー効果が奏されるとともに、 焼結時の金属層における 熱応力が緩和されるので、 金属層とカーボン層および導電性端子部材との剥離等 を確実に防いで電気的、 機械的接合性の一層の向上を図ることができる。 さらに、 こうして金属層中に力一ボンが含まれることにより、 セグメントにスリッ卜加工 等を行う際の加工性の向上も図られるとともに、 焼結の際に銅および錫が上述の ように液相を生じても焼結体の形状を安定させることができる。
さらに、 本発明によれば、 セグメントの摺動部がカーボン層により形成されて いて、 アルコールを含む燃料中でもセグメントの浸食等を防ぐことができる一方、 上記カーボン層と導電性端子部材との間には銅および導電性端子部材と合金化可 能な物質、 例えば錫を焼結して成る金属層が設けられており、 この金属層を焼結 する際に銅および錫が液相焼結を起こして導電性端子部材と電気的、 機械的に確 実に一体接合されるので、 セグメント同士で電気的抵抗値にばらつきを生じたり、 セグメントと導電性端子部材とが接触不良を起こしたりするのを防いで、 長期に 渡って安定かつ優れた性能を奏するカーボンコミテ一夕を提供することができる c そして、 さらにこの金属層と上記カーボン層との間には、 カーボンおよび銅より 成る中間層が介装されており、 焼結時にこの中間層のカーボンが上記カーボン層 と結合するとともに、 金属層の液相焼結が中間層の銅にまで及び、 しかもカーボ ン層と金属層との間に作用する熱応力がこの中間層によって緩和されるので、 セ グメン卜における剥離等を確実に防いで一層安定した電気的、 機械的接合性を確 保することができる。

