明 細 書
電子透かし埋め込み方法及び装置及びプログラム及び電子透かし検出 方法及び装置及びプログラム
技術分野
[0001] 本発明は、電子透かし埋め込み方法及び装置及びプログラム及び電子透かし検出 方法及び装置及びプログラムに係り、特に、映像信号を始めとする入力信号に対し、 別の副情報を知覚されないように埋め込み、また、副情報の埋め込まれた信号力もこ の副情報を読み取る電子透かし埋め込み方法及び装置及びプログラム及び電子透 かし検出方法及び装置及びプログラムに関する。
背景技術
[0002] 従来技術として、デジタルコンテンツに対し電子透力しを埋め込むことで、デジタル コンテンツの著作権保護を行う技術がある。また、デジタルコンテンツに関する著作 権情報などのメタデータを参照する技術がある。更に、デジタルコンテンツを広告とし ての印刷物などのアナログ媒体を介した上でデジタルカメラで撮影し、電子透かしを 読み取ることで広告に関連した情報を取得する技術もある。
[0003] 静止画像に電子透力 を埋め込む方法としては、擬似乱数によって生成された埋 め込み系列を画像の直交変換領域 (例えば、フーリエ変換領域)の実部及び虚部に 埋め込んでおき、埋め込み系列と検出系列の相関を用いて検出を行うスペクトル拡 散型の電子透力 方式が開示されている (例えば、特許文献 1参照)。
[0004] 映像信号においても、一般に映像信号は静止画像であるフレーム画像を連続させ たものとして記録されるため、静止画像を対象とした電子透カゝし方式を応用すること で、電子透力しを埋め込むことが可能となる。例えば、上記の特許文献 1に記載の電 子透かし方法を用いて、映像信号の各フレーム画像に共通の電子透かしを埋め込 むことでも映像信号に対する電子透力 を実現できる。
[0005] 電子透かしの埋め込まれた静止画像が不正に利用されるような場合、画像の一部 分を切り取って利用されてしまう場合が考えられる。一部分が切り取られた画像の場 合、原画像を利用しない電子透かし検出においては、切り取られた部位が元の画像
のどの部分であつたかはわからない。これは埋め込まれた電子透かしのパターンが、 任意の量、平行移動しているように見えることを意味する。即ち、これは空間方向に 電子透かしパターンの同期がずれている状態を意味する。これを「電子透力しの空間 同期」と呼び、電子透力 を検出する際には、平行移動量を明らかにするなどの方法 で空間同期を合わせる必要がある(一般に電子透力しの空間同期には、ァフィン変 換などの幾何変形に対する補正も含むことがあるが、本発明においては平行移動に 対する補正を対象とする)。
[0006] 映像信号は、一般に時間方向に連なる複数の静止画像 (フレーム)の集合として扱 われる。動画像向け電子透力し方式においては、こうしたフレームの集合のうち、一 部分の連続するフレームの集合力もも電子透力しを検出できることが望まれている。 例えば、配布された映像コンテンツの 1シーンだけを切り出して不正に利用されてし まうような場合にも不正利用されたシーンのみ力も電子透力しが検出できることで不 正利用抑止の効果を期待できる。また、例えば、映画館等で映写されている映像コン テンッをビデオカメラで撮影される再撮影映像カゝら電子透力ゝしを検出する場合には、 必然的に電子透力しの埋め込み時の映像の開始点と撮影された映像の開始点はず れており、このような場合にも電子透力しを検出できることが望まれる。また、例えば、 映像コンテンツの、今まさに表示されているシーンから、携帯端末等のカメラを用いて 撮影した映像力も電子透力 を検出して関連情報を取得するようなアプリケーション も考えられる。これらの例においては、電子透力しの埋め込まれた映像のどの部分が 切り出されて!/、るかは予め分力もな 、ため、電子透力しの検出にぉ 、ては検出対象 の部位が電子透力しとして埋め込まれた信号のどの位置に当たるかを知る必要があ る。これを電子透力しの時間同期と呼ぶことにする。
[0007] 従来の電子透かし方式における空間同期、時間同期方法は、大きく次のように分 類できる。
[0008] (1)網羅的探索:考えられる全ての同期変位量に対して各々電子透力しの検出を 順次網羅的に試す。
[0009] (2)同期合わせ用信号の埋め込み:同期合わせ用の信号を電子透力しとは別に埋 め込み、それを検出することで同期を合わせる。
[0010] 例えば、上記の特許文献 1に記載の電子透力 方法では、電子透かしの空間的な 平行移動量を検出するための信号を埋め込み情報と重ねて埋め込んでおき、この信 号の同期変位量の網羅的探索を、離散フーリエ変換を用いて効率的に実施すること で、空間同期合わせを行っている。
特許文献 1 :特開 2003— 219148号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0011] し力しながら、従来の映像向け電子透力し埋め込み方法では、次のような課題があ つた o
[0012] ·高圧縮や再撮影への耐性の課題:
例えば、 MPEG1/2/4, WMV (Windows (登録商標) Media Video)、 DiVX、 H.264/A VCなどのような高圧縮率の動画像非可逆符号ィ匕を適用(高圧縮)したり、スクリーン やディスプレイといった表示デバイスに出力された映像を再度ビデオカメラや、携帯 電話に搭載されたカメラ等を用いて撮影 (再撮影)したりした場合には、検出が困難と なる場合があった。
[0013] また、高圧縮や再撮影によっても検出可能とするためには電子透力 を強く埋め込 む必要が生じ、結果として映像の画質の低下を招 、て 、た。
[0014] 逆に、十分な画質を維持したまま高圧縮や再撮影などに十分な耐性を持たせるた めには、映像に埋め込まれる情報長を短くする必要があった。
[0015] ,拡散系列長の課題:
文献「山本奏、中村高雄、高嶋洋一、片山淳、北原亮、宫武隆「フレーム重畳型動 画像電子透力しの検出性能評価に関する一考察」情報科学技術フォーラム FIT2005 , J-029, 2005」には、スペクトル拡散と相関計算を利用した電子透力し方式において 、スペクトル拡散の拡散系列長を長くすることで、電子透力しの検出の信頼性が高ま ることが述べられている。前述の特許文献 1の電子透力し方式においては、埋め込み 系列を埋め込める直交変換領域の周波数係数位置の数は、逆変換により実数値が 得られるためのフーリエ係数の対称性制約により制約を受けていた。すなわち、対称 位置のフーリエ係数は共役複素数であるとの制約により、埋め込み系列を埋め込め
る周波数係数は実質的に全体の周波数係数の半分に限られており、スペクトル拡散 の拡散系列長を長くすることが難しかった。
[0016] '同期の課題:
また、電子透力 の空間同期、時間同期のための従来手法では、次のような問題 点がめった。
[0017] まず、網羅的探索による方法では、全ての同期変位量に対する探索を行うのは非 常に時間の掛カる処理となり現実的ではな力つた。
[0018] また、同期合わせ用信号を埋め込む方法では、同期合わせ信号の分だけ信号に 対する改変量を増加させ、全体として信号の品質を落としていた。例えば、映像の場 合に映像の品質を劣化させることにつながっていた。また、同期合わせ用信号自体 が埋め込み情報の検出に対するノイズ成分として寄与し、検出機能が劣化する可能 性もあった。また、特徴的な同期合わせ用信号は予測しやすぐそれ自身が攻撃の 対象となって電子透力しのセキュリティを劣化させる可能性もあった。
[0019] 特に、映像の時間同期については次のような課題があった。
[0020] スクリーンや TVなどに表示された映像力 Sビデオカメラや携帯電話等のカメラで撮影 された場合、再生のフレームレートと撮影のフレームレートは同期されていないため にサブフレームでの再サンプリングが生じ、一層同期は困難となっていた。また、携 帯電話等の低性能のプロセッサを用いる場合は、撮影のフレームレートが安定せず にサンプリングのタイミングが微小にずれる場合もあり、これもまた同期を困難にする 一因となっていた。
[0021] 本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、高圧縮や再撮影に対しても耐性が高 ぐ拡散系列長を長くすることができ、時間同期'空間同期が不要となる、あるいは、 時間同期 ·空間同期を容易に取ることができる電子透力 埋め込み技術、及び電子 透かし検出技術を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0022] 本発明は、埋め込み系列生成手段、配列生成手段、変調手段、記憶手段、埋め込 みパターン重畳手段と、を有する電子透かし埋め込み装置において、 N (Nは 2以上 の整数)以上の次元を持つ入力信号に対して埋め込み情報を電子透力しとして人間
の知覚に感知されないように埋め込む電子透かし埋め込み方法であって、前記埋め 込み系列生成手段が、前記埋め込み情報に基づき埋め込み系列を生成し、第 1の 記憶手段に格納し、前記配列生成手段が、前記第 1の記憶手段の前記埋め込み系 列に基づき N— 1次元パターンを生成し、前記変調手段が、前記 N— 1次元パターン 上の値に応じて周期信号を変調することにより N次元の埋め込みパターンを生成し、 第 2の記憶手段に格納し、前記埋め込みパターン重畳手段が、前記第 2の記憶手段 に格納されて 、る前記 N次元の埋め込みパターンを取得し、該埋め込みパターンを 前記入力信号に重畳する埋め込む、ことを特徴とする電子透かし埋め込み方法とし て構成できる。
[0023] また、本発明は、埋め込み系列生成手段、配列生成手段、変換手段、記憶手段、 埋め込みパターン重畳手段、逆変換手段と、を有する電子透かし埋め込み装置にお V、て、 N (Nは 2以上の整数)以上の次元を持つ入力信号に対して埋め込み情報を電 子透力しとして人間の知覚に感知されないように埋め込む電子透力 埋め込み方法 であって、前記埋め込み系列生成手段が、前記埋め込み情報に基づき埋め込み系 列を生成し、第 1の記憶手段に格納し、前記配列生成手段が、前記第 1の記憶手段 に格納されている前記埋め込み系列に基づき N— 1次元パターンを生成し、第 2の 記憶手段に格納し、前記変換手段が、前記入力信号を直交変換し、変換済信号を 取得し、前記埋め込みパターン重畳手段が、前記第 2の記憶手段に格納されている 前記 N— 1次元パターンを前記変換済信号の一部の N— 1次平面に重畳し、逆変換 前信号を取得し、前記逆変換手段が、前記逆変換前信号を直交逆変換し、埋め込 み済み信号を得る、ことを特徴とする電子透かし埋め込み方法として構成することも できる。
[0024] 更に本発明は、復調手段、検出系列抽出手段、相関値計算手段、記憶手段と、を 有する電子透かし検出装置にぉ 、て、 N (Nは 2以上の整数)以上の次元を持つ入力 信号に対して予め人間の知覚に感知されないように埋め込まれた電子透力 を検出 する電子透かし検出方法であって、前記復調手段が、前記入力信号の一つの次元 方向における所定の周期信号の成分を測定し、 N— 1次元パターンを求め、前記検 出系列抽出手段が、前記 N— 1次元パターンの値力 検出系列を求め、記憶手段に
格納し、前記相関値計算手段が、前記記憶手段に格納された前記検出系列と埋め 込み系列の相関値の大きさに基づいて、埋め込まれている電子透かしを検出する、 ことを特徴とする電子透かし検出方法として構成することもできる。
[0025] また、本発明は、上記の各方法の実施に適した装置、及びコンピュータに上記各方 法の処理手順を実行させるプログラムとして構成することもできる。
発明の効果
[0026] 本発明によれば、高圧縮の動画像非可逆符号ィ匕や、表示デバイスに出力された映 像の再撮影された映像などのように、電子透かし埋め込み後の信号に大きく改変が 加えられている場合においても、十分な耐性があり、品質劣化を抑え、情報長の長い 情報を電子透力しとして埋め込む技術を実現できる。また、同期合わせの不要、もし くは容易かつ高速に同期合わせの可能な電子透力しの検出を行う技術を実現できる 。つまり、本発明によれば、同期処理による処理時間の増大や同期信号の埋め込み による信号劣化を防ぎ、高速で耐性、検出性能が高く品質劣化の少ない電子透かし 埋め込み Z検出が可能となる。
図面の簡単な説明
[0027] [図 1A]本発明の実施の形態における電子透かし埋め込み方法の概要を示すフロー チャートである。
[図 1B]本発明の実施の形態における電子透かし検出方法の概要を示すフローチヤ ートである。
[図 2]本発明の実施の形態における電子透かし埋め込み装置と電子透かし検出装置 の概要構成を示す図である。
[図 3]N= 2のときの変調後の埋め込み信号の例である。
圆 4A]周期信号の構成例 1である。
圆 4B]周期信号の構成例 2である。
圆 4C]周期信号の構成例 3である。
[図 5A]周期信号の自己相関関数の例 1である。
[図 5B]周期信号の自己相関関数の例 2である。
[図 5C]周期信号の自己相関関数の例 3である。
圆 6A]周期信号に応じた関数 hOの複素平面上の軌跡 1である。
圆 6B]周期信号に応じた関数 hOの複素平面上の軌跡 2である。
圆 6C]周期信号に応じた関数 hOの複素平面上の軌跡 3である。
[図 7A]直交する二つの周期信号の例 1である。
[図 7B]直交する二つの周期信号の例 2である。
圆 8A]同期ずれ後の信号の例 1である。
圆 8B]同期ずれ後の信号の例 2である。
[図 9]同期ずれによる Q (X)の軌跡の例である。
[図 10]本発明の第 1の実施の形態における電子透力 埋め込み装置及び電子透か し検出装置の構成例である。
[図 11]本発明の第 1の実施の形態における電子透力し埋め込み装置の動作のフロ 一チャートである。
圆 12]本発明の第 1の実施の形態における複素パターン生成部の構成例である。
[図 13]本発明の第 1の実施の形態における複素パターン生成部の処理のフローチヤ ートである。
圆 14]本発明の第 1の実施の形態における埋め込み系列生成部の詳細な動作のフ ローチャートである。
[図 15]本発明の第 1の実施の形態におけるシンボルの構成例である。
圆 16]本発明の第 1の実施の形態における複素配列生成部の動作のフローチャート である。
圆 17]本発明の第 1の実施の形態における複素配列の構成例である。
圆 18]本発明の第 1の実施の形態における時間変調部の構成例である。
圆 19]本発明の第 1の実施の形態における時間変調部の動作のフローチャートであ る。
[図 20]本発明の第 1の実施の形態における埋め込みパターンを時間方向に繰り返し 重畳する例である。
[図 21]本発明の第 1の実施の形態における埋め込みパターンの縦横にタイリングして 重畳する例である。
[図 22]本発明の第 1の実施の形態における埋め込みパターンを拡大して重畳する例 である。
圆 23]本発明の第 1の実施の形態における電子透かし検出装置の動作のフローチヤ ートである。
圆 24]本発明の第 1の実施の形態における埋め込み済み信号の特徴量を算出して 抽出する例である。
圆 25]本発明の第 1の実施の形態における時間復調部の構成例である。
[図 26]本発明の第 1の実施の形態における時間復調部の動作のフローチャートであ る。
圆 27]本発明の第 1の実施の形態における時間復調部の差分'微分を用いた構成例 である。
圆 28]本発明の第 1の実施の形態における検出情報抽出部の構成例である。
圆 29]本発明の第 1の実施の形態における検出情報抽出部の動作のフローチャート である。
圆 30]本発明の第 1の実施の形態における検出系列抽出部の詳細な動作のフロー チャートである。
圆 31]本発明の第 2の実施の形態における時間変調部の構成例である。
圆 32]本発明の第 2の実施の形態における時間変調部の動作のフローチャートであ る。
圆 33]本発明の第 2の実施の形態における時間復調部の構成例である。
[図 34]本発明の第 2の実施の形態における時間復調部の動作のフローチャートであ る。
圆 35]本発明の第 2の実施の形態における時間復調部の差分'微分を用いた構成例 である。
圆 36]本発明の第 3の実施の形態における複素パターン生成部の構成例である。 圆 37]本発明の第 3の実施の形態における複素パターン生成部の動作のフローチヤ ートである。
圆 38A]本発明の第 3の実施の形態における複素配列生成部における複素配列の
要素範囲の例 1である。
[図 38B]前記複素配列の要素範囲の例 2である。
[図 38C]前記複素配列の要素範囲の例 3である。
[図 38D]前記複素配列の要素範囲の例 4である。
[図 38E]前記複素配列の要素範囲の例 5である。
[図 38F]前記複素配列の要素範囲の例 6である。
[図 39A]前記複素配列の要素範囲の例 7である。
[図 39B]前記複素配列の要素範囲の例 8である。
[図 39C]前記複素配列の要素範囲の例 9である。
[図 39D]前記複素配列の要素範囲の例 10である。
[図 39E]前記複素配列の要素範囲の例 11である。
[図 39F]前記複素配列の要素範囲の例 12である。
圆 40]本発明の第 3の実施の形態における検出情報抽出部の構成例である。
圆 41]本発明の第 3の実施の形態における検出情報抽出部の動作のフローチャート である。
圆 42]本発明の第 4の実施の形態における検出情報抽出部の構成例である。
圆 43]本発明の第 4の実施の形態における検出情報抽出部の動作のフローチャート である。
圆 44]本発明の第 4の実施の形態におけるビット値を検出方法の一例を説明するた めの図である。
圆 45]本発明の第 5の実施の形態における電子透かし検出装置の構成例である。 圆 46]本発明の第 5の実施の形態における電子透かし検出装置の動作のフローチヤ ートである。
圆 47]本発明の第 5の実施の形態における同期検出部の構成例である。
圆 48]本発明の第 5の実施の形態における同期検出部の動作のフローチャートであ る。
圆 49]本発明の第 5の実施の形態における検出情報抽出部の構成例である。
圆 50]本発明の第 5の実施の形態における検出情報抽出部の他の構成例である。
圆 51]本発明の第 6の実施の形態における時間変調部の構成例である。
[図 52]本発明の第 7の実施の形態における電子透かし埋め込み装置及び電子透か し検出装置の構成例である。
[図 53]本発明の第 7の実施の形態における電子透力し埋め込み装置の動作のフロ 一チャートである。
圆 54]本発明の第 7の実施の形態における複素パターン生成部の構成例である。
[図 55]本発明の第 7の実施の形態における複素パターン生成部の動作のフローチヤ ートである。
圆 56]本発明の第 7の実施の形態における電子透かし検出装置の動作のフローチヤ ートである。
圆 57]本発明の第 7の実施の形態における検出情報抽出部の構成例である。
圆 58]本発明の第 7の実施の形態における同期変位量の結合の例である。
[図 59]本発明の第 8の実施の形態における電子透力し埋め込み装置の動作のフロ 一チャートである。
圆 60]本発明の第 8の実施の形態における複素パターン生成部の構成例である。
[図 61]本発明の第 8の実施の形態における複素パターン生成部の動作のフローチヤ ートである。
圆 62]本発明の第 8の実施の形態における複数の情報を時分割で連続して埋め込 む例である。
圆 63]本発明の第 8の実施の形態における電子透かし検出装置の構成例である。 圆 64]本発明の第 8の実施の形態における電子透かし検出装置の動作のフローチヤ ートである。
[図 65]本発明の第 8の実施の形態における同期のずれた位置力 の同期パターンの 検出の例である。
圆 66]本発明の第 8の実施の形態における検出情報抽出部の構成例である。
圆 67]本発明の第 8の実施の形態における検出情報抽出部の動作のフローチャート である。
[図 68]本発明の第 9の実施の形態における電子透かし埋め込み装置及び電子透か
し検出装置の構成例である。
[図 69]本発明の第 9の実施の形態における電子透力し埋め込み装置の動作のフロ 一チャートである。
符号の説明
102 第 1の記憶手段
103 第 2の記憶手段
100 電子透かし埋め込み装置
110 複素パターン生成部
111 埋め込み系列生成手段、埋め込み系列生成部
112 配列生成手段、複素配列生成部
113 N— 1次元逆フーリエ変換部
114 埋め込み情報分割部
115 同期系列生成部
116 複素配列生成部
117 埋め込み系列生成部
120 配列生成部
130 変調手段、時間変調部
131 周期信号生成部
132 変調部
133 加算部
134 1次元逆フーリエ変換部
136 変調部
140 埋め込みパターン重畳手段、埋め込みパターン重畳部
150 第 1の記憶部
160 第 2の記憶部
200 電子透かし検出装置
202 記憶手段
210 復調手段、時間復調部
211 周期信号生成部
212 復調部
213 複素パターン構成部
214 1次元フーリエ変換部
215 信号微分部
216 1次元フーリエ変換部
220 検出情報抽出部
221 検出系列抽出手段、検出系列抽出部
222 相関値計算手段、相関値計算部
223 最大値判定部
