明 細 書
金属配位化合物を用いた電界発光素子 技術分野
本発明は、 有機化合物を用いた電界発光素子に関するものであり、 さらに 詳しくは、金属配位化合物を発光材料として用いることで、発光効率が高く、 発光寿命の長い電界発光素子に関するものである。 背景技術
有機 E L (エレクト口ルミネッセンス) 素子は、 高速応答性、 高効率の電 界発光素子として、 その応用研究が精力的に行われている。 その基本的な構 成を図 1 Aおよび 1 Bに示す [例えば Macromol . Symp. 125、 1〜48 (1997)参照]。 図 1 Aおよび 1 Bに示すように、 一般に有機 E L素子は、 透明基板 15上の 透明電極 14と、 金属電極 11と、 それらの間に配された複数の有機膜層とか ら構成される。
図 1 Aでは、 有機層が発光層 12とホール輸送層 13とからなる。 透明電極 1 4としては、 仕事関数が大きな IT0などが用いられ、 透明電極 1 4からホ ール輸送層 1 3への良好なホ一ル注入特性を持たせている。 金属電極 1 1と しては、 アルミニウム、 マグネシウムあるいはそれらの合金等、 仕事関数の 小さな金属材料を用いることで有機層への良好な電子注入特性を持たせる。 これら電極は一般に 50〜200nmの膜厚を有する。
発光層 1 2には、電子輸送性と発光特性を有するアルミキノリノール錯体、 代表的には、 図 2Aに示す A l d 3等の材料が用いられる。 また、 ホ一ル輸 送層 1 3には、 トリフエ二ルジァミン誘導体、代表的には、 図 2 Aに示す α - N P D等の電子供与性材料が用いられる。
上記のようにの構成した素子は整流性を示し、 金属電極 1 1が陰極に、 透
明電極 1 4が陽極になるように電界を印加すると、 金属電極 1 1から電子が 発光層 1 2に注入され、 透明電極 1 4からはホールが注入される。
注入されたホールと電子は発光層 1 2内で再結合して励起子を生じ、 それ により発光する。 この時ホール輸送層 1 3は電子のブロッキング層の役割を 果たすので、 発光層 1 2ノホール輸送層 1 3界面での再結合効率が上昇し、 発光効率が高まる。
また、図 1 Bでは、図 1Aの金属電極 1 1と発光層 1 2との間に、 さらに電子 輸送層 1 6が設けられている。 このように電子輸送層を別途独立に設け、 よ り効果的なキャリアブロッキング構成にすることで、 発光層において、 より 効率的な発光を行うことができる。電子輸送層 1 6の材料としては、例えば、 · ォキサジァゾール誘導体や、 図 2 Aおょぴ 2 Bに示す A 1 q 3や Bphenを用 いることができる。
これまで、 一般に有機 E L素子に用いられている発光には、 発光中心の分 子の一重項励起子から基底状態になるときの蛍光が利用されている。 一方、 —重項励起子を経由した蛍光発光を利用するのでなく、 三重項励起子を経由 した燐光発光を利用する素子の検討がなされている。
かかる検討結果について発表されている代表的な文献は以下のものがある。 又献 1 : D. F. O' Brien et al. 、 Improved energy transfer in Electrophosphorescent device" 、 Applied Physics Letters Vol. 74、 No3 p422 (1999)
文献 2 : M. A. Baldo et al. 、 ' Very high-efficiency green organic light-emitting devices based on Electrophosphorescence " 、 Applied Physics Letters Vol. 75、 Nol p4 (1999)
これらの文献では、 図 1 Cに示すように、 有機層が 4層で構成された素子 が主に用いられている。 その構成は、 陽極側からホール輸送層 1 3、 発光層 1 2、 励起子拡散防止層 1 7、 および電子輸送層 1 6を積層してなる。 用い
られている材料は、 図 2 Aおよび 2 Bに示すキヤリァ輸送材料と燐光発光性 材料である。 各図に示した各材料の略称は以下の意味を有する。
A 1 q 3 :アルミ—キノリノール錯体
ひ - NPD : N4, N4' -Di-naphthalen-l-yl-N4, N4 -diphenyl
-biphenyl-4, 4 -diamine
CBP : 4, 4 一 N, N' — dicarbazole— bipheny丄
BCP : 2, 9 - dimethyl - 4, 7 - diphenyl - 1, 10— phenanthroline
Bphen : 4, 7 - diphenyl - 1, 10-phenanthroline
PtOEP : 白金-オタタエチルポルフィリン錯体
Ir (ppy) 3 :イリジウム-フエニルピリジン錯体
上記両文献 1、 2において、高効率が得られたのは、ホール輸送層に a PD、 電子輸送層に A 1 q 3、 励起子拡散防止層に BCPをそれぞれ用い、 発光層は CBPをホスト材料として、 6%程度の濃度で、 燐光発光性材料である Ir (ppy) 3 や PtOEPを混入して構成したものである。
近年、 憐光性発光材料が特に注目されている理由は、 原理的に高発光効率 が期待できるからである。 すなわち、 キャリア再結合により生成される励起 子は 1重項励起子と 3重項励起子とからなり、その確率は 1 : 3である。 これ までの有機 E L素子は、 1 重項励起子から基底状態に遷移する際の蛍光を発 光として取り出していたが、 原理的にその発光収率は生成された励起子数に 対して、 25%でありこれが原理的上限であった。 しかし、 3重項から発生する 励起子からの燐光を用いれば、 原理的に少なくとも 3倍の収率が期待され、 さらに、 エネルギー的に高い 1重項からの 3重項への項間交差による転移を 考え合わせれば、 原理的には 4倍の 100%の発光収率が期待できる。
上記の、 燐光発光を用いた有機 E L素子では、 発光の高効率化の課題と 共に通電時の発光の劣化が問題となる。 燐光電界発光素子の発光劣化の原 因は現在明らかではないが、一般に 3重項寿命が 1重項寿命より、 3桁以上
長く、 分子がエネルギーの高い状態に長く置かれるため、 周辺物質との反 応、 励起多量体の形成、 分子微細構造の変化、 不純物の影響、 周辺物質の 構造変化等が起こるのではないかと考えられている。
燐光素子に関して多くのグループで研究が進んでいるが、 その中心になって いる金属配位化合物の中心金属は Ir (イリジウム) である。
その報告例として下記の文献 3がある。
文献 3 :S. Lamansky他、 ynthesis and Characterization of Phosphorescent Cyclometalated Iridium complex 、 Inorg. Chera. 40、 pl704、 (2001) 一般に、 高効率の燐光発光する物質は、 比較的原子量の大きな金属を中心 金属に持つ化合物である。 燐光発光は、 励起 3重項から基底 1重項への遷移 であり、 一般の有機物では禁制遷移であるが、 重原子金属を用いた金属配位 化合物ではこの禁制が 「重原子効果」 によって解力れ、 許容遷移となり、 強 い燐光を発するもがある。
その一例がィリジゥム金属を用いた金属配位化合物である。しかしながら、 イリジウム配位化合物など重原子金属を用いる金属配位化合物は、 当然なが らその分子量は大きくなる。 そのため、 有機 E L素子作成に用いられる蒸着 製膜工程において、 このィリジゥム配位化合物による熱分解が問題となる。 分解が起きる場合、 成膜された発光層中に分解生成物が混じるために、 発光 素子としての発光寿命が短くなり、 また量産時の素子ばらつきが大きくなる などの問題がある。
イリジウム金属配位化合物は、 例えば、 図 3の 3 1から 3 5に示され る分子構造に代表されるような化合物が用いられる。 3 1の化合物の場合、 フエ二ルビリジン配位子が 3つ配位したものであり、 また、 3 3は 2配位 したものである。 3 1と 3 3の分子量はそれぞれ 655と 600である。一方、 図 2 Aおよび 2 Bに示した A 1 q 3は、 459であり、前記ィリジゥム配位化 合物に対して、 分子量は小さい。
これらを同じ蒸着レートで真空蒸着し、 その蒸着ポートの残留物を分析 してみると、 A 1 q 3では分解は確認されないが、 ィリジゥム配位化合物 では長時間にわたって蒸着をし続けた場合、 0. 1〜3%の分解物が確認され た。 これにより、 量産時に多くの素子を作成するような過酷な条件の場合 には、 蒸着ボートの中でィリジゥム配位化合物が分解する可能性があり、 素子内の不純物濃度が高くなり素子性能や生産安定性に悪影響を与える可 能性があることが分かった。
さらに、 配位化合物の配位子の共役長を伸ばして、 発光波長を長波長化 することが考えられる。その例を図 3の化合物 34や 35に示す。この場合、 配位子を長くすることによりさらに分子量が増大し、 昇華温度が上昇して 蒸着しにくくなるために、 生産性へ悪影響を与えることになる。
