明 細 書 冷却装置、 電子機器装置及び冷却装置の製造方法 技術分野
本発明は、 例えばパーソナルコンピュータやディジタルカメラ等に用いられる カード型の記憶媒体のドライバから発せられる熱を冷却するために用いられる冷 却装置及びその製造方法に関する。 また、 本発明は、 このような冷却装置を搭載 するパーソナルコンピュータやディジタルカメラ等の電子機器装置に関するもの である。 背景技術
メモリスティック (登録商標) 、 スマートメディア (登録商標) 、 コンパク ト フラッシュ (登録商標) 等の記憶媒体は、 フロッピー (登録商標) ディスク等の 従来のものと比べて小型かつ薄型であり、 しかも記憶容量も非常に大きくするこ とが可能であることから、 パーソナルコンピュータやディジタルカメラ等の電子 機器装置に汎用されるようになってきている。
これらの記憶媒体はフラッシュメモリとドライバとを一体的に有するものや、 ドライバが装置本体や別のカード等に搭載されたものがあるが、 いずれにしても 最近では相当大容量化してきている。
ところで、 このように記憶媒体の記憶容量が大容量化してくると、 上記のドラ ィバから多大な熱が発生し、 動作不良等の問題を生じる。
そこで、 例えば電子機器装置側に冷却装置を設けることが考えられ、 そのよう な冷却方法としてヒートパイプを用いた技術が挙げられる。
ヒートパイプとは、 管の内壁に毛細管構造を持たせた金属製パイプであり、 内 部は真空で、 少量の水もしくは代替フロンなどが封入されている。 ヒートパイプ の一端を熱源に接触させて加熱すると、 内部の液体が蒸発して気化し、 このとき 潜熱 (気化熱) として、 熱が取り込まれる。 そして、 低温部へ高速に (ほぼ音速 で) 移動し、 そこで、 冷やされてまた液体に戻り、 熱を放出する (凝縮潜熱によ
る熱放出) 。 液体は毛細管構造を通って (もしくは重力によって) 元の場所へ戻 るので、 連続的に効率よく熱を移動させることができる。
しかしながら、 従来のヒートパイプは管状であり空間的に大掛かりな装置とな るので、 小型薄型化が求められるパーソナルコンピュータやディジタルカメラ等 の電子機器装置の冷却装置には不向きである。
そこで、 ヒートパイプを小型化するために、 シリコン基板とガラス基板との各 接合面上に溝を形成し、 これらの基板を接合することによってヒートパイプを構 成する流路を基板間に形成した冷却装置が提案されている。 なお、 上記の接合の 際には、 少量の水もしくは代替フロンなどが封入され、 それらが、 ヒートパイプ 内で状態変化を起こすことによって、 ヒートパイプとしての役割を果たすもので ある。
しかしながら、 上記のようにシリコン基板を用いてヒートパイプを構成すると、 シリコン自体の熱伝導性がよいため、 冷却すべき対象物からの熱が拡散してしま い、 内部の液体の気化が不十分であったり、 或いは全く気化せず、 ヒートパイプ としての機能を十分に発揮しないという問題がある。
この問題に対して本発明者らは、 シリコン基板に替えて熱伝導性が低いプラス チック基板を用いることにより、 基板表面における熱拡散を防止し、 ヒートパイ プとしての性能を向上させる技術を提唱した。
しかしながら、 この場合においては、 プラスチック自体の熱伝導性が低いため、 冷却すべき対象物からの熱が内部の液体に伝わりにくくなり、 内部の液体の気化 が不十分で、 ヒートパイプとしての機能を十分に発揮しない場合がある。 発明の開示
本発明は、 上記事情に鑑みてなされたものであり、 小型薄型化が可能で、 かつ、 冷却性能が高い冷却装置、 電子機器装置及び冷却装置の製造方法を提供すること を目的としている。
本発明の第 1の観点に係る冷却装置は、 ヒートパイプを構成する少なくともゥ イツク部 (毛管現象を生じる構造部) を除く部位の溝 (グループ) が表面に形成 された第 1の基板と、 前記第 1の基板より大きい熱伝導率を有する材料からなり、
少なくとも前記ウィック部の溝が表面に形成され、 該表面が前記第 1の基板と接 合された第 2の基板と、 前記第 2の基板が表面に組み込まれ、 該表面が前記第 1 の基板と接合された第 3の基板とを具備することを特徴とするものである。