Claims

請求の範囲
1. 一端がブラシとの摺動部とされるとともに他端側には導電性端子部材が固着 された複数のセグメントが、 絶縁性のボス部に互いに絶縁された状態で環状に配 列され、 上記セグメントの摺動部側にはカーボン層が形成される一方、 上記カー ボン層と導電性端子部材との間には、 上記導電性端子部材の主成分となる物質と 該物質と合金化可能な物質を焼結して成る金属層が設けられていることを特徴と するカーボンコミテ一夕。
2. 上記金属層が上記導電性端子部材の主成分となる物質と該物質よリも融点の 低い物質を焼結して成ることを特徴とする請求項 1 に記載の力一ボンコミテ一夕。
3. 上記金属層が銅および錫を焼結して成ることを特徴とする請求項 1 に記載の カーボンコミテ一夕。
4. 上記金属層における銅と錫との重量比が、 98. 0 : 2. 0〜86. 5 : 1 3. 5の範囲に設定されていることを特徴とする請求項 3に記載のカーボンコミ テ一夕。
5. 上記金属層における銅と錫との重量比が、 95. 0 : 5. 0〜90. 0 : 1 0. 0の範囲に設定されていることを特徴とする請求項 3に記載のカーボンコミ テ一夕。
6. 請求項 1 に記載のカーボンコミテ一夕の製造方法であって、 上記カーボン層 を形成するカーボン粉末と上記金属層を形成する物質の混合粉末とのうち、 一方 を圧粉成形型に充填して圧縮した後に他方を充填して圧粉成形することによリ圧 粉成形体を形成し、 この圧粉成形体を焼結して上記セグメントを形成することを 特徴とするカーボンコミテ一夕の製造方法。
7. 請求項 1 に記載のカーボンコミテ一夕の製造方法であって、 上記カーボン層 を形成するカーボン粉末と上記金属層を形成する銅および錫の混合粉末とを圧粉 成形した圧粉成形体を、 800〜850°Cで焼結することにより上記セグメント を形成することを特徴とするカーボンコミテ一夕の製造方法。
8. 上記金属層が、 カーボン、 上記導電性端子部材の主成分となる物質および該 物質と合金化可能な物質を焼結して成ることを特徴とする請求項 1に記載の力一 ボンコミテ一夕。
9. 上記金属層が、 カーボン、 上記導電性端子部材の主成分となる物質および該 物質よリも融点の低い物質を焼結して成ることを特徴とする請求項 1に記載の力 一ボンコミテ一夕。
1 0. 上記金属層が、 カーボン、 銅、 および錫を焼結して成る金属層であること を特徴とする請求項 8に記載のカーボンコミテ一夕。
1 1. 上記金属層におけるカーボンの含有率が 2~25wt%の範囲に設定されて いることを特徴とする請求項 8に記載のカーボンコミテ一夕。
1 2. 上記金属層におけるカーボンの含有率が 1 0~20wt%の範囲に設定され ていることを特徴とする請求項 8に記載のカーボンコミテ一夕。
1 3. 上記金属層における銅と錫との重量比が、 98. 0 : 2. 0-86. 5 :
1 3. 5の範囲に設定されていることを特徴とする請求項 8ないし請求項 1 2の いずれかに記載のカーボンコミテ一夕。
1 4. 上記金属層における銅と錫との重量比が、 95. 0 : 5. 0〜90. 0 : 1 0. 0の範囲に設定されていることを特徴とする請求項 8ないし請求項〗 3の いずれかに記載のカーボンコミテ一夕。
1 5 . 請求項 8に記載のカーボンコミテ一夕の製造方法であって、 上記カーボン 層を形成する力一ボン粉末と上記金属層を形成するカーボン、 上記導電性端子部 材の主成分となる物質および該物質と合金化可能な物質との混合粉末とのうち、 一方を圧粉成形型に充填して圧縮した後に他方を充填して圧粉成形することによ り圧粉成形体を形成し、 この圧粉成形体を焼結して上記セグメントを形成するこ とを特徴とするカーボンコミテ一夕の製造方法。
1 6 . 請求項 1 0に記載のカーボンコミテ一夕の製造方法であって、 上記カーボ ン層を形成するカーボン粉末と上記金属層を形成するカーボン、 銅、 および錫の 混合粉末とを圧粉成形した圧粉成形体を、 8 0 0〜8 5 0 °Cで焼結することによ り上記セグメントを形成することを特徴とするカーボンコミテ一夕の製造方法。
1 7 . 上記金属層と上記カーボン層との間には、 カーボンおよび上記導電性端子 部材の主成分となる物質から成る中間層が設けられていることを特徴とする請求 項 1に記載のカーボンコミテ一夕。
1 8 . 上記中間層におけるカーボンの含有率が 1 0〜4 O wt %の範囲に設定され ていることを特徴とする請求項 1 7に記載のカーボンコミテ一夕。
1 9 . 上記中間層におけるカーボンの含有率が、 上記金属層側からカーボン層側 に向かうに従い多くなるように設定されていることを特徴とする請求項 1 7に記 載のカーボンコミテ一夕。 補正書の請求の範囲
[1 998年 1 1月 25日 (25· 1 1. 98) 国際事務局受理:出願当初の請求の範囲 6 及び 1 5は補正された;新しい請求の範囲 20— 23が加えられた;他の請求の範囲は変更 なし。 (3頁) ]