また、 分子量を低減するために図 3の 31や 32のような同一の 3配位化 合物から、 33から 35の異配位子化合物への工夫が見られるが、図中のァセ チルァセトネート体は、 3配位体よりも熱的な安定性が低下し、蒸着時に分 解などの問題が発生する場合がある。
また、 燐光発光材料の場合、 上記不純物の問題だけではなく、 通電時の 素子内での化学反応による劣化の問題もある。
さらにレニウム錯体を、 電界発光素子の発光層に用いた例が下記文献に 開示されている。 この中で幾つかのレニウム錯体の開示があるが、 さらに 新規な発光材料の開発が望まれている。
文献 4 : 中国特許公報 第 1084134C明細書
以上述べたように、 これまで燐光発光素子に用いられる金属配位化合物 は、 上記のような問題を内在している。 よって発光効率が高くて、 かつ化 学的安定 14の高い材料が望まれていた。 発明の開示
本発明は、 有用な電界発光素子を提供することにある。
本発明は、 基板上に設けられた一対の電極の間に少なくとも一種の有機ィ匕 合物からなる発光層を備える電界発光素子であって、 前記有機化合物が下記 一般式 (1 ) で示される部分構造式で表される部分構造を含む金属配位ィ匕合 物であることを特徴とする電界発光素子である。
Re
(式中、 Reはレニウムであり、 COはカルボ-ル基である。 nは 1以上 5以 下の整数を示す。 )
特に本発明は、 前記有機化合物が下記一般式 (2 ) で示される部分構造式 で表される部分構造を含む金属配位化合物であることによつて達成される。
(式中、 Reはレニウムであり、 R1から の少なくとも一つは、 置換されても良いフエニル基またはナフチノレ基である。 それ以外の前記 R1 から R8は、分岐または直鎖で炭素数が 1から 10のアルキル基、アルコシキ ル基、 ハロゲン化アルキル基、 ハロゲン化アルコキシル基、 または、 ノヽロゲ ン原子、 水素原子から選ばれる。 前記置換されても良いフエニル基またはナ フチル基の置換基は、 分岐または直鎖で炭素数が 1から 10のアルキル基、 アルコシキル基、 ハロゲン化アルキル基、 ハロゲン化アルコキシル基、 ハロ ゲン原子から選ばれる。 )
特に本発明は、 前記有機化合物が下記一般式 ( 3 ) で示される部分構造式 で表される部分構造を含む金属配位化合物であることよつて達成される。
(式中、 Reはレニウムであり、 R1から R8は、 分岐または直鎖で炭素数が 1から 10のアルキル基、 アルコシキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン 化アルコキシル基、 または、 ハロゲン原子、 水素原子から選ばれる。 ) 特に本発明は、 前記有機化合物が下記一般式 (4 ) で示される部分構造式 で表される部分構造を含む金属配位化合物であることよって達成される。
(式中、 Reはレニウムであり、 芳香環 Aと Bは、 異なる窒素原子を有する 芳香環であり、 該芳香環は置換基を有しても良いピリジン環、 キノリン環、 イソキノリン環、ィミダゾール環であり、該芳香環の CH基は N原子に置換 されても良い。 前記置換基は、 分岐または直鎖で炭素数が 1から 10のアル キル基、 アルコシキル基、 ハロゲン化アルキル基、 ノヽロゲン化アルコキシル 基、 または、 ハロゲン原子から選ばれる。 )
また、 前記有機化合物が下記一般式 (5 ) で示される部分構造式で表され る部分構造を含む金属配位化合物であることよって達成される。
(式中、 Reはレニウムであり、 R1力ら R8は、 分岐または直鎖で炭素数が 1から 10のアルコシキル基、ハロゲン化アルキル基、ノヽロゲン化アルコキシ ル基、 または、 ハロゲン原子、 水素原子、 分岐または直鎖で炭素数が 2から
10のアルキル基、置換されても良い芳香環基から選ばれる。前記置換されて も良い芳香環基の置換基は、 分岐または直鎖で炭素数が 1から 10のアルキ ル基、アルコシキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシル基、 または、 ハロゲン原子から選ばれる。 )
特に本発明は、 前記有機化合物が下記一般式 (6 ) で示される部分構造式 で表される部分構造を含む金属配位化合物であることよって達成される。
(式中、 Reはレニウムであり、 芳香環 Aは置換基を有してもよいフエニル 基、 フルオレン基、 ナフタレン基であり、 芳香環 Bは置換基を有しても良い ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環である。該芳香環 Aや Bの CH基 は N原子に置換されても良い。 前記芳香環 Aや Bの置換基は、 分岐または 直鎖で炭素数が 1から 10のアルキル基、 アルコシキル基、 ハロゲン化アル キル基、 ハロゲン化アルコキシル基、 または、 ハロゲン原子、 ジ置換アミン 基 {該置換アミン基の置換基は、 フエニル基または炭素数が 1から 10のァ ルキル基 } から選ばれる。 )
特に本発明は、 前記有機化合物が下記一般式 (7 ) で示される部分構造式 で表される部分構造を含む金属配位ィヒ合物であることよって達成される。
(式中、 Reはレニウムであり、 Rlから R8は、 置換されても良いフエニル 基、 分岐または直鎖で炭素数が 1から 10のアルキル基、 アルコシキル基、 ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシル基、または、ハロゲン原子、
0
9 水素原子から選ばれる。 前記置換されても良いフエニル基の置換基は、 分岐 または直鎖で炭素数が 1から 10のアルキル基、 アルコシキル基、 ハロゲン 化アルキル基、 ハロゲン化アルコキシル基、 ハロゲン原子からなる。 )
特に本発明は、 前記有機化合物が下記一般式 (8 ) で示される部分構造式 で表される部分構造を含む分子構造を有する金属配位化合物であることによ つて達成される。
(式中、 窒素を含む芳香環 Aは、 置換基を有しても良いピリジン環、 キノリ ン環またはィソキノリン環で、 これら芳香環の一つ以上の C-H基が N原始 に置き換わっても良い複素環である。 該置換基はハロゲン原子、 炭素原子数 1から 1 0の直鎖上または、 分岐状のアルキル基 [該アルキル基中の少なく とも一つもしくは隣接しない複数のメチレン基が、一 0—、一 S―、一 CO—、 — COO—、 一 0C0—、 一CH=CH—または一 C≡C—で置き換えられても良く 第アルキル基中の水素原子は、 フッ素原子に置換されても良い] 、 または置 換されても良い芳香環基である。 [該置換基は、 ハロゲン原子、 炭素原子数 1から 1 0の直鎖上または、 分岐状のアルキル基、 炭素原子数 1から 1 0の 直鎖上または、 分岐状のアルコキシル基、 または、 置換されても良い芳香環 基である。 ] )
特に本発明は、 前記電界発光素子の発光がりん光であることによって達成 される。
特に本発明は、 前記発光層が、 前記一般式 ( 1 ) で示される部分構造式で 表される部分構造を含む前記金属配位化合物のみから構成されることによつ て達成される。
本発明は、 有用な表示装置を提供することにある。
本発明は、 前記電界発光素子と、 前記電界発光素子に電界印加手段を備え
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10 たことを特徴とする表示装置である。 図面の簡単な説明
図 1 Aは、 有機層が 2層の場合の有機 E L素子の構成を示す図である。
図 1 Bは、 有機層が 3層の場合の有機 E L素子の構成を示す図である。
図 1 Cは、 有機層が 4層の場合の有機 E L素子の構成を示す図である。
図 2 Aは、従来の有機 E L材料である A 1 q 3、 a- N P D、 C B P、 B C P、 I r ( p p y ) 3の化学構造式を説明する図である。
図 2 Bは、 従来の有機 E L材料である B p h e nの化学構造式を説明する 図である。
図 3は、 従来の有機 E L材料の化学構造式を説明する図である。
図 4は、 本願で用いられる配位子の化学構造式を説明する図である。
図 5は、 本願で用いられる配位子の化学構造式を説明する図である。
図 6は、 本願で用いられるフエ二ルビリジン及ぴベンゾキノリンの誘導体 力らなる 2座配位子の化学構造式を説明する図である。
図 7は、 本願で用いられるフエ二ルビリジン及びべンゾキノリンの誘導体 からなる 2座配位子の化学構造式を説明する図である。
図 8は、 本願で用いられる配位子の化学構造式を説明する図である。
図 9は、 本願で用いられるフエ二ルビリジン及ぴベンゾキノリンの誘導体 力 なる 2座配位子の化学構造式を説明する図である。
図 1 0は、 本発明に用いられるレニウム金属配位化合物の一般式の化学構 造式を説明する図である。
図 1 1は、 本発明に用いられる一座配位子の化学構造式を説明する図であ る。
図 1 2は、 本願で用いられる配位子の化学構造式を説明する図である。
図 1 3 Aは、 実施例 1の発光素子の電圧一電流特性を示す図である。
図 1 3 Bは、 実施例 1の発光素子の電圧一輝度特性を示す図である。
図 1 3 Cは、 実施例 1の発光素子の電流一輝度特性を示す図である。