本発明では、 第 1の基板と第 3の基板とが接合し、 その対向する面上の溝がヒ ートパイプの流路を構成するので、 小型薄型化が可能となる。 加えて、 ウィック 部分が熱伝導性の高い金属等の材料、 例えば、 錮または-ッケルで形成されるた めに、 この部分において熱の移動を効果的に行うことができる。 さらに、 コンデ ンサ部分もウィック部分と同様に取り外し可能であり、 かつ、 熱伝導性の高い金 属等の材料、 例えば、 銅またはニッケルで形成される。 これによつて、 ヒートパ イブの冷却性能を向上することができる。 さらに、 第 1の基板と第 3の基板は、 プラスチックまたはガラス等で形成されているため加工性においては実用化が可 能であるが、 基板間において接着性が悪くなる。 そこで、 本発明では、 これらを 補完するために基板間に接着部材を介在させている。 なお、 その場合の第 1の基 板及び第 3の基板の組み合わせとしては、 好ましくは 2枚の基板ともガラス基板 同士、 プラスチック基板同士、 或いは一方がガラス基根で他方がプラスチック基 板であればよいが、 勿論シリコン基板であってもよい。 また、 接着部材としては 加工性や経済性等の観点からシリコンゃ銅等を用いることがより好ましい。
本発明の第 2の観点に係る電子機器装置は、 フラッシュメモリを有するカード 型の記憶媒体が着脱可能なスロットを有し、 前記記憶媒体側、 当該装置側又は当 該装置とは分離された部位にドライバを有する電子機器装置であって、 前記ドラ ィパから発せられる熱を冷却するために、 上記構成の冷却装置を具備することを 特徴とするものである。
本発明では、 上記構成の、 すなわち小型薄型化しかつ冷却性能の良い冷却装置 を搭載することになるので、 電子機器装置自体は熱による動作不良等が生じるこ ともなレヽ。
本発明の第 3の観点に係る冷却装置の製造方法は、 ヒートパイプを構成する少 なくともウィックを除く部位の溝を表面に有する第 1の基板を形成する工程と、 前記第 1の基板より大き 、熱伝導率を有する材料からなり、 少なくとも前記ウイ ックの溝を表面に有する第 2の基板を形成する工程と、 第 3の基板の表面に、 前
記第 2の基板を組み込む工程と、 前記第 1の基板の表面と前記第 3の基板の表面 とを接合する工程とを具備することを特徴とするものである。 本発明は、 上記構 成の冷却装置を効率よく確実に製造することが可能となる。
本発明の一の形態によれば、 上記の冷却装置の製造方法において、 前記第 1の 基板より大きい熱伝導率を有する材料からなり、 少なくともコンデンサの溝を表 面に有する第 4の基板を形成する工程と、 前記第 3の基板の表面に、 前記第 4の 基板を組み込む工程とを更に具備することを特徴とするものである。 このような 構成によれば、 コンデンサ部分においても、 熱伝導率の高い材料で形成される。 これによつて、 熱の移動をさらに効果的にすることができる。
本発明の一の形態によれば、 上記の冷却装置の製造方法において、 前記第 2の 基板又は前記第 4の基板は、 U V— L I G A (Lithografie Galvanoformung Abformung) プロセスにより形成されることを特徴とするものである。 このような 構成によれば、 微細な溝を効率的に形成することが可能である。
本発明の一の形態によれば、 上記の冷却装置の製造方法において、 前記第 1の 基板又は前記第 3の基板の表面に、 前記第 1の基板と前記第 3の基板とを接着す るための接着部材を形成する工程を更に具備することを特徴とするものである。 このような構成によれば、 確実に接合することが可能となる。 図面の簡単な説明
図 1は、 本発明の一の形態に係る冷却装置の構成を表す分解した斜視図である。 図 2は、 本発明の一の形態に係る冷却装置の組み立てた状態の側面図である。 図 3は、 本発明の一の形態に係る冷却装置の下部基板を示す平面図である。 図 4は、 本発明の一の形態に係る冷却装置の上部複合基板を示す平面図である。 図 5は、 本発明の一の形態に係る冷却装置の下部基板と上部複合基板を組み立 てた状態を示した平面図である。