1. 一端がブラシとの摺動部とされるとともに他端側には導電性端子部材が固着 された複数のセグメン卜が、 絶縁性のボス部に互いに絶縁された状態で環状に配 列され、 上記セグメントの摺動部側にはカーボン層が形成される一方、 上記カー ボン層と導電性端子部材との間には、 上記導電性端子部材の主成分となる物質と 該物質と合金化可能な物質を焼結して成る金属層が設けられていることを特徴と するカーボンコミテ一夕。
2. 上記金属層が上記導電性端子部材の主成分となる物質と該物質よりも融点の 低い物質を焼結して成ることを特徴とする請求項 1 に記載のカーボンコミテ一夕。
3. 上記金属層が銅および錫を焼結して成ることを特徴とする請求項 1 に記載の カーボンコミテ一夕。
4. 上記金属層における銅と錫との重量比が、 98. 0 : 2. 0〜86. 5 : 1 3. 5の範囲に設定されていることを特徴とする請求項 3に記載のカーボンコミ テータ。
5. 上記金属層における銅と錫との重量比が、 9 5. 0 : 5. 0-90. 0 : 1 0. 0の範囲に設定されていることを特徴とする請求項 3に記載のカーボンコミ テータ。
6. 請求項 1 に記載のカーボンコミテ一夕の製造方法であって、 上記カーボン層 を形成するカーボン粉末と上記金属層を形成する物質の混合粉末とのうち、 一方 を圧粉成形型に充填した後に他方を充填して圧粉成形することにより圧粉成形体 を形成し、 この圧粉成形体を焼結して上記セグメントを形成することを特徴とす るカーボンコミテ一夕の製造方法。
補正された用紙 (条約第 19条)
1 5 . 請求項 8に記載の力一ボンコミテ一夕の製造方法であって、 上記カーボン 層を形成するカーボン粉末と上記金属層を形成するカーボン、 上記導電性端子部 材の主成分となる物質および該物質と合金化可能な物質との混合粉末とのうち、 一方を圧粉成形型に充填した後に他方を充填して圧粉成形することによリ圧粉成 形体を形成し、 この圧粉成形体を焼結して上記セグメントを形成することを特徴 とするカーボンコミテ一夕の製造方法。
1 6 . 請求項 1 0に記載のカーボンコミテ一夕の製造方法であって、 上記カーボ ン層を形成するカーボン粉末と上記金属層を形成するカーボン、 銅、 および錫の 混合粉末とを圧粉成形した圧粉成形体を、 8 0 0〜8 5 0 °Cで焼結することによ り上記セグメントを形成することを特徴とするカーボンコミテ一夕の製造方法。
1 7 . 上記金属層と上記カーボン層との間には、 カーボンおよび上記導電性端子 部材の主成分となる物質から成る中間層が設けられていることを特徴とする請求 項 1に記載のカーボンコミテ一夕。
1 8 . 上記中間層におけるカーボンの含有率が 1 0〜4 0 wt %の範囲に設定され ていることを特徴とする請求項 1 7に記載のカーボンコミテ一夕。
1 9 . 上記中間層におけるカーボンの含有率が、 上記金属層側からカーボン層側 に向かうに従い多くなるように設定されていることを特徴とする請求項 1 7に記 載のカーボンコミテ一夕。
2 0 . 請求項 6に記載のカーボンコミテ一夕の製造方法であって、 上記カーボン 層を形成するカーボン粉末と上記金属層を形成する物質の混合粉末とのうち、 一 方を圧粉成形型に充填した後、 圧縮してから他方を充填することを特徴とする力 一ボンコミテ一夕の製造方法。
捕正された用紙 (条約第 19条)
2 1 . 請求項 1 5に記載のカーボンコミテ一夕の製造方法であって、 上記カーボ ン層を形成するカーボン粉末と上記金属層を形成するカーボン、 上記導電性端子 部材の主成分となる物質および該物質と合金化可能な物質との混合粉末とのうち 一方を圧粉成形型に充填した後に、 圧縮してから他方を充填することを特徴とす るカーボンコミテ一夕の製造方法。
2 2 . 請求項 1 7に記載のカーボンコミテ一夕の製造方法であって、 上記カーボ ン層を形成するカーボン粉末と上記金属層を形成する上記導電性端子部材の主成 分となる物質および該物質と合金化可能な物質との混合粉末とのうち一方を圧粉 成形型に充填した後に、 上記中間層を形成するカーボンおよび上記導電性端子部 材の主成分となる物質の混合粉末を充填し、 次いでカーボン粉末と上記導電性端 子部材の主成分となる物質および該物質と合金化可能な物質との混合粉末の他方 を充填して圧粉成形することにより圧粉成形体を形成し、 この圧粉成形体を焼成 して上記セグメントを形成することを特徴とするカーボンコミテ一夕の製造方法。
2 3 . 請求項 2 2に記載のカーボンコミテ一夕の製造方法であって、 上記カーボ ン層を形成するカーボン粉末と上記金属層を形成する、 上記導電性端子部材の主 成分となる物質および該物質と合金化可能な物質との混合粉末とのうち一方を圧 粉成形型に充填して圧縮した後に、 上記中間層を形成するカーボンおよび上記導 電性端子部材の主成分となる物質の混合粉末を充填して圧縮し、 次いでカーボン 粉末と上記導電性端子部材の主成分となる物質および該物質と合金化可能な物質 との混合粉末の他方を充填することを特徴とするカーボンコミテ一夕の製造方法。
補正された用紙 (条約第 19条)
PCT/JP1998/003284 1997-06-08 1998-07-23 Commutateur au carbone et son procede de production WO1999008367A1 (fr)

