明 細 書 ァクリルゴム組成物、 架橋性アクリルゴム組成物およびその架橋物 技 術 分 野
本発明は、 耐熱性に優れた架橋物の材料となるアクリルゴム組成物、 架橋性ァ クリルゴム組成物およびそれを架橋した架橋物に関し、 特に熱負荷による伸び変 化率が小さな架橋物を得ることができるァクリルゴム組成物、 架橋性アクリルゴ ム組成物およびそれを架橋した架橋物に関する。 背 景 技 術
アクリルゴムは、 耐熱性に優れており、 自動車関連の分野などで広く用いられ ている。
より優れた耐熱性が強く要望されるようになり、 最初に老化防止剤の配合量増 加による改良が検討された。 し力、し、 多量の老化防止剤を配合すると架橋物にブ ルームを生じるため、 老化防止剤の配合量増加による耐熱性の改良には限度があ つた。
次いで、 老化防止剤の種類について検討され、 老化防止剤としてジアルキルジ チォカルバミン酸ニッケルを配合したァクリルゴム組成物が提案されてレ、る (特 開昭 5 6 - 1 3 5 5 3 9号公報) 。 このァク リルゴム組成物は、 ジアルキルジチ ォカルバミン酸ニッケルの配合量を増やしても、 架橋後にブル一ムを生じにくい 力';、 架橋物の耐熱性が不十分であり、 特に熱負荷によって伸びが大きく変化して しまうことがあった
ァクリルゴムに二種類の芳香族第二級ァミン系酸化防止剤を配合することによ り、耐熱性を向上させることも提案されている(特開平 1 1— 2 1 4 1 1号公報)。 しかし、 この架橋物の耐 生は改善されているものの、 用途によっては不十分な 場合があり、 特に熱負荷によって伸びが大きく変化してしまうことがあった。 さ らに改善しようと、 第二級ァミン系酸化防止剤の配合量を増やすと、 ブルームを 生じる場合があった。
発 明 の 開 示
本発明の目的は、 従来のものに比べて耐熱性に優れ、 特に熱負荷による伸び変 化率が小さなアクリルゴム架橋物を提供することにある。
本発明者らは、 カルボキシル基含有ェチレン性不飽和単量体単位を含有するァ クリルゴムに、 芳香族第二級ァミン化合物およびジアルキルジチォ力ルバミン酸 二ッケルを配合したァクリルゴム組成物を架橋させることにより、耐熱性に優れ、 特に熱負荷による伸び変化率が小さな架橋物が得られることを見出し、 この地検 に基づいて本発明を完成するに至った。
かくして、 本発明によれば、 カルボキシル基を有するアクリルゴム (a) 1 0 0重量部に対し芳香族第二級ァミン化合物 (b) 0. 3〜8重量部およびジアル キルジチォ力ルバミン酸ニッケル (c) 0. 3〜 8重量部を含有するアクリルゴ ム組成物、 カルボキシル基を有するアクリルゴム (a) 1 00重量部に対し芳香 族第二級ァミン化合物 (b) 0. 3〜8重量部、 ジアルキルジチォ力ルバミン酸 ニッケル (c) 0. 3〜 8重量部および架橋剤 0. 1〜10重量部を含有する架 橋性アクリルゴム組成物および該アクリルゴム組成物を架橋した架橋物が提供さ れる。 発 明 を 実施す る た め の最 良 の 形態 本発明のアクリルゴム組成物は、 カルボキシル基を有するアクリルゴム (a) 100重量部に対し芳香族第二級ァミン化合物 ( b ) 0. 3〜 8重量部およびジ アルキルジチォ力ルバミン酸ニッケル (c) 0. 3〜 8重量部を含有するもので ある。
本発明において用いられるカルボキシル基を有するァクリルゴム(a) (以下、 単にアクリルゴム (a) という場合がある。 ) は、 カルボキシル基の含有量が好 ましくは 5 X 1 0―1〜 4 X 1 0— 1 e p h r、 より好ましくは 2. 5 X 1 0— :i〜2 X 10—' e p h r、 特に好ましくは 5 X 1 0— :i〜 1 X 1 0 e p h rのものである。 カルボキシル基を有するァクリルゴム中のカルボキシル基が少なすぎるとァクリ ルゴム組成物が十分に架橋しなレ、ため架橋物の形状維持ができなレ、場合があり、