224 検出情報再構成部
225 N— 1次元フーリエ変換部
226 複素相関値計算部
227 絶対値算出部
250 パターン記憶部
300 電子透かし検出装置
310 時間復調部
320 同期検出部
321 複素検出系列抽出部
322 複素相関値計算部
323 絶対値算出部
324 同期検出最大値判定部
325 位相算出部
330 検出情報抽出部
331 検出系列抽出部
332 相関値計算部
333 最大値判定部
334 検出情報再構成部
340 パターン記憶部
500 電子透かし埋め込み装置
510 複素パターン生成部
511 埋め込み系列生成部
512 複素配列生成部
520 時間変調部
530 埋め込みパターン重畳部
600 電子透かし検出装置
610 時間復調部
620 同期検出部
630 検出情報抽出部
631 検出系列抽出部
632 相関値計算部
633 最大値判定部
634 検出情報再構成部
700 電子透かし検出装置
710 埋め込み済信号分割部
720 同期時間復調部
730 同期検出部
740 同期済信号分割部
750 時間復調部
760 検出情報抽出部
761 検出系列抽出部
762 相関値計算部
763 最大値判定部
764 検出情報再構成部
765 検出情報連結部
800 電子透かし埋め込み装置
810 複素パターン生成部
820 埋め込みパターン重畳部
830 埋め込み前信号変換部
840 埋め込み済信号逆変換部
850 第 1の記憶部
904 中間複素パターン
911 埋め込み情報
912 埋め込み前信号
913 埋め込み系列
914 検出情報
917 同期系列
921 埋め込み複素パターン
922 埋め込みパターン
923 埋め込み済信号
961 検出複素パターン
1113 検出系列
1114 相関値
1115 検出複素配列
1116 複素相関値
1117 絶対値
1118 検出複素数系列
1501 検出複素パターン
1502 同期変位量
1511 検出複素系列
1512 複素相関値
1513 絶対値
1521 検出系列
1522 相関値
3111 埋め込み情報
3112 埋め込み前信号
3113 埋め込み済信号
3114 検出情報
3121 埋め込み複素パターン
3122 埋め込みパターン
3161 検出複素パターン
3162 同期変位量
3213 埋め込み系列
3313 検出系列
3314 相関値
3613 検出系列
3614 相関値
3615 部分検出情報
3812 検出情報
3813 同期複素パターン
3814 同期変位量
3815 検出複素パターン
3816 部分埋め込み済信号
3817 同期済部分信号
4021 埋め込み複素パターン
4022 変換済み埋め込み前信号
4023 逆変換前埋め込み済信号
発明を実施するための最良の形態
まず、本発明の実施の形態の概要を説明する。図 1Aは、本発明の実施の形態に おける電子透力 埋め込み方法の概要を示すフローチャートである。
上記電子透かし埋め込み方法は、埋め込み系列生成手段、配列生成手段、変調 手段、記憶手段、埋め込みパターン重畳手段と、を有する電子透かし埋め込み装置
にお 、て、 N (Nは 2以上の整数)以上の次元を持つ入力信号に対して埋め込み情 報を電子透力しとして人間の知覚に感知されないように埋め込む電子透かし埋め込 み方法である。この方法は、埋め込み系列生成手段が、埋め込み情報に基づき埋め 込み系列を生成し、第 1の記憶手段に格納する埋め込み系列生成ステップ (ステップ 1)と、配列生成手段が、第 1の記憶手段の埋め込み系列に基づき N— 1次元パター ンを生成する配列生成ステップ (ステップ 2)と、変調手段が、 N— 1次元パターン上の 値に応じて周期信号を変調することにより N次元の埋め込みパターンを生成し、第 2 の記憶手段に格納する変調ステップ (ステップ 3)と、埋め込みパターン重畳手段が、 第 2の記憶手段に格納されて 、る N次元の埋め込みパターンを取得し、該埋め込み パターンを入力信号に重畳する埋め込みパターン重畳ステップ (ステップ 4)とを有し ている。
[0030] 図 1Bは、本発明の実施の形態における電子透かし検出方法の概要を示すフロー チャートである。この電子透かし検出方法は、復調手段、検出系列抽出手段、相関 値計算手段、記憶手段と、を有する電子透かし検出装置において、 N以上の次元を 持つ入力信号に対して予め人間の知覚に感知されないように埋め込まれた電子透 力 を検出する電子透かし検出方法である。
[0031] この方法は、復調手段が、入力信号の一つの次元方向における所定の周期信号 の成分を測定し、 N— 1次元パターンを求める復調ステップ (ステップ 11)と、検出系 列抽出手段が、 N— 1次元パターンの値力 検出系列を求め、記憶手段に格納する 検出系列抽出ステップ (ステップ 12)と、相関値計算手段が、記憶手段に格納された 検出系列と埋め込み系列の相関値の大きさに基づいて、埋め込まれている電子透か しを検出する相関値計算ステップ (ステップ 13)とを有する。
[0032] 図 2は、本発明の実施の形態における電子透かし埋め込み装置と電子透かし検出 装置の概要構成を示す図である。
[0033] 本実施の形態における電子透力し埋め込み装置は、 N (Nは 2以上の整数)以上の 次元を持つ入力信号に対して埋め込み情報を電子透かしとして人間の知覚に感知 されないように埋め込む電子透かし埋め込み装置 100であり、埋め込み情報に基づ き埋め込み系列を生成し、第 1の記憶手段 102に格納する埋め込み系列生成手段 1
11と、第 1の記憶手段 102の埋め込み系列に基づき N— 1次元パターンを生成する 配列生成手段 112と、 N— 1次元パターン上の値に応じて周期信号を変調することに より N次元の埋め込みパターンを生成し、第 2の記憶手段 103に格納する変調手段 1 30と、第 2の記憶手段 103に格納されている N次元の埋め込みパターンを取得し、 該埋め込みパターンを入力信号に重畳する埋め込みパターン重畳手段 140と、を有 する。
[0034] また、本実施の形態の電子透かし検出装置は、 N以上の次元を持つ入力信号に対 して予め人間の知覚に感知されないように埋め込まれた電子透力 を検出する電子 透かし検出装置 200であり、入力信号の一つの次元方向における所定の周期信号 の成分を測定し、 N— 1次元パターンを求める復調手段 210と、 N— 1次元パターン の値力も検出系列を求め、記憶手段 202に格納する検出系列抽出手段 221と、記 憶手段 250に格納された検出系列と埋め込み系列の相関値の大きさに基づいて、 埋め込まれている電子透かしを検出する相関値計算手段 222と、を有する。
[0035] 以下、図面と共に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[0036] 以下では、まず、本発明の原理となる基本概念とその例を示した後、具体的な電子 透かし埋め込み装置、電子透かし検出装置とその方法の実施の形態について説明 する。
[0037] [基本概念]
まず、本実施形態の原理となる基本概念を以下に示す。
[0038] (1)複素相関による電子透力しモデル:
複素数列を用いた相関利用型電子透かしについて以下に示す。
[0039] なお、以下の本明細書中で複素数としている部分は、同一の概念として 2次元のベ タトルに置き換えることができることは言うまでもない。
[0040] 埋め込み)埋め込み対象の信号列 i及び電子透かし系列 wを次のように定める。
[0041] i= {i , i , · · ·, i }≡CL (1)
1 2 L
w= {w , w , · · ·, w } £ CL (2)
1 2 L
ただし、 Cは複素数全体の集合であり、 wは平均 0の擬似乱数列とする。
[0042] iに wを埋め込み、埋め込み済み信号列 i'を得る。
[0043] i' =i+w (3)
検出) i'が同期ずれにより△ Θだけ位相がずれた Γを考える
[0044] [数 1]
( 4 )
ここで、 jは虚数単位である。
[0045] Γと wの相関値を次式のように計算し、電子透力しの検出を行う。
[0046] p =i"-w* (5)
ここで、「w*」は wの各要素の共役複素数をとる数列であり、 」は数列をベクトルと みたときの内積演算である。なお、このような複素数列同士の相関計算を複素相関と 呼ぶことにする。
[0047] [数 2]
( 6 )
•w
ここで、 W*は Wの共役複素数を表す。
k k
iと wが独立で Lが十分大きければ、∑i w*の期待値は 0であり
k k
従って、
• の絶対値が最大となる埋め込み値を求めることで位相ずれ量△ Θに関わらず 検出が可能となる。即ち、同期合わせなしに検出が可能となる。
[0049] · の偏角を求めることで位相ずれ量△ Θを算出可能となる。
[0050] ここで wとしては次のような 2通りの選び方が考えられる。
k
[0051] 1)例えば {+1, —1 }のいずれかの値を取るといったように実数のみから選ばれてい る場合;
2)例えば、
の!、ずれかの値をとると!/、つたように複素数空間に広がって分布するように選ばれて いる場合;
上記 1)の場合、埋め込み済み信号列 i'上で透力しのパターン成分 wの位相が揃つ ており、 2)の場合は、位相が拡散されていることになる。どちらかの場合であっても、 ∑i w*
k k
の期待値は oとなり、電子透力しの検出が可能となるが、 I w
k Iの分散を等しくして 電子透かし成分のエネルギーを揃えた条件下で 1)、 2)を比べた場合、 2)の方が I ∑i w*
k k I
の分散が小さくなる。これは pの値に埋め込み対象の信号列 iが与えるノイズ成分の 影響が小さくなることを意味し、より信頼性が高い検出が可能となる。
[0053] (2)時間方向単一周波数埋め込みによる時間同期不要電子透かし:
同期ずれにより△ Θだけ位相がずれるような電子透かし埋め込みの例として、時間 方向単一周波数への埋め込みを行う例を示す。
[0054] 具体的には、例えば、映像の空間方向で構成された複素数パターンを時間方向の 単一周波数に変調して埋め込む例を示す。
[0055] 埋め込み) N次元の信号列に N— 1次元の複素数パターン P(x)を埋め込む。但し
、 Xは N— 1次元空間での位置を表すベクトルで、
χ= (χ , X , ···, x ) (8)
1 2 N-l
とする。
[0056] N番目の次元を時間軸と考え、時間軸方向の周期複素関数 f(t)を用意する。例え ば、
[0057] [数 5]
f e (9 )
= cos ωΐ + j sin ωί
ここで jは虚数単位、 ωは f (t)の周期を表す角速度である。
[0058] P (X)の実部、虚部をそれぞれ f (t)の実部、虚部で AM変調し合成した、 N次元実 数信号 W(x, t)を得る。
[0059] 園
W(.x, ί) = [Ws^cos ωί + 3[Ρ ( 】 sin ωί ( 1 0)
= ω>« *ω]
但し、 f*(t)は t)の共役複素数をとる複素関数である。
[0060] N=2のときの、 W(x, t)の例を図 3に示す。ここで、太線が w(x, t)の値を表し、位 置 X毎に位相のずれた t軸方向の周期信号で表現されて!、る。
[0061] このような変調により、 P(x)の複素数値の偏角と絶対値で、 f (t)の位相と振幅を変
調して ヽること〖こなる。
[0062] W(x, t)を埋め込み対象の信号 I (X, t)に埋め込み、埋め込み済み信号 (X, t)を 得る。
[0063] I' (x, t) =l (x, t) +W(x, t) (11)
検出) (χ, t)が同期ずれにより、 Atだけずれた信号 Γ(χ, t)を考える。
[0064] [数 7]
J "(x, t) = l '(x + M) ( 1 2 )
例えば、映像信号などを考えた場合、ビデオカメラによる再撮影やアナログ変換な どが行われた際にも、通常は空間上の位置が異なっていても、時間方向の同期変位 量は一定となる。(電子透かしに対する攻撃として空間位置毎に異なる時間方向同 期ずれが与えられた場合、画質は著しく劣化し、映像コンテンツとしての価値が損な われるため攻撃としては成り立たない)このことから、上記のように時間方向(t方向) の同期変位量 Atは、位置 Xによらず一定であると考えることができる。
[0065] また、例えば、画像信号を考えた場合、画像の平行移動のみが加えられて ヽる場 合には、例えば画像信号が横方向の位置 Xが異なっていても、縦方向に加えられた 平行移動の大きさは一定となる。この場合にも、上記のように縦方向(t方向)の同期 変位量 Atは、横方向の位置 Xによらず一定であると考えることができる。
[0066] 今、区間 0≤t≤T(Tは f (t)の周期の整数倍)で与えられた Γ(χ, t)に対し、 f (t)で 復調するため次のような積分を計算する。
[0067] [数 8]
Qix) = I"(x,T)f*(T)dr (1 3)
― j em
=
一 2 σ
Te)
= N{x,At) +——— P(x) ここで、 Ν(χ,Αί)= ί (x,r + A/)e である。
Jo
但し、下記の関係を用いた
[0068] [数 9]
^ 。 : + b ― άτ
2 ノ a¾f
(a + jb)
2
であることから
[0069] [数 10]
-jw(,T Jc-ji»r て =
(1 5)
なお、ここでの例では、信号 Γ(χ, t)が連続信号として得られている場合を例に説 明したが、信号 I"(x, t)が離散信号として得られている場合も、積分の代わりに積和 計算により同様の処理が可能である。
[0070] 即ち、
[0071] [数 11]
ωΔί
(a + jb)
Γ-1
2 尸 (18)
τ-=0
Te
=Ν ただし、 A¾c A) = y,/0c r + A^_^rである。
r=0
透かし系列
w{w , ··*, w }
1
と P(x)との線形変換 Trans及び逆変換 Trans一1が定義されているとき、電子透かしの 埋め込みに際し、
P(x) = Trans (w) (19)
で P(x)を生成し、電子透かし検出に際し、
w' = Trans" '(QCx)) (20)
とすれば、
[数 12]
w' - n÷ w (2 1)
2
が得られる。但し、 n=Trans (N(x, At))G
[0073] 線形変換 Transの例としては、例えば、単に wの各値を N— 1次元空間上に順に ベるだけの変換であっても良いし、 wの各値を N— 1次元空間上に順に並べた後 逆フーリエ変換等の直交変換を行う変換であっても良い。
[0074] 前節の議論を当てはめ、複素相関を取ることで、
[0075] [数 13]
ρ = ω - co
= (« + (2 2)
〜fe∑ 2
力 電子透力しの検出、同期変位量 Atの算出が可能である。
[0076] (3)差分 (微分)相関による検出:
上記の検出方式において、 Q(x)を求める計算の代わりに、 I"(x, t)の差分もしくは 、微分から f(t)を用いて復調するようにしても良い。
[0077] 即ち、例えば信号が離散的な場合、
として、
[0078] [数 14]
Γ-1
r=0
= O (x< Δί) - Ν0 (χ. At)) + ~ - ~ Ρ(χ)(
τ-ι τ
但し、 Λ^ο (χ, Δί) = J Ι(Χ< r + M)e-}03 ^ , Δί) = > . /(χ, Γ + Δί 一^ ^である。
τ=0 r=l
ここで、
[0079] [数 15]
e}& - \
は既知であるから、同様の検出が可能である。
[0080] また、例えば、信号が連続的な場合には、
[0081] [数 16]
微分^^
を用いた同様の計算により、同様の検出が可能である。
[0082] 例えば、映像信号などを考えた場合、信号のフレーム間の相関が大きいことが知ら れている。二つのフレームの時間間隔が短いほどフレーム間の相関は高いことから、 上記のようにフレーム間差分を計算すると、周期信号による相殺分以上に原画成分 が大きくキャンセルされ、上記の N (X, At) -N (X, At)の項の絶対値が非常に小
さくなり、電子透力しのエネルギーが相対的に増大して検出がしゃすくなるという利点 がある。
[0083] (4)任意の周期信号を用 、た場合の時間同期不要電子透かし:
次に、周期信号として任意の関数 f(t)を用い、これの位相を変化させて電子透かし を埋め込む場合を考える。ここでは f (t)は実関数を考える。
[0084] 埋め込み) P (X)の絶対値、偏角で f (t)の振幅、位相を変調した、 N次元実数信号
W(x, t)を得る。
[0085] 例えば、
W(x, t)= I P(x) I f(t+s(x)) (24)
ここで、
[0086] [数 17]
six) = i~ Arg[p(x)]
2π
Tは f (t)の周期であるとする。
[0087] W(x, t)を埋め込み対象の信号 I (X, t)に埋め込み、埋め込み済み信号 (X, t)を 得る。
[0088] I'(x, t) =l(x, t) +W(x, t) (25)
検出) (χ, t)が同期ずれにより、 Atだけずれた信号 Γ(χ, t)を考える。
[0089] I"(x, t)=I'(x, t+At) (26)
=1 (x, t+At)+W(x, t + At)
=l(x, t+At) + I P(x) I f(t+At+s(x))
今、区間 0≤t≤Tで与えられた Γ(χ, t)に対し、 f(t)及び f(t)の位相を πΖ4変位 させた f (t- π /4)で復調するための次のような積分を計算する。
ここで、 N、x,^)= f/C ,て + Δί)· /( ) + #(r— であるとする。
この積分計算は f()の自己相関を求めるのと同様の計算になっており、 f (t)の自己 相関関数を g(t)とすると。
[0091] [数 19]
/(r + Ai+ s(x))f(T)dr = g(At + six)) (2 8) ζ /(r + Δί + six)) f r - + six) + (2 9)
と表せる。
[0092] 今、
[0093] [数 20]
h(x, Δί) = g(M + six)) + jg^At + six) + ^ j (30)
とすれば、
となる力 これから前述の正弦波を用いた例と同様な電子透力しの検出ができるため には、 h(x, At)の偏角 Arg[h (x, At)]が、埋め込まれた信号の位相
に近い値をとっていれば良い。すなわち、
[0096] [数 23]
Arg[h{x, Δί] =—— (Δί + six)) + Αφ w 2 )
で△ φが十分小さい値をとるような関数 hであれば良い。
[0097] このとき、複素相関における積演算は次のように表され、
[0098] [数 24]
複素相関値としてこれの総和を求めることになり、複素相関値の偏角から同期変位 量 Atと△ φに応じた誤差の範囲で求めることができる。
[0099] ただし、
[0100] [数 25]
であることを利用した。また、理解を容易にするために線形変換 Transを省き直接 P (x )での相関演算を行う例を示した。
[0101] 以上の議論は、周期信号が正弦波の場合には△ φ =0となる一方、正弦波以外の 周期信号の場合、 ≠0となり、同期変位量 Atの測定に誤差が生じることを表し ている。
[0102] (5) 周期信号の例:
周期信号は、次の特徴を持つ周期関数を用いれば良い。
[0103] 1) 1周期分積分した結果が 0となる。
[0104] 2)自己相関関数が鋭敏なピークを持たな!、。
[0105] 上記の 1)の条件は例えば、
としても良い。ここで Τは周期関数の周期である。
[0107] また、上記 2)の条件は例えば、「自己相関関数の頂点付近の 2階微分の値が頂点 の符号と一致しない」、という条件を用いても良い。
[0108] 周期信号の例を図 4A〜Cに示す。同図の周期信号は、(図 4A) (a)正弦波、(図 4 B) (b)三角波、(図 4C) (c)矩形波であり、各信号を 0≤tく T(Tは信号の周期)の範 囲で式で表すと下記のようになる。なお、これらの例に限定するものではなぐ上記の 特徴を持つ任意の周期信号を用いて良 、ことは言うまでもな!/、。
[0109] [数 27]
(a) y = as mt
- 。 0≤f <
(b) y =
4α , 「
1)の条件は、検出時の積分の結果 Γ(χ, t)の t方向の直流成分をキャンセルできる ことを表す。
[0110] 2)の条件の意味について下記に説明する。
[0111] 図 5A〜Cに図 4A〜Cの各周期信号の自己相関関数を示す。さらに、図 6A〜Cに 、それぞれの周期信号の場合に複素平面上で複素関数 h()の動く軌跡を示す。
[0112] (図 5A、図 6A)正弦波の例では、自己相関関数が滑らかに変化しており、 h ()の軌 跡は円となる。これは、 =0となり、同期変位量 Atを高い精度で求められることを 意味する。
[0113] (図 5B、図 6B)三角波の例では、やはり自己相関関数が滑らかに変化しており、頂 点付近の 2階微分の値が頂点の符号とは異なっており(符号が正の頂点付近の 2階 微分の値は負であり符号は一致していない)、鋭敏なピークは持たない自己相関関 数となっている。結果、 M)の軌跡はほぼ円に等しくなり、 Δ φは十分小さな値となり 、やはり同期変位量 Atを高 、精度で求められることを意味する。