Priority Applications (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US09/485,183 US6222298B1 (en) 1997-06-08 1998-07-22 Carbon commutator and method for producing the same
CA002299473A CA2299473C (en) 1997-08-06 1998-07-23 Carbon commutator and method of producing the same
DE69837849T DE69837849T2 (de) 1997-08-06 1998-07-23 Kohlekommutator und verfahren zu dessen herstellung
BR9811084-5A BR9811084A (pt) 1997-08-06 1998-07-23 Comutador de carbono e método para a produção do mesmo
JP2000506714A JP4177958B2 (ja) 1997-08-06 1998-07-23 カーボンコミテータ、およびカーボンコミテータの製造方法
EP98933899A EP1003269B1 (en) 1997-08-06 1998-07-23 Carbon commutator and method of producing the same
KR10-2000-7000576A KR100484407B1 (ko) 1997-08-06 1998-07-23 탄소 정류자 및 이의 제조 방법

Applications Claiming Priority (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21232897 1997-08-06
JP9/212328 1997-08-06
JP9/243159 1997-09-08
JP24315997 1997-09-08
JP9/274862 1997-10-07
JP27486297 1997-10-07

Publications (1)

Publication Number Publication Date
WO1999008367A1 true WO1999008367A1 (fr) 1999-02-18

Family

ID=27329347

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
PCT/JP1998/003284 WO1999008367A1 (fr) 1997-06-08 1998-07-23 Commutateur au carbone et son procede de production

Country Status (8)

Country Link
US (1) US6222298B1 (ja)
EP (1) EP1003269B1 (ja)
JP (1) JP4177958B2 (ja)
KR (1) KR100484407B1 (ja)
BR (1) BR9811084A (ja)
CA (1) CA2299473C (ja)
DE (1) DE69837849T2 (ja)
WO (1) WO1999008367A1 (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002027710A (ja) * 2000-07-05 2002-01-25 Denso Corp 整流子
JP2002338378A (ja) * 2001-05-10 2002-11-27 Mitsuba Corp カーボン基材およびその製造方法
JP2002369454A (ja) * 2001-06-05 2002-12-20 Denso Corp 燃料ポンプ用直流電動機の通電部材とその製造方法および燃料ポンプ
US6787613B2 (en) 2001-01-25 2004-09-07 Novamont S.P.A. Ternary mixture of biodegradable polyesters and products obtained therefrom
JP2006121801A (ja) * 2004-10-20 2006-05-11 Hitachi Chem Co Ltd カーボン整流子の製造法
US7148602B2 (en) 2003-11-07 2006-12-12 Totankako Co., Ltd. Commutator
DE102012201351A1 (de) 2011-01-31 2012-08-02 Denso Corporation Kohlekommutator und ein Verfahren zur Herstellung desselben
WO2019188168A1 (ja) * 2018-03-28 2019-10-03 トライス株式会社 コンミュテータ及びその製造方法

Families Citing this family (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE60136877D1 (de) * 2000-02-22 2009-01-22 Denso Corp Verfahren zu Herstellung einer Mehrschicht-Bürste für eine rotierende elektrische Maschine
JP2001268855A (ja) * 2000-03-23 2001-09-28 Denso Corp 整流子及びその製造方法
US6833650B2 (en) * 2000-06-08 2004-12-21 Denso Corporation Plane commutator of motor having a base made of conductive powder
GB0015913D0 (en) * 2000-06-30 2000-08-23 Johnson Electric Sa Star connected rotor
CN1253992C (zh) * 2001-02-28 2006-04-26 三菱电机株式会社 回转电机的通电基板
DE10201923B4 (de) * 2002-01-19 2006-05-24 Deutsche Carbone Ag Verfahren zur Herstellung eines Gleitkontaktstücks für mittlere bis hohe Stromdichten
GB0211441D0 (en) * 2002-05-18 2002-06-26 Johnson Electric Sa Improvements in or relating to commutators
DE10356080A1 (de) * 2003-12-01 2005-06-23 Siemens Ag Kraftstoffpumpe
US20090010784A1 (en) * 2007-07-06 2009-01-08 Mbs Engineering, Llc Powdered metals and structural metals having improved resistance to heat and corrosive fluids and b-stage powders for making such powdered metals
CN101924315B (zh) * 2009-06-16 2014-09-03 德昌电机(深圳)有限公司 换向器及其制造方法
DE102009057063A1 (de) * 2009-12-04 2011-06-09 Kolektor Group D.O.O. Verfahren zur Herstellung eines Plankommutators sowie Plankommutator
CN102201637B (zh) * 2010-03-26 2015-11-25 德昌电机(深圳)有限公司 换向器及其制造方法
CN102891414B (zh) * 2011-07-18 2016-04-13 德昌电机(深圳)有限公司 换向器组件及有刷电机
RU2560490C2 (ru) * 2013-12-27 2015-08-20 Федеральное государственное бюджетное образовательное учреждение высшего профессионального образования "Южно-Уральский государственный университет" (национальный исследовательский университет) (ФГБОУ ВПО "ЮУрГУ" (НИУ)) Способ изготовления электроугольных изделий
CN104979731A (zh) * 2014-04-02 2015-10-14 德昌电机(深圳)有限公司 电机换向器、含碳制品及其制造方法
CN107204557A (zh) * 2016-03-17 2017-09-26 德昌电机(深圳)有限公司 换向器、使用该换向器的电机及换向器的制备方法
CN113346317B (zh) * 2021-04-08 2022-07-08 浙江利丰电器股份有限公司 一种换向器压注成型模具