図 1 4 Aは、実施例 2に記載の発光素子の電圧一電流特性を示す図である。 図 1 4 Bは、実施例 2に記載の発光素子の電圧一輝度特性を示す図である。 図 1 4 Cは、実施例 2に記載の発光素子の電流一輝度特性を示す図である。 図 1 4 Dは、実施例 2に記載の発光素子の発光スぺク トルを示す図である。 図 1 5 Aは、実施例 3に記載の発光素子の電圧一輝度特性を示す図である。 図 1 5 Bは、実施例 3に記載の発光素子の電流一輝度特性を示す図である。 図 1 5 Cは、実施例 3に記載の発光素子の電圧一電流特性を示す図である。 図 1 5 Dは、実施例 3に記載の発光素子の発光スぺクトルを示す図である。 図 1 6は、 本願で用いられる XYマトリクス配線を持つ発光素子の概念図 である。 X方向には走査信号ドライバーが、 Y方向には情報信号ドライバー が配置されている。 さらに電流供給源が配置されている。
図 1 7は、 本願で用いられるアクティブマトリクス型発光素子の等価回路 を示す図である。
図 1 8は、 本願で用いられるアクティブマトリクス型発光素子の T F T部 分の断面構造を示す図である。
図 1 9 Aは、本発明の素子に DC電圧を印加して測定した素子の電圧一輝度 特性を示す図である。
図 1 9 Bは、本発明の素子に DC電圧を印加して測定した素子の電流一輝度 特性を示す図である。
図 1 9 Cは、本発明の素子に DC電圧を印加して測定した素子の発光スぺク トルを示す図である。
図 2 0 Aは、本発明の他の素子に DC電圧を印加して測定した素子の電圧一 輝度特性を示す図である。
図 2 0 Bは、本発明の他の素子に DC電圧を印加して測定した素子の電流一
輝度特性を示す図である。
図 2 0 Cは、本発明の他の素子に DC電圧を印加して測定した素子の発光ス ぺクトルを示す図である。
図 2 1は、 本発明の例示化合物 350と 351を示す図である。 発明の実施の形態
発光層が、 キヤリァ輸送性のホスト材料とりん光発光性のゲスト材料から なる場合、 3重項励起子からのりん光発光に至る主な過程は、 以下のいくつ かの過程からなる。
1 . 発光層内での電子 ·ホールの輸送
2 . ホストの励起子生成
3 . ホスト分子間の励起エネルギー伝達
4 . ホストからゲストへの励起エネルギー移動
5 . ゲストの三重項励起子生成
6 . ゲストの三重項励起子 → 基底状態へ遷移時のりん光発光 それぞれの過程における所望のエネルギー移動や、 発光はさまざまな失活 過程と競争でおこる。 E L素子の発光効率を高めるためには、 発光中心材料 そのものの発光量子収率が大きいことは言うまでもない。 しかしながら、 ホ ストーホスト間、 あるいはホストーゲスト間のエネルギー移動が如何に効率 的にできるかも大きな問題となる。
また、 ホストで励起子ができる上記発光メカニズム以外に、 ゲスト上で直 接、 電子とホールが再結合して励起子生成するメカニズムが考えられる。 こ れらホストで励起子が生成されゲストにエネルギー移動してゲストの励起子 ができる場合を間接励起、 ゲストが直接励起される場合を直接励起と呼ぶ。 直接励起と間接励起がどちらが起こっているかを実験的に判断するのは困難 であるが、 いずれにしてもこのどちらか、 あるいは、 2つの現象が混在した
現象である。
本発明に用いたレニウム錯体は、 燐光発光をするものであり、 最低励起状 態が、 3重項状態の MLCT* (Metal- to- Ligand charge transfer)励起状態、 あ るいは、配位子内の π電子が関与する π π *励起状態であると考えられる。 こ れらの状態から基底状態に遷移するときに燐光発光が生じる。
レニウム化合物は、 第 6周期の遷移金属で大きな重原子効果を有する金属 であり、 燐光発光性を示す。 本発明に用いられるレニウム金属配位化合物の 一般式の例を図 10にあげる。
以下に本発明に用いられる配位子の具体例をあげる力 s、本発明の化合物は、 当然これらに限られるものではない。
図 1 0の L、LL, 、LLは π共役系を有する一座あるいは二座配位子である。 X は、 ハ口ゲン原子、 'トリァリルホスフィン、 トリアルキルホスフィンなど である。
Lの例を図 11にあげる。図 11は、本発明に用いられる一座配位子を示し、 ピリジン、 キノリン、 イソキノリン、 あるいはこれらの C-H基を窒素原子に 置換したものであり、 これら芳香族環中の窒素原子が Reに配位する。
LLの例を図 4、 5、 8にあげる。図 4には 2, 2' -ビビリジン及ぴそれに置換基 を付与したものである。 図 5にはフエナントロリン及ぴそれに置換基を付与 したものを示した。
図 4と 5に示したものは、 ビビリジンとフエナント口リン中の芳香環中の
2つの窒素原子が Re原子に配位する 2座配位子として機能する。 置換基は、 種々の働きをする。 例えば、 電子吸引あるいは電子供与基を用いることで、 発光波長や発光特性を変化させることができる。 また、 隣接分子との間の分 子間相互作用を制御することができ、 発光効率を向上させることができる。 また、 従来から導電性のホスト材料中に発光性のゲスト材料を分散させた 発光層中では、 ゲストの分散量が多くなると、 発光輝度が逆に低下する現象
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14 が知られており、 一般に濃度消光と呼ばれている。 これは近接する発光材料 間の分子間相互作用により、 励起エネルギーを受け渡してしまい、 発光エネ ルギ一が減少するものであると考えられている。
そのために、 上記濃度消光の元になる分子間相互作用を抑制することで、 濃度消光を抑制することができ、 高濃度、 あるいは、 ホスト分子が不要で、 発光層を本発明の Re配位化合物 100%で形成しても、 高効率の電界発光素子 が可能になる。 また、 分子間相互作用を弱めることで昇華温度が低下し、 真 空蒸着する場合の分解を防止し、安定した蒸着製膜が可能になる効果もある。 図 8には、 縮合複素環や、 複数の窒素原子で置換した複素環で構成した 2 座配位子の例を示した。 例に示した 81〜85や 88〜89配位子のような共役長 を大きくした配位子では、 発光波長の長波長化が可能になる。
また、 86〜88のように芳香環中の窒素原子が増えると電子親和力が大き くなり、 電子を受け取り易くなる。 これにより、 中心金属から配位子への 電荷移動がしゃすく、 発光効率が高い MLCT*励起状態がより実現しやすい。 我々の経験では、 図 4や図 5に示した、 対称性の高い骨格であるフエナン トロリンやビビリジンの場合、 その対称性のためか、 濃度消光しやすい。 濃い濃度あるいは、 100%の発光層で用いる場合には、 何らかの置換基が多 くの場合必要になる。 それらの例が、 図 4や図 5に示されている。 一方、 図 8や図 9の一部に示した、対称性の低い芳香族骨格をもつもの(81〜83、 91〜97)は、対称性が低い分、結晶化ゃスタツキングが抑制されるためか、 必ずしも置換基がなくても、 濃度消光が顕著でない場合が多い。
図 6、 7、 9は、 フエ二ルビリジン及びべンゾキノリンの誘導体からなる 2 座配位子を示す。 これらの配位子は、 芳香環中の窒素原子と、 芳香環中の 炭素原子とが Re原子に配位するものである。炭素原子が直接配位するため、 これら配位子から水素が一つ脱水素する。 そのため、 これらの配位子はマ ィナス 1価の負イオンとして働く。
本発明に用いられる金属配位化合物のいくつかの例を表 1 から表 4に示 した。ここにあげた Re配位化合物の Re (l)で一価のカチオンである。また、 PPh3と付記したものはトリフエニルホスフィン、 P (C2H5) 3、 P (0C2H5) 3とした のはトリエチルホスフィン、 トリエトキシホスフィンである。
以下の表 1から表 1 0の各例示の配位子は、図 4から図 9及ぴ図 11に示 す配位子番号で示した。 表には例の一部を示したが、 これら図に示したよ うな配位子または、 これらに他の置換基を用いたものでも可能である。 表中、 電気的に中性のものや一価プラス電荷を有するものが含まれる。 —価のプラス電荷を有するものは、 カウンターァニオンが必要になる。 例 えば、 C104-、 PF6 -、 CF3S03 -、 B (Ph) 4-などがあげられるが、 これらに限定さ れるわけではない。
なお、 実施例で合成された例示化合物の番号は、 表 1 から表 1 0の番号 欄の番号である。
奋 化合物タイプ (CO)n しし orし L' X 実施例
1 102 3 41 CI 1 , 2 , 3 , 5
2 102 3 42 CI
3 102 3 43 ― CI 19
4 102 3 44 CI
5 102 3 45 CI
6 102 3 46 一 CI
7 102 3 47 一 CI
8 102 3 48 一 CI
9 102 3 49 一 CI 20
10 102 3 410 Ci
11 102 3 411 CI
12 102 3 412 一 CI
13 102 3 413 一 CI
14 102 3 414 一 CI
15 102 3 51 一 CI
16 102 3 52 一 CI
17 102 3 53 一 CI 51 , 52
18 102 3 54 ― CI
19 102 3 55 一 C!