[0114] (図 5C、図 6C)矩形波の例では、自己相関関数は滑ら力とは言えないが、頂点付 近の 2階微分の値が頂点の符号とは異なっており(符号が正の頂点付近の 2階微分 の値力^であり符号は一致していない)、やはり鋭敏なピークは持たない自己相関関 数となっている。結果、 M)の軌跡は円ではないが菱形となり、 Δ φは比較的小さな 値となり、同期変位量 Atをある程度の精度で求められることを意味する。
[0115] 一般に、正弦波の値を計算するより矩形波や三角波の値を計算する方が高速に処 理が可能であるため、正弦波の代わりに三角波や矩形波などの上記の条件を満た
す他の周期関数を用いることで、同期変位量の若干の誤差を犠牲に全体として高速 な電子透かし検出が可能となる。例えば、携帯電話等の携帯端末での電子透かし検 出のように、非常に限られた計算資源において電子透かし検出を行う場合や、大量 の電子透かし検出を行う場合に高速処理が要求される場合に特に有効である。
[0116] (6)直交する 2つの周期関数を用いた場合の時間同期不要電子透かし:
次に、周期信号として同一の基本周波数を持ち直交する 2つの周期関数 f (t)、f (
1 2 t)を用いた場合を考える。
[0117] この場合、上記の時間方向単一周波数埋め込みによる時間同期不要電子透かし の説明における周期複素関数 f (t)を f (t) =f (t) +jf (t)とすることに等しい。
1 2
[0118] 例えば、 f (t)とし周期 4の矩形波、 f (t)として周期 4の三角波を考え、それぞれ、
1 2
図 7A、 Bのような信号として定義されるものを考える。
[0119] このとき、 f (t)、 f (t)はどちらも基本周波数 1Z4を持ち、 1周期分の積分
1 2
[0120] [数 28]
I -, (i) 2(/Wi - ( 3 5 )
となり、直交している。但し、 Tは信号周期であり、この例では T=4である。
[0121] この場合、例えば、ある χ = χに対して Ρ (χ ) = 1 + 0であったとき、対応する W(x
0 0 j 0
, t)は図 7Αの f (t)と同一になる。
[0122] 同期ずれがない場合、原画成分を除いて記述すると図 8Aの信号 G (t)が検出時 に得られる。これと f (t) , f (t)との相関計算の結果、
1 2
■ G2(t)f2 )dt = 0 ( 3 7 )
となり、 Q (x ) =4 + 0となる。
o j
[0124] 同期ずれにより位相が 90度ずれた場合、原画成分を除いて記述すると図 8Bのよう な信号 G (t)が検出時に得られる。これと f (t)、f (t)との相関計算の結果
2 1 2
[0125] [数 30]
となり、
[0126] [数 31]
4
ρ 0) = ο+ ゾ
となる。
[0127] 同様に考えると、同期ずれの大きさによって Q (x )は図 9の複素平面上を軌跡 1を
0
迪つて変化することになる。
[0128] また、例えばある x=xに対して P (x ) =0+ 1であったとき、対応する W(x , t)は 図 7Bの f (t)と同一になり、同様の考察により、同期ずれの大きさによって Q (x )は、
2 1 図 9の複素平面上を軌跡 2を迪つて変換することになる。
[0129] Q )の偏角は前述した複素相関値の計算と同様の計算により、複素相関値の偏 角力も同期変位量 Atを、計算で定まる誤差の範囲で求めることができる。
[0130] このように、周期信号として同一の基本周波数を持ち直交する 2つの周期関数 f (t
) f (t)を用いた場合にも、若干の誤差を犠牲にして全体として同期変位量を求めるこ
2
とが可能になる。
[0131] [第 1の実施の形態]
図 10は、本発明の第 1の実施の形態における電子透かし埋め込み装置及び電子
透かし検出装置の構成を示す。
[0132] 〈電子透かし埋め込み装置〉
まず、電子透かし埋め込み装置について説明する。
[0133] 電子透かし埋め込み装置 100は、複素パターン生成部 110、時間変調部 130、埋 め込みパターン重畳部 140、第 1の記憶部 150、第 2の記憶部 160から構成され、埋 め込み情報 911、埋め込み前信号 912を入力し、埋め込み済み信号 923を出力す る。
[0134] 以下に、電子透かし埋め込み装置 100の動作を説明する。
[0135] 図 11は、本発明の第 1の実施の形態における電子透力し埋め込み装置の動作の フローチャートである。電子透かし埋め込み装置 100による電子透かしの埋め込み処 理は以下の手順で実施される。
[0136] ステップ 100)複素パターン生成部 110において、入力された埋め込み情報 911に 基づいて埋め込み複素パターン 921を生成し、メモリ等の第 1の記憶部 150に格納 する。
[0137] 埋め込み複素パターン 921は、複素数力も構成される N—1次元パターンであり、 埋め込み情報の内容を表して 、る。複素パターン生成部 110の動作の詳細につ ヽ ては図 12において後述する。
[0138] なお、後述する複素数へのその他の埋め込み方法に示すように、時間変調部 130 の処理によっては、 N— 1次元パターンを実数値のパターンとして構成することも可 能である。
[0139] ステップ 110) 時間変調部 130において、複素パターン生成部 110で生成され、 第 1の記憶部 150に格納された埋め込み複素パターン 921に基づいて埋め込みパ ターン 922を生成し、メモリ等の第 2の記憶部 160に格納する。埋め込みパターン 92 2は、埋め込み複素パターン 921に対し時間軸方向の変調を行い、実数値で構成さ れる N次元パターンとして生成したものである。
[0140] 時間変調部 130の動作の詳細については後述する。
[0141] ステップ 120) 埋め込みパターン重畳部 140において、時間変調部 130で生成さ れ、第 2の記憶部 160に格納されている埋め込みパターン 922を、入力された埋め
込み前信号 912に重畳し、埋め込み済み信号 923を出力する。
[0142] 埋め込みパターン重畳部 140の動作の詳細については後述する。
[0143] く電子透かし埋め込み装置ー複素パターン生成部〉
図 12は、本発明の第 1の実施の形態における複素パターン生成部の構成例を示 す。
[0144] 複素パターン生成部 110aは、埋め込み系列生成部 111、複素配列生成部 112か ら構成され、埋め込み情報 911を入力し、埋め込み複素パターン 921を出力する。
[0145] 複素パターン生成部 110aによる埋め込み複素パターンの生成処理は以下の手順 で実施される。
[0146] 図 13は、本発明の第 1の実施の形態における複素パターン生成部の処理のフロー チャートである。
[0147] ステップ 101) 埋め込み系列生成部 111において、入力された埋め込み情報 911 に基づいて、埋め込み情報を表す数値の列である埋め込み系列 913を生成する。 埋め込み系列生成部 111の動作の詳細につ!、ては後述する。
[0148] ステップ 102) 複素配列生成部 112において、埋め込み系列生成部 111で生成さ れた埋め込み系列 913を、 N— 1次元複素配列上の要素の実部及び虚部に割り当 て、埋め込み複素パターン 921を生成し、第 1の記憶部 150に格納する。複素配列 生成部 112の詳細につ 、ては後述する。
[0149] く電子透かし埋め込み装置 埋め込み系列生成部〉
埋め込み系列生成部 111では、次のような処理により埋め込み系列 913を生成す る。
[0150] 埋め込み系列 913の生成は、例えば、特許文献 1や、「中村高雄、小川宏、富岡淳 榭、高嶋洋一、〃電子透かしにおける平行移動 '切り取り耐性向上の一手法" 1999年 暗号と情報セキュリティシンポジウム、 SCIS99-W3- 2.1, pp.193- 198, 1999」や、「中村 高雄、片山淳、山室雅司、曽根原登"カメラ付き携帯電話機を用いたアナログ画像か らの高速電子透かし検出方式"、信学論 D-II, Vol. J87-D-II, No.12, pp. 2145-2155, 2004」に示されて 、るような埋め込み系列の構成方法と同様の方法をとることができ る。
[0151] 以下に、埋め込み情報 911の例として、
•電子透かしが埋め込まれて!/、る、 t 、う事実だけを表す場合の例;
• lbitの情報である場合の例;
•nbitの情報である場合の 1つ目の例;
•nbitの情報である場合の 2つ目の例;
とについて説明する。なお、これらの例に限定するものではなぐこの他の埋め込み 系列生成の方法をとつても良い。
[0152] (例 1)埋め込み情報 911が「電子透力しが埋め込まれている」という事実だけを表 す場合、埋め込み系列 913は、例えば、擬似乱数列を用いて表された数値列として 計算されても良い。即ち、平均 0の擬似乱数列 ΡΝ= {ΡΝ , PN , · ··, PN } (Lは系
のように決定しても良い。
[0153] また、擬似乱数列としては例えば M系列や GOLD系列を用いても良い。
[0154] (例 2)埋め込み情報 911が lbitの情報である場合、埋め込み系列 913は、例えば 、その lbitの情報を擬似乱数列を用いてスペクトル拡散した数値列として計算されて も良い。すなわち、埋め込み情報を b、平均 0の擬似乱数列を PN= {PN , PN ,…
1 2
, PN } (Lは系列の長さ)とするとき、埋め込み系列 w={w, w,…, w }を
し 1 2 L
[0155] [数 32]
のように決定しても良い。
[0156] また、擬似乱数列としては、例えば、 M系列や GOLD系列を用いても良い。
[0157] (例 3)埋め込み情報 911が nbitから構成される情報である場合、埋め込み系列 91 3は、例えば、その nbitの情報を mbit毎に分割したシンボル毎に擬似乱数列を用い てスペクトル拡散した数値列を多重化したものとして計算されても良い。すなわち、下
記のような手順で行われても良 、。
[0158] 図 14は、本発明の第 1の実施の形態における埋め込み系列生成部の詳細な動作 のフローチャートである。
[0159] ステップ 201) nbitの埋め込み情報 911を複数のシンボル S , S , · ··, Sに分割
1 2 k する。このとき全てのシンボルが同じ mbitずつであっても良いし、各シンボルが異なる ビット数分の情報を表現して 、ても良 、。
[0160] ここで、「シンボル」とは、それぞれ埋め込み情報のうちの一部分の情報を表し、実 際の電子透力し埋め込みの処理単位となる情報であり、例えば、埋め込み情報 911 力 S64bit長の二進数値で与えられたとき、図 15に示すように 12bitずつの情報に区切 つて 12bitの情報の各々がシンボルとするようにされて!、ても良!、。ある!/、は 1シンポ ルで lbitの情報を表すようにされて 、ても良 、。図 15の例のように埋め込み情報 911 の長さ(ここでは 64bit)が各シンボルの長さ(12bit)で割り切れな!/、場合は、一部の シンボル(ここでは最後のシンボル)の一部の bitを固定の値(ここでは値 0)で padding するようにしても良い。
[0161] ステップ 202) ステップ 201で得られた各シンボルに対してスペクトル拡散処理を 行い、各シンボルに対応した拡散系列 P , · ··, Pを生成する。
1 k
[0162] スペクトル拡散の方法としては、例えば次のような方法がある。
[0163] 例えば、 1シンボルが lbitの情報を表現している場合には、各シンボル S , · ··, Sに
1 k 対して、それぞれ { 1, —1 }の値をとる計 k通りの PN系列 PN = (ρη ,ρη ,· ··, ) , · '·Ρ
1 11 12
Ν = (ρη ,ρη , · · ·)を生成し、シンボル iに対して、シンボルの値がビット 1を表す場合 k kl k2
は PNを、シンボルの値がビット 0を表す場合は一 PNを拡散系列 Pとして用いるよう にしても良い。
[0164] また、例えば、 1シンボルが 12bitの情報を表現している場合には、各シンボルに対 してそれぞれ 4096通りの PN系列 PN , · ··, PN , PN , · ··, PN を用意し
(1,0) (1,4095) (2,0) (k,4095)
、シンボル iに対して、シンボル iの値が 12bitで整数値 Xを表す場合に PN を拡散系 ω 列 Ρとして用いるようにしても良 、。
[0165] また、 ΡΝ系列(擬似乱数列)としては例えば Μ系列や GOLD系列を用いても良 、。
[0166] ステップ 203) 拡散系列 P力も埋め込み系列 wを下記のように計算する。
[0167] [数 33]
w -
例えば、上記のステップ 202で後者の例の場合は以下のようになる。
[0168] [数 34]
( 4 3 )
上記の式において、
[0169] [数 35]
I
Ίϊ
を乗じているのは、系列各要素の標準偏差が 1になるようにするためであるカ、後の 計算において埋め込み強度が適切に制御されていれば必ならずしも
を乗じる必要はない。
[0171] (例 4) 埋め込み情報 911が nbitから構成される情報である場合、埋め込み系列 9 13は、例えば、その nbitの情報を m倍の長さに擬似乱数を用いて直接スペクトル拡
散したものとして計算されても良い。すなわち、下記のような手順で行われても良い。
[0172] 1) nbitの埋め込み情報 911を b , b . b , ···, bとし、各 bitを m回ずつ繰り返した
0 1 2 n
系列 Sを得る。但し、各 bitbは +1、—1のいずれかの値をとるものとする。
[0173] [数 37]
S = bob0 ---bob]b] "'bn -、 bnbn - -b„
m偭 m個 m¾
2) Sを { + 1, — 1}をとる擬似乱数列 PN={PN , PN , ···, PN }で拡散し、埋め込み
1 2 mn
系列 wを求める。すなわち、 w={w, W,…, W }とするとき、
1 2 mn
w =b PN b PN ---b PN (45)
1 0 1 0 2 0 m
(lbit目が b XPN , 2bit目が b XPN…であることを表す。以下同様)
0 1 0 1
w =b PN b PN ---b PN w =bPN b PN ---b PN
mn n (m - l)n+l n (m - 1 )n+2 n mn
これらのような埋め込み系列の生成方法については「中村高雄、片山淳、山室雅司 、曽根原登"カメラ付き携帯電話機を用いたアナログ画像力 の高速電子透かし検出 方式"、信学論 D- II, Vol. J87-D-II, No.12, pp.2145-2155, 2004」にも述べられてい る。
[0174] く電子透かし埋め込み装置ー複素配列生成部〉
埋め込み複素パターン生成部 110aの複素配列生成部 112では、次のような処理 により複素パターン 921を生成する。
[0175] 複素パターン生成部 110aの複素配列生成部 112の動作を以下に示す。
[0176] 図 16は、本発明の第 1の実施の形態における複素配列生成部の動作のフローチヤ ートである。
[0177] ステップ 301) 全ての要素の値力 Oである、大きさ M XM の N— 1次元
1 2 N-1
複素数配列を用意する。但し、 M , M , ···, M は、予め定められた要素数である
[0178] ステップ 302) 埋め込み系列 913から順に 2つずつ値を取り出し、ステップ 301で 用意した配列の位置 (0, 0, · ··, 0)から順に、取り出した値がその要素値の実部、虚 部になるように配列に値を設定する。すなわち、複素配列が A[p , p , · ··, p ] (p
1 2 N-1 n
≥0)、埋め込み系列 913が w, w,…, wと表されているとき、
1 2 し
A[0, 0,…, 0] =w +jw
1 2
A[l, 0,…, 0] =w +jw (46)
3 4
但し、 jは虚数単位とする。
[0179] 図 17にこの様子を示す。但し、図 17は 2次元の複素配列の場合の例を示している
[0180] ステップ 303) 上記のステップ 302で生成された複素配列を埋め込み複素パター ン 921として出力する。
[0181] このように、 N— 1次元の埋め込み複素パターン 921を、擬似乱数を用いて作られ た埋め込み系列 913に基づいた複素数の配列として生成することで、埋め込み複素 パターン 921の各要素の値は複素数空間に広がって分布するように決定される。こ の結果、後述する時間変調の結果得られる埋め込みパターン 922における位相が N 1次元空間上の位置によって異なるように拡散され、電子透力しの検出時に埋め 込み前信号 912に起因して現れるノイズ成分の大きさがより小さくなる。
[0182] また、上記のステップ 302の手順に先立ち、埋め込み系列 913の順序を擬似乱数 を用いて、ランダムな順序に入れ替えておいても良い。これにより、埋め込まれている 情報の不正な解析や、書き換えなどの攻撃を困難にさせることができると共に、インタ リーブ符号化としての効果を持ち、埋め込み済み信号 923に対する局所的な耐性の 不均衡を防ぐことに寄与する。その場合、順序の入れ替えに使用する擬似乱数の種 の値を電子透力し埋め込みの鍵として与え、同一の鍵を電子透力しの検出時に使用 すること〖こなる。
[0183] また、埋め込み系列 913の上で順序の入れ替えを行う代わりに、ステップ 302で得 られた複素配列の要素を入れ替えるようにしても構わない。
[0184] く電子透かし埋め込み装置一時間変調部〉
以下に時間変調部 130の動作の詳細を説明する。
[0185] 図 18は、本発明の第 1の実施の形態における時間変調部の構成例である。
[0186] 時間変調部 130aは、周期信号生成部 131、変調部 132、加算部 133から構成さ れ、埋め込み複素パターン 921を入力し、埋め込みパターン 922を出力する。
[0187] 時間変調部 130aによる埋め込みパターン 922の生成処理は以下の手順で実施さ れる。
[0188] 図 19は、本発明の第 1の実施の形態における時間変調部の動作のフローチャート である。
[0189] ステップ 401) 周期信号生成部 131において、同一の基本周波数を持ち直交する 2つの周期信号を生成する。例えば、 1つの周期信号を基にそれぞれ位相が 90° 、 すなわち 1Z4周期分異なるように 2つの周期信号を生成しても良い。生成する周期 信号の例については後述する。
[0190] ステップ 402) 変調部 132において、入力された埋め込み複素パターン 921の実 部、虚部をステップ 401で生成された 2つの周期信号によってそれぞれ時間方向に 変調する。変調の具体例については後述する。
[0191] ステップ 403) 加算部 133において、変調部 132において変調された 2つの N次 元信号を加算し、埋め込みパターン 922を取得し、第 2の記憶部 160に格納する。
[0192] ステップ 401で生成される周期信号の例を説明する。
[0193] 周期信号生成部 131で生成される周期信号は、図 4A〜Cに示すように、(図 4A) ( a)正弦波、(図 4B) (b)三角波、(図 4C) (c)矩形波であり、各信号を 0≤tく T(Tは信 号の周期)の範囲で式で表すと下記のようになる。
[0194] [数 38]
(a) y = a ^ ox
これらの周期信号の詳細については既に述べたとおりである。
[0195] 次に、変調部 132における変調は、 N— 1次元の複素パターン 921の各位置毎の 値の実部、虚部の値で、周期信号生成部 131で生成された周期信号を搬送波として 、 AM変調することで、 N次元のパターンに変換することで行われる。
[0196] すなわち、具体的には、例えば、次のように行われる。
[0197] 今、 N—1次元の複素パターンが Ρ(χ , X , ···, X )で表されているものとする。こ
1 2 N-1
のとき、 Pの実部、虚部を P , Pで表すものとし、
Ρ(χ , X , ···, X ) =P (X , X , ···, X )+j-P(x , χ , ···, χ )
1 2 N-1 r 1 2 Ν- 1 i 1 2 Ν- 1
(47)
とする。但し、 jは虚数単位である。
[0198] 周期信号生成部 131において 2つの周期信号 f^t f^t)が生成されたものとする
。ここでは、 fと fは同一の周期信号を元に位相が 90° 異なるように生成された場合 を例にとり、
f (t)=f (t-T/4) (48)
とする。 Tは周期信号の周期である。
[0199] Ρ , Ρをそれぞれ f (t)、 f (t)で変調し、次式で N次元のパターン W , Wを得る。
[0200] W (χ , X , ···, X , t)=P (X , X , ···, X ) Xf (t)