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS52124107A (en) * 1976-04-09 1977-10-18 Lucas Industries Ltd Generator brushes and method of manufacturing it
JPS5311641B1 (ja) * 1968-05-23 1978-04-24
JPH08308183A (ja) * 1995-05-01 1996-11-22 Nanshin Seiki Seisakusho:Kk カーボン整流子
JPH09111372A (ja) * 1995-10-12 1997-04-28 Mitsuba Corp 燃料給送ポンプに使用されるモータの整流子用銅合金

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5311641A (en) 1976-07-16 1978-02-02 Masao Sakurai Driving unit for model vehicle
US5175463A (en) 1989-08-07 1992-12-29 Kirkwood Industries Carbon commutator
US5400496A (en) * 1990-07-13 1995-03-28 Robert Bosch Gmbh Method of making a planar collector
DE4028420A1 (de) * 1990-09-07 1992-03-12 Kautt & Bux Kg Plankommutator und verfahren zu seiner herstellung
JP3313509B2 (ja) * 1994-04-25 2002-08-12 株式会社ミツバ コミテータ
JPH08126258A (ja) 1994-10-25 1996-05-17 Nanshin Seiki Seisakusho:Kk 整流子
DE19525584A1 (de) 1995-07-13 1997-01-16 Kautt & Bux Commutator Gmbh Verfahren zur Herstellung eines Plankommutators
JPH0946978A (ja) 1995-07-28 1997-02-14 Mitsuba Corp コミテータおよびその製造方法
US5925962A (en) * 1995-12-19 1999-07-20 Walbro Corporation Electric motor commutator
US5925961A (en) * 1996-04-05 1999-07-20 Sugiyama Seisakusyo Co., Ltd. Plane carbon commutator and its manufacturing method
JPH10174375A (ja) 1996-12-09 1998-06-26 Denso Corp 整流子およびその製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5311641B1 (ja) * 1968-05-23 1978-04-24
JPS52124107A (en) * 1976-04-09 1977-10-18 Lucas Industries Ltd Generator brushes and method of manufacturing it
JPH08308183A (ja) * 1995-05-01 1996-11-22 Nanshin Seiki Seisakusho:Kk カーボン整流子
JPH09111372A (ja) * 1995-10-12 1997-04-28 Mitsuba Corp 燃料給送ポンプに使用されるモータの整流子用銅合金

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
See also references of EP1003269A4 *