逆に多すぎると架橋物が硬くなってゴム弹性を失う場合がある。
ァクリルゴム ( a ) は、 主要単量体であるァクリル酸ェステル単量体と力ルポ キシル基含有エチレン性不飽和単量体とを、 必要に応じてこれらと共重合可能な 単量体をさらに加えて、 共重合して得たものであってもよく、 アクリルゴムを重 合後に変性してカルボキシル基を導入したものであってもよい。 以下に、 ァクリ ルゴム ( a ) がァクリル酸ェステル単量体と力ルポキシル基含有ェチレン性不飽 和単量体とを共重合したものである場合を例に挙げて説明する。
ァク リル酸エステル単量体としては、 炭素数 1 〜 8のアルキル基を有するァク リル酸アルキルエステル単量体を単独で使用する力、、 これと炭素数 2〜 1 6のァ ルコキシアルキル基を有するァクリノレ酸アルコキシアルキルエステル単量体とを 併用するのが好ましい。
炭素数 1 〜 8のアルキル基を有するァク リル酸アルキルエステル単量体として は、 メチルァクリ レート、 ェチルアタ リ レート、 n—プロピノレアクリ レート、 n ーブチノレアクリ レー卜、 イソブロピルァクリ レート、 ィソブチノレアクリ レート、 n—へキシノレアタリ レー ト、 2—ェチノレへキシノレァクリ レー ト、 シクロへキシノレ ァクリ レートなどが挙げられる。 中でも炭素数 2〜4のアルキル基を有するァク リル酸アルキルエステル単量体が好ましく、 特にェチルァクリ レート、 n—ブチ ルァクリレー卜が好ましい . 炭素数 2〜 1 6のアルコキシアルキル基を有するァクリル酸アルコキシアルキ ルエステル単量体としては、 炭素数 2〜 8のアルコキシアルキル基を有するァク リル酸アルコキシアルキルエステル単量体が好ましい。 そのような好ましいァク リル酸アルコキシアルキルエステル単量体としては、 メ トキシメチルァク リ レ一 ト、 エトキシメチルァク リ レー 卜、 2 —ェ 卜キシェチルァク リ レ一卜、 2—ブ卜 キシェチルァク リ レー卜、 2—メ 卜キシェチルァク リ レー卜、 2—フロキシェチ ルァクリ レー卜、 3—メ トキシブ口ピノレアク リ レート、 4—メ トキシブチルァク リレ一トなどが挙げられる。 特に、 2—ェトキシェチルァクリレート、 2—メ ト キシェチルァク リ レー卜が好ましい。
カルボキシル基含有エチレン ¾ί不飽和単量体は、 カルボキシル基または無水力 ルボン酸基を有し、 エチレン性の不飽和結合を有する単量体である。 カルボキシ
ル基を有するものとしては、 ァクリル酸、 メタクリノレ酸、 エタクリル酸、 イタコ ン酸、 マレイン酸、 フマル酸、 シトラコン酸などのカルボン酸単量体;マレイン 酸モノメチノレ、 マレイン酸モノエチル、 マレイン酉モノ一 n—ブチノレ、 フマル酸 モノメチル、 フマノレ酸モノェチノレ、 フマノレ酸モノ一 n—ブチノレなどのブテンジォ ン酸モノアルキルエステル単量体;などが挙げられる。 無水カルボン酸基を有す るものとしては、 無水マレイン酸、 無水シトラコン酸などの無水カルボン酸単量 体が挙げられる。 これらの中でも、 ブテンジオン酸モノアルキルエステル単量体 が好ましく、 マレイン酸モノェチル、 マレイン酸モノ一 n—ブチル、 フマル酸モ ノエチル、 フマル酸モノ一 n—ブチルが特に好ましレ、。