図 6 Aは、 プラスチック基板を用いた場合の熱拡散領域を示した図である。 図 6 Bは、 本発明のプラスチック ·金属複合基板を用いた場合の熱拡散領域を 示した図である。
図 7は、 本発明の冷却装置の製造工程を示した図である。
図 8 Aは、 本発明の冷却装置に用いるコンデンサ基板及びウイック基板上に溝 を形成する工程を示した概略図である。
図 8 Bは、 本発明の冷却装置に用いるコンデンサ基板及びウィック基板上に溝 を形成する工程を示した概略図である。
図 8 Cは、 本発明の冷却装置に用いるコンデンサ基板及びウィック基板上に溝 を形成する工程を示した概略図である。
図 8 Dは、 本発明の冷却装置に用いるコンデンサ基板及ぴウイック基板上に溝 を形成する工程を示した概略図である。
図 9は、 本発明の冷却装置に用いる上部基板にコンデンサ基板及びウイック基 板を組み込む工程を示した概略図である。
図 1 O Aは、 本発明の冷却装置で用いる下部基板と上部複合基板とを接合する 工程を示した概略図である。
図 1 O Bは、 本発明の冷却装置で用いる下部基板と上部複合基板とを接合する 工程を示した概略図である。
図 1 1は、 本発明の他の形態に係る冷却装置を示した概略図である。
図 1 2は、 本発明の冷却装置を搭載したパーソナルコンピュータの概略斜視図 である。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
(冷却装置)
図 1は本発明の一実施形態に係る冷却装置を分解した斜視図であり、 図 2はそ の冷却装置の組み立てた状態の側面図である。
図 1及び図 2に示すように、 冷却装置 1は 4枚の基板 1 0、 2 0、 3 0、 4 0 からなる。 下部基板 1 0はプラスチックからなる矩形状の基板であり、 下側に配 置される。 コンデンサ基板 2 0、 ウィック基板 4 0は例えばニッケル等の金属か らなる矩形状の基板である。 上部基板 3 0はプラスチックからなる矩形状の基板 であり、 上側に配置される。 コンデンサ基板 2 0、 ウィック基板 4 0はそれぞれ 上部基板 3 0の孔 3 2、 3 4に隙間なく組み込まれる。 これら 4枚の基板 1 0、
2 0、 3 0、 4 0が例えばシリコン部材 5 0を挟んで接着固定される。 下部基板 1 0の表面 1 0 a、 コンデンサ基板 2 0の表面 2 0 b、 上部基板 3 0の表面 3 0 b及びウィック基板の表面 4 0 bには溝 1 1、 2 1、 3 1、 及び 4 1が形成され ている。 これらの溝は 4枚の基板が接着する際にループ状のヒートパイプとして 機能するように形成されている。
以下、 図 3及び図 4を用いて各基板 1 0、 2 0、 3 0及び 4 0に形成された溝 の構成について説明する。
図 3に示すように、 下部基板 1 0の表面 1 0 aには溝 1 1が形成されている。 この溝 1 1は、 その主要部が、 液体及び気体が流れる流路と、 液を供給する貯蔵 タンクとから構成されている。 より詳細な構造については、 水などの液体が流れ る流路 1 2があり、 液体はその流路 1 2から後述のウイック基板 4 0へ導入され る。 導入された液体はウィック基板 4 0により気体になり、 気体受部 1 4へ導入 される。 その気体は、 流路 1 5からコンデンサ 2 2へ導入され凝縮され液体に変 ィ匕し、 低温部 1 6へ移動する。 さらに、 また流路 1 2へ戻る。 そのようにして液 体と気体の循環が行われる。
リザーバ 1 3と貯蔵部 1 7には、 液体が貯蔵される。 リザーパ 1 3内の液体は、 気体受部 1 4内の液量がある一定以下になったときに流入するようになっている。 また、 貯蔵部 1 7内の液体は低温部 1 6内の液量がある一定以下になったときに 流入するようになっている。 つまり、 リザーパ 1 3と貯蔵部 1 7は、 ヒートパイ プ内がドライアゥトしないようにするために液体を貯蔵してあり、 必要に応じて 液体がこのリザーバ 1 3と貯蔵部 1 7内に流入するようになっている。