r 1 2 N-1 r 1 2 N-1 r
(49)
W (x , x , ···, x , t)=P (x , x , ···, x ) Xf (t)
i 1 2 N-1 i 1 2 N-1 i
(50)
上記のステップ 403において、この W , Wをカ卩算し、埋め込みパターン 922として 下記の N次元信号 Wを得る。
[0201] W(x , X , ···, X , t) =W (x , x , ···, χ , t)
1 2 N-1 r 1 2 N-1
+W (x , x , ···, x , t) (51)
i 1 2 N-1
下記に N = 3の映像信号に対し、周期信号として正弦波を用いた場合の例を示す
[0202] f (t)=coscot (52)
f (t)=sin ot (53)
とすると、
W(x, y, t)=P (x, y)cos ot + P (x, y) sin ω t (54)
となる。但し、 ωは周期 Tに対応する角速度で、 ω=2πΖΤである。
[0203] これらの計算を、 2つの周期信号を表す関数として複素関数
i ) =e =cos ot+jsin ot
を用いて次のように行っても構わな 、ことは言うまでもな 、。
[0204] [数 39]
W(x, y, ί) = niPix, y) x /(*) (t)] = ^Ρ(χ, y)e'eat ] (55)
但し、 fW (t)は f (t)の共役複素数、
[0205] [数 40]
は Cの実部を取り出す演算である。である。
[0206] 〈電子透かし埋め込み装置 埋め込みパターン重畳部〉
以下に、埋め込みパターン重畳部 140の動作の詳細を説明する。
[0207] 埋め込みパターン重畳部 140では、埋め込み前信号 912として入力された N次元 信号に対し、時間変調部 130aで生成され、第 2の記憶部 160に格納されている N次 元の埋め込みパターン 922を加算することで重畳し、重畳した結果の N次元信号を 埋め込み済信号 923として出力する。
[0208] 埋め込み強度)埋め込みパターン 922を加算する際に、所定の強度パラメータ aに よって強調して埋め込むようにされていても良い。すなわち、 N次元の埋め込み前信 号 912を Ι(χ , X , ···, X , t)、埋め込みノターン 922を W(x , χ , ···, χ , t)と
1 2 N-l 1 2 N-l するとき、埋め込み済み信号 923 (χ , χ , ···, χ , t)を、
1 2 N-l
(χ, X,…, X , t) = I(x, X,…, X , t)
+ a -W(x , x , · · ·, x , t) (56)
1 2 N-l
のように求める。
[0209] 強度パラメータ αは、埋め込み前信号 912全体や、埋め込み前信号 912のうち演 算の対象とする部位カゝら算出される特徴量に応じて変化するように構成されていても 構わない。例えば、埋め込み前信号 912が映像信号である場合に、フレーム画像の テクスチャ領域や動きの激しい領域などの加算された埋め込みパターンが目立ちに くい部位については強く(すなわち、 αが大きな値を取るように)、フレーム画像の平 坦な領域や、ゆっくりとした統一的な動きの領域など目立ちやすい部位については 弱く(すなわち aが小さな値を取るように)埋め込みが行われるように構成されていて も構わない。
[0210] 埋め込みパターンの繰り返し)埋め込みパターンの重畳の際、埋め込み前信号 91 2の大きさが埋め込みパターン 922の大きさよりも大き 、場合は、埋め込みパターン 9 22を繰り返すように加算しても良い。
[0211] 埋め込み前信号 912の大きさが埋め込みパターン 922の大きさよりも大きい場合の 例としては、例えば次のようなものがある。
[0212] 1)埋め込み前信号 912が映像信号である場合において、埋め込み前信号 912の 時間方向の長さ(フレーム数)が埋め込みパターン 922の時間方向の長さよりも長い 場合、図 20のように、埋め込みパターン 922を複数回繰り返すようにしても良い。
[0213] 2)埋め込み前信号 912が映像信号である場合において、埋め込み前信号 912の フレーム画像の大きさ(画角)が埋め込みパターン 922の大きさ(画角)よりも大きい場 合、図 21のように、埋め込みパターン 922を縦横にタイル状に敷き詰めるように加算 しても良い。
[0214] 埋め込みパターンの拡大) また、埋め込みパターンの重畳に先立ち、埋め込みパ ターン 922を任意の大きさ、もしくは埋め込み前信号 912の大きさに揃うように拡大す るようにしても良い。図 22に例を示す。図 22では、 2倍に拡大する例と埋め込み前信 号 912の大きさに合わせて拡大する例を示したが、この他の大きさに拡大されても良 いことは言うまでもない。
[0215] 拡大にはどのようなアルゴリズムを用いても構わない。図 22のように、拡大された 1
ブロックに一つの値が対応するようにし、拡大後のブロックを全て同じ値にするように しても良 、し、線形補完やバイキュービックなどの公知の補間手法を用いるようにして も良い。
[0216] 図 22では、埋め込み前信号 912が映像信号である場合に、フレーム画像を単位に 空間方向に拡大する例を示して 、るが、時間方向にも拡大を行うようになされて 、て も構わな 、ことは言うまでもな 、。
[0217] 特徴量への埋め込み) また、埋め込み前信号 912に埋め込みパターン 922を重 畳する際、埋め込み前信号 912の信号値に直接埋め込みパターン 922の値を加算 する代わりに、埋め込み前信号 912の所定の特徴量が埋め込みパターン 922の値、 もしくはそのスカラー倍だけ変更されるように埋め込み前信号 912を変更することによ つて重畳を行っても良い。
[0218] 上記の特徴量の例としては、例えば、埋め込み前信号 912の信号値や、ブロック毎 の信号値の平均値などがある。埋め込み前信号 912が映像信号や画像信号の場合 には、例えば、映像、画像の画素の輝度値や色差、 RGBの色信号値などを用いても 良い。
[0219] く電子透かし検出装置〉
図 10に示す電子透かし検出装置 200は、時間復調部 210、検出情報抽出部 220 、 ノターン記憶部 250から構成され、埋め込み済み信号 923を入力し、検出情報 91 4を出力する。
[0220] 以下に、電子透かし検出装置 200の動作を説明する。
[0221] 図 23は、本発明の第 1の実施の形態における電子透かし検出装置の動作のフロー チャートである。
[0222] ステップ 501) 時間復調部 210において、入力された埋め込み済み信号 923に基 づいて時間軸方向の復調を行い、検出複素パターン 961を取得し、パターン記憶部 250に格納する。検出複素パターン 961は、複素数力も構成される N—1次元パター ンである。時間復調部 210の動作の詳細については後述する。
[0223] なお、時間復調部 210による時間復調処理に先立ち、埋め込み済み信号 923に対 して前処理によって例えば幾何変形補正、ノイズ除去、フィルタリング、ブロック重畳、
ブロック化などの処理を行っても良い。これらの例については後述する。
[0224] ステップ 502) 検出情報抽出部 220において、時間復調部 210で得られ、パター ン記憶部 250に格納されている検出複素パターン 961を解析し、電子透力し埋め込 み装置 100で埋め込まれた電子透力し情報を抽出し、検出情報 914として出力する
[0225] 検出情報抽出部 220の動作の詳細については後述する。
[0226] なお、検出情報抽出部 220による検出情報抽出処理に先立ち、検出複素パターン 961に対して前処理によって例えば N— 1次元空間での幾何変形補正、ノイズ除去、 フィルタリング、ブロック重畳、ブロック化などの処理を行ってもよい。これらの例につ いては後述する。
[0227] く埋め込み済み信号に対する前処理〉
以下に、電子透かし検出装置 200における埋め込み済み信号 923に対する前処 理の例を示す。
[0228] 幾何変形補正) 電子透かし埋め込み装置 100において電子透かしの埋め込まれ た埋め込み済み信号 923に対し、拡大、縮小、回転、平行移動、アスペクト比変更、 射影変換などの幾何変形が加えられた場合、そのままでは電子透力しの検出が困難 となる場合があるため、これを補正する前処理を行っても良 ヽ。
[0229] 幾何変开補正は、例えば、文献「Csurka, G., Deguillaume, F., Ruanaidh, J.J. K. O , and Pun, T., A Bayesian Approach to Affine Transformation Resistant Image and Video Watermarking," Information Hiding, Proceedings Lecture Notes in Computer Science 1768, pp. 270-285, Springer- Verlag (2000)」に示されているように、電子透 力しの情報とは別に、幾何的な補正を行うための信号を信号に埋め込んでおき、こ れを検出することで信号に加えられた改変の程度を推定し、信号に対して推定され た改変の逆変換を施すことで補正しても良い。また、例えば、文献「Honsinger, C, " Data embedding using Phase Dispersion, ΙϋΕ Seminar on secure Images and Image Authentication (Ref. No. 2000/039), pp.5/1- 5/7 (2000)」に示されているように、電子 透力しとして埋め込む情報を有する埋め込みパターンそのものに、繰り返しを持つ周 期的なパターンを用い、検出時に自己相関関数力 その周期の変化を観測すること
によって拡大 ·縮小率を算出し、得られた拡大 ·縮小率に基づき改変の逆変換を施 すことで補正しても良い。また、例えば、対象とする信号が画像や映像の場合に、文 献「片山淳、中村高雄、山室雅司、曽根原登、〃電子透かし読み取りのための iアプリ 高速コーナ検出アルゴリズム"、信学論 D=II, Vol. J88-D-II, No.6, pp.1035- 1046,200 5」に示されているような方法で画像内の矩形領域を抽出し、そこに電子透カゝしが埋 め込まれて ヽるものとして幾何補正を行うようにされて ヽても良!、。
[0230] フィルタ処理) 電子透力しの埋め込まれた埋め込み済み信号 923に対し、ノイズ が付加されて ヽる場合にノイズを除去するフィルタ処理や、電子透かしの信号成分を 残しつつ元の埋め込み前信号の成分を除去できるようなフィルタ処理をカ卩えても良い
[0231] ブロック重畳) 電子透かし埋め込み装置 100において、埋め込み前信号 912の大 きさが埋め込みパターン 922の大きさよりも大き 、場合に、埋め込みパターン重畳部 140にお 、て埋め込みパターン 922を繰り返すように加算されて 、る場合は、埋め込 み済み信号 923を繰り返されたパターンの部位毎に切り分け、それらを一つに重畳 加算して 1つのブロックにまとめるようなブロック重畳処理を施しても良い。
[0232] ブロック化) 電子透かし埋め込み装置 100において、埋め込み前信号 912の大き さが埋め込みパターン 922の大きさよりも大きい場合に、埋め込みパターン重畳部 1 40において、埋め込みパターン 922を拡大するようにされている場合は、埋め込み 済み信号 923を縮小した後に電子透力しの検出を行うようにされて ヽても良!、。
[0233] 特徴量からの検出) 電子透力し埋め込み装置 100において、埋め込み前信号 91 2に埋め込みパターン 922を重畳する際、埋め込み前信号 912の所定の特徴量が 埋め込みパターン 922の値、もしくはスカラー倍だけ変更されるように埋め込み前信 号 912を変更することによって重畳を行うようにされている場合には、埋め込み済み 信号 923から所定の特徴量を算出したものに基づいて電子透力しの検出を行うよう にしても良い。
[0234] 例えば、図 24のように、埋め込み済み信号 923— 1をブロック毎に切り分け、各ブロ ックの特徴量を算出して特徴量の列を構成するようにし、これから電子透力ゝしを検出 するようにしても良い。特徴量の例としては、例えばブロック内の信号値の平均値を
用いても良い。また、信号が映像信号や画像信号の場合には、例えば、映像、画像 の画素の輝度値や色差、 RGBの色信号値などを用いても良 、。
[0235] これら例にあげた前処理を、検出情報抽出部 220での検出情報抽出処理の前処 理として、検出複素パターン 961に対して行うようにしてもよい。特に、幾何変形補正 について、映像信号において N次元目の軸が時間方向である場合、埋め込み済み 信号 923に対する前処理として時間方向の伸縮を補正し、検出複素パターン 961に 対する前処理として空間方向の幾何変形補正を行うことで、効率的かつ精度よく空 間的な幾何変形補正を行うことが可能である。
[0236] く電子透かし検出装置一時間復調部〉
以下に、時間復調部 210の動作の詳細を説明する。
[0237] 図 25は、本発明の第 1の実施の形態における時間復調部の構成例を示す。
[0238] 同図に示す時間復調部 210は、周期信号生成部 211、復調部 212、複素パターン 構成部 213から構成され、埋め込み済み信号 923を入力し、検出複素パターン 961 を出力する。
[0239] なお、図 25においては、図 18との対応の理解を容易にするため、下から上に情報 が流れるように構成が記載されて 、ることに注意された 、。
[0240] 時間復調部 210による埋め込み済み信号 923の復調処理は以下の手順で実施さ れる。
[0241] 図 26は、本発明の第 1の実施の形態における時間復調部の動作のフローチャート である。
[0242] ステップ 601) 周期信号生成部 211において、同一の基本周波数を持ち直交する 2つの周期信号を生成する。例えば、一つの周期信号を基にそれぞれ位相が 90° 、 すなわち、 1Z4周期分異なるように 2つの周期信号を生成しても良い。生成する周 期信号は前述の電子透かし埋め込み装置 100における時間変調部 130aの備える 周期信号生成部 131に対応するものである。周期信号の例については既に述べたと おりである。
[0243] ステップ 602) 復調部 212において、入力された埋め込み済み信号 923の時間方 向成分を基にステップ 601で生成された 2つの周期信号のそれぞれで復調し、 2つ
の N— 1次元信号を得る。復調の具体例については後述する。
[0244] ステップ 603) 複素パターン構成部 213において、復調部 212において復調され た 2つの N— 1次元信号が、それぞれ実部、虚部となるようにした複素数の N— 1次元 パターンである検出複素パターン 961を得る。
[0245] 具体的には、 2つの N— 1次元信号をそれぞれ Q (x , x , ---x ), Q (x , x ,〜
r 1 2 N-l i 1 2 x )とするとき、検出複素パターン 961を Q(x , χ , · χ )として、
N-l 1 2 N-l
Q(x, x, "X ) =Q (x , x , "X )
1 2 N-l r 1 2 N— 1
+jQ (x , x , ---x ) (57)
i 1 2 N-l
で求める。但し、 jは虚数単位である。
[0246] ここで、時間復調の具体例を説明する。
[0247] 復調部 212における復調は、 N次元の埋め込み済み信号 923の、周期信号生成 部 211で生成された周期信号の位相を求めることで行われる。特に下記のように二 つの周期信号に対してそれらの成分の大きさを求めることで、周期信号の位相を容 易に測定することができる。
[0248] すなわち、具体的には例えば次のように行われる。
以下、 N次元の埋め込み済み信号 923が Γ(χ , X , ···, X , t)で表されているも
1 2 N-1
のとする。
[0249] また、周期信号生成部 211において 2つの周期信号 f (t)、 f (t)が生成されたもの とする。ここでは、 と ^は同一の周期信号を基に位相が 90° 異なるように生成された 場合を例にとり、
f (t) =f (t-T/4) (58)
とする。
[0250] Γを f (t)、 f (t)で復調し、次式で二つの N— 1次元信号 Q (X , X , ···, X ), Q (
r i r 1 2 N_l i
X, X, ···, X , t)を得る。
1 2 N-l
[0251] [数 41]
Q ^--' - = /'(xi,x2 '…'^^' ) r ) (59) ρ,Ο 1 ) = (2 ' …' 1' /'( (60)
ここで、 t , tは埋め込み済み信号 923のうち検出の対象とする区間のそれぞれ開始
1 2
点及び終了点である。例えば、入力された埋め込み済み信号 923の全てを検出対 象とするように、 t =—∞, t =∞としても良いし、入力された埋め込み済み信号 923
1 2
の n周期分を取り出すように t =0, t =nT (但し、 Tは周期信号生成部 211で生成さ
1 2
れる周期信号の周期)としても良い。
[0252] また、埋め込み済み信号 923が離散信号として得られて 、る場合には、次のような 積和計算によって 2つの Ν— 1次元信号 Q , Qを求めても良い。
[0253] [数 42]
2 ,¾2,..'';^-1)=2^'( 2 ''^- ) ) (6 D
r=ti
^(ズ ,…, ^ , ぃ ,…, )/ !") (62)
τ=
また、例えば、映像信号等において、携帯電話等の低性能のプロセッサを用いて 再撮影された映像力も電子透力しを検出する場合は、撮影のフレームレートが安定 せずにサンプリングのタイミングが微小にずれる場合もある。このような場合は離散的 に得られた信号 Γ(χ , X , ···, X , 1), Γ(χ , X , ···, X , 2), ···, Γ(χ , χ ,
1 2 Ν-1 1 2 Ν-1 1 2
···, χ , η)に対して、それぞれの信号の検出時刻 t , t , ···, tを用いて次のように
N-1 1 2 n
i番目のサンプルに対して i番目の測定時刻における周期関数の値 f(t)との積を元に 積和計算することで、不安定なフレームレートを補正し、計算結果の精度を保つこと ができる。
[0254] [数 43]
また、スクリーンや TVなどに表示された映像がビデオカメラや携帯電話等のカメラ で撮影された場合、再生のフレームレートと撮影のフレームレートに関する情報が得 られている場合が殆どであり、それを用いて tを求めれば、離散的に得られた信号 Γ ( X , η)に对し
て、次のように計算することができる。
[0255] [数 44]
( 6 5 )
但し、 Fは撮影時のフレームレートである。
[0256] 次に、差分'微分を用いた時間復調について説明する。上記の代わりに、埋め込み 済み信号 923Γ (χ , X , · · · , X , t)の t軸方向の差分もしくは微分を用いて復調す
1 2 N- 1
るようにしても良い。このような時間復調部 310の構成例を図 27に示す。
[0257] 図 27に示す時間復調部 210bは、図 25の時間復調部 210aと略同様の構成を持つ ており、埋め込み済み信号 923がー且信号微分部 215に入力された後に、復調部 2
12に入力されるように構成されて 、る点が異なる。
[0258] 信号微分部 215では、入力された埋め込み済み信号 923に対し、 N次元目の軸、 すなわち、 t軸方向の差分もしくは微分を計算し、復調部 212に出力するようにされて
いる。
[0259] 例えば、映像信号などを考えた場合、信号のフレーム間の相関が大きいことが知ら れている。 2つのフレームの時間間隔が短いほどフレーム間の相関は高いことから、 フレーム間差分や微分値を計算すると、周期信号による相殺分以上に原画成分が 大きくキャンセルされ、電子透力しのエネルギーが相対的に増大することになり、この ような差分値、微分値から復調することで電子透かしの検出が容易になり、検出精度 が向上するという利点がある。逆に、より弱い電子透かしの埋め込みであっても同程 度の検出性能を保つことができるため、信号の劣化のより少ない電子透力しの埋め 込みが可能である。
[0260] く電子透かし検出装置 検出情報抽出部〉
次に、検出情報抽出部 220について詳細に説明する。
[0261] 図 28は、本発明の第 1の実施の形態における検出情報抽出部の構成例を示す。
[0262] 検出情報抽出部 220aは、検出系列抽出部 221、相関値計算部 222、最大値判定 部 223、検出情報再構成部 224から構成され、パターン記憶部 250から検出複素パ ターン 961を入力し、検出情報 914を出力する。
[0263] なお、図 28においては、図 12との対応の理解を容易にするため、下から上に情報 が流れるように構成が記載されて 、ることに注意された 、。