アクリルゴム (a ) は、 これらの単量体以外にこれらの単量体と共重合可能な 単量体を重合したものであってもよレ、。 そのような単量体としては、 エチレン、 プロピレン、 ァクリロ二トリノレ、 メタクリロニトリノレ、 スチレン、 ct—メチノレス チレン、 塩化ビニル、 塩化ビニリデン、 酢酸ビニル、 ェチルビニルエーテル、 ブ チルビ二ルェ一テル、 ジビエルベンゼン、 アクリル酸フルフリルエステル、 ァク リノレアミ ド、 エチレングリコールジァクリレ一ト、 プロピレングリコー ジァク リレート、 メタクリル酸アルコキシアルキルエステル、 メタク リノレアミ ド、 ェチ レングリコーノレジメタクリ レート、 プロピレングリコ一ノレジメタクリ レー卜、 ィ ソブレン、 ブタジエン、 クロロブレン、 ピペリ レン、 ジシクロペンタジェン、 ノ ノレボノレネン、 ェチリデンノルボルネン、 へキサジェン、 ノルボルナジェンなどが 挙げられる。
アクリルゴム (a ) 中、 主構成単位であるアク リル酸エステル単量体単位と力 ルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体単位との合計量は、 重合体に対して、 好ましくは 7 0重量%以上、 より好ましくは 8 0重量%以上、 特に好ましくは 9 0重量%以上である。 これらの単量体単位の合計量が少なすぎ、 共重合可能な単 量体の単位の量が多すぎると、 ァクリルゴム ( a ) は、 ゴム弾性などのゴムとし ての特^^が失われる場合がある。
アクリルゴム ( a ) 中、 主構成単位であるァクリル酸ェステル単量体単位と力 ルポキシル基または無水力ルボン酸基含有ェチレン性不飽和単量体単位の合計量 に対するァクリル酸エステル単量体単位量は、好ましくは 9 0〜9 9 . 5重量0 /。、
より好ましくは 9 5〜 9 9重量0 /。である。 ァクリル酸ェステル単量体単位量が多 すぎ、 カルボキシル基含有ェチレン性不飽和単量体が少なすぎると、 十分に架橋 しない場合がある。 アクリル酸エステル単量体単位量が少なすぎ、 カルボキシル 基含有ェチレン性不飽和単量体単位量が多すぎると、 架橋性ゴム組成物の架橋物 の強度や伸びが劣る場合がある。
アクリルゴム (a ) のム一二一粘度 (M L |+4、 1 0 0 °C) は、 好ましくは 1 0 〜7 0、 より好ましくは 2 0〜6 0、 特に好ましくは 3 0〜5 0である。 ム一二 一粘度が小さすぎると成形加工性や、 架橋物の機械的強度が劣る場合があり、 大 きすぎると成形カ卩ェ性が劣る場合がある。
本発明で用いる芳香族第二級ァミン化合物 (b ) は、 芳香環を有する第二級ァ ミンであり、 ジァリ一ルァミン類、 ジァリール一 p—フエ二レンジアミン類、 ァ ルキル 'ァリール一 p—フエ二レンジアミン類、 ジ (ァリールァミン) アルキレ ン類、 ジアルキル一 p—フエ二レンジアミン類などが挙げられる。 芳香族第二級 ァミン化合物 (b ) としては、 芳香環を有する基が二つ窒素に結合した構造を有 するものが好ましく、 ジァリ一ルァミン類、 ジァリール一 p—フエ二レンジアミ ン類、 ジ (ァリ一ルァミン) アルキレン類が好ましレ、。 二つの芳香環を有する基 は、 同一でも相違していてもよい。