また、 下部基板 1 0の中央であり流路 1 2、 1 5に近接する位置には断熱ホー ル 1 8が設けられている。 これによつて、 熱拡散が防止されるようになっている。 ここで、 図 4に示すように、 コンデンサ基板 2 0及ぴウィック基板 4 0が上部 基板 3 0に組み込まれて上部複合基板 1 0 0が構成される。
コンデンサ基板 2 0の表面 2 0 b上には溝 2 1が形成されている。 この溝 2 1 は、 流路 1 5から導入された気体を液体へ凝縮させるコンデンサ 2 2として機能 し、 低温部 1 6へ循環させる。
ウィック基板 4 0の表面 4 0 b上には溝 4 1が形成される。 この溝 4 1は、 冷
却部として機能するもので、 流路 1 2またはリザーバ 1 3から導入された液体を 気化し、 気化した気体を気体受部 1 4へ流入させる。
また上述した断熱ホール 1 8と対向した位置には、 断熱ホール 3 4が設けられ ている。 これらの断熱ホール 1 8、 3 4は、 熱拡散性を防止するために、 下部基 板 1 0、 上部基板 3 0上に溝として設けられている。
図 5は下部基板 1 0、 上部複合基板 1 0 0とを図 2に示すようにシリコン部材 5 0を介して接合した状態を示している。
これら下部基板 1 0と上部複合基板 1 0 0との接合により構成されるヒートパ イブの内部には液体が封入されている。 封入された液体はヒートパイプ内で液体 力 ら気体または気体から液体へと状態変化しながら循環する。 これにより熱移動 を行わせ、 冷却装置 1として機能する。
以下、 その液体/気体の循環の様子を便宜的に流路 1 2を始点として説明する。 まず、 液体が流路 1 2からウィック 4 2へ流入する。 その際にウィック 4 2に 流入する液体の量が所定以下であるときにはドライアゥトを回避するために、 リ ザーバ 1 3から不足分の液体が供給されるようになっている。
ウィック 4 2に流入した液体は、 加熱され沸騰する。 沸縢することによって気 化した気体は、 気体受部 1 4に流入される。 この気体は流路 1 5を介してコンデ ンサ 2 2へ流入し、 液体に凝縮される。 このとき凝縮された液体はコンデンサ 2 2の下部に配置される低温部 1 6へ流入する。 この液体は、 低温部 1 6から流路 1 2へ再度循環される。 また、 低温部 1 6からこの流路 1 2へ流入する液体の量 が所定以下の場合には液体貯蔵部 1 7に貯蔵された液体が低温部 1 6へ流入する ようになっている。
なお、 本実施形態では、 基板の材料としてプラスチックを用いたが、 他の材料、 例えばガラスを用いても良いし、 ガラス基板とプラスチック基板との組み合わせ であっても良い。
また、 コンデンサ基板 2 0及ぴウイック基板 4 0の材料としてニッケルからな るものとしたが、 他の材料、 例えば銅を用いても良い。
図 6 A及ぴ図 6 Bはプラスチック基板と本発明のプラスチック ·金属複合基板 を熱拡散性の観点から比較した図で、 基板上をある一定時間で熱が拡散した領域
を模式的に図に示したものであり、 図 6 Aはプラスチック基板を用いた場合を示 し、 図 6 Bはプラスチック基板にニッケル等の金属を組み込んだプラスチック · 金属複合基板を用いた場合を示している。
図 6 Aに示すように、 プラスチック基板であると、 熱源 A— 1 (ウィック) の 熱は矢印に示すように熱がそれほど広い領域まで拡散しない (A— 2 ) 。 これに 対して図 6 Bに示すようにプラスチック ·金属複合基板であると、 熱源 B— 1
(ウィック) の熱は金属部については高い拡散性を有し、 その周りのプラスチッ ク領域にはほとんど拡散しない。 (B— 2 ) 。