20 102 3 56 ― CI
21 102 3 57 ― CI 6
22 102 3 58 _ CI 7
23 102 3 59 一 CI 13
24 102 3 510 一 CI 14
25 102 3 511 ― CI 16
26 102 3 512 CI 15
27 102 3 513 一 CI 9
28 102 3 514 CI 8
29 102 3 515 一 CI
30 102 3 516 一 CI 11
31 102 3 517 一 CI
32 102 3 518 一 Gl 10
33 102 3 519 一 CI 12
34 102 3 520 ― Ci 22
35 102 3 81 ― CI 17
36 102 3 82 一 CI
37 102 3 83 ― CI 18
38 102 3 84 CI
39 102 3 85 CI
40 102 3 86 CI
41 102 3 87 CI 25
42 102 3 88 CI
43 102 3 89 CI
44 102 3 810 CI
45 102 3 811 CI 21
46 102 3 812 CI 24
47 102 3 41 Br
48 102 3 42 Br
49 102 3 43 Br
50 102 3 44 Br
表 2
化合物タイプ 、リ しし or 1 Γ X
51 102 4o br
52 102 4b or
o
00 102 ό 4 / br
54 102 br
00 1 02 r
56 102 Br
57 10Z 41 1 or
58 102 41 2 Br
59 102 3 413 Br
60 102 3 4 14 Br
61 102 3 51 Br
62 102 3 52 Br
63 102 3 53 Br
64 102 3 54 Br
65 102 3 55 Br
66 102 3 56 Br
67 102 3 57 Br
68 102 3 58 Br
69 102 3 59 Br
70 102 3 510 Br
71 102 3 51 1 Br
72 102 3 512 Br
73 102 3 513 Br
74 102 3 514 Br フ 5 102 3 515 Br
76 102 3 516 Br
77 102 3 517 Br
78 102 3 518 Br
79 102 3 519 Br or
81 102 3 81 Br
82 102 3 82 Br
83 102 3 83 Br
84 102 3 84 Br
85 102 3 85 Br
86 102 3 86 Br
87 102 3 87 Br
88 102 3 88 Br
89 102 3 89 Br
90 102 3 810 Br
91 102 3 81 1 Br
92 102 3 812 Br
表 3
化合物夕ィプ' (CO) n しし orし L' X 実施例 n yoo I υ A υ I
I U A Ό
yo 1 Uo A
yo 1 Uo A f ΌiA
1 * Ar
1 Uo A ΌΌ
QQ o A R u7 /
00 103 4 68
01 103 4 69
02 103 4 610
03 103 4 61 1 2704 103 4 612 2605 103 4 71
06 103 4 72
07 103 4 73
08 103 4 74
09 103 4 75
10 103 4 76
1 1 103 4 77
12 103 4 78
表 4
资 ィ匕合物タイフ (CO n しし orし し X ¾E例
113 101 3 41 111
114 101 3 42 111
115 101 3 43 111
116 101 3 44 111
117 101 3 45 111
118 101 3 46 111
119 101 3 47 111
120 101 3 48 111
121 101 3 49 111
122 101 3 410 111
123 101 3 411 111
124 101 3 412 111
125 101 3 413 111
126 101 3 414 111
127 101 3 51 111
128 101 3 52 111
129 101 3 53 111
130 101 3 54 111
131 101 3 55 111 4
132 101 3 56 111
133 101 3 57 111
134 101 3 58 111 23
135 101 3 59 111
136 101 3 510 111
137 101 3 511 111
138 101 3 512 111
139 101 3 513 111
140 101 3 514 111
141 101 3 515 111
142 101 3 516 111
143 101 3 517 111
144 101 3 518 111
145 101 3 519 111
146 101 3 520 111
147 101 3 81 111
148 101 3 82 111
149 101 3 83 111
150 101 3 84
151 101 3 85
152 101 3 86
153 101 3 87
154 101 3 88
155 101 3 89
156 101 3 810
157 101 3 811
158 101 3 812
159 101 3 41
160 101 3 42
161 101 3 43
162 101 3 44
表 5
杳 化合物タイプ (CO)n しし orし し, X
163 101 3 45 111
164 101 3 46 111
165 101 3 47 111
166 101 3 48 1 11
167 101 3 49 111
168 101 3 410 111
169 101 3 411 111
170 101 3 412 111
171 101 3 413 1 11
172 101 3 414 111
173 101 3 51 111
174 101 3 52 111
175 101 3 53 1 11
176 101 3 54 111
177 101 3 55 111
178 101 3 56 111
179 101 3 57 111
180 101 3 58 111
181 101 3 59 111
182 101 3 510 111
183 101 3 511 111
184 101 3 512 111
185 101 3 513 111
186 101 3 514 111
187 101 3 515 1 11
188 101 3 516 1 11
189 101 3 517 111
190 101 3 518 111
191 101 3 519 111
192 101 3 520 111
193 101 3 81 111
194 101 3 82 111
195 101 3 83 111
196 101 3 84 111
197 101 3 85 111
198 101 3 86 111
199 101 3 87 111
200 101 3 88 111
201 101 3 89 111
202 101 3 810 111
203 101 3 81 1
204 101 3 812
205 101 3 41 117
206 101 3 42 117
207 101 3 43 117
208 101 3 44 117
209 101 3 45 117
210 101 3 46 117
211 101 3 47 117
212 101 3 48 117
213 101 3 49 117
9拏
IZ
6 S9Z.0/£0 OAV
表 7 畨 化合物タイプ (CO)n しし orし 実施例
260 101 3 410 117
261 101 3 411 117
262 101 3 412 117
263 101 3 413 117
264 101 3 414 117
265 101 3 51 117
266 101 3 52 117
267 101 3 53 117
268 101 3 54 117
269 101 3 55 117
270 101 3 56 117
271 101 3 57 117
272 101 3 58 117
273 101 3 59 117
274 101 3 510 117
275 101 3 511 117
276 101 3 512 117
277 101 3 513 117
278 101 3 514 117
279 101 3 515 117
280 101 3 516 117
281 101 3 51フ 117
282 101 3 518 117
283 101 3 519 117
284 101 3 520 117
285 101 3 81 117
286 101 3 82 117
287 101 3 83 117
288 101 3 84 117
289 101 3 85 117
290 101 3 86 117
291 101 3 87 117
292 101 3 88 117
293 101 3 89 117
294 301 3 810 117
295 101 3 811 117
296 101 3 812 117
297 101 3 58 112
298 101 3 58 113
299 101 3 58 114
300 101 3 58 115
301 101 3 58 116
302 101 3 58 118 23
表 8 sc.口 A/物bin
303 104 3 111 CI
304 104 3 112 CI
305 104 3 113 CI
306 104 3 114 CI
307 104 3 115 CI
308 104 3 116 CI
309 104 3 117 CI
310 105 4 111 CI
311 105 4 112 CI
312 105 4 113 CI
313 105 .4 114 Ci
314 105 4 115 CI
315 105 4 116 CI