ジァリールアミン類としては、 フエ二ルー α—ナフチルァミン、 4, 4■ -ジ ォクチルジフエニルァミン、 4 , 4 ' 一ビス (α, α—ジメチルベンジル) ジフ ェニルァミン、 ρ— ( ρ— トルエンスルフォニノレアミ ド) ジフエニルァミン、 ρ 一/ f ソブロポキシジフエニルァミン、 ビス (フエニルイソプロピリデン) 一 4, 4ージフエニルァミン、 4一 (α—フエ二ルェチノレ) ジフエニノレアミン、 4 , 4 ' —ビス (" 一フエニルェチル) ジフヱニルァミンなどが举げられる。 ジァリール — ρ—フエ二レンジアミン類としては、 N, N ' —ジフエ二ルー ρ—フエ二レン ジァミン、 Ν, N ' —ジー 2—ナフチルー ρ—フエ二レンジァミン、 Ν, Ν—ビ ス ( 1, 4—ジメチルペンチル) 一 ρ—フエ二レンジァミンなどが挙げられる。 ジ (ァリ一ルァミン) アルキレン類としては、 Ν, N ' ージフエニル 'エチレン ジァミン、 N, N ' ージフエニル 'プロピレンジァミンなどが挙げられる。 アル キル ·了リール一 ρ—フエ二レンジァミン類としては、 Ν—ィソブロピル一 N '
一フエ二ノレ一 p—フエ二レンジァミン、 N—シクロへキシノレ一 N' —フエ二ノレ一 p—フエ二レンジァミン、 N—フエ二ルー N' ― (3—メタクリロイルォキシ一 2—ヒ ドロキシプロピル) 一 p—フエ二レンジァミン、 N, N' 一ビス (1—メ チルヘプチル) 一 p—フエ二レンジァミンなどが挙げられる。
これらの中でも、 フエニル一α—ナフチルァミン、 4, 4 ' -ジォクチルジフ ェ-ノレアミン、 4, 4' —ビス (α, α—ジメチノレべンジノレ) ジフエニノレアミン、 4— (α—フエニノレエチノレ) ジフエニノレアミン 4, 4 ' 一ビス (α—フエニノレエ チノレ) ジフエニノレアミン、 N, N' —ジフエ二ノレ一 ρ—フエ二レンジァミン、 Ν —イソプロピノレ _Ν'—フエ二ノレ一 ρ—フエ二レンジァミン、 Ν—フエ二ノレ一 Ν, 一 (3—メタクリロイルォキシ一 2—ヒ ドロキシプロピル) 一ρ—フエ二レンジ ァミンなどが好ましい。
ァクリルゴム ( a ) 100重量部に対する芳香族第二級ァミン系化合物 ( b ) の配合量は、 0. 3〜 8重量部、 好ましくは 0. 4〜 5重量部、 特に好ましくは 0. 5〜 3重量部である。 芳香族第二級ァミン系化合物 (b) の配合量が少なす ぎると架橋物の耐熱性が不十分となる場合があり、 多すぎると芳香族第二級ァミ ン系化合物 (b) が架橋物の表面にブリードしてしまう場合がある。
本発明で用いるジアルキルジチォ力ルバミン酸ニッケル (c) は、 下記一般式 で表される化合物であって、 2つのアルキル基が同じものでも、 異なるものでも よく、 シクロアルキル基であってもよい。 アルキル基の炭素数は、 どちらも 1〜 8が好ましく、 例えば、 メチル基、 ェチル基、 ブチル基、 へキシル基、 ォクチノレ 基、 2—ェチルへキシル基、 シクロへキシル基、 シクロォクチル基などが挙げら れる。 具体的には、 ジメチルカルバミン酸ニッケル、 ジェチルカルバミン酸ニッ ケル、 ジブチルカルバミン酸ニッケルなどが好ましく、 特に、 ジェチルカルバミ ン酸ニッケル、 ジブチルカルバミン酸ニッケルが好ましレ、。
一般式:
R 1 R NC S SN i
(式中、 R '、 R 2はアルキル基を表す。 ) - ァクリルゴム (a) 100重量部に対するジアルキルジチォ力ルバミン酸ニッ ケル (c) の配合量は、 0. 3〜 8重量部、 好ましくは 0. 4〜 5重量部、 特に
好ましくは 0 . 5〜: 3重量部である。ジアルキルジチォ力ル /くミン酸ニッケル( c ) の配合量が少なすぎると架橋物の熱負荷による物性の変化が大きくなる場合があ り、 多すぎるとジアルキルジチォ力ルバミン酸ニッケルが架橋物の表面にブリ一 ドしてしまう場合がある。
本発明の架橋性ゴム組成物は、 上記ァクリルゴム組成物に架橋剤を含有させた ものである。