[0264] 検出情報抽出部 220aによる検出情報抽出処理は、以下の手順で実施される。
[0265] 図 29は、本発明の第 1の実施の形態における検出情報抽出部の動作のフローチヤ ートである。
[0266] ステップ 701) 検出系列抽出部 221において、入力された検出複素パターン 961 力 得られる複素数値から、実部、虚部の値を取り出して並べた検出系列 1113を構 成する。検出系列抽出部 221の動作の詳細については後述する。
[0267] ステップ 702) 相関値計算部 222において、検出系列抽出部 221で構成された検 出系列 1113と想定される埋め込み系列に基づいて構成された埋め込み系列との相 関を計算し、相関値 1114を求める。
[0268] 埋め込み系列の種類によって異なる値が埋め込まれている場合には、考えられる 複数の埋め込み系列に基づいて構成された複数の埋め込み系列との相関をそれぞ
れ計算し、対応する相関値 1114を求める。相関値計算部 222の動作の詳細につい ては後述する。
[0269] ステップ 703) 最大値判定部 223において、相関値計算部 222で得られた相関値
1114が最大となるものを見つけ、最大となる相関値 1114に対応する相関値計算部
222での相関計算で用いられた埋め込み系列を決定する。
[0270] なお、電子透力し埋め込み装置 100における埋め込み系列の構成方法によっては
、最大値判定部 223による最大値判定の代わりに、他の方法で判定を行うようにされ ていても良い。
[0271] 最大値判定部 223の動作の詳細及び、代替となる他の方法の詳細については後 述する。
[0272] ステップ 704) 検出情報再構成部 224において、最大値判定部 223で決定された 埋め込み系列に基づき、実際に埋め込まれていたと判断する検出情報 914を再構 成する。なお、検出情報再構成部 224の動作の詳細については後述する。
[0273] く電子透かし検出装置 検出情報抽出部 検出系列抽出部〉
次に、上記の検出系列抽出部 221の詳細について説明する。
[0274] 検出系列抽出部 221は、電子透力し埋め込み装置 100の複素パターン生成部 11 Oaにおける複素配列生成部 112に対応する検出側の機能を司り、検出複素パター ン 961から得られる複素数値力 検出系列 1113を構成する。
[0275] 検出系列抽出部 221での処理は以下の手順で実施される。
[0276] 図 30は、本発明の第 1の実施の形態における検出系列抽出部の詳細な動作のフ ローチャートである。
[0277] ステップ 801) 検出複素パターン 961から大きさ M X M Χ · ·· Χ Μ の Ν— 1次
1 2 N- 1 元の複素配列を構成し、メモリ(図示せず)に格納する。但し、 Μ , Μ , · ··, Μ は
1 2 N- 1 電子透力 埋め込み装置 100の複素配列生成部 112で用いたのと同様の要素数で ある。
[0278] 検出複素パターン 961が離散信号として得られている場合はそれをそのまま N—1 次元の複素配列であると見做す。検出複素パターン 961が連続信号として得られて いる場合は、検出複素パターン 961を任意の標本ィ匕手段を用いて標本ィ匕したものを
N— 1次元複素配列として用いる。
[0279] ステップ 802) メモリ(図示せず)からステップ 801で得られた複素配列力 複素数 値を順に一つずつ取り出し、取り出した複素数値の実部、虚部をそれぞれ単独の実 数値としてみて並べる。即ち、複素配列が A[p , p , ···, p ] (p≥0)、検出系列 1
1 2 N- 1 n
114力 , , ···, と表されているとき、
1 2 L
[0280] [数 45]
14 = 3 [1,0,·
但し、
[0281] [数 46]
iR、 3
は、複素数のそれぞれ実部、虚部を取り出す演算である。である。
[0282] これは、電子透力し埋め込み装置 100の複素配列生成部 112の生成と対称的な処 理である。
[0283] ステップ 803) 得られた i〃 , Γ , ···, Γを、検出系列 1113として出力する。また、
1 2 し
電子透力し埋め込み装置 100の複素配列生成部 112において、複素配列の構成に 先立ち、埋め込み系列 913の順序を擬似乱数を用いてランダムな順序に入れ替えら れて埋め込みがなされた場合には、当該ステップ 803に先立ち、検出系列 1113の 順序を、擬似乱数を用いて、複素配列生成部 112のときと逆に入れ替えることにより 、埋め込み系列 913と対応のつく順序に戻す。その場合、順序の入れ替えに使用す る擬似乱数の種の値は、電子透かし検出の鍵として、電子透かしの埋め込み時に用 いられたのと同一の鍵を与える。
[0284] また、電子透かし埋め込み装置 100の複素配列生成部 112において、埋め込み系 列 913の上で順序の入れ替えを行う代わりに、得られた複素配列の要素を入れ替え ることで行っている場合は、ステップ 802に先立って、ステップ 801で構成した複素配 列の要素を複素配列生成部 112のときと逆に入れ替えることで戻すようにしても良い
[0285] く電子透かし検出装置 検出情報抽出部 相関値計算部〉
次に、検出情報抽出部 220aの相関値計算部 222の動作の詳細について説明す る。
[0286] 相関値計算部 222における相関値計算処理は、以下の手順で実施される。
[0287] 1) 相関値計算部 222は、電子透かし埋め込み装置 100の埋め込み系列生成部
111と同様の手順により、考えられる埋め込み系列 w(1), w(2),…を生成する。
[0288] ここで、考えられる埋め込み系列とは埋め込まれている可能性のある全ての埋め込 み系列であり、埋め込み系列生成部 111での埋め込み系列の生成に応じて、例えば 次のように決めることができる。
[0289] (例 1)例えば、埋め込み系列生成部 111の(例 1)のように埋め込み系列が生成さ れている場合には、考えられる埋め込み系列は、
w=PN= {PN , PN , · ··, PN } (69)
1 2 L
1通りである。
[0290] (例 2)例えば埋め込み系列生成部 111の(例 2)のように埋め込み系列が生成され ている場合には、考えられる埋め込み系列は、
w(1)=PN= {PN , PN , · ··, PN } (70)
1 2 L
w(2) = -PN= { -PN , -PN , · ··, -PN } (71)
1 2 L
の 2通りである。
[0291] (例 3)例えば、埋め込み系列生成部 111の(例 3)で、各シンボルが lbitの情報を 表現して!/、る例のように埋め込み系列が生成されて 、る場合には、考えられる埋め 込み系列は各シンボル iに対して
w(i' = ΡΝ = {ρη , ρη , · ··, ρη } (72)
i il i2 iL
w(i' 2) = -PNi= { -pn , -pn , · ··, —pn } (73)
の 2通りである。
[0292] また、埋め込み系列生成部 111の(例 3)で、各シンボルが 12ビットの情報を表現し ている例のように埋め込み系列が生成されている場合には、考えられる埋め込み系 列は各シンボル iに対して、
w(i' = ΡΝ (74)
(i, 0)
(i, 2) _ πΑΤ
w — PN
(i, 1)
(i, 4096) _
w — PN
(i, 4095)
の 4096通りである。
[0293] (例 4)例えば、埋め込み系列生成部 111の(例 4)の例のように埋め込み系列が生 成されて!/ヽる場合には、単純に全ての場合を網羅すると考えられる埋め込み系列は 2n通りとなる。後の相関計算において、検出系列 1113を m個ずつ分割し、一つの bit bに対して次の 2通りの埋め込み系列との相関を分割した検出系列 1113とので相関 計算を行うようにしても良い。
[0294] [数 47]
w(',') = {+ PNm+] ,+PNim+2 '… } ( 7 5 ) w('.2) = {— PNm+] ,+PNim+2 ,…,- ま } ( 7 6 )
このような方法は、前述の文献「中村高雄、片山淳、山室雅司、曽根原登"カメラ付き 携帯電話機を用いたアナログ画像力 の高速電子透かし検出方式"、信学論 D-II, V ol. J87-D-II, No.12, pp. 2145-2155, 2004」にも記載されている。
[0295] 2) 検出系列抽出部 221で得られた検出系列 1113と上記の 1)で得られた各埋め 込み系列 w(1), w(2),…との相関をそれぞれ計算する。
[0296] 相関計算は、例えば、特許文献 1や、文献「中村高雄、小川宏、富岡淳榭、高嶋洋 一"電子透かしに置ける平行移動 '切り取り耐性向上の一手法"、 1999年暗号と情報
セキュリティシンポジウム、 SCIS99-W3-2.1, pp.193-198, 1999」に示されているような 電子透力しの検出で行われるものと同様であり、例えば、次式のような積和演算によ つて求められる。ここで、 を求めたい相関値、 Γ={Γ , Γ , ···, Γ }を検出系列 1
1 2 し
113、 }を今対象としている埋め込み系列とする。
[0297] [数 48] ) =i-.w )=V, ) (7 7)
Jt=l
但し、〃'"は数列をベクトルと見たときの内積演算である。
[0298] また、前述の文献「中村高雄、片山淳、山室雅司、曽根原登"カメラ付き携帯電話 機を用いたアナログ画像力 の高速電子透かし検出方式"、信学論 D-II, Vol. J87-D -II, No.12, pp.2145-2155, 2004」にあるような検出信頼性の評価基準を揃えるため、 例えば、 Γ及び の各要素を予め平均 0、分散 1となるように正規ィ匕しておき、以下 のように相関値計算で定数項を乗じて演算を行っても構わな 、。
[0299] [数 49]
pり ) = 1 , (78)
く電子透かし検出装置 検出情報抽出部 最大値判定部〉
次に、検出情報抽出部 220aの最大値判定部 223について詳細に説明する。
[0300] 最大値判定部 223における処理は以下の手順で実施される。
[0301] 1)相関値計算部 222で得られた相関値 1114、 p (2),…から、値が最大となる 相関値 を見つける。
但し、 MAX0、は最大値を返す演算である。
[0303] 2) 皿)に対応する埋め込み系列 w(max)を得る。
[0304] また、最大の相関値 p (max)が所定の閾値を越えているかどうかを判断し、所定の閾 値を越えて 、な 、場合には電子透力しが埋め込まれて 、な力つたものと判断するよう にしても良い。
[0305] 以下に、最大値判定部 223の代替となる動作について説明する。
[0306] 最大値判定部 223による最大値判定の代わりに、相関値計算部 222ですベての埋 め込み系列 w(1), w(2),…に対して相関を計算せずに、埋め込み系列 w(1)から順に相関 を計算し、得られた相関値が所定の閾値を越えているかどうかで判定し、閾値を越え た埋め込み系列を w(max)として、その時点で相関計算を終了するようにされていても良 い。
[0307] また、電子透かし埋め込み装置 100における埋め込み系列力 例えば、埋め込み 系列生成部 111の(例 1)で示したような、 1通りの埋め込み系列だけで構成されて埋 め込まれている場合には、相関値は一つだけが計算されるため、最大値判定部 223 による最大値判定には意味がない。代わりに得られた相関値が所定の閾値を越えて V、るかどうかで判定をするようにされて 、ても良 、。
[0308] また、電子透かし埋め込み装置 100における埋め込み系列力 例えば、埋め込み 系列生成部 111の(例 2)で示したような、 1通りの埋め込み系列の正負の違いで構 成されて埋め込まれている場合には、符号の逆転した相関値が計算されるため、相 関値計算部 222での相関計算は一方の埋め込み系列についてのみ行い、最大値 判定部 223による最大値判定の代わりに、得られた相関値の符号で埋め込まれてい た値を判定するようにされていても良い。また、得られた相関値の絶対値が所定の閾 値を越えて 、るかどうかで判定をするようにされて!、ても良!、。
[0309] また、相関値の大きさで透かし検出の信頼度を評価するようにしても良い。
[0310] く電子透かし検出装置 検出情報抽出部 検出情報再構成部〉
次に、検出情報抽出部 220aの検出情報再構成部 224について詳細に説明する。
[0311] 検出情報再構成部 224における処理は以下の手順で実施される。
[0312] 1) 最大値判定部 223によって得られた埋め込み系列 w(max)から、電子透かし埋め 込み装置 100の埋め込み系列生成部 111での埋め込み系列生成方法に応じて対 応する埋め込み情報の値を検出情報として構成する。例えば、埋め込み系列 913を スペクトル拡散する形で構成されて!ヽる場合は、 w(max)を逆スペクトル拡散する形で検 出情報を再構成する。
[0313] (例 1) 例えば、埋め込み系列生成部 111の(例 1)のように、埋め込み系列が生成 されている場合には、電子透力しが埋め込まれていた力否力、という情報自体が検出 情報となる。
[0314] (例 2) 例えば、埋め込み系列生成部 111の(例 2)のように、埋め込み系列が生成 されている場合には、 w(max)=PNであれば検出情報はビット値 1 w(max)=— PNであれ ば検出情報はビット値 0となる。
[0315] (例 3) 例えば、埋め込み系列生成部 111の(例 3)で、各シンボルが lbitの情報を 表現して!/、る例のように埋め込み系列が生成されて 、る場合には、シンボル iに対し て、 w (max)=PNでぁればシンボル値は1 w(max)=—PN.であればシンボル値は 0となる 。これを全てのシンボルに対して行い、得られたシンボル値を連結することで検出情 報を得る。
[0316] また、埋め込み系列生成部 111の(例 3)で、各シンボルが 12bitの情報を表現して いる例のように埋め込み系列が生成されている場合には、シンボル iに対して、 w(max) = PN であればシンボル値は xとなる。これを全てのシンボルに対して行!、、得られ
(i,x)
たシンボル値を連結することで検出情報を得る。
[0317] (例 4) 例えば、埋め込み系列生成部 111の(例 4)の例のように、埋め込み系列が 生成されている場合には、ビット bに対して
w )={+ΡΝ , +PN , · ··, +PN }
im+1 im+2 im+m
であれば、ビット値 + 1
w( )={—PN , -PN , · ··, -PN }
im+1 im+2 im+m
であれば、ビット値— 1となる。これを全てのビットに対して行い、得られたビット値を連
結することで検出情報 914を得る。
[0318] 2) 上記で得られた検出情報 914を出力する。
[0319] 〈複素数へのその他の埋め込み方法〉
次に、複素数へのその他の埋め込み方法にっ 、て説明する。
[0320] 上記の構成例では、電子透力し埋め込み装置 100の複素配列生成部 112におい て、埋め込み系列 913から複素配列の要素値を設定する際、埋め込み系列 913から 取り出した値が要素値の実部、虚部になるようにした。また、これに対応して、電子透 かし検出装置 200の検出系列抽出部 221において検出複素パターン 961から検出 系列 1113を構成する際には、検出複素パターン 961の複素数値の実部、虚部の値 を取り出して並べることで検出系列 1113を構成するようにした。
[0321] これらの例では、複素数の実部と虚部を利用するようにしたが、複素配列生成部 11 2と検出系列抽出部 221の動作が対応付けられていれば、これとは異なるように複素 数値を使用しても構わな 、。
[0322] 例えば、複素配列生成部 112において、埋め込み系列 913から取り出した値 w , w
1
2とするとき、これを複素配列の要素値の偏角と絶対値となるように設定しても良い。こ の場合、検出系列抽出部 221においては、検出複素パターン 961の複素数値の偏 角と絶対値を用いて検出系列 1113を構成すれば良 ヽ。
[0323] また、例えば、埋め込み系列 913から取り出した一つの値 wを一つの複素数値の 偏角に対応させて埋め込んでも良い。このとき、複数数値の絶対値は、例えば、 1に 固定しても良い。例えば、埋め込み系列の値が + 1、 一 1のいずれかをとるとき、複素 数値の偏角をそれぞれ π Ζ4、 3 π Ζ4とするようにしても良い。この場合、検出系列 抽出部 221にお 、ては、検出複素パターン 961の複素数値の偏角のみを用いて検 出系列 1113を構成すれば良い。このような構成方法をとつた場合、複素配列を複素 数の配列として計算する代わりに、偏角の値を表す実数値の配列として構成し、この 値を用いて周期変数の位相を制御するように時間変調部 130を構成しても良 、。こ のような構成方法をとつた場合、複素数の実部と虚部に値を設定するようにした場合 と比較して、埋め込み系列の長さは半分になる。
[0324] また、例えば、 w 、 wに対して、次のような式により複素配列の要素値 ρを決定して
も良い。
[0325] p=aw +bw (79)
1 2
ここで、 a, biま
[0326] [数 51]
となる任意の複素数である。上記の w ) ρ
1 , 2から複素数 への変換が直交変換とな るように、 a, bを複素平面上で直交する、即ち、
[0327] [数 52]
SR[cl *c2]= 0
となる複素数としても良い。ここで、 *は複素共役を表し、
[0328] [数 53]
[ ]
は、それぞれ複素数の実部、虚部を取り出す演算である。
[0329] この場合、検出系列抽出部 221においては、検出複素パターン 961の複素数 qか ら上記の変換の逆変換を用いて検出系列 1113の値 i〃 , Γを求めれば良い。
1 2
[0330] また、例えば、埋め込み系列 913から取り出した一つの値の wの値に応じて、 QA
M変調のように複素平面上の点(例えば、
[0331] [数 54]
の 4点)を選択するようにして、選択された点の複素数値を用いるようにしても良 、。
[0332] く第 1の実施の形態の特徴〉
上記の本実施の形態には、以下に示す特徴がある。
[0333] ノイズ成分の削減) 本実施の形態の電子透かし埋め込み装置 100及び電子透か し検出装置 200によれば、電子透力しの埋め込みにおいて時間変調部 130で周期 信号によって変調して埋め込まれた電子透かしに対し、電子透力しの検出において 時間復調部 210で周期信号との積分計算を行って検出を行う。これにより、電子透か しにとつてノイズとなる埋め込み前信号 912やその後加えられたノイズ成分の分散が 小さくなる。(これは、周期信号が 1周期分積分をした値が 0となるように決められてい ることによる)特に映像信号においては、近接する各フレーム間の相関が比較的高い ことが知られており、周期信号と積分計算によって、周期内で時間方向の相関が高 い成分が除去され、結果として埋め込み前信号 912に起因する分散が劇的に小さく なる。
[0334] 前述の文献「山本奏、中村高雄、高嶋陽一、片山淳、北原亮、宫武隆「フレーム重 畳型動画像電子透力しの検出性能評価に関する一考察」情報科学技術フォーラム F IT2005, J-029, 2005」によると、スペクトル拡散と相関計算を利用した電子透力しの場 合、電子透力しの偽陽性の意味での検出の信頼性を表す検出評価値は、埋め込み 前信号の分散値が小さいほど検出評価値が大きくなる。(上記の式 (3)、 (4)で、分 母の B, Cに含まれる
[0335] [数 55]
が小さいほど検出評価値の期待値 E[ P ]が大きくなる)これは、相関値計算部 222で
の相関計算において、 Γに含まれるノイズ成分の分散が小さいほど信頼性の高い検 出が可能となることを意味しており、本発明の電子透力 埋め込み装置及び電子透 かし検出装置では検出の信頼性が高いことを表す。
[0336] また、 N—1次元の埋め込み複素パターン 921を、擬似乱数を用いて作られた埋め 込み系列 913に基づいた複素数配列として生成し、それを位相の 90° 異なる周期 信号で変調することで、埋め込みパターン 922の位相が N— 1次元空間上で拡散さ れるようになり、電子透力しの検出時に埋め込み前信号 912に起因して現れるノイズ 成分の大きさがより小さくなる。結果、より信頼性の高い電子透力しの埋め込み、検出 が可能となり、また従来と同程度の信頼性でより品質劣化の少ない電子透力しの埋 め込み、検出が可能となる。
[0337] スペクトル拡散系列長増大) また、複素数の N— 1次元パターンとして電子透かし の埋め込み系列を埋め込むことで、例えば、前述の文献「中村高雄、小川宏、富岡 淳榭、高嶋洋一〃電子透かしにおける平行移動 '切り取り耐性向上の一手法"、 1999 年暗号と情報セキュリティシンポジウム、 SCIS99-W3-2.1, pp. 193-198, 1999」のよう な静止画向けの電子透力しを繰り返し各フレームに埋め込む電子透力し方法と比較 して、 2倍のスペクトル拡散系列長を用いることができる。