316 105 4 111 Br
317 105 4 112 Br
318 105 4 113 Br
319 105 4 114 Br
320 105 4 115 Br
321 105 4 116 Br
表 9
本発明の Re化合物は有機 E L素子の発光材料に有用である。高い発光 効率を有することは言うまでもなく、 蒸着プロセスによる製膜や、 高分子 中に分散するためのスピンコートにも適する。 素子作成工程における分解 などのダメージがなく安定した素子作成が可能になる。 また、 E L素子の
通電時の発光安定性に関しても問題がないことが確認された。
本発明の Re金属配位化合物の特徴は、カルボ二ル基を有することである。 カルボニル基部分の分子量は 38程度であり、分子全体の分子量を小さく抑 えることができる。 従って、 昇華温度が小さいことが本発明の金属配位化 合物の特徴の一つとしてあげられる。 例えば、 前記した Ir (ppy) 3の分子量 は 655、 A 1 q 3は 459. 1で、図 12に示した Re (CO) 3bpyClは 462. 1であり、 重原子効果を用いる燐光発光材料の中では非常に分子量が低い。
実際、 真空蒸着時の分解物を調べるために、 ガラス基板上に蒸着した蒸 着物をァセトニトリルで洗い流して、高速液体クロマトグラフィ-で分析し たところ、 分解した不純物は 0 . 1%以下であった。
また、 化合物の安定性に関しては、 蒸着時の化合物の熱的な安定性ある いは、 素子にした後の通電時の安定性が問題となる。 蒸着時には、 昇華時 に高温にさらされるため耐熱性が問題となるが、 素子にした後には、 酸化 状態、 還元状態あるいは励起状態にとなるため、 他の物質への変化などを 起こす確率が問題となる。
本発明の化合物は、 これらの状態においても安定であることが、 本発明 者らの実験によって示され、 有機 E L素子に有効であることが明らかとな つた。
さらに、 本発明者らが更に本発明のレニウム力ルポ二ル配位化合物の光 物性に関して研究を行ったところ以下のようなことが判明した。
すなわち、 燐光発光材料の代表例の Ir (Ppy) 3は、 脱酸素したトルエンゃァ セトニトリル中において非常に強く発光し、溶液状態での燐光発光収率は、 室温において 0. 4であり、 最も燐光収率の高い化合物の一つである。
これと同じ実験条件で図 1 2に示した 1201の化合物(例示化合物 29)は、 その発光収率は 0. 01程度と一桁以上低い。一般に上己発光収率が小さい場 合、 固体膜の発光収率も小さいことが予想されるものである。 しかし本願
の R e化合物に関しては、予想に反して固体膜状態で高い発光収率を示す。 具体的には、 ガラス上に 50nmの蒸着膜を形成後、 350nmの光を照射し、 その発光強度を観察する。 Ir (ppy) 3がほとんど発光しないのに対して、 1201 の化合物 (例示化合物 29) は強く発光することを発見した。 これは、 この Re配位化合物が高濃度あるいは 100。/。で存在する時も、濃度消光しにくいこ とを示している。 溶液中での発光収率が低い理由は明らかではない。 従来 の発光材料とは異なり、 R e化合物に付いては、 溶液中の発光収率が非常 に弱くても電界発光素子に用いた場合、 発光効率が高い素子を得ることが できることが、 本発明者らによって明らかにされた。
以上のように濃度消光に非常に強いため、 Re配位化合物は、 高濃度ある いは Re配位化合物のみで形成する発光層に適している。
また、 以下の実施例に示すように、 通電耐久試験において、 本発明の化合 物は、 安定"生においても優れた性能を有することが明らかとなった。 実施例
以下本発明を実施例に従って詳細に説明する。
なお始めにこれから本発明で述べる物性の測定方法を説明する。
《測定方法》
( 1 ) 燐光と蛍光の判定方法
燐光の判定方法は、 酸素失括するかどうかで判定した。 化合物をクロロホ ルムに溶解し、 酸素置換した溶液と窒素置換した溶液に光照射して、 フォト ルミネッセンスを比較すると燐光発光性物質の場合、 酸素置換した溶液は化 合物に由来する発光がほとんど見られなくなるのに対し、 窒素置換した溶液 はフォトルミネッセンスが確認できることで区別できる。 以下本発明の化合 物については、 特別の断りがない時は全てこの方法で燐光であることを確認 している。
( 2 ) ここで本発明で用いたりん光収率の求め方は、 次式で与えられる。 Φ sample) Z (st) =LSem (.sample) /labs (sample) ] / LSera (st) /labs (st) ]
Φ (sample) :試料の発光収率
Φ (st) :標準試料の発光収率
labs (st) 標準試料の励起する波長での吸収係数
Sem (stj 同じ波長で励起した時の標準試料の発光スぺクトル面積
labs (sample) : 目的化合物の励起する波長での吸収係数
Sem (sample) :同じ波長で励起した時の目的化合物の発光スぺクトル ここで言うりん光量子収率は Ir (ppy) 3の Φを標準の 1とした相対評価で 示している。
( 3 ) 燐光寿命の測定方法は以下の通りである。
先ず化合物をクロ口ホルムに溶かし、 石英基板上に約 Ο. ΐ μ πιの厚みでス ピンコートした。 これを浜松ホトニクス社製の発光寿命測定装置を用い、 室 温で励起波長 3 3 7 n mの窒素レーザー光をパルス照射した。 励起パルスが 終わった後の発光強度の減衰時間を測定した。
初期の発光強度を I。したとき、 t秒後の発光強度 Iは、発光寿命 τを用いて 以下の式で定義される。
I = I e x p t 実施例 1
例示化合物 1 (図 12の化合物 1201)は、 論文 (J. Ara. Chem. Soc. 101 (1979) p. 7415}に従って合成した。合成.した最終物は、 DI- MS (直接導入マススぺクト ル)測定装置によつて測定したところ 461. 98であり、 例示化合物 1が合成さ
れていることを確認した。 また、 HPLC (高速液体クロマトグラフィ)で純度を 測定したところ 99.5%以上の純度が確認できた。
この合成した例示化合物 1を発光材料として用いて有機 EL素子を作成し た。 この例示化合物 1は、 単独化合物による先に述べた判別法により、 燐光 発光性であることがわかっている。 素子構成として、 図 1Cに示す有機層が 4層の素子を使用した。 1.1mm厚のガラス基板 (透明基板 15) 上に 100η m厚で蒸着し、 100 111幅で電極間幅10 111(電極ピッチ110 111)のスト ライプ I TO (透明電極 14) を、 定法に従って 100本パターニングした。 その IT0基板上に、 以下の有機層と電極層を 10— 4Paの真空チャンバ一内で 抵抗加熱による真空蒸着し、 連続製膜した。
有機層 l(40nm) : aNPD
有機層 2 (30nm) : CBPをホストとし、例示化合物 7 を重量比 7重量%で共蒸 着
有機層 3(10nm) : BCP
有機層 4(40nm) : A 1 q 3
金属電極層 1 (15nm) : AlLi合金 (Li含有量 1.8重量%)
金属電極層 2(100nm) : A1
対向する側には陰極として AlLi合金層と A1電極を 100/ί m幅 ·電極間幅
10μ m (電極ピッチ 110μ m)で 100本パターユングし、各 20( I TO) X15(A1) 本の電極を束ねて表示電極面積が 3 mm2になるようにした。
これらに A1をマイナス、 IT0側をプラスにして DC電圧を印加して素子特 性を評価した結果を図 13 A、 13 Bおよび 13 Cに示す。 図 13Aは電圧 一電流特' 14、図 13 Bは電圧一輝度特性、図 13 Cは電流一輝度特性であり、 これらグラブから明らかなように良好な発光特性が得られた。 最高発光効率 は 2. lcd/Aが得られた。 またこのときの発光スペクトルのピークは 576nmで あった。 またこの素子の 576nmの光励起 (励起波長 337. lnm) の発光寿命を.
測定すると、 0. 5 sec であり燐光発光であることが確認された。 また、 100 時間連続通電を行ったが、 発光輝度の低下が数%程度であり、 安定発光が得 られた。 実施例 2
素子構成として、 図 1 Bに示す有機層が 3層の素子を使用した。 ガラス基 板上に lOOnmの IT0をパターニングして、 実施例 1と同様に対向する電極面 積が 3讓2になるようにした。 その IT0基板上に、 以下の有機層と電極層を 10-4Paの真空チャンバ一内で抵抗加熱による真空蒸着し、 連続製膜した。 有機層 1 (40nm) a NPD
有機層 2 (40nm) CBPをホストとし、 例示化合物 7を重量比 7重量%で 有機層 3 (50nm) : Bphen (図 2に図示)
金属電極層 1 (lnm) : KF
金属電極層 2 (lOOnm) : A1
これらに A1をマイナス、 IT0側をプラスにして DC電圧を印加して素子特 性を評価した結果を図 1 4 Aから 1 4 Dに示す。図 1 4 Aは電圧一電流特性、 図 1 4 Bは電圧一輝度特性、 図 1 4 Cは電流一輝度特性である。 これらダラ フから明らかなように良好な発光特性が得られた。 また、 図 1 4 Dは、 発光 スペクトルである。 最高発光効率は 6. 3cd/Aが得られた。 またこのときの発 光スぺクトルのピークは 578nmであった。 実施例 3
素子構成として、 図 1 Bに示す有機層が 3層の素子を使用した。 ガラス基 板上に lOOnmの IT0をパター-ングして、 実施例 1と同様に対向する電極面 積が 3mm2になるようにした。 その Π0基板上に、 以下の有機層と電極層を