架撟剤は、 アクリルゴム (a ) を架橋できる限りにおいて、 特に限定されない 力;、 へキサメチレンジァミン、 へキサメチレンジァミンカーバメイ ト、 Ν, Ν ' -ジシンナミリデン— 1 , 6—へキサンジァミンなどの脂肪族ジァミン化合物; 4, 4 ' —メチレンジァニリン、 m—フエ二レンジァミン、 4, 4 ' —ジァミノ ジフエ二ルェ一テル、 3 , 4 ' ージアミノジフエ二ルェ一テル、 4 , 4 ' 一 (m —フエ二レンジイソプロピリデン) ジァニリン、 4 , 4 ' 一 (p -フエ二レンジィ ソプロピリデン) ジァニリン、 2 , 2 ' —ビス 〔4— ( 4—アミノフエノキシ) フエニル] プロパン、 4, 4, 一ジァミノべンズァニリ ド、 4 , 4 ' 一ビス (4 一アミノフエノキシ) ビフエニルなどの芳香族ジァミン化合物;へキサメチレン ジイソシァネ一卜、 ジメチルジフエ二レンジイソシァネ一ト、 イソホロンジイソ シァネート、 トリメチノレへキサメチレンジィソシァネー卜、 ブロック ドィソシァ ネー卜、 ジシクロへキシルメタンジィソシァネー卜などの多官能性ィソシァネ一 卜化合物; イソフタル酸ジヒ ドラジド、 テレフタル酸ジヒ ドラジド、 フタル酸ジ ヒ ドラジドなどのヒ ドラジド基含有化合物などが挙げられ、 中でも、 脂肪族ジァ ミン化合物、 芳香族ジァミン化合物などの多価ァミン化合物が好ましい。
アク リルゴム ( a ) 1 0 0重量部あたりの架橋剤の配合量は、 0 . 1〜: 1 0重 量部、 好ましくは 0 . 2〜 7重量部、 特に好ましくは 0 . 3〜5重量部である,, 架橋剤が少なすぎると、架橋物の強度が著しく低下し、熱負荷による伸び変化率、 引張強度変化率が大きくなる。架橋剤が多すぎると、架橋物が硬くなりすぎたり、 架橋物の伸びが低下したり、 熱負荷による伸びが小さくなりすぎたりする。
本発明にお t、ては必要により、 架橋剤と共に架橋促進剤を使用することができ る。 アク リルゴム (a ) 1 0 0重量部あたりの架橋促進剤の配合量は、 好ましく は 0 . ;!〜 2 0重量部、 より好ましくは 0 . 2〜: 1 5重量部、 特に好ましく 0 .
3〜 1 0重量部である。 架橋促進剤が少なすぎると架橋促進効果が実質的になレ、 場合があり、 多すぎると架橋時に架橋速度が早くなりすぎたり、 架橋促進剤がブ ルームしたり、 架橋物が硬くなりすぎたりする場合がある。 架橋促進剤が少なす ぎると、 架橋物の強度が著しく低下したり、 熱負荷による伸び変化率および引張 強度変化率が大きすぎたりする場合がある。
架橋促進剤は、 架橋剤との組合わせで架橋を促進するものであれば、 特に限定 されなレ、。 例えば、 好ましい架橋剤である多価アミン化合物と組み合わせて用い る架橋促進剤としては、水中、 2 5 °Cでの塩基解離定数が 1 0— '2〜 1 0 +6であり、 実質的に架橋性単量体単位と反応して架橋を生じない塩基または共役塩基である ものが好ましく、 グァニジン系促進剤、 第四級ォニゥム塩系促進剤、 第三級アミ ン系促進剤、 第三級ホスフィン系促進剤、 弱酸のアルカリ金属塩、 アルカリ金属 アルコキシド、 アルカリ金属フエノ レートなどが挙げられる。 グァニジン系促進 剤としては、 1 , 3—ジフエ二ルグァ二ジン、 ジー o—トリルグァニジンなどが 挙げられる。 第四級ォニゥム塩系促進剤としては、 テトラプチルアンモニゥムブ ロマイド、 テトラプチルアンモニゥムクロライドなどが挙げられる。 第三級アミ ン系促進剤としては、 へキサメチルトリエチレンテ卜ラミン、 1, 8—ジァザ一 ビシクロ [ 5 , 4 , 0 ] ゥンデセン一 7などが挙げられる。 第三級ホスフィン系 促進剤としては、 卜リフエニルホスフィン、 トリ (メチルフエニル) ホスフィン などが挙げられる。 