[0338] 前述の文献「山本奏、中村高雄、高嶋陽一、片山淳、北原亮、宫武隆「フレーム重 畳型動画像電子透力しの検出性能評価に関する一考察」情報科学技術フォーラム F IT2005, J-029, 2005」によると、スペクトル拡散と相関計算を利用した電子透力しの場 合、電子透かしの偽陽性の意味での検出の信頼性を表す検出評価値はスペクトル 拡散の系列長の平方根に比例して大きくなる(上記の文献の式 (3)、 (4)で E[ P ]は 、分子 1に比例している)これは、スペクトル拡散系列長が長くなれば、その分信頼 性の高い検出が可能となることを意味しており、本発明の電子透かし埋め込み装置 及び電子透かし検出装置では従来方式と比較して 2倍の検出評価値が得られ、検 出の信頼性が高いことを表す。
[0339] また、従来と同程度の検出の信頼性が必要な場合であれば、スペクトル拡散系列 長を 2倍にする代わりに、それぞれ別々な情報を埋め込むことで、全体として埋め込 み情報長を 2倍にすることもできる。
[0340] N次元方向への変調) 時間変調部 130において、 N— 1次元の空間にスペクトル 拡散された N— 1次元の埋め込みパターンを、それと直交する N次元目の方向に周 期信号を用いて変調しており、 N次元目の方向に与えられる同期変位に対して N— 1 次元の空間では共通の影響を及ぼすようにして!/、ると!/、う特徴を持つ。
[0341] また、 N— 1次元のパターンの埋め込み情報を N次元空間に広めた冗長性により、 例えば、映像信号の場合に、高圧縮や再撮影などの改変に対しても十分な耐性があ り、信号の一部(映像信号の場合例えば一部のフレーム)を改変された場合や、信号 の一部を切り出した場合 (映像信号の場合、例えば、一部のフレーム区間を抜き出し た場合)〖こも電子透力しの検出が可能となり、これらの場合に対しても品質劣化を抑 え、情報長の長 、情報にっ 、て電子透力しの検出ができる。
[0342] 脆弱なフレーム発生の防止) また、時間変調部 130では直交する、もしくは、位相 の異なる 2つの周期信号で変調した信号の和を埋め込みパターンとして用いている。 もし一つの周期信号だけで変調した場合、例えば、映像信号への埋め込みの場合 に、埋め込みパターンの全ての値が最低の映像信号量子化値未満になって実際に は電子透力しの埋め込みがなされないフレームが発生する可能性がある。また、その ようなフレームを残し、実際に透力しの成分の振幅が大きく十分に埋め込まれて 、る フレームを狙って改変することで電子透力しを削除する攻撃も可能となってしまう。本 実施の形態の電子透かし埋め込み装置のように直交する、もしくは位相の異なる二 つの周期信号で変調した信号の和を埋め込みパターンとして用いることで、最低の 映像信号量子化値未満になって実際には電子透力しの埋め込みがなされないフレ ームが発生するのを防ぐことができ、電子透力しの伝送路としての映像信号を有効利 用できると共に、電子透力しの振幅の大きいフレームを狙って改変するといつた攻撃 に対する耐性を増すことができる。
[0343] 差分'微分からの検出の効果) また、時間復調部 210として、図 27の構成を用い れば、差分値、微分値から復調することで、周期信号による相殺分以上に原画成分 が大きくキャンセルされ、電子透力しの検出が容易になり、検出精度が向上するとい う利点がある。逆に、より弱い電子透力しの埋め込みであっても同程度の検出性能を 保つことができるため、信号の劣化のより少ない電子透力しの埋め込みが可能である
[0344] 同期の課題の解決) また、本実施の形態における電子透かし検出装置では、利 用していないが、本実施の形態における電子透かし埋め込み装置では、後述する第 4の実施の形態、第 5の実施の形態で述べる電子透かし検出装置を用い、 N— 1次 元の空間でスペクトル拡散された埋め込み系列が N次元目の方向で同期ずれに対 して共通の影響を受けることを利用した、同期合わせの不要、もしくは容易かつ高速 に同期合わせの可能な電子透力しを埋め込むことができるという特徴を持つ。
[0345] 時間方向スケーリングへの耐性) また、本実施の形態における電子透力し埋め込 み装置において、時間変調部 130で用いる周期信号の周波数として、比較的低い 周波数を用いるようにすれば、例えば、フレームレート変換やフレームドロップ、フレ ーム挿入などの時間方向の伸縮を伴う攻撃に対しても、ある程度の耐性のある電子 透かし検出が可能である。
[0346] 全体の効果) また、全体として電子透力しの検出の信頼度が高ぐ耐性が増して いることから、従来と同程度の検出の信頼度や耐性を得るために必要な電子透かし の埋め込みの強度が小さくて済むため、電子透かしによる信号の品質劣化をより小さ くすることができ、例えば、映像信号への埋め込みの場合に、電子透かし入り映像の 画質を高くすることができる。
[0347] [第 2の実施の形態]
く一次元 FFT時間変調〉
以下に、第 2の実施の形態における電子透かし埋め込み装置及び電子透かし検出 装置について説明する。
[0348] 本実施の形態の電子透かし埋め込み装置及び電子透かし検出装置は、第 1の実 施の形態の電子透かし埋め込み装置及び電子透かし検出装置の時間変調、復調処 理を、一次元フーリエ変換処理で実現した例である。
[0349] 実施の形態の電子透かし埋め込み装置は、第 1の実施の形態の電子透かし埋め 込み装置 100と同様の構成を持ち、時間変調部 130のみが異なる構成を持っている
[0350] また、本実施の形態の電子透かし検出装置は、第 1の実施の形態の電子透かし検
出装置 200と同様の構成を持ち、時間復調部 210のみが異なる構成を持っている。
[0351] く電子透かし埋め込み装置一時間変調部〉
図 31は、本発明の第 2の実施の形態における電子透かし埋め込み装置における 時間変調部の構成例を示す。同図に示す時間変調部 130bは、一次元逆フーリエ変 換部 134を有する。一次元逆フーリエ変換部 134は、埋め込み複素パターン 921が 入力され、埋め込みパターン 922を出力する。
[0352] 時間変調部 130bによる埋め込みパターン 922の生成処理は、一次元逆フーリエ 変換部 134にお 、て以下の手順で実施される。
[0353] 図 32は、本発明の第 2の実施の形態における時間変調部の動作のフローチャート である。
[0354] ステップ 901) 埋め込み複素パターン 921の位置 (X , X , ···, X )に対する P(x
1 2 N-1 1
, X , ···, X )を、 N次元目の軸 (例えば時間軸)における特定の周波数に対するフ
2 N-1
一リエ係数であると見る。
[0355] ステップ 902) ステップ 901のフーリエ係数を N次元目の軸に対して離散逆フーリ ェ変換し、位置 (X , X , ···, X )
1 2 N-1 に対する一次元系列を得る。
[0356] ステップ 903) ステップ 902の一次元系列を各位置の値とする N次元パターンを埋 め込みパターン 922とする。
[0357] 具体的に式を用いて以下に説明する。
[0358] 埋め込み複素パターン 921を Ρ(χ , χ , ···, χ )とする。
1 2 N-1
[0359] P(x , x , ···, x )を用いて次のように離散フーリエ係数パターン ξ (X , X , ···,
1 2 N-1 1 2
X , u)を構成する。
N-1
[0360] [数 56] (xい χ2,·,',χΛ-_ι,κ) (w = t/-«0) (81)
但し、 *は複素共役を表し、 uは予め決められた周波数、 Uは周波数標本の数であ
るとする。 u=uと u=U—uで Pの共役複素数を与えるのは離散逆フーリエ変換の
0 0
結果得られる信号が実数値となるためである。
[0361] 上記の ξを、 uにつ 、て一次元離散逆フーリエ変換し、埋め込みパターン W (X , X
, · · · , X , t)を得る。
2 N- 1
[0362] く電子透かし検出装置一時間復調部〉
次に、第 2の実施の形態における電子透かし検出装置 200の時間復調部 210につ いて説明する。
[0363] 図 33は、本発明の第 2の実施の形態における時間復調部の構成例を示す。
[0364] 図 33の時間復調部 210cは、 1次元フーリエ変換部 214を有し、埋め込み済み信 号 923が入力され、検出複素パターン 961を出力する。
[0365] なお、図 33においては図 31との対応を容易にするため、下から上に情報が流れる ように構成が記載さて 、ることに注意された!、。
[0366] 時間復調部 210cによる埋め込み済み信号 923の復調処理は以下の手順で実施さ れる。
[0367] 図 34は、本発明の第 2の実施の形態における時間復調部の動作のフローチャート である。
[0368] ステップ 1001) 入力された埋め込み済み信号 923から所定の区間 Tを取り出す。
[0369] ステップ 1002) ステップ 1001の区間 Tを位置(X , X , · · · , X )毎に一次元離散
1 2 N- 1
フーリエ変換し、周波数分解する。
[0370] ステップ 1003) ステップ 1002の結果から、所定の周波数のフーリエ係数を取り出 し、検出複素パターン 961とする。
[0371] 具体的に式を用いて以下に説明する。
[0372] 埋め込み済み信号 923を Γ (χ , χ , · ··, χ , t)とする。
1 2 N- 1
[0373] Γ (χ , x , · ··, x , t)を次のように一次元離散フーリエ変換し、 r? (x , x , · ··, x
1 2 N- 1 1 2 N
, u)を得る。
但し、 Tは予め決められた所定の標本数であるとする。
[0375] 検出複素パターン 961を Q(x , χ , ···, χ )で表すものとし、 τ? (χ , χ , ···, χ
1 2 N-l 1 2 ]
, u)力ら Q(x , χ , ···, χ )を
1 2 N-l
Q(x , χ , ···, χ ) = 77 (χ , χ , ···, χ , u ) (83)
で求める。但し、 Uは予め決められた周波数であるとする。
0
[0376] ここで、差分'微分を用いた時間復調について説明する。
[0377] 第 1の実施の形態で示したのと同様に、上記の代わりに埋め込み済み信号 923Γ
(X , X , ···, X , t)の t軸方向の差分もしくは微分を一次元離散フーリエ変換し復
1 2 N-1
調するようにしても良い。すなわち、例えば差分を用いた場合、
[0378] [数 58]
但し、 Tは予め決められた所定の標本数であるとする。また、 Atは所定の標本間隔 である。例えば、 At=lの場合、 1標本間隔で差分を算出することを示し、映像信号 を例にとると、隣接するフレーム間の差分を計算することを表す。 Atは 1以外の数で あっても構わない。
[0379] このような時間復調部 210の構成例を図 35に示す。
[0380] 図 35の時間復調部 210dは、図 33の時間復調部 210cとほぼ同様の構成を持って おり、埋め込み済み信号 923がー且信号微分部 215に入力された後に 1次元フーリ ェ変換部 216に入力されるように構成されている点が異なる。
[0381] 信号微分部 215では入力された埋め込み済み信号 923に対し、 N次元目の軸、す なわち、 t軸方向の差分もしくは微分を計算し、 1次元フーリエ変換部 216に出力する ようにされている。
[0382] 埋め込み済み信号 923Γ (χ , χ , · ··, x , t)の t軸方向の差分もしくは微分を一
1 2 N- 1
次元離散フーリエ変換し、復調するようにすることの効果は、第 1の実施の形態にお ける図 27の時間復調部 210bにおける効果と同様である。
[0383] く第 2の実施の形態の特徴〉
本実施の形態の特徴を説明する。
[0384] 本実施の形態の電子透かし埋め込み装置と電子透かし検出装置は、第 1の実施の 形態の電子透かし埋め込み装置及び電子透かし検出装置と同様の効果を得る電子 透かし埋め込み装置及び電子透かし検出装置を、一次元フーリエ変換を用いて実 現した例である。
[0385] 一次元フーリエ変換を用いることで、既存のフーリエ変換装置を利用して容易に電 子透力 埋め込み装置及び電子透かし検出装置を構成することができる。
[0386] なお、第 1の実施の形態と本実施の形態の電子透かし埋め込み装置及び電子透 かし検出装置を組み合わせて使用しても構わない。すなわち、電子透かし埋め込み 装置の時間変調部 130bを、第 1の実施の形態の時間変調部 130aとし、電子透かし 検出装置の時間復調部 210cを本実施の形態の時間復調部 210dとして組み合わせ て使用しても良 、し、電子透かし埋め込み装置の時間変調部 130aを本実施の形態 における時間変調部 130bとし、電子透かし検出装置の時間復調部 210cを本実施 の形態における時間復調部 210dとしても良い。
[0387] [第 3の実施の形態]
〈2次元 FFT係数埋め込み〉
以下に、本発明の第 3の実施の形態における電子透かし埋め込み装置及び電子 透かし検出装置について説明する。
[0388] 本実施の形態は、第 1の実施の形態の電子透かし埋め込み装置及び電子透かし 検出装置において、電子透力 埋め込みを直交変換領域で行うようにした例である。
[0389] 本実施の形態の電子透かし埋め込み装置は、第 1の実施の形態の電子透かし埋
め込み装置と同様の構成であるが、複素パターン生成部のみが異なる。
[0390] また、本実施の形態の電子透かし検出装置は、第 1の実施の形態の電子透かし検 出装置と同様の構成であるが、検出情報抽出部のみが異なる。
[0391] く電子透かし埋め込み装置ー複素パターン生成部〉
以下に、本実施の形態における複素パターン生成部について説明する。
[0392] 図 36は、本発明の第 3の実施の形態における複素パターン生成部の構成を示す。
[0393] 同図に示す複素パターン生成部 110bは、埋め込み系列生成部 111、複素配列生 成部 112、 N—1次元逆フーリエ変換部 113から構成され、図 12の構成に N—1次元 逆フーリエ変換部 113が加えられた構成であり、埋め込み情報 911が入力され、埋 め込み複素パターン 921を出力する。
[0394] 複素パターン生成部 110bによる埋め込み複素パターンの生成処理は以下手順で 実施される。
[0395] 図 37は、本発明の第 3の実施の形態における複素パターン生成部の動作のフロー チャートである。
[0396] ステップ 1101) 埋め込み系列生成部 111において、入力された埋め込み情報 91 1に基づいて、埋め込み情報を表す数値の列である埋め込み系列 913を生成する。 埋め込み系列生成部 111の動作は、第 1の実施の形態と同様である。
[0397] ステップ 1102) 複素配列生成部 112において、埋め込み系列生成部 112で生成 された埋め込み系列 913を、 N— 1次元の複素配列上の要素の実部及び虚部に割り 当て、中間複素パターン 904を生成する。
[0398] 複素配列生成部 112の動作については後述する。
[0399] ステップ 1103) N—1次元逆フーリエ変換部 113において、複素配列生成部 112 で生成された中間複素パターン 904に対し、 N—1次元の逆フーリエ変換を行い、同 じく N— 1次元の埋め込み複素パターン 921を生成する。 N— 1次元逆フーリエ変換 部 113の動作の詳細につ ヽては後述する。
[0400] く電子透力し埋め込み装置ー複素パターン生成部ー複素配列生成部〉
次に、上記のステップ 1102の複素配列生成部 112の動作について詳細に説明す る。
[0401] 複素配列生成部 112の動作は、第 1の実施の形態の複素配列生成部 112と同様 の動作であってもよいが、より効果的な電子透力しの埋め込みのため下記のように処 理しても良い。
[0402] 1)全ての要素の値力^)である、大きさ M X M X— X M の N— 1次元複素数配
1 2 N- 1
列を用意する。但し、 M , M , · ··, M は予め定められた要素数である。
1 2 N- 1
[0403] 2)複素配列の中で埋め込み系列 913の割り当てを行うべき要素の範囲を決定する 。範囲の例については後述する。
[0404] 3)埋め込み系列 913力も順に二つずつ値を取り出し、上記の 1)の配列の中で上 記 2)で定めた範囲内の要素に対し、順に取り出した値がその要素値の実部、虚部に なるように配列に値を設定する。
[0405] 4)上記 3)で生成された複素配列を中間複素パターン 904として N— 1次元逆フー リエ変換部 113に出力する。
[0406] また、第 1の実施の形態における複素配列生成部 112と同様に、上記の 3)に先立 ち、埋め込み系列 913の順序を擬似乱数を用いて、ランダムな順序に入れ替えてお Vヽても良 、ことは言うまでもな 、。
[0407] このような複素配列生成の処理は、特許文献 1に示されて 、る透かし係数行列の生 成に類似している。但し、本発明においては、中間複素パターン 904は後に N—1次 元逆フーリエ変換部 113で逆フーリエ変換されるが、逆フーリエ変換された結果が実 数値となる必要はなぐ複素数となっても良いため、中間複素パターン 904が、フーリ ェ変換係数の対称性を保持している必要はない。すなわち、上記の 2)の範囲の全て の要素を用いて埋め込み系列 913の埋め込みを行うことができ、特許文献 1と比較し て、 2倍の長さの埋め込み系列 913を埋め込めることを表す。
[0408] 上記の 2)における要素の範囲について説明する。
[0409] 図 38A〜38Fは、本発明の第 3の実施の形態における複素配列生成部における 複素配列の要素範囲の各例である。図 38A, B, Cに複素配列生成部 112における 複素配列の要素の範囲の例を示す。 N = 3で 2次元の複素配列を用いた場合を例に 示している。図 38A〜38Fにおいて、正方形部分が複素配列を表し、網の掛カつた 領域が埋め込み系列 913の割り当てを行うべき要素の範囲を示す。
[0410] 複素配列は、後に N—1次元逆フーリエ変換部 113で逆フーリエ変換されることか ら、埋め込みパターンに対する周波数領域での表現であると考えることができる。
[0411] 今、配列の要素(0, 0)が DC成分を表すため、図 38D, E, Fのように、複素配列を 配列の要素(0, 0)が中心にくるように巡回的に書き直すことで、埋め込み系列 913 力 Sどのような周波数帯域を利用して埋め込まれるかを理解することができる。
[0412] 図 38Dでは、矩形領域、図 38Eでは円形領域、図 38Fでは菱形領域でいずれも 中周波数帯域への埋め込みとなる。
[0413] 例えば、画像や映像への電子透かし埋め込みを考えた場合、高周波数帯域に埋 め込まれた電子透力しは、 MPEG2や H.264などの映像符号ィ匕によって容易に削除さ れてしまうことが考えられる一方、低周波領域への埋め込みは視覚的な影響が大き いことから中周波数帯域への埋め込みを例に挙げた。
[0414] また、人間の視覚特性上、高周波域において、斜め方向の周波数は縦横方向の周 波数と比較して視覚感度が低 、ことが知られて ("宫原誠「系統的画像符号化」、アイ ピーシー, 1990, pp.87")おり、縦横と比較して低い周波数帯への埋め込みを行っても 目立ちにくいという特性がある。また、例えば、 JPEGや MPEGなど画像、映像符号ィ匕 等で斜め方向の量子化ステップは縦横方向よりも大きめに設定されていることから、 斜め方向の方が縦横方向と比較して高周波が符号ィ匕により削減されやすい傾向が ある。図 38C、 Fのように菱形領域への埋め込みを行うことで、このような状況におい ても画像品質が高ぐ耐性の高い電子透力し埋め込みを行うことができる。
[0415] また、図 39A〜39Fは、本発明の第 3の実施の形態における複素配列生成部にお ける複素配列の要素範囲の各例である。映像への電子透かし埋め込みの場合に、 本発明のように時間方向の長期間の信号、すなわち、多くのフレーム数を利用し、検 出性能の高い電子透かし検出を行う場合には、電子透力しの埋め込みの強度を小さ くすることができる。その結果、図 39A〜39Fに示すような低周波数領域への埋め込 みを行っても視覚的な影響を小さくすることができ、このような埋め込み方法をとること も可能である。
く電子透力し埋め込み装置ー複素パターン生成部 N— 1次元逆フーリエ変換部〉 次に、複素パターン生成部 110bの N—1次元逆フーリエ変換部 113の動作につい
て詳細に説明する。
[0416] N— 1次元逆フーリエ変換部 113におけるフーリエ変換は以下の手順で行われる。
[0417] 1)複素配列生成部 112で生成された N— 1次元の中間複素パターン 904を
とする。
[0418] 2)Α(χ , X , · · · , X )を?^ 1次元の離散逆フーリエ変換し、埋め込み複素バタ
1 2 N- 1
ーン P (x, X,…, X )を求める。
1 2 N- 1
[0419] [数 59]
ゾ 一 -】
.