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002027710A (ja) * 2000-07-05 2002-01-25 Denso Corp 整流子
US6787613B2 (en) 2001-01-25 2004-09-07 Novamont S.P.A. Ternary mixture of biodegradable polyesters and products obtained therefrom
JP4718718B2 (ja) * 2001-05-10 2011-07-06 株式会社ミツバ カーボン基材の製造方法
US6682693B1 (en) 2001-05-10 2004-01-27 Mitsuba Corporation Carbon base member and process for producing the same
JP2002338378A (ja) * 2001-05-10 2002-11-27 Mitsuba Corp カーボン基材およびその製造方法
JP2002369454A (ja) * 2001-06-05 2002-12-20 Denso Corp 燃料ポンプ用直流電動機の通電部材とその製造方法および燃料ポンプ
JP4596404B2 (ja) * 2001-06-05 2010-12-08 株式会社デンソー 燃料ポンプ用直流電動機の通電部材とその製造方法および燃料ポンプ
DE10224738B4 (de) * 2001-06-05 2011-07-28 DENSO CORPORATION, Aichi-pref. Stromführendes Element für einen Gleichstrommotor bei einer Kraftstoffpumpe, Verfahren zum Herstellen von selbigem und Kraftstoffpumpe
US7148602B2 (en) 2003-11-07 2006-12-12 Totankako Co., Ltd. Commutator
JP2006121801A (ja) * 2004-10-20 2006-05-11 Hitachi Chem Co Ltd カーボン整流子の製造法
JP4600744B2 (ja) * 2004-10-20 2010-12-15 日立化成工業株式会社 カーボン整流子の製造法
DE102012201351A1 (de) 2011-01-31 2012-08-02 Denso Corporation Kohlekommutator und ein Verfahren zur Herstellung desselben
US9024504B2 (en) 2011-01-31 2015-05-05 Denso Corporation Carbon commutator and a method for production thereof
WO2019188168A1 (ja) * 2018-03-28 2019-10-03 トライス株式会社 コンミュテータ及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
CA2299473C (en) 2002-10-15
DE69837849D1 (de) 2007-07-12
JP4177958B2 (ja) 2008-11-05
CA2299473A1 (en) 1999-02-18
EP1003269A4 (en) 2002-03-20
KR20010022009A (ko) 2001-03-15
DE69837849T2 (de) 2008-01-17
US6222298B1 (en) 2001-04-24
EP1003269B1 (en) 2007-05-30
KR100484407B1 (ko) 2005-04-22
EP1003269A1 (en) 2000-05-24
BR9811084A (pt) 2000-08-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO1999008367A1 (fr) Commutateur au carbone et son procede de production
JP4596404B2 (ja) 燃料ポンプ用直流電動機の通電部材とその製造方法および燃料ポンプ
KR970701609A (ko) 분할된 다이아몬드 블래이드(blade)의 제조 방법(method of manufacturing a segmented diamond blade)
JP5261369B2 (ja) 多層加熱要素
EP1255076A2 (en) Ceramic heater, glow plug using the same, and method for manufacturing the same
US8878417B2 (en) Commutator
JP3425962B2 (ja) セグメントの接合性を改善したコンミュテータ
US8847463B2 (en) Carbon brush for transmitting high currents
JP2005146412A (ja) 電気接点材料の製造方法および電気接点材料
JPH0946978A (ja) コミテータおよびその製造方法
EP1128496B1 (en) Method of manufacturing of a multi-layered brush of rotary electric machine
JPS6363092B2 (ja)
KR20060106869A (ko) 평면 정류자
JP5136840B2 (ja) 回転電機
CN110140265B (zh) 火花塞电极、火花塞和用于制造火花塞电极的方法
JP4600744B2 (ja) カーボン整流子の製造法
CN106464094A (zh) 滑动部件、旋转机、滑动部件的制造方法
JP3415290B2 (ja) 小型無線呼び出し機の振動発生装置用振動子の製造方法
JP4718718B2 (ja) カーボン基材の製造方法
JPH11264031A (ja) 焼結金属摩擦部材およびその製造方法
JPS58649B2 (ja) シンクウシヤダンキノ デンキヨクセイサクホウホウ
KR100267020B1 (ko) 기계적 합금화법에 의한 용접용 세라믹스 분산강화동 전극 제조법
JPH1140314A (ja) スパークプラグ
JPH0210533B2 (ja)
JP3562310B2 (ja) 熱電素子チップ作製用形材の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
AK Designated states

Kind code of ref document: A1

Designated state(s): BR CA JP KR US

AL Designated countries for regional patents

Kind code of ref document: A1

Designated state(s): AT BE CH CY DE DK ES FI FR GB GR IE IT LU MC NL PT SE

DFPE Request for preliminary examination filed prior to expiration of 19th month from priority date (pct application filed before 20040101)
121 Ep: the epo has been informed by wipo that ep was designated in this application
WWE Wipo information: entry into national phase

Ref document number: 1020007000576

Country of ref document: KR

ENP Entry into the national phase

Ref document number: 2299473

Country of ref document: CA

Ref country code: CA

Ref document number: 2299473

Kind code of ref document: A

Format of ref document f/p: F

WWE Wipo information: entry into national phase

Ref document number: 09485183

Country of ref document: US

WWE Wipo information: entry into national phase

Ref document number: 1998933899

Country of ref document: EP

WWP Wipo information: published in national office

Ref document number: 1998933899

Country of ref document: EP

WWP Wipo information: published in national office

Ref document number: 1020007000576

Country of ref document: KR

WWG Wipo information: grant in national office

Ref document number: 1020007000576

Country of ref document: KR

WWG Wipo information: grant in national office

Ref document number: 1998933899

Country of ref document: EP