10一4 Paの真空チャンバ一内で抵抗加熱による真空蒸着し、 連続製膜した。 有機層 l (40nm) : aNPD
有機層 2 (20nm) :例示化合物 7を 100%
有機層 3 (50nm) : Bhen (図 2に図示)
金属電極層 1 (lnm) : KF
金属電極層 2 (100nm) : A1
本実施例では、 発光層にホストを用いずに、 例示化合物 1だけを用いて発 光層を形成した。
これらに A1をマイナス、 IT0側をプラスにして DC電圧を印加して素子特 性を評価した結果を図 1 5 Aから 1 5 Dに示す。図 1 5 Aは電圧一輝度特性、 図 1 5 Bは電流一輝度特性、 図 1 5 Cは電圧一電流特性を示す。 これらダラ フから明らかなように良好な発光特性が得られた。 また、 図 1 5 Dは、 発光 スぺク トルである。最高発光効率は 0. 07cd/Aが得られた。またこのときの発 光スぺク トルのピークは 663nmであり、 実施例 1や 2と比べて長波長化して いることがわかった。
この結果から、 ホストが不要な発光層が構成でき、 生産 1"生の高い素子構成 が可能であることが確認された。 実施例 4
例示化合物 131の化合物(図 12の 1202に図示)を文献に従つて合成した。 この化合物のカウンターァニオンは CF3S03である。 (Inorg. Chem. 32 (18) p3837 (1993) )。 この化合物を市販のポリビュルカルパゾール (PVK)と共に、 重量比 5: 95でクロ口ホルムに溶解し、 1000rpm(20秒間)で lOOnmの IT0上 に 130nmの厚さで製膜した。
その上に AlLi (1. 8%Li重量比)を 10nm製膜後、 A1を lOOnm製膜して素子 作成を完了した。 A1マイナス極、 IT0をプラス極として 1 O Vの印加電圧で
通電を行ったところ良好な黄色発光が得られた。
この発光は、 100時間通電しても安定な発光が得られた。 実施例 5
図 16〜18に示した TFT回路を用いて、 カラー有機 ELディスプレイ を作成した。 各色画素に対応する領域にハードマスクを用いて、 有機層およ ぴ金属電極を真空蒸着してパターニングを行った。 各画素に対応する有機層 の構成は以下の通りである。
緑画素 α— NPD (50 nm) /A 1 q 3 (50 nm)
青画素 CK一 NPD (50 nm) /BCP (20 nm) /A 1 q 3 (50 n m)
黄画素 α—NPD (40 nm) /CBP :例示化合物 7 (30 nm) /B CP (20 nm) /A 1 q 3 (40 nm)
黄色画素の発光層に用いる金属配位ィヒ合物としては、 表 1中の例示化合物 1をホスト材料 C BPに対して 7重量%の比で共蒸着して用いた。
画素数は、 128X 128画素とした。 所望の画像情報が表示可能なこと が確認され、 良好な画質が安定して表示されることが分かった。 ディスプレ ィへの応用では、 アクティブマトリクス方式である T FT駆動回路を用いて 駆動する方式が考えられる。
図 16は、 E L素子と駆動手段を備えたパネルの構成の一例を模式的に示し たものである。 パネルには、 走查信号ドライパー、 情報信号ドライパー、 電 流供給源が配置され、 それぞれゲート選択線、 情報信号線、 電流供給線に接 続される。ゲート選択線と情報信号線の交点には図 17に示す画素回路が配置 される。 走査信号ドライパーは、 ゲート選択線 Gl、 G2、 G3. . . Gn を順次選択し、 これに同期して情報信号ドライバーから画像信号が印加され る。
次に画素回路の動作について説明する。 この画素回路においては、 ゲー ト選択線に選択信号が印加されると、 T F T 1が O Nとなり、 C a d dに画 像信号が供給され、 T F T 2のゲート電位を決定する。 E L素子には、 T F T 2のザ一ト電位に応じて、 電流供給線より電流が供給される。 T F T 2の ゲート電位は、 T F T 1が次に走査選択されるまで C a d dに保持されるた め、 E L素子には次の走査が行われるまで流れつづける。 これにより 1フレ ーム期間常に発光させることが可能となる。
図 18は、本発明で用いられる T F T基板の断面構造の一例を示した模式 図である。 ガラス基板上に p— S i層が設けられ、 チャネル、 ドレイン、 ソ ース領域にはそれぞれ必要な不純物がドープされる。 この上にゲート絶縁膜 を介してゲート電極が設けられると共に、 上記ドレイン領域、 ソース領域に 接続するドレイン電極、ソース電極が形成されている。これらの上に絶縁層、 及び画素電極として I T O電極を積層し、 コンタクトホールにより、 I T O とドレイン電極が接続される。
本発明は、 スイッチング素子に特に限定はなく、 単結晶シリコン基板や M I M素子、 a— S i型等でも容易に応用することができる。
本発明で示した高効率な電界発光素子は、 省エネルギーや高輝度が必要 な製品に応用が可能である。 応用例としては表示装置 ·照明装置やプリン ターの光源、 液晶表示装置のパックライトなどが考えられる。 表示装置と しては、 省エネルギーや高視認性 ·軽量なフラットパネルディスプレイが 可能となる。 また、 プリンターの光源としては、 現在広く用いられている レーザビームプリンタのレーザー光源部を、 本発明の電界発光素子に置き 換えることができる。 独立にアドレスできる素子をアレイ上に配置し、 感 光ドラム、に所望の露光を行うことで、 画像形成する。 本発明の素子を用い ることで、 装置体積を大幅に減少することができる。 照明装置やパックラ ィトに関しては、 本発明による省エネルギー効桌が期待できる。
実施例 6 (例示化合物 N o . 21の合成)
30ml のナスフラスコに同仁化学研究所製バソフェナント口リン 0. 26 g (0. 79廳 ole), アルドリツチ社製レニウムペンタカルポユルクロ リ ド 0. 25 g (0. 79匪 ole)およびトルエン 10m 1を入れ、 4時間還流携拌を行った。反応物 を室温まで放冷後ェパポレータ一で約半分まで濃縮し、 冷凍庫で冷却して析 出したトリカルボニルクロ口- 4, 7 -ジフエ二/レ- 1, 10-フエナント口リンレニ ゥム(I)の結晶を濾取した。 (収量 0. 38 g,収率 75%) MALDI-TOF MS (マト リックス支援イオン化一飛行時間型質量分析)により、この化合物の M+ (電 子 1個を除いた対応陽イオン質量数) として 638. 0を確認した。 実施例 7 (例示化合物 N o . 22の合成)
3, 4, 7, 8-テトラメチノレ- 1, 10 -フエナントロリンとレニウムペンタカルポニル クロリドから 実施例 6 と同様にしてトリカルボユルク口口- 3, 4, 7, 8-テト ラメチル -1, 10 -フエナントロリンレニウム(I)を得た。 MALDI-TOF MSにより、 この化合物の M+として 5 4 2 . 0を確認した。 実施例 8 (例示化合物 N o . 28の合成)
HCI.H2O
Tetrahedron Lett. , 1995, 3489- 3490.記載の方法によって 1, 10-フエナン トロリン塩酸塩 ·水和物を臭素化し、 Synlett. , 2001, No. 10, 1629-1631.記載 の塩酸塩で精製する方法によって 3—ブロモ- 1, 10-フエナントロリンおよび 3, 8—ジプロモ- 1, 10-フエナント口リンを得た。
得られた 3—ブロモ -1, 10-フエナント口リンとフエ二ルポロン酸の S u z u k i一カツプリングにより 3—フエニル- 1, 10-フエナント口リンを得た。
3一フエユルフェナントロリンとレニウムペンタカルビ-ルク口リ ドカ ら実 施例 6 と同様にしてトリカルポニルクロ口- 3-フエ二ノレ- 1, 10 -フエナント口 リンレニウム(I)を得た。 MALDI- TOF MSにより、この化合物の M+として 562. 0 を確認した。 実施例 9 (例示化合物 N o . 27の合成)
実施例 8 で得られた 3, 8—ジブロモ -1, 10 -フエナントロリンとフエ二ノレ ボロン酸の S u z u k i一カップリングにより 3, 8—ジフエニル- 1, 10 -フ
ェナントロリンを得た
c
実施例 6 と同様にしてトリカルボユルクロロ- 3, 8-ジフエニル- 1, 10-フエ ナント口リンレニウム(I)を得た。 MALDI- TOF MSにより、 この化合物の M+ として 638. 0を確認した。 実施例 10 (例示化合物 N o . 32の合成)
実施例 8で得られた 3. 8—ジブロモ -1, 10-フエナントロリンを用いて Synlett.,2001,No. 10, 1629- 1631.記載の方法によって 3, 8—ジメ トキシフ ェナント口リンを経由して 3, 8—ジヒ ドロキシ -1, 10-フエナント口リン塩 酸塩を合成した。
3, 8-ジヒドロキシ- 1, 10-フエナント口リン塩酸塩と 1 -ブロモブタンから 水素化ナトリゥムを用いて 3, 8 -ジブトキシ- 1, 10-フエナント口リンを合成 した。
実施例 6と同様にしてトリカルボ二ノレクロ口- 3 , 8—ジブトキシ- 1, 10 -フ ヱナント口リンレニウム(I)を得た。 MALDI-TOF MSにより、 この化合物の M+として 630. 1を確認した。 実施例 11 (例示化合物 N o . 30の合成)