( 8 6 )
但し、 Μ , Μ , · ··, Μ は複素配列生成部 112で生成された Ν— 1次元の中間
1 2 N- 1
複素パターン 904の大きさ (各次元の要素数)である。
[0420] く電子透かし検出装置 検出情報抽出部〉
次に、本発明の第 3の実施の形態における電子透かし検出装置 200の検出情報抽 出部 220bについて説明する。
[0421] 図 40は、本発明の第 3の実施の形態における検出情報抽出部の構成例を示す。
[0422] 同図に示す検出情報処理部 220bは、 N—1次元フーリエ変換部 225、検出系列 抽出部 221、相関値計算部 222、最大値判定部 223、検出情報再構成部 224から 構成され、検出複素パターン 961が入力され、検出情報 914を出力する。
[0423] なお、図 40においては、図 36との対応の理解を容易にするため、下から上に情報 が流れるように構成が記載されて 、ることに注意された 、。
[0424] 検出情報抽出部 220bによる検出情報抽出処理は、以下の手順で実施される。
[0425] 図 41は、本発明の第 3の実施の形態における検出情報抽出部の動作のフローチヤ ートである。
[0426] ステップ 1201) N—l次元フーリエ変換部 225において、入力された検出複素パ ターン 961に対し、 N—1次元のフーリエ変換を行い、同じく N—1次元の検出複素 配列 1115を生成する。
[0427] N—1次元フーリエ変換部 225の動作の詳細については後述する。
[0428] ステップ 1202) 検出系列抽出部 221において、 N—1次元フーリエ変換部 225で 生成された検出複素配列 1115から、要素値の実部、虚部の値を取り出して並べた 検出系列 1113を構成する。
[0429] 検出系列抽出部 221の動作の詳細については後述する。
[0430] ステップ 1203) 相関値計算部 222において、検出系列抽出部 221で構成された 検出系列 1113と、想定される埋め込み系列に基づいて構成された埋め込み系列と の相関を計算し、相関値 1114を求める。
[0431] 相関値計算部 222の動作は、第 1の実施の形態と同様である。
[0432] ステップ 1204) 最大値判定部 223において、相関値計算部 222で得られた相関 値 1114が最大となるものを見つけ、最大となる相関値 1114に対応する相関値計算 部 222での相関計算で用いられた埋め込み系列を決定する。
[0433] 最大値判定部 223の動作は、第 1の実施の形態と同様である。電子透力 埋め込 み装置 100における埋め込み系列の構成方法によっては、最大値判定部 223による 最大値判定の代わりに、他の方法で判定を行うようにされて ヽても良 ヽことは言うまで もない。
[0434] ステップ 1205) 検出情報再構成部 224において、最大値判定部 223で判定され た埋め込み系列に基づき、実際に埋め込まれていたと判断する検出情報 914を再構 成する。
[0435] 検出情報再構成部 224の動作は第 1の実施の形態と同様である。
[0436] く電子透かし検出装置 検出情報抽出部 N— 1次元逆フーリエ変換部〉
次に、上記の検出情報抽出部 220bの N— 1次元フーリエ変換部 225の動作の詳 細について説明する。
[0437] N- 1次元フーリエ変換部 225におけるフーリエ変換処理は以下の手順で行われ る。
[0438] 1)入力された検出複素パターン 961から大きさ M XM Χ···ΧΜ の Ν— 1次元
1 2 N-1
の複素配列を構成する。但し、 Μ , Μ , ···, Μ は電子透かし埋め込み装置 100
1 2 N-1
の複素配列生成部 112で用いたのと同様の要素数である。
[0439] 検出複素パターン 961が離散信号として得られている場合はそれをそのまま N—1 次元の複素配列であると見做す。検出複素パターン 961が連続信号として得られて いる場合は、検出複素パターン 961を任意の標本ィ匕手段を用いて標本ィ匕したものを
Ν— 1次元複素配列として用いる。
[0440] 2)上記の 1)の複素配列を Q(x , X , ···, X )とするとき、これを N— 1次元の離
1 2 N-1
散フーリエ変換し、 A[u , u , ···, u ]を求める。
1 2 N-1
[0441] [数 60]
(87)
3) 上記の 2)で求めた A[u , u , ···, u ]を検出複素配列 1115として検出系列
1 2 N-1
抽出部 221に出力する。
[0442] く電子透かし検出装置 検出情報抽出部 検出系列抽出部〉
次に、検出情報抽出部 220bの検出系列抽出部 221の動作の詳細について説明 する。
[0443] 検出系列抽出部 221の動作は、第 1の実施の形態と基本的には同様であるが、本 実施の形態における複素配列生成部 112の動作に合わせ、下記のように処理しても 良い。
[0444] 検出系列抽出部 221での処理は以下の手順で実施される。
[0445] 1) N—1次元フーリエ変換部 225で得られた検出複素配列 1115から、電子透か し埋め込み装置 100の複素配列生成部 112で用いた範囲の要素を取り出し、取り出 した複素数値の実部、虚部をそれぞれ単独の実数値としてみて並べる。これは、電
子透力し埋め込み装置 100の複素配列生成部 112での複素配列の生成と対称的な 処理である。
[0446] 2) 得られた系列を i〃 , Γ , ···, Γとし、検出系列 1113として出力する。
1 2 L
[0447] 電子透かし埋め込み装置 100の複素配列生成部 112において、埋め込み系列 91 3の順序もしくは複素配列の要素の入れ替えがなされている場合にはその順序を戻 す点は第 1の実施の形態と同様である。
[0448] く第 3の実施の形態の特徴〉
以下に、本実施の形態の特徴を述べる。
[0449] 本実施の形態の電子透かし埋め込み装置及び電子透かし検出装置によれば、例 えば、特許文献 1にて示されているものと同様に、映像信号の符号ィ匕ゃノイズ不可に おいても残り易ぐかつ視覚的な影響の少ない帯域に電子透力しを埋め込むことが できるため、耐性が高ぐ画質の高い電子透力 埋め込みが可能である。
[0450] 特に、周波数領域での埋め込みの範囲を、菱形領域にて行うことで、映像符号ィ匕 等での圧縮によりロバストな電子透力し埋め込みが可能である。
[0451] また、埋め込みパターンは信号全体に拡散されているため、特許文献 1にて示され ているようなオフセット探索方法をとれば、埋め込み済み信号から部分的に切り出し た信号からも電子透かし検出が可能である。
[0452] さらに、本発明では、特許文献 1にて示された電子透力 方式と異なり、中間複素 ノターン 904は、特許文献 1の段落番号 0197に記載されている透かし係数行列な どと比較して、フーリエ変換係数の対称性を保つ必要がないため、 2倍の長さの埋め 込み系列 913を埋め込むことができる。すなわち、 2倍のスペクトル拡散系列長を用 いることがでさる。
[0453] 既に述べたように、スペクトル拡散系列長が長くなれば、その分信頼性の高い検出 が可能となり、また、従来と同程度の検出の信頼性であれば、埋め込み情報長を 2倍 にすることができ、また、従来と同程度の検出信頼性と情報長であれば、より品質劣 化の少ない電子透力 埋め込みが可能となるため、本発明により、信頼性が高ぐ情 報長が長ぐ品質劣化の少ない電子透力 埋め込みが可能となることを示している。
[0454] また、本実施の形態と第 2の実施の形態の時間変調部 130bまたは、時間復調部 2
10bとを組み合わせて実施することも可能である。
[0455] また、本実施の形態と第 2の実施の形態の時間変調部 130または、時間復調部 21 Obとを組み合わせる場合には、 N— 1次元逆フーリエ変換部 113の N— 1次元逆フ 一リエ変換処理と時間変調部 130の一次元逆フーリエ変換処理とを一括して N次元 の逆フーリエ変換処理として実施することもできる。同様に、 N— 1次元フーリエ変換 部 225の N—1次元変換処理と時間復調部 210の一次元フーリエ変換処理とを一括 して N次元のフーリエ変換処理として実施することもできる。
[0456] [第 4の実施の形態]
く時間同期不要検出〉
以下に、第 4の実施の形態における電子透かし埋め込み装置及び電子透かし検出 装置について説明する。
[0457] 本実施の形態は、電子透かしの埋め込みが第 1の実施の形態における電子透かし 埋め込み装置 100を用いて行われた場合に、電子透かし検出装置において、時間 軸 (N番目の次元の軸)の方向で同期のずれた信号が入力された場合に、同期合わ せを行う必要なしに電子透かし検出を行う例である。
[0458] 本実施の形態の電子透かし検出装置は、第 1の実施の形態の電子透かし検出装 置 200と同様の構成を持ち、検出情報抽出部 220のみが異なる構成を持っている。
[0459] また、時間復調部 210については、本発明のその他の実施の形態の時間復調部を 用いても良い。例えば、第 2の実施の形態の時間復調部 210b、 210cを用いても構 わない。
[0460] なお、本実施の形態では、第 1の実施の形態における電子透かし埋め込み装置 10 0を用いて電子透力しの埋め込みが行われた場合を例に記載している力 他の実施 の形態における電子透力し埋め込み装置を用いて電子透力しの埋め込みが行われ た場合の検出についても同様に組み合わせて適用することができる。例えば、第 3の 実施の形態における電子透かし埋め込み装置で埋め込みを行い、第 3の実施の形 態における電子透かし検出装置の N— 1次元フーリエ変換部 225を組み合わせて検 出を行うようにしても良い。それらの場合、個々の手順に相応の変更が必要な場合が あるが、それらの必要な変更は、本実施の形態の説明及びそれらの電子透かしの埋
め込みにっ 、ての説明に基づけば明らかであることは言うまでもな 、。
[0461] く電子透かし検出装置 検出情報抽出部〉
以下に、本実施の形態の電子透かし検出装置における検出情報抽出部の動作を 説明する。
[0462] 図 42は、本発明の第 4の実施の形態における検出情報抽出部の構成を示す。同 図において、図 28及び図 40と同一構成部分には同一符号を付す。
[0463] 同図に示す検出情報抽出部 220cは、検出系列抽出部 221、複素相関値計算部 2 26、絶対値算出部 227、最大値判定部 223、検出情報再構成部 224から構成され、 検出複素パターン 961が入力され、検出情報 914を出力する。
[0464] 検出情報抽出部 220cによる検出情報抽出処理は、以下の手順で実施される。
[0465] 図 43は、本発明の第 4の実施の形態における検出情報抽出部の動作のフローチヤ ートである。
[0466] ステップ 1301) 検出系列抽出部 221において、入力された検出複素パターン 96
1から得られる複素数値を並べた検出複素数系列 1118を構成する。検出系列抽出 部 221の詳細な動作については後述する。
[0467] ステップ 1302) 複素相関値計算部 226において、検出系列抽出部 221で構成さ れた検出複素数系列 1118と、想定される埋め込み系列に基づいて構成された複素 数系列との複素相関を計算し、複素数で表される複素相関値 1116を求める。
[0468] 埋め込み系列の種類によって異なる値が埋め込まれている場合には、考えられる 複数の埋め込み系列に基づいて構成された複数の複素数系列との複素相関をそれ ぞれ計算し、対応する複素相関値 1116を求める。
[0469] 複素相関値計算部 226の動作の詳細については後述する。
[0470] ステップ 1303) 絶対値算出部 227において、複素相関値計算部 226で得られた 複素相関値 1116の絶対値 1117を算出する。絶対値を算出することで、同期のずれ た信号が入力された場合にも同期変位量に関わらず検出複素数系列との相関の高
V、埋め込み系列を決定することができる。
[0471] ステップ 1304) 最大値判定部 223において、絶対値算出部 227で得られた絶対 値 1117が最大となるものを見つけ、最大となる絶対値に対応する複素相関値計算
部 226での相関計算で用いられた埋め込み系列を決定する。
[0472] なお、電子透力し埋め込み装置 100における埋め込み系列の構成方法によっては 、最大値判定部 223による最大値判定の代わりに、他の方法で判定を行うようにされ ていても良い。
[0473] 最大値判定部 223の動作の詳細及び、代替となる他の方法の詳細については後 述する。
[0474] ステップ 1305) 検出情報再構成部 224においては、最大値判定部 223で決定さ れた埋め込み系列に基づき、実際に埋め込まれていたと判断する検出情報 914を再 構成する。
[0475] 検出情報再構成部 224の動作は、第 1の実施の形態と同様である。
[0476] なお、電子透力しの埋め込み力 第 3の実施の形態における電子透かし埋め込み 装置 100を用いて行われた場合には、検出系列抽出部 221に先立ち、第 3の実施の 形態における N—1次元フーリエ変換部 225と同様のフーリエ変換処理が必要となる
[0477] また、最大値判定部 223で埋め込み系列を決定した後、その埋め込み系列を用い 、入力信号を順次同期を変位させた信号を用いて、第 1の実施の形態における検出 情報抽出部 220aと同様の処理を総当り的に行い、同期変位量を測定し、検出情報 抽出部 220で得られた相関値に基づいてより正確な検出相関評価値の取得を行つ ても構わない。この場合でも全ての考えられる埋め込み系列について全ての同期変 位を総当り的に探索するよりもはるかに高速に検出が可能となることは言うまでもない
[0478] く電子透かし検出装置 検出情報抽出部 検出系列抽出部〉
次に、上記の検出情報抽出部 220cの検出系列抽出部 221の動作の詳細につい て説明する。
[0479] 検出系列抽出部 221は、検出複素パターン 961から得られる複素数値から検出複 素数系列 1118を構成する。
[0480] 検出系列抽出部 221での処理は以下の手順で実施される。
[0481] 1) 検出複素パターン 961から大きさ M X M Χ · · · Χ Μ の N—1次元の複素配
列を構成する。構成の仕方は、前述の第 1の実施の形態における図 30のステップ 80 1の処理と同様である。
[0482] 2) 上記 1)で得られた複素配列から、順に一つずつ複素数値を取り出して並べ、 これを検出複素数系列 1118とする。すなわち、複素配列が A[p , p , ···, p ] (p
1 2 N- 1 n
≥0)、検出複素数系列 1118が Γ , i" , · · · , i" と表されているとき、
1 2 N- 1
=A[0, 0, ···, 0] (88)
=A[1, 0, ···, 0]
3)得られた系列 Γ , Γ , ···, Γを、検出系列 1115として出力する。
1 2 L
[0483] 電子透かし埋め込み装置 100の複素配列生成部 112において、埋め込み系列 91 3の順序もしくは複素配列の要素の入れ替えがなされている場合には、その順序を 戻す点は、第 1の実施の形態における検出系列抽出部 221と同様である。
[0484] なお、電子透力し埋め込み力 第 3の実施の形態における電子透かし埋め込み装 置 100を用いて行われた場合には、上記の 2)の処理において、第 3の実施の形態に おける電子透力し埋め込み装置 100の複素配列生成部 112で用いた範囲内の要素 の複素数値を取り出して並べるようにする。
[0485] く電子透かし検出装置 検出情報抽出部ー複素相関値計算部〉
次に、上記の検出情報抽出部 220cの複素相関値計算部 226の動作に詳細につ いて説明する。
[0486] 複素相関値計算部 226における複素相関値計算処理は、以下の手順で実施され る。
[0487] 1) 電子透力し埋め込み装置 100の埋め込み系列生成部 111と同様の手順により 、考えられる埋め込み系列 w(1), w(2),…を生成する。生成の方法は、前述の第 1の 実施の形態における相関値計算部 222と同様である。
[0488] 2) 上記の 1)で得られた埋め込み系列 w
(1), w
(2),…から、電子透力し埋め込み装 置 100の複素配列生成部 112にお 、て一つの複素数値の実部と虚部に割り当てら れた値を組にして同様の複素数列を構成し、これを埋め込む複素数系列 ξ ξ )
,…とする。すなわち、図 17のように複素配列が構成されているならば、 [数 61]
(但し、 L' =L/2)とするとき、
[0490] [数 62]
( 8 9 }
' = Wi 1 +ゾ Wi
とする。
[0491] 埋め込み複素数系列の構成方法は、この例に限定されるものではなぐ電子透かし 埋め込み装置 100の複素配列生成部 112での複素配列の構成に対応するように構 成されて!/ヽればどのような構成方法であっても構わな 、ことは言うまでもな!/、。
[0492] 3)検出系列抽出部 221で得られた検出系列 1115と、上記の 2)で得られた各埋め 込み系列 6 (2),…との相関を、複素相関を用いてそれぞれ計算する。
[0493] 相関計算は次のように行う。 Ρ ωを求めたい複素相関値 1116とすると、
[0494] [数 63]
ここで、 6 は、 6 ®の要素の共役複素数力もなる数列を表し、 6 k は 6 k ωの共役 複素数であるとする。また、〃'"は数列をベクトルと見たときの内積演算を表す。
[0495] ここで、 ^は、複素数となる。
[0496] また、前述の文献「中村高雄、片山淳、山室雅司、曽根原登"カメラ付き携帯電話 機を用いたアナログ画像力 の高速電子透かし検出方式"、信学論 D-II, Vol. J87-D -II, No.12, pp. 2145-2155, 2004」にあるような検出信頼性の評価基準を揃えるため, 例えば、 Γ及び ^の各要素を予め平均 0、分散の絶対値が 1となるように正規ィ匕して おき、相関値計算で定数項を乗じて演算を行っても良いことは、第 1の実施の形態に おける相関値計算部 222と同様である。
[0497] このような演算で同期のずれた入力に対して電子透力しの検出が可能であることを 以下に説明する。
[0498] 今、電子透かし埋め込み装置で埋め込まれた系列が w= {w , w , · ··, w }で、こ
1 2 L れを複素数に並べたものが ξ = 1, ξ , · · · , ξ
2 し' }とする。
[0499] 電子透力しの埋め込みにより、埋め込み前信号及びその他のノイズ信号が加わつ た後の複素系列を i' = {i , i , · ··, i
1 2 し' }とすると、
i' =i+ ξ (91)
さらに、これに時間方向の同期変位が与えられた後に得られる系列を Γとすると、
上記の式で ξとの相関を計算すると、
[0500] [数 64]
= (i + jAe -ξ*
( V V
A0
iと ξが独立で L'が十分大きければ、
[0501] [数 65]
の期待値は 0であり、
[0502] [数 66]
よって、
[0503] [数 67]
( 9 5 )
k=l
一方、電子透力しが埋め込まれていない場合は、
[0504] [数 68]
であり、この期待値は 0であるから I p Iは電子透かしの埋め込まれている場合の期 待値
と比較して十分小さぐ電子透力しの検出が可能である。
[0506] く電子透かし検出装置 検出情報抽出部 最大値判定部〉
次に、検出情報抽出部 220cの最大値判定部 223について詳細に説明する。
[0507] 最大値判定部 223における処理は以下の手順で実施される。
[0508] 1) 絶対値算出部 227で得られた絶対値 1117
I (1) I I (2) I
I /O I , I p I ···
から、値が最大となる絶対値 I ω Iを見つける。
[0509] I I =MAX( I p (1) I , I ρ (2) I , (97)
但し、 ΜΑΧΟは最大値を返す演算である。
[0510] 2) I 皿) Iに対応する埋め込み系列 w(max)を得る。
[0511] また、最大の相関値 I p ω Iが所定の閾値を越えているかどうかを判断し、所定の 閾値を越えて 、な 、場合には電子透力しが埋め込まれて 、な力つたものと判断する ようにしても良い。
[0512] 以下に、最大値判定部 223の代替となる動作をについて説明する。
[0513] 最大値判断部 223による最大値判定の代わりに、複素相関値計算部 226で全ての 埋め込み系列 w(1), w(2),…に対応する複素系列に対して複素相関を計算せずに、 埋め込み系列 w(1)に対応する複素数系列 ξ (1)から順に複素相関を計算し、得られ た複素相関値の絶対値が所定の閾値を越えているかどうかで判定し、閾値を越えた 埋め込み系列を w(max)として、その時点で相関計算を終了するようにされていても良 い。
[0514] また、電子透かし埋め込み装置 100における埋め込み系列力 例えば、埋め込み 系列生成部 111の(例 1)で示したような、 1通りの埋め込み系列だけで構成されて埋 め込まれて!/、る場合や、例えば、埋め込み系列生成部 111の(例 2)、(例 4)で示した ような、 1通りの埋め込み系列の正負の違いで構成されて埋め込まれている場合には
、複素相関値は一つだけが計算されるため、最大値判定部 223による最大値判定に は意味がな 、。代わりに得られた絶対値が所定の閾値を越えて 、るかどうかで判定 するようにされていても良い。
[0515] また、複素相関値の絶対値の大きさで透かし検出の信頼度を評価するようにしても 良い。
[0516] また、電子透かし埋め込み装置 100における埋め込み系列力 例えば、埋め込み 系列生成部 111の(例 2)、(例 4)で示したような、埋め込み系列の正負の違いでビッ ト値の OZ1を表現するように構成されて埋め込まれている場合には、同期ずれによ つて位相が半波長ずれた信号が入力された場合と全てのビット値が反転した情報が 埋め込まれている場合との区別がつかない。そのような場合には、例えばビット値の 内 1ビットを判定用ビットとして必ず 1 (もしくは 0)をとるように埋め込み系列を構成して おき、そのビット値を用いてビット反転を補正するようにしても良い。また、非対称な誤 り訂正符号を用いて符号ィ匕することで判定可能としても良い。また、本発明の電子透 力しとは異なる電子透かし信号を用いて判断するようにしても良い。これらの例に限 定するものではなぐその他の方法でビット反転の補正を行っても良いことは言うまで もない。
[0517] また、埋め込み系列生成部 111の(例 4)で示したような、埋め込み系列の部分列を 用いてビット毎に正負の極性で拡散されている場合には、以下のようにしてより口バス トな検出処理を行うことができる。
[0518] 検出複素数列 1118の中の a番目のビット位置に対応する部分複素系列を
[0519] [数 70]
Mo) ― j»{a) \
1 1 , t 2 ,…, t m ノ
とする。また、 a番目のビット位置のビット値の拡散に用いた複素埋め込み系列を [0520] [数 71]
とする。そして、次のように各ビット位置 a毎の複素相関値 λ (a)を算出する。
[0521] [数 72]
。) = (。) · = ^ "(。) 。)* (α = \ . . .η)
次に、 η個の複素相関値え (a)の方向を揃える。具体的には、例えば 0≤Arg (a)く π となる λ (a)については変更を行わず、 π≤Arg (a)く 2 πとなる λ (a)については ej を 乗じて偏角を 180度回転させる。この変更処理によって、全ての λ (a)は複素平面上 の第一および第二象限内の値をとるようになる。なお、方向の揃え方はこの例に限ら ない。例えば複素平面上の第一および第四象限内の値をとるようにすることができる のは明らかである。
[0522] 次に上記の変更処理を施された複素相関値え (a)の総和 λを以下のようにして求め る。
[0523] [数 73]
そして複素平面上で原点をとおり Arg λと直交する直線を境界線として複素平面を 2つの領域に分割し、上記の変更処理の前の λ (a)が 2つの領域のどちらに属するか で、 a番目のビット位置の検出ビット値を定める。この定め方でも上述のようなビット反
転の不確定性がある力 例えばビット値内の 1ビットをビット反転判定用のフラグとして 用いることなどにより不確定性を解決できる。
[0524] 例えば n= 2の場合において、図 44に示すように、 λ (1)は 0≤Arg (1)く πであるの で変更を行わず、 λ ( は π≤Arg ( く 2 πなので ej を乗じて偏角を 180度回転さ せる。そして、これらの総和 λを求め、複素平面上で原点をとおり Argえと直交する直 線を境界線として複素平面を 2つの領域に分割し、一方の領域のビット値を" 1 "とし、 他方の領域を "0 "として、変更処理の前の λ (1)、 λ ( が、 2つの領域のどちらに属す るかで、それぞれのビット位置の検出ビット値を定める。
[0525] 上記のような検出方法がうまく作用する理由を説明する。埋め込み時には、各ビット 位置用の複素埋め込み系列に対して、ビット値に応じて + 1または 1を乗じることで 変調されていた。よって、各ビット位置 a毎の複素相関値 λ ωは埋め込まれているビッ ト値が異なると位相が πだけずれた値をとることになる。しかし、 πの位相ずれを同一 視すれば、全ての λ (a)は入力信号の位相ずれ量 Δ Θの方向で揃うことになる。同一 視の方法として、上記のような変更処理を行えばよいことは明らかである。