ヒートパイプとして機能するためには、 ウイックに一定以上の熱伝導性がなけ ればならないが、 図 6 Aに示したようにプラスチック基板の場合には熱伝導性が ほとんどなくその機能を十分に果たさない。 これに対して、 本発明では、 図 6 B に示したようにプラスチック ·金属複合基板の場合には、 ウィックにおいては熱 が十分に伝わり、 周囲のプラスチックの部分に熱が拡散しにくいので、 つまり熱 がウィックに集中し、 ヒートパイプとしての機能を十分に果たすことになる。
(冷却装置の製造方法)
図 7は冷却装置の製造工程を示したものである。
まず、 ヒートパイプとして機能するための下部基板 1 0及び上部基板 3 0の溝 を形成する (ステップ 7 0 1 ) 。 プラスチックからなる下部基板 1 0の表面 1 0 aには、 流路と液を貯蔵する貯蔵タンクと断熱ホールとして機能する溝 1 1を形 成する。 プラスチックからなる上部基板 3 0の表面 3 0 b上には、 断熱ホールと して機能する溝 3 1を形成する。 各基板の溝を形成する方法としては、 あらかじ めそれぞれの基板について型を完成させておき、 この型によって成型する方法が 考えられる。 下部基板又は上部基板はガラスで構成してもよく、 この場合は、 基 板をパターンニングした後、 エッチングによって溝を形成してもよい。
次に、 コンデンサ又はウィックとして機能するコンデンサ基板 2 0及ぴゥイツ ク基板 4 0を形成する (ステップ 7 0 2 ) 。 溝を有するコンデンサ基板 2 0及び ウイック基板 4 0は例えば U V— L I GAと呼ばれる方法によって形成される。 ここで、 図 8 A〜図 8 Dに基づき U V— L I G Aの工程について具体的に説明 する。
まず、 図 8 Aに示すように、 プレート 8 2上に例えば有機材料である S U— 8 からなるレジスト層 8 1を形成し、 その上にパターンユングされたレジスト膜 8 3を形成する。 これをパターン基板 8 0と呼ぶ。
次に、 図 8 Bに示すように、 パターン基板 8 0の上方から U Vを照射し、 レジ ス ト層 8 1のエッチングを行う。
次に、 図 8 Cに示すように、 このパターン基板 8 0からレジス ト膜 8 3を剥離 し、 この表面にニッケル N iの電铸でニッケル層 8 4を形成する。
そして、 図 8 Dに示すように、 パターン基板 8 0からニッケル層 8 4を剥離す る。 剥離したニッケル層 8 4が溝を有するコンデンサ基板 2 0及びウィック基板 4 0となる。
このように形成されたコンデンサ基板 2 0及ぴウイック基板 4 0を図 9に示す ように上部基板 3 0を貫通して開けられた孔 3 2、 3 4に組み込む (ステップ 7 0 3 ) 。 これは、 例えば上部基板 3 0とコンデンサ基板 2 0及ぴウィック基板 4 0との間にそれぞれ隙間ができないように、 プラスチック製の上部基板 3 0に半 固体状態になるように熱を加え、 その状態の上部基板 3 0の孔 3 2、 3 4にコン デンサ基板 2 0及びウイック基板 4 0を揷入する。
次に、 図 1 0 Aに示すように、 下部基板 1 0の表面 1 0 aに例えばスパッタリ ングによって接着部材としての銅薄膜 1 0 bを形成する。 その後、 図 1 0 Bに示 すように、 下部基板 1 0と上部複合基板 1 0 0とを例えば超音波接合又は熱融着 接合によって接合する (ステップ 7 0 4 ) 。
上に述べた製造方法により、 ヒートパイプを効率よく製造できる。
(冷却装置の他の例)
図 1 1はコンデンサ基材 1 2 2とウィック基材 1 2 4とをフレキシブル基板 1 2 1で繫げているフレキシブル冷却装置 1 2 0を示したものである。
コンデンサ基材 1 2 2、 ウイック基材 1 2 4はそれぞれプラスチックからなり、 上述した方法によってコンデンサ基板 2 0、 ウィック基板 4 0が組み込まれたも のである。
フレキシブル基板 1 2 1はプラスチックからなり、 内部にヒートパイプの流路 1 2 3を含んでいる。 これらの基材又は基板が一体となってヒートパイプを構成
する。