実施例 6で得られた 3—ブロモ- 1, 10-フエナントロリンを用いて実施例 10 と同様にして 3—メ トキシ- 1, 10-フエナントロリンを経由して 3—ヒドロキ シ- 1, 10-フエナントロリン塩酸塩を合成した。 3—ヒドロキシ -1, 10 -フエナ ントロリン塩酸塩と 1—ブロモオクタンから水素化ナトリゥムを用いて 3— ォクチルォキシ -1, 10 -フエナント口リンを合成し、 実施例 6と同様にしてト リカルポユルクロロ- 3—ォクチルォキシ- 1, 10-フエナント口リンレニウム (I)を得た。 MALDI - TOF MSにより、 この化合物の M+として 614. 1を確認し
た。 実施例 12 (例示化合物 N o . 33の合成)
実施例 6 で得られた 3, 8—ジプロモ- 1, 10-フエナント口リンを用いて Chem. Lett., 2002, 774-775.記載の方法によって 3, 8—ジブロモ— 5, 6—ジ ォキソ -1, 10-フエナント口リンを経由して 3, 8—ジブ口モー 5 , 6—ジヒド 口キシ- 1, 10 -フエナント口リンを合成した。 3, 8—ジブロモ一 5 , 6—ジヒ ドロキシ- 1, 10-フエナント口リンと 1—ョードへキサンから水素化ナトリウ ムを用いて 3, 8—ジブ口モー 5, 6—ジへキシルォキシ- 1, 10 -フエナント口 リンを合成した。 3, 8一ジブロモ一 5, 6—ジへキシルォキシ- 1, 10-フエナ ントロリンとフエニルボロン酸の S u z u k i—カツプリングにより 3, 8 —ジフエ二ル- 5, 6—ジへキシノレォキシ - 1, 10-フエナント口リンを得た。 実施例 6と同様にしてトリカルボニルク口口- 3, 8-ジフエ二/レ- 5, 6—ジ へキシルォキシ -1, 10-フエナントロリンレニウム(I)を得た。 MALDI- TOF MS
.より、 この化合物の M+として 838. 2を確認した。 実施例 13 (例示化合物 N o . 23の合成)
アルドリツチ社製の 4, 7—ジヒ ドロキシ- 1, 10 -フエナント口リンを用い て J. Org. Chem. , 1951, 16, 941-945.記載の方法によって 4, 7—ジブロモ -1, 10-フエナント口リンを合成し、 ランカスター社製の 4一 t -プチルフエ 二ルポロン酸との S u z u k i—カツプリングにより 4, 7—ジ (4 - t -ブ チルフヱニル) -1, 10-フエナント口リンを得た。 実施例 6と同様にしてトリ カルボユルクロロ- 4 , 7—ジ(4 - t -プチルフエ二ル) -1, 10-フエナント口 リンレニウム(I)を得た。 MALDI- TOF MSにより、この化合物の M+として 750. 2 を確認した。 実施例 14 (例示化合物 N o . 24の合成)
実施例 13 で用いた 4— t -プチルフエニルボロン酸の代わりにアルドリ ッチ社製の 3, 5 -ビス(トリフルォ口メチル)フェ二ルポロン酸を用いる以外 は実施例 13 と同様にしてトリ力ルポユルクロロ- 4, 7—ジ { 3, 5 -ビス(ト
リフルォロメチル)フエ二ル}_1, 10-フエナント口リンレニウム(I)を得た。 MALDI-TOF MSにより、 この化合物の M+として 910. 0を確認した。
実施例 15 (例示化合物 N o . 26の合成)
実施例 13 で用いた 4— t -ブチルフエ二ルポロン酸の代わりにアルドリ ツチ社製の 2 -ナフタレンボロン酸を用いる以外は実施例 13と同様にしてト リカルボニルクロ口- 4, 7—ジ(2-ナフチル) -1, 10-フエナントロリンレニゥ ム(I)を得た。 MALDI- TOF MSにより、 この化合物の M+として 738. 1を確認 した。 実施例 16 (例示化合物 N o . 25の合成)
実施例 13 で用いた 4一 t -ブチルフエ二ルボロン酸の代わりにアルドリ ツチ社製のペンタフルオロフヱ二ルポロン酸を用いる以外は実施例 13 と同 様にしてトリカノレボェノレクロ口- 4 , 7—ジ(ペンタフ/レオ口フエ二ノレ)- 1, 10 - フエナント口リンレニウム(I)を得た。 MALDI-TOF MS により、 この化合物の M+として 818. 0を確認した。 実施例 17 (例示化合物 N o . 35の合成) j
アルドリツチ社製の 2—ピリジルジンタブ口ミ ドと 1一クロルイソキノリ ンを用いて J. Org. Chera., 1991, 56, 1445-1453.記載の方法によって 1— ( 2— ピリジル) イソキノリンを合成し、 実施例 6と同様にしてトリカルボユルク ロロ- 1— ( 2—ピリジル) イソキノリンレニウム(I)を得た。 MALDI- TOF MS により、 この化合物の M+として 512. 0を確認した。
実施例 18 (例示化合物 No. 37の合成)
2—キノリルジンクブロミ ドと 2—ブロモピリジンを用いて 2— (2—ピ リジル) キノリンを合成し、 実施例 6 と同様にしてトリカルボニルクロ口- 2— (2—ピリジル) キノリンレニウム(I)を得た。 MALDI-TOF MS により、 この化合物の M+として 512.0を確認した。 実施例 19 (例示化合物 No. 3の合成)
Bull. Chera. Soc. Jpn., 63, 1990, 80 - 87.記載の方法を用いて東京化成ェ 業製の 2-ク口口- 5-トリフルォロメチルピリジンのホモ力ップリングで 5,5' -ジトリフルォロメチル- 2,2' -ビビリジンを合成し、実施例 6と同様に してトリカルボニ^/クロ口- 5,5, -ジトリフルォロメチノレ- 2,2' -ビピリジン レニウム(I)を得た。 MALDI-TOF MS により、 この化合物の M+として 598.0 を確認した。 実施例 20 (例示化合物 No. 9の合成)
実施例 19 で用いた 2 -クロロ- 5-トリフルォロメチルピリジンの代わりに Oakwood社製の 2-クロ口- 4 -トリフルォロメチルピリジンを用いる以外は実 施例 19 と同様にしてトリカルボニルクロ口- 4, 4, -ジトリフルォロメチル -2, 2, -ビビリジンレニウム(I)を得た。 MALDI- T0F MSにより、 この化合物の M+として 598. 0を確認した。
実施例 21 (例示化合物 N o . 45の合成)
Tetrahedron Lett. , 29, 1988, 5013- 5016.記載の方法を用いて東京化成ェ 業製の Ν-ェチルイミダゾ一ルと 2—ブロモピリジンから 1 -ェチル- 2- (2 -ピ リジル) ィミダゾ一ルを合成し、 実施例 6と同様にしてトリカルボエルク口 口 - 1-ェチル -2 - (2-ピリジル) イミダゾールレニウム (I)を得た。 MALDI-T0F MSにより、 この化合物の M+として 479. 0を確認した。
実施例 22 (例示化合物 N o . 34の合成)
Arch. Pharm. , 317, 1984, 425-430.記載の方法を用いてアルドリツチ社製の オクタン酸ェチルから 2 -ホルミルォクタン酸ェチルを合成し、 Synlett. , 1997, No. 9, 1096-1098. 記載の方法を用いて 3 8—ジへキシル- 4 7—ジフエ ニル- 1 10-フエナントロリンを得た。 実施例 6と同様にしてトリカルボニル ク口口- 3, 8—ジへキシノレ - 4, 7—ジフエニノレ- 1 10-フエナントロリンレニウム (I)を得た。 MALDI- TOF MSにより、 この化合物の M+として 806. 2を確認し た。
実施例 23 (例示化合物 N o . 302および例示化合物 N o . 134の合成) 実施例 7 で得られたトリカルボユルク口口- 3, 4, 7, 8-テトラメチ /レ- 1, 10 - フエナント口リンレニウム(I)を用いて J. Phys. Chem. , 1983, 87 952- 957.記
載の方法によつて次のィオン性レニゥム錯体をそれぞれ合成した。
式中 P y NNyはピリジンを示す。 MALDI-T0F MSにより、 これらの化合物の M+ として 693. 1および 731. 1をそれぞれ確認した。 実施例 24 (例示化合物 N o . 46の合成)
ランカスター社製の 2 -アミジノピリジニゥム塩酸水和物とひ-ペンチル- -ジメチルァミノアク口レインから J. prakt. Chera. , 1975, 317, 617-630.記載 の方法によって 5-ペンチル- 2- (2-ピリジル)ピリミジンを合成し、 実施例 6 と同様にしてトリカルボニルク口口- 5-ペンチル -2- (2-ピリジル)ピリミジン レニウム(I)を得た。 MALDI- TOF MS により、 この化合物の M+として 533. 1 を確認した。 実施例 25 (例示化合物 N o . 41および例示化合物 N o . 350の合成)
ランカスター社製の 2, 2' -ビビリミジンと 1当量のァノレドリツチ社製レニ ゥムペンタカルポニルクロリ ドを実施例 6と同様にして反応させ、 トリカル ポユルクロロ- 2, 2, -ビビリミジンレニウム(I)を得た。 MALDI- T0F MSにより
.の化合物の M+として 464. 0を確認した。
また、 2, 2, -ビビリミジンと 2当量のレニウムペンタカルボニルクロリ ド から - 2, 2, -ビビリミジン-ビス [トリカルボニルクロロレニウム(1) ]を得 た。 MALDI- TOF MSにより、 .この化合物の M+として 769. 9を確認した。 実施例 26 (例示化合物 N o . 104の合成)
50ml の三口フラスコに窒素気流下 2- (4-ジフエニルァミノフエニル)ピリ ジン 0. 39 g (1, 2讓 ole), アルドリッチ社製レニウムペンタカルポユルク口 リ ド 0. 40 g (1. lmmole)およびトルエン 10m 1を入れ、 3時間還流攪拌を行つ た。 反応終了後溶媒を減圧乾固し、 残渣をシリカゲルカラムクロマト(溶離 液:へキサン-トルエン混合溶媒)で精製し、テトラカルボ-ル- [2 - (4-ジフエ ニルァミノフエニル)ピリジン一 C