弱酸のアル力リ金属塩としては、 ナ卜リゥム、 力リゥムまた はリチウムのリン酸塩、 炭酸塩、 重炭酸塩などの無機弱酸塩あるいはステアリン 酸塩、 ラウリル酸塩などの有機弱酸塩が挙げられる。 アル力リ金属アルコキシド としては、 ナ卜リゥムメ トキシド、 ナトリゥムィソプロポキシド、 力リゥムィソ ブロポキシドなどが举げられる。 アル力リ金属フヱノレートとしては、 ナ卜リウ ムフエノ レ一卜、 カリ ウムフエノ レ一卜、 カリゥムべソゾエー卜などが举げられ る。 これら架橋促進剤は二種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の架橋性ゴム組成物は、 前記各成分を、 ロール混合、 バンバリ一混合、 スクリユー混合、 溶液混合などの適宜の混合方法により配合することによって調 製することができる。
本発明のァク リルゴム組成物および架橋性ァクリルゴム組成物は、 その特性を
損なわない限り、 必要に応じて、 補強材、 充填剤、 上記以外の老化防止剤、 光安 定剤、 スコーチ防止剤、架橋遅延剤、 可塑剤、加工助剤、 滑剤、粘着剤、潤滑剤、 難燃剤、 防黴剤、 帯電防止剤、 着色剤などの添加剤をさらに配合することができ る。
本発明のァクリルゴム組成物および架橋性ァクリルゴム組成物は、 前記各成分 を、 ロール混合、 バンバリ一混合、 スクリュー混合、 溶液混合などの適宜の混合 方法により配合することによって調製することができる。
本発明の架橋性アクリルゴム組成物の成形方法および架橋方法は、 特に限定さ れないが、本発明のゴム組成物は、押出成形に適している。成形方法、架橋方法、 架橋物の形状などの必要に応じて、 成形と架橋を同時に行う力、、 成形後に架橋す ればよい。
本発明の架橋性ゴム組成物は、 加熱することにより架橋しうるものであるが、 その際の加熱温度は、 好ましくは 1 3 0〜 2 2 0。C、 より好ましくは 1 4 0〜 2 1 0 °Cである。 温度が低すぎると架橋時間が長時間必要となったり、 架橋密度が 低くなつたりする場合がある。 温度が高すぎる場合は、 架橋が短時間で進行し、 成形不良を起こす場合がある。
また、 架橋時間は、 架橋方法、 架橋温度、 形状などにより異なるが、 3 0秒〜 5時間以下の範囲が架橋密度と生産効率の面から好ましレ、。 - 加熱方法としては、 ブレス加熱、 蒸気加熱、 オーブン加熱、 熱動口熱などのゴ ムの架橋に用いられる方法を適宜選択すればょレ、。
以下に比較例、 実施例を挙げて、 本発明を具体的に説明する。
実施例 1〜2、 比較例 1〜4
アクリルゴム (a ) として、 アクリル酸ェチル単位 5 8重量0 /0、 アクリル酸ブ チル単位 4 0重量%、 フマル酸ブチル単位 2重量%を含有し、 ムーニー粘度 (M L |+ 1 0 0 °C) 3 5のもの (以下、 アクリルゴム Aという。 ) 1 0 0重量部、 MA Fカーボンブラック (東海力一ボン製、 シース卜 1 1 6 ) 6 0重量部、 ステ ァリン酸 2重量部および表 1に示す成分をバンバリ一を用いて 5 (TCで混練した 後、 架橋剤として 4, 4 ' ージアミノジフエニルエーテル 0 . 4 5重量部、 架橋 促進剤としてジ一 0—トリルグァニジン (大内新興化学工業製、 ノクセラ一 D T)
2重量部をオーブン口一ルで混練して、 ゴム組成物を調製した。
ゴム組成物を 1 70°C、 20分間のプレスによって成形、 架橋し、 1 5 cmX 15 cmX 2mmの試験片を作製し、 さらに二次架橋のために、 1 70°Cに 4時 間放置した。 この試験片を用いて、 J I S K6301に従い、 架橋物の引張強 度、 伸びおよび硬さを評価した。 結果を表 1に示す。