フレキシブル基板 1 2 1は自由な変形が可能である。 例えば電子機器の発熱部 にウィック基板 1 2 4を装着させ、 電子機器の外部表面の形状に沿うようにフレ キシブル基板を密着させることができる。
このような構成の冷却装置によれば、 狭い空間にも効率的にヒートパイプを装 着させることができ、 電子機器等の小型薄型化が図れる。
(電子機器装置)
図 1 2は本発明に係る冷却装置が搭載されたパーソナルコンピュータの概略斜 視図である。
ノ ーソナノレコンピュータ 1 3 0は、 フラッシュメモリ 1 3 3とドライバ 1 3 2 とを有する記録媒体 1 3 4を着脱するためのスロット 1 3 1を有する。 本発明に 係る冷却装置 1 3 5はスロッ ト 1 3 1を介して装着された記憶媒体 1 3 4の例え ばドライバ 1 3 2の直下にウイックが位置するようにパーソナルコンピュータ 1 3 0内に配置されている。
なお、 ここでは、 電子機器装置としてパーソナルコンピュータを例にとり説明 したが、 本発明に係る冷却装置はディジタルカメラやビデオカメラ等の他の電子 機器装置にも搭載することが可能である。
(その他)
以上、 本発明の実施形態について、 主に上部基板 3 0や下部基板 1 0をガラス 又はプラスチックで構成し、 ウィック基板 4 0やコンデンサ基板 2 0を金属で構 成した場合の例について説明したが、 本発明はこれに限られるものではなく、 ゥ ィック基板 4 0やコンデンサ基板 2 0の熱伝導率を、 上部基板 3 0や下部基板 1 0の熱伝導率より大きく (高く) なるように構成する点に特徴を有する。
なお、 ウィック基板 4 0やコンデンサ基板 2 0に好適な材料及ぴその熱伝導率 の例を以下の表 1に示し、 上部基板 3 0や下部基板 1 0に好適な材料及ぴその熱 伝導率の例を以下の表 2に示す。
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また、 近年においては、 プラスチック原科の粒に、 熱を良く伝えるセラミック 粉末と、 低温で溶ける合金粉末を混ぜ、 加熱して成形加工することで従来のブラ スチックの 1 0 0倍以上の熱伝導率を有する特殊プラスチックが開発されている。 従って、 この特殊プラスチックをウイック基板やコンデンサ基板の材料として用 レ、、 上部基板や下部基板の材料として一般的な熱伝導率を有するプラスチックや ガラス、 例えばパイレックス (登録商標) ガラス等を用いることで、 ウィック基 板やコンデンサ基板の熱伝導率が、 上部基板や下部基板の熱伝導率より大きくな るように構成することも考えられる。
ここで、 上部基板や下部基板に一般的な熱伝導率を有するプラスチックゃガラ ス (パイレックスガラス等) を用いた場合、 ウィック基板やコンデンサ基板をチ タニゥムで構成すれば、 上部基板や下部基板と比較して 1 0倍以上の熱伝導率を 得ることができる。
同様に、 ウィック基板やコンデンサ基板を鉄やニッケルで構成すれば、 上部基 板や下部基板と比較して 5 0倍以上の熱伝導率を得ることができる。 同様に、 ゥ イツク基板やコンデンサ基板を上述した特殊プラスチックやアルミユウムゃシリ
コンで構成すれば、 上部基板や下部基板と比較して 5 0倍以上の熱伝導率を得る ことができる。 さらに同様に、 ウィック基板やコンデンサ基板を銅で構成すれば、 上部基板や下部基板と比較して 3 0 0倍以上の熱伝導率を得ることができる。 以上説明したように、 本発明によれば、 小型薄型化が可能で冷却性能が高い冷 却装置、 電子機器装置及び冷却装置の製造方法を提供することができる。 産業上の利用可能性
以上のように、 本発明に係る冷却装置は、 カード型の記憶媒体を冷却するため の小形の冷却装置に適している。 また、 本発明に係る電子機器は、 カード型の記 憶媒体を用いるノート型のパーソナルコンピュータやディジタルカメラ等の小形 の電子機器に適している。 さらに、 本発明に係る冷却装置の製造方法は、 カード 型の記憶媒体を冷却するための小形の冷却装置の製造に適している。