2, N]レニウム(I)の黄色結晶を得た。 (収量 0. 26 g,収率 38%) MALDI-TOF MSにより、 この化合物の M+として 620. 1 を確認した。
実施例 27 (例示化合物 N o . 103の合成)
実施例 26の 2- (4 -ジフエニルァミノフエニル)ピリジンの代わりに 2- (9, 9- ジメチルフルォレニル) ピリジンを用いる以外は実施例 26 と同様にしてテ トラカルボニル- [2- (9, 9-ジメチルフルォレニル)一 C
3, N]レニウム(I)の黄 色結晶を得た。 (収率 32%) MALDI-TOF MSにより、 この化合物の M+とし て 569. 1を確認した。 実施例 28 (例示化合物 N o . 3 5 5の合成)
50mlの三口フラスコに窒素気流下 6, 6, -ジ (4-フルオロフェニル )-2, 2' - ビビリジン 0. 47 g (1. 4画 ole) , Strem社製レニウムペンタカルボ二ルブロミ ド 0. 50 g (1. 2mmole)およぴトルェン 5m 1を入れ、 3時間還流攪拌を行つた。 反応終了後室温まで放冷し、 析出したトリカルボニルブロモ- 6, 6' -ジ (4 -フ ルオロフェニル )-2, 2' -ビビリジンレニウム(I) の黄色結晶を濾取した。(収 量 0. 43 g,収率 50%) MALDI-TOF MSにより、 この化合物の M+として 694. 0 を確認した。
0
46
実施例 29 (例示化合物 N o . 3 5 6の合成)
実施例 28の 6, 6, -ジ(4-フルオロフヱニル) -2, 2, -ビビリジンの代わりに 6, 6' -ジ (2-メチルフエニル) - 2, 2' -ビビリジンを用いる以外は実施例 28と 同様にしてトリカルボニルブロモ- 6, 6, -ジ(2 -メチルフエニル) - 2, 2' -ビピ リジンレニウム(I)の黄色結晶を得た。(収量 0. 51 g ,収率 60%) MALDI-TOF MS により、 この化合物の M+として 686. 0を確認した。 実施例 30 (例示化合物 N o . 3 5 3の合成)
実施例 29 のレニウムペンタカルポニルプロミ ドの代わりにアルドリツチ ネ: fc レニウムペンタカルボユルクロリ ドを用いる以外は実施例 29 と同様に してトリカルボユルクロロ- 6, 6, -ジ(2-メチルフェニル) -2, 2' -ビビリジン レニウム(I)の黄色結晶を得た。 (収量 0. 45 g,収率 63%) MALDI-TOF MSによ り、 この化合物の M+として 642. 1を確認した。
実施例 31 (例示化合物 N o . 5 2 1の合成)
実施例 30 の 6, 6, -ジ(2-メチルフエ二ル)- 2, 2' -ビピリジンの代わりに 3- (4-ジフエニルァミノフエニル) - 1, 10 -フエナント口リンを用いる以外は実 施例 30 と同様にしてトリカルポニルクロ口- 3- (4 -ジフヱニルァミノフエ二 ル) -1, 10-フヱナント口リンレニウム(I)の黄色結晶を得た。 (収量 0. 41 g,収 率 51%) MALDI-TOF MSにより、 この化合物の M+として 729. 1を確認した。 実施例 32
実施例 2の有機層 2の例示化合物 1を例示化合物 17に替え、そのドーピ ング濃度を 1. 6重量。/。にした以外は同様の素子を作成した実施例である。 これらに A1をマイナス、 IT0側をプラスにして DC電圧を印加して素子特 性を評価した結果を図 1 9 A、 1 9 Bおよび 1 9 Cに示す。 図 1 9 A、 1 9 Bおよび 1 9 Cには、 それぞれ電圧一輝度特性、 電流一輝度特性おょぴ発光 スペクトルを示した。 これらグラフから明らかなように良好な発光特性が得 られた。 発光効率は 300cd/m2において、 17cd/A、 8. 61m/Wが得られた。 また このときの発光スペクトルのピークは 565nmであった。 これら力 ら、 素子の 発光外部量子効率を算出すると、 7%であり、 蛍光を基本とした有機発光素子 の理論限界である 5%を大きく上回り、 3重項からのりん光発光素子特有の高 発光効率が得られた。そのりん光発光素子に本発明の Re金属配位化合物が有 用であることが確認された。
実施例 33
実施例 3の有機層 2の例示化合物 1を例示化合物 17に替えた以外は同様 の素子を作成した実施例である。
本実施例では、発光層にホストを用いずに、例示化合物 17だけを用いて発 光層を形成した。
これらに A1をマイナス、 IT0側をプラスにして DC電圧を印加して素子特 性を評価した結果を図 2 0 A、 2 0 Bおよび 2 0 Cに示す。 図 2 0 A、 2 0 Bおよび 2 0 Cには、 それぞれ電圧一輝度特性、 電流一輝度特性、 素子の発 光スぺクトルを示した。 これらグラフから明らかなように安定した良好な発 光特性が得られた。最高発光効率は 0. 07cd/Aが得られた。またこのときの発 光スぺク トルのピークは 663nmであり、実施例 50と比べて長波長化している ことがわかった。 最高の EL効率は、 0. 21m/W、 0. 5cd/Aであった。 また、 発 光スぺクトルピークは、 650nmであり、きれいな赤色発光が得られた。また、 100時間の通電後においても、 安定した発光が得られた。
この結果から、 ホストが不要な発光層が構成でき、 生産性の高い素子構 成が可能であることが確認された。 実施例 34
実施例 2の有機層 2の例示化合物 1を実施例 6で合成した例示化合物 22 に替え、そのドーピング濃度を 5. 0重量%にした以外は同様の素子を作成し た実施例である。
これらに A1をマイナス、 IT0側をプラスにして DC電圧を印加して素子特 性を評価した。 良好で安定な発光特性が得られた。 発光効率は 300cd/m2に おいて、 llcd/A、 5. 21m/Wが得られた。 またこのときの発光スぺク トルのピ ークは 550nmであつた。
実施例 35
実施例 3の有機層 2の例示化合物 1を実施例 6で合成した例示化合物 22 に替えた以外は同様の素子を作成した実施例である。
本実施例では、発光層にホストを用いずに、例示化合物 22だけを用いて発 光層を形成した。
これらに A1をマイナス、 IT0側をプラスにして DC電圧を印加して素子特 性を評価した結果、 良好な発光特性が得られた。 またこのときの発光スぺク トルのピークは 605nmであった。 最高の EL効率は、 1. llm/W、 3. 0cd/Aであ つた。 また、 100時間の通電後においても、 安定した発光が得られた。 実施例 36
実施例 3の有機層 2の例示化合物 1を実施例 13で合成した例示化合物 23 に替えた以外は同様の素子を作成した実施例である。
本実施例では、発光層にホストを用いずに、例示化合物 23だけを用いて発 光層を形成した。
これらに A1をマイナス、 IT0側をプラスにして DC電圧を印加して素子特 性を評価した結果、 良好な発光特性が得られた。 またこのときの発光スぺク トルのピークは 580nmであった。 最高の EL効率は、 1. 61m/W、 3. lcd/Aであ つた。 また、 100時間の通電後においても、 安定した発光が得られた。 実施例 37
実施例 3の有機層 2の例示化合物 1を実施例 19で合成した例示化合物 3 に替えた以外は同様の素子を作成した実施例である。
本実施例では、 発光層にホストを用いずに、 例示ィヒ合物 3だけを用いて発 光層を形成した。
これらに A1をマイナス、 IT0側をブラスにして DC電圧を印加して素子特
性を評価した結果、 良好な発光特性が得られた。 またこのときの発光スぺク トルのピークは 566nmであった。 最高の EL効率は、 1. 51m/ 2. 8cd/Aであ つた。 また、 100時間の通電後においても、 安定した発光が得られた。 実施例 38
実施例 3の有機層 2の例示化合物 1を実施例 26で合成した例示化合物 104 に替えた以外は同様の素子を作成した実施例である。
本実施例では、 発光層にホストを用いずに、 例示化合物 104だけを用いて 発光層を形成した。
これらに A1をマイナス、 IT0側をプラスにして DC電圧を印加して素子特 性を評価した結果、 良好な発光特性が得られた。 またこのときの発光スぺク トルのピークは 570nraであった。 最高の EL効率は、 0. 31m/W、 0. 7cd/Aであ つた。 また、 100時間の通電後においても、 安定した発光が得られた。 実施例 39 ' 実施例 3の有機層 2の例示化合物 1を実施例 29で合成した例示化合物 356 に替えた以外は同様の素子を作成した実施例である。
本実施例では、 発光層にホストを用いずに、 例示化合物 356だけを用いて 発光層を形成した。
これらに A1をマイナス、 IT0側をプラスにして DC電圧を印加して素子特 性を評価した結果、 良好な発光特性が得られた。 またこのときの発光スぺク トルのピークは 595nmであった。 最高の EL効率は、 0. 21m/W、 0. 8cd/Aであ つた。 また、 100時間の通電後においても、 安定した発光が得られた。 産業上の利用分野
本発明のレニウム配位化合物を有機 E L素子に応用することで、 発光効率
が高く、 また製造時の化学的安定性がすぐれていることが判明した。 本発明 で示した高効率な電界発光素子は、 省エネルギーや高輝度が必要な製品に応 用が可能である。
例えば液晶素子用のパックライトゃ、家庭用の照明などにも応用可能である。