さらに、 1 75°Cの環境下で 500時間放置後の試験片について、 J I S K 6301に従い、架橋物の引張強度、伸び、硬さおよび圧縮永久歪みを評価した。 結果を表 1に示す。
比較例 5〜 7
アクリルゴム (a) として、 ェチルァクリレート単位 48. 2重量0 /0、 ブチ ルァクリレ一ト単位 30.0重量%、 2—メ トキシェチルァクリ レート単位 20. 0重量。 /0、ク口口酢酸ビュル単位 1 · 8重量0 /0を含有し、ムーニー粘度 (ML 100°C) 40のもの (以下、 アクリルゴム Bという。 ) を用い、 表 2に示す成 分をバンバリ一を用いて 50°Cで混練した後、 架橋剤として 2, 4, 6—卜リメ ルカプト一 s—トリアジン (三共化成工業社製、 Z I SNE-F) を 0. 5重量 部、架橋促進剤としてジブチルジチォカルバミン酸亜鉛 (大内新興化学工業社製、 ノクセラ一 BZ) を 1. 5重量部配合し、 オープンロールで混練して、 ゴム組成 物を調製し、 実施例 1〜 2などと同様にして試験片を作製し、 二次架橋した試験 片を用いて、架橋物の物性を評価した。さらに、実施例 1〜2などと同様にして、 1 75 °Cの環境下で 500時間放置後の試験片について、 架橋物の物 ^feを評価し た。 これらの結果を表 2に示す。
表 1
芳香族第二級ァミン ( b ) を含有してレ、なし、ァクリルゴム組成物を用いた比較 例 1では、 熱負荷による物性の変化、 例えば、 伸び変化率が大きすぎるという問 題があった ジアルキルジチォ力ルバミン酸ニッケル (じ) を a有していないァ クリルゴム組成物を用いた比較 ί列 2では、 熱負荷による物性の変化、 例えば、 伸 び変化率と引張強度の変化率が大きすぎるという問題があった。 また、 芳香族第 二級アミン (b ) のみ二種類を含有し、 ジアルキルジチォ力ルバミン酸ニッケル ( c ) を含有しないアク リルゴム組成物を用いた比較例 3では、 熱負荷による物 性の変化、例えば、伸び変化率と硬さ変化が量が大きすぎるという問題があった。 さらに、 芳香族第二級ァミン (b ) の代わりにァミンーケ卜ン系の老化防止剤を
含有するァクリルゴム組成物を用いた比較例 4では、 熱負荷による物性の変化、 例えば、 伸び変化率と硬さ変化量が大きすぎるという問題があった。
表 2
クロ口酢酸ビニルを架橋性単量体単位として含有しているァクリルゴム Bを用
いた比較例 5では、 熱負荷による引張強度変化率、 硬さ変化率は小さいが、 伸び 変化率が大きすぎるという問題があった。
アクリルゴム Bを用い、 ジアルキルジチォ力ルバミン酸ニッケル (c ) を含有 しなレ、アタリルゴム組成物を用いた比較例 6では、 熱負荷による伸びの変化が大 きすぎるという問題があった。
アクリルゴム Bを用い、 芳香族第二級ァミン (b ) を含有しないアクリルゴム 組成物を用いた比較例 7では、 熱負荷による伸びの変化がさらに大きいとレ、う問 題があった。
それに対し、 本発明のゴム架橋物は、 熱負荷による物性の変化、 例えば、 伸び 変化率、 引張強度変化率などが小さい。 産 業 上 の 利 用 可 能 性 本発明のゴム架橋物は、 耐熱性に優れ、 特に高温環境下での伸びの変化率が小 さく、 その特性を活かして、 自動車などの輸送機械、 一般機器などのほ力、、 電子 分野、電気分野、電気分野などの幅広レ、分野にぉレ、てゴム材料として有用であり、 具体的には、 シール、 防振材、 電線被覆材、 工業用ベルト、 ホース、 シート、 口 —ル、 ブーツまたはこれらの部材として有用である。