[0526] また、各ビット毎の複素埋め込み系列の長さ mは全複素埋め込み系列の長さ! より 短い。すなわち、各ビット毎の複素埋め込み系列は拡散率が低いため、各ビット毎の ビット値を検出すると拡散率 mによる利得し力、得られな 、ため耐性が低くなる。しかし ながら、上記のように πの位相ずれを同一視する変更を施して全ての λ (a)の向きを 揃えた上で総和 λを求めることで全埋め込み系列長! に相当する利得を得ることが できる。よって、 Argえと直交する境界線を用いて再度変更前の各え (a)を評価するこ とで検出ビット値を検出することにより、各ビット毎に検出するよりもビット判定誤りが少 なくなり、より高い耐性を実現することができる。なお、上記のえの絶対値の大きさで 電子透かし検出の信頼度を評価するようにしてもょ ヽ。
[0527] く第 4の実施の形態の特徴〉
次に、本実施の形態の特徴について説明する。
[0528] 本実施の形態の電子透かし検出装置によれば、電子透力しの検出において、電子 透力しの検出対象の信号の同期がずれているときにも電子透力しの検出ができる。 すなわち、 N— 1次元の空間でスペクトル拡散された埋め込み系列は、 N次元目の方
向での同期ずれに対して共通の影響を受けることを利用し、 N— 1次元の空間での 拡散された系列の複素相関値を利用することによって、同期合わせの不要な電子透 力しの検出ができる。
[0529] 例えば、映像信号の場合に、時間方向で検出を開始するフレームがずれている場 合にも特別な同期合わせの方法を用いることなしに電子透力しの検出が可能である 。これは、例えば、ビデオカメラ等を用いて再撮影された映像カゝら電子透力ゝしを検出 する場合や、ビデオテープなどアナログデータに一旦変換された映像力 電子透か しを検出する場合など、時間同期が困難な利用状況において非常に有効である。
[0530] スクリーンや TVなどに表示された映像力 Sビデオカメラや携帯電話等のカメラで撮影 された場合、再生のフレームレートと撮影のフレームレートは同期されていないため にサブフレームでの再サンプリングが生じる場合もある。これは結果としてサブフレー ムレベル(1フレームより短い間隔)で同期がずれている状態を表す。このような状況 においても、時間復調において周期信号の位相を測ることは可能であり、上記に述 ベたように同期合わせの不要な電子透力しの検出が可能である。
[0531] 上記の電子透かし検出により、同期のずれた信号に対する効率的な検出が可能で あると共に、特別な同期合わせ信号を加える必要がないことから、同期合わせ信号に よる信号の劣化や電子透力しの検出性能の劣化がなぐ品質が高く検出性能の高い 電子透かし検出が可能となる。
[0532] [第 5の実施の形態]
く同期変位量測定〉
以下に、第 5の実施の形態における電子透かし検出装置について説明する。
[0533] 本実施の形態は、電子透力しの埋め込みが本発明の第 1の実施の形態における電 子透力 埋め込み装置 100を用いて行われた場合に、電子透かし検出装置におい て、時間軸 (N番目の次元の軸)の方向で同期のずれた信号が入力された場合に、同 期の変位量を検出して電子透力しの検出を行う例である。
[0534] なお、本実施の形態では、第 1の実施の形態における電子透かし埋め込み装置 10 0を用いて電子透力しの埋め込みが行われた場合を例に記載している力 他の実施 の形態における電子透力し埋め込み装置を用いて電子透力しの埋め込みが行われ
た場合の検出についても同様に組み合わせて適用することができる。例えば、第 3の 実施の形態における電子透かし埋め込み装置で埋め込みを行い、第 3の実施の形 態における電子透かし検出装置の N— 1次元フーリエ変換部 225を組み合わせて検 出を行うようにしても良い。それらの場合、個々の手順に相応の変更が必要な場合が あるが、それらの必要な変更は、本実施の形態の説明及びそれらの電子透力し埋め 込みにつ 、ての説明に基づけば明らかであることは言うまでもな!/、。
[0535] く電子透かし検出装置〉
本実施の形態における電子透かし検出装置の構成について説明する。
[0536] 図 45は、本発明の第 5の実施の形態における電子透かし検出装置の構成例を示 す。
[0537] 同図に示す電子透かし検出装置 300は、時間復調部 310、同期検出部 320、検出 情報抽出部 330a、パターン記憶部 340から構成され、埋め込み済み信号 923が入 力され、検出情報 914を出力する。
[0538] 時間復調部 310については、第 1の実施の形態における時間復調部 210と同様で ある。また、その他の実施の形態の時間復調部を用いても良い。例えば、第 2の実施 の形態の時間復調部 210c、 210dを用いても良い。
[0539] なお、図 45においては、図 10との対応の理解を容易にするため、下から上に情報 が流れるように構成が記載されて 、ることに注意された 、。
[0540] 電子透かし検出装置 300による電子透力しの検出処理は、以下の手順で実施され る。
[0541] 図 46は、本発明の第 5の実施の形態における電子透かし検出装置の動作のフロー チャートである。
[0542] ステップ 1401) 時間復調部 310において、時間軸方向の復調を行い、検出複素 パターン 1501を得て、パターン記憶部 340に格納する。処理の内容は第 1の実施の 形態の電子透かし検出装置 200の時間復調部 210と同様である。
[0543] なお、時間復調部 310による時間復調処理に先立ち、埋め込み済み信号 923に対 して前処理を行っても良いことは第 1の実施の形態の電子透かし検出装置 200と同 様である。
[0544] ステップ 1402) 同期検出部 320において、時間復調部 310で得られ、パターン記 憶部 340に格納されている検出複素パターン 1501から、埋め込み済み信号 923に 対して予め加えられていた時間軸 (N番目の次元の軸)の方向で同期変位の大きさ を検出し、同期変位量として出力する。
[0545] 同期検出部 320の動作の詳細については後述する。
[0546] ステップ 1403) 検出情報抽出部 330aにおいて、時間復調部 310で得られ、パタ ーン記憶部 340に格納されている検出複素パターンを解析し、同期検出部 320で得 られた同期変位量 1502に基づいて電子透かし埋め込み装置 100で埋め込まれた 電子透力し情報を抽出し、検出情報 914として出力する。
[0547] 検出情報抽出部 330aの動作の詳細については後述する。
[0548] く電子透かし検出装置一同期検出部〉
次に、上記の同期検出部 320の動作の詳細を説明する。
[0549] 図 47は、本発明の第 5の実施の形態における同期検出部の構成例を示す。
[0550] 同期検出部 320は、複素検出系列抽出部 321、複素相関値計算部 322、絶対値 算出部 323、同期検出最大値判定部 324、位相算出部 325から構成され、検出複 素パターン 1501をパターン記憶部 340から読み込み、同期変位量 1502を出力する
[0551] なお、図 47においては、図 45との対応の理解を容易にするため、下から上に情報 が流れるように構成が記載されて 、ることに注意された 、。
[0552] 同期検出部 320による同期検出処理は以下の手順で実施される。
[0553] 図 48は、本発明の第 5の実施の形態における同期検出部の動作のフローチャート である。
[0554] ステップ 1501) 複素検出系列抽出部 321において、入力された検出複素パター ン 1501から得られる複素数値を並べた検出複素数系列 1511を構成する。
[0555] 複素検出系列抽出部 321の動作は、第 4の実施の形態の電子透かし検出装置 20 0における検出系列抽出部 221の動作と同様である。
[0556] ステップ 1502) 複素相関値計算部 322において、検出系列抽出部 321で構成さ れた検出複素数系列 1511と、想定される埋め込み系列に基づいて構成された複素
数系列との複素相関を計算し、複素数で表される複素相関値 1512を求める。
[0557] 埋め込み系列の種類によって異なる値が埋め込まれている場合には、考えられる 複数の埋め込み系列に基づいて構成された複数の複素数系列との複素相関をそれ ぞれ計算し、対応する複素相関値 1512を求める。
[0558] また、電子透かし埋め込み装置 100における埋め込み系列力 例えば、埋め込み 系列生成部 111の(例 3)や (例 4)で示したような、複数のシンボルまたは複数のビッ トで構成されて ヽる場合には、一部のシンボルまたはビットに対応する埋め込み系列 に基づ!/、て構成された複素数系列との複素相関を計算するようにしてもよ!、。すなわ ち、複数のシンボルまたはビットの一部を用いて同期を合わせることに相当する。
[0559] 複素相関値計算部 322の動作は、第 4の実施の携帯の電子透かし検出装置 200 における複素相関値計算部 226の動作と同様である。
[0560] ステップ 1503) 絶対値算出部 323において、複素相関値計算部 322で得られた 複素相関値 1512の絶対値 1513を算出する。
[0561] 絶対値算出部 323の動作は、第 4の実施の形態の電子透かし検出装置 200にお ける絶対値算出部 227と同様の動作である。
[0562] ステップ 1504) 同期検出最大値判定部 324において、絶対値算出部 323で得ら れた絶対値 1513が最大となるものを見つけ、最大となる絶対値 1513に対応する複 素相関値 1512を決定する。
[0563] なお、電子透力し埋め込み装置 100における埋め込み系列の構成方法によっては
、同期検出最大値判定部 324による最大値判定の代わりに、他の方法で判定を行う ようにされていても良い。
[0564] 同期検出最大値判定部 324の動作の詳細については後述する。同期検出最大値 判定部 324の代替となる他の方法については、第 4の実施の形態の電子透かし検出 装置 200における最大値判定部 223の場合と同様である。
[0565] ステップ 1505) 位相算出部 325において、同期検出最大値判定部 324で決定さ れた複素相関値の位相を算出し、これをもとに同期変位量 1502を算出して検出情 報抽出部 330に出力する。
[0566] 位相算出部 325の動作の詳細については後述する。
[0567] なお、電子透かしの埋め込みが第 3の実施の形態における電子透かし埋め込み装 置 100を用いて行われた場合には、複素検出系列抽出部 321の処理に先立ち、第 3 の実施の形態における N—1次元フーリエ変換部 225と同様のフーリエ変換処理が 必要となる。
[0568] く電子透かし検出装置一同期検出部一同期検出最大値判定部〉
次に、上記の同期検出部 320の同期検出最大値判定部 324の動作の詳細につい て説明する。
[0569] 同期検出最大値判定部 324の動作は、第 4の実施の形態における電子透かし検 出装置 200の最大値判定部 223と略同様である力 結果として埋め込み系列を得る 代わりに、絶対値が最大となる複素相関値を求める点が異なっている。
[0570] 同期検出最大値判定部 324における処理は以下の手順で実施される。
[0571] 1)絶対値算出部 323で得られた絶対値 1513 | ρ (1) | , | ρ (2) | ,…から、値が最 大となる絶対値 I p (j) Iを見つける。
[0572] I p (max) I = MAX ( I p (1) | , | p (2) | , · · ·) (98)
但し、 MAX Oは最大値を返す演算である。
[0573] 2) I p (max) Iの元になつた複素相関値 max)を位相算出部 325に出力する。
[0574] また、最大の相関値 I p ω Iが所定の閾値を越えているかどうかを判定し、所定の 閾値を越えて 、な 、場合には電子透力しが埋め込まれて 、な力つたものと判定する ようにしても良い。
[0575] く電子透かし検出装置一同期検出部一位相算出部〉
次に、上記の同期検出部 320の位相算出部 325の動作の詳細について説明する
[0576] 位相算出部 325における処理は以下の手順で実施される。
[0577] 1) 同期検出最大値判定部 324で得られた複素相関値 p (max)の偏角△ Θを求め る。
[0578] Δ Θ =Arg[ p (max)] (99)
但し、 Arg[]は複素数の偏角を求める演算である。
[0579] 2) △ 0は、位相のずれ量を表すからこれから同期変位量 1502Atを次のように、
求め、出力する。
[0580] [数 74]
( 1 0 0 )
2π
但し、 Τは周期信号の周期である。
[0581] △ Θが位相のずれ量を表す点について以下に説明する。
[0582] 複素相関値は、第 4の実施の形態の電子透かし検出装置 200における複素相関 値計算部 226につ 、ての説明で述べたように、次式のように得られて!/、る。
[0583] [数 75]
従って、
Arg[ p (max)] = A 0 (102)
であり、これは、埋め込み済み信号 923に対して N次元目の軸の方向 (例えば時間方 向)で与えられた同期変位量に依存して決定される位相のずれ量を示している。
[0584] なお、電子透力 埋め込み装置 100における埋め込み系列力 例えば埋め込み系 列生成部 111の(例 2)、(例 4)で示したような、埋め込み系列の正負の違いでビット 値の 0/1を表現するように構成されて埋め込まれて 、る場合には、同期ずれによつ て位相が半波長ずれた信号が入力された場合と全てのビット値が反転した情報が埋 め込まれている場合との区別がつかない。すなわち、上記で得られた同期変位量 At と半波長ずれた
とのどちらが正しい同期変位量であるかの区別がつかない。
[0586] そのような場合には、例えば、ビット値の内 1ビットを判定用ビットとして必ず 1 (もしく は 0)をとるように埋め込み系列を構成しておき、そのビット値が正しい値となる方の同 期変位量であると判断しても良い。また、非対称な誤り訂正符号を用いて符号ィ匕する ことで判定可能としても良い。また、本発明の電子透かしとは異なる電子透かしや信 号を用いて判断するようにしても良い。また、同期変位量としては暫定的に一方の値 として判定しておき、検出情報抽出部 330aでの処理の中で、上記のような手順でビ ット反転を補正するようにしても良い。これらの例に限定するものではなぐその他の 方法で補正を行っても良 、ことは言うまでもな!/、。
[0587] また、埋め込み系列生成部 111の(例 4)で示したような、埋め込み系列の部分列を 用 、てビット毎に正負の極性で拡散されて 、る場合には、第 4の実施の形態の最後 に図 44を参照して説明したビット値検出方法において算出されるビット位置毎の複 素相関値え (a)の総和 λの偏角 Arg を同期変位量 Δ Θとすることによって、各ビット 毎の複素相関値に基づいて同期変位量を求めるよりも、より確実で精度の高い同期 変位量の測定が可能となる。なお、この方法でもビット反転の不確定性がある力 例 えばビット値内の 1ビットをビット反転判定用のフラグとして用いることにより、不確定性 を解決できる。
[0588] く電子透かし検出装置 検出情報抽出部〉
次に、上記の検出情報抽出部 330aの動作の詳細を説明する。
[0589] 図 49は、本発明の第 5の実施の形態における検出情報抽出部の構成例を示す。
[0590] 検出情報抽出部 330aは、第 1の実施の形態の検出情報抽出部 220と同様の構成 であり、検出系列抽出部 331、相関値計算部 332、最大値判定部 333、検出情報再 構成部 334から構成され、第 1の実施の形態の検出情報抽出部 220に同期変位量 1 502を入力するようにされて 、る点のみが異なる。
[0591] なお、図 49においては、図 45との対応の理解を容易にするため、下から上に情報 が流れるように構成が記載されて 、ることに注意された 、。
[0592] 検出情報抽出部 330aによる検出情報抽出処理は、検出系列抽出部 331の動作 の詳細を除き、第 1の実施の形態の検出情報抽出部 220における検出情報抽出処 理と同様である。
[0593] なお、電子透かしの埋め込みが第 3の実施の形態における電子透かし埋め込み装 置 100を用いて行われた場合には、検出系列抽出部 331の処理に先立ち、第 3の実 施の形態における N— 1次元フーリエ変換部 225と同様のフーリエ変換処理が必要 となる。
[0594] く電子透かし検出装置 検出情報抽出部 検出系列抽出部〉
以下に、検出情報抽出部 330aの検出系列抽出部 331の動作の詳細について説 明する。
[0595] 検出系列抽出部 331での処理は以下の手順で実施される。
[0596] 1) 検出複素パターン 1501から大きさ M X M Χ · ·· Χ Μ の Ν— 1次元の複素
1 2 N- 1
配列を構成する。構成の仕方は、前述の第 1の実施の形態における検出系列抽出 部 221でのステップ 801)と同様である。
[0597] 2) 上記の 1)で得られた複素配列から、順に 1つずつ複素数値を取り出して並べ た複素数列を得る。すなわち、複素配列が Α[ρ , ρ , (ρ≥0)
1 2 …, ρ ]
N- 1 η と表されて いるとき、
c =Α[0, 0, · ··, 0]
c =Α[1, 0, · ··, 0]
2
なお、電子透かし埋め込み装置 100における埋め込み時に用いた埋め込み系列 9
13の長さを Lとするとき、 L' =LZ2である。
[0598] 3) 上記の 2)で得られた複素数列の各要素の位相を、入力された同期変位量 15
02に基づいて逆変位させる。すなわち、同期変位量 1502を
[0599] [数 77]
2π
とするとさ、
[0600] [数 78]
c —c\e ゾ'
, -ιΔΘ
C2 = ¾e J (1 04)
4) 上記の 3)で得られた複素数列から、順に 1つずつ複素数値を取り出し、取り出 した複素数値の実部、虚部をそれぞれ単独の実数値としてみて並べる。すなわち、 検出系列 1521が Γ , , ···, と表されているとき、
1 2 L
[0601] [数 79]
' 3 。 5)
'3 = 2J
il =3[c2]
但し、
[0602] [数 80]
¾,3
は複素数のぞれぞれ実部、虚部を取り出す演算である。
[0603] 5) 得られた Γ , Γ , ···, Γを、検出系列 1521として相関値計算部 332に出力す
る。
[0604] 電子透かし埋め込み装置 100の複素配列生成部 112において、埋め込み系列 91 3の順序もしくは複素配列の要素の入れ替えがなされている場合には、その順序を 戻す点は第 1の実施の形態における検出系列抽出部 221と同様である。
[0605] なお、電子透かしの埋め込みが第 3の実施の形態における電子透かし埋め込み装 置 100を用いて行われた場合には、上記の 2)において、第 3の実施の形態における 電子透力し埋め込み装置の複素配列生成部 112で用いた範囲内の要素の複素数 値を取り出して並べるようにする。
[0606] く検出情報抽出部の他の構成例〉
また、検出情報抽出部 330aを、最大値判定部 333を用いずに、検出系列抽出部 3 31、相関値計算部 332、検出情報再構成部 334のみから構成し、次のような処理を させることで検出情報の抽出を行っても良い。このような構成例を図 50に示す。
[0607] 図 50に示す検出情報抽出部 330bでは、同期検出部 320で最大の複素相関値を 得た埋め込み系列を持って検出情報を再構成すると共に、同期検出部 320で得ら れた同期変位量 1502に基づいて、該検出情報の信頼性を評価するための相関値 を改めて計算し直すものである。これにより、より高速に電子透力しの検出を行えるよ うになる。
[0608] 1) 検出系列抽出部 331の処理は、上述の処理と同様である。
[0609] 2) 相関値計算部 332においては、第 1の実施の形態における相関値計算部 222 とは異なり、考えられる全ての埋め込み系列との相関値を計算する代わりに、同期検 出部 320において、同期検出最大値判定部 324の処理で最大の絶対値を取ると判 断された複素相関値に対応する埋め込み系列をメモリ(図示せず)に記憶しておき、 相関値計算部 332においてこの埋め込み系列のみとの相関値を計算する。
[0610] この相関値が所定の閾値よりも大きいかどうかで、信頼性のある電子透かし検出が できたかどうかを判定する。
[0611] 3) 検出情報再構成部 334においては、上記の 2)で用いた埋め込み系列を用い て検出情報の再構成を行う点を除いては、第 1の実施の形態の検出情報再構成部 2 24と同様である。
[0612] く第 5の実施の形態の特徴〉
本実施の形態の電子透かし検出装置 300によれば、電子透力しの検出において、 電子透力しの検出対象の信号の同期がずれているときにも、電子透かし信号自身を 用いて同期変位量を検出することができる。すなわち、 N—1次元の空間でスぺタト ル拡散された埋め込み系列は、 N次元目の方向での同期ずれに対して共通の影響 を受けることを利用し、 N— 1次元の空間での拡散された系列の複素相関値を利用 することによって、容易かつ高速に同期合わせの可能な電子透力しの検出ができる。
[0613] 例えば、映像信号の場合に、時間方向で検出を開始するフレームがずれている場 合にも特別な同期合わせの方法を用いることなしに電子透力しの検出が可能である 。これは、例えば、ビデオカメラ等を用いて再撮影された映像カゝら電子透力ゝしを検出 する場合や、ビデオテープなどアナログデータに一旦変換された映像力 電子透か しを検出する場合など、時間同期が困難な利用状況において非常に有効である。
[0614] スクリーンや TVなどに表示された映像力 Sビデオカメラや携帯電話等のカメラで撮影 された場合、再生のフレームレートと撮影のフレームレートは同期されていないため にサブフレームでの再サンプリングが生じる場合もある。これは結果としてサブフレー ムレベル(1フレームより短い間隔)で同期がずれている状態を表す。このような状況 においても、時間復調において周期信号の位相を測ることは可能であり、上記に述 ベたように同期変位量を検出することができる。
[0615] 特に、本実施の形態の電子透かし検出装置によれば、変位量を順次試すといった 総当り的な手法によらず、計算により同期変位量を検出することができるため、高速 に効率的な電子透かし検出が可能となる。また、特別な同期合わせ信号を加える必 要がないことから、同着合わせ信号による信号の劣化や電子透力しの検出性能の劣 ィ匕がなぐ品質が高く検出性能の高い電子透かし検出が可能となる。
[0616] また、上述した検出情報抽出部の他の構成例のように、検出情報抽出部 330bを構 成すれば、更に高速に電子透力 を検出することが可能となる。
[0617] [第 6の実施の形態]
く位相変調〉
以下に、本発明の第 6の実施の形態における電子透かし埋め込み装置について説
明する。
[0618] 本実施の形態は、第 1の実施の形態における電子透かし埋め込み装置 100におい て、時間変調部 130における変調処理を周期信号の遅延を用いて行う例を示す。
[0619] 本実施の形態における電子透かし埋め込み装置の構成は、第 1の実施の形態に おける電子透力し埋め込み装置 100と同様であり、時間変調部 130のみが異なって いる。
[0620] なお、本実施の形態では、第 1の実施の形態を元に例示して!/、るが、時間変調部 1 30以外の構成においてその他の実施の形態の構成を用いても構わない。例えば、 複素パターン生成部 110において、第 3の実施の形態の電子透かし埋め込み装置 における複素パターン生成部 110bを用いるようにしても良 、。
[0621] く電子透かし埋め込み装置一時間変調部〉
図 51は、本発明の第 6の実施の形態における時間変調部の構成例を示す。
[0622] 同図に示す時間変調部 130cは、周期信号生成部 131、変調部 136から構成され 、埋め込み複素パターン 921が入力され、埋め込みパターン 922を出力する。
[0623] 時間変調部 130cによる埋め込みパターン 922の生成処理は以下の手順で実施さ れる。
[0624] 1) 周期信号生成部 131において周期信号を生成する。生成する周期信号は、第 1の実施の形態の時間変調部 130aの周期信号生成部 131における周期信号の例 と同様である。
[0625] 2) 変調部 136において、入力された埋め込み複素パターン 921の複素数値に応 じて、上記の 1)で生成された周期信号を次のように変調し、 N次元の埋め込みパタ ーン 922を得る。
[0626] 複素数値の絶対値に応じて周期信号の振幅を決定する。
[0627] 複素数値の偏角に応じて周期信号を遅延させる、すなわち、位相を変化させる。
[0628] 次に、上記の時間変調の具体例を説明する。
[0629] 変調部 136における変調は、 N— 1次元の複素パターン 921の各位置毎に複素数 値に応じて、周期信号生成部 131で生成された周期信号を搬送波として、 QAM (直 交振幅)変調することで、 N次元のパターンに変換することで行われる。
[0630] 但し、搬送波である周期信号は、前述したように正弦波とは限らない。
[0631] また、埋め込み複素パターン 921の値が全て実数値のみ力も構成されている場合 に、その実数値に応じて周期信号の位相を変化させるようにし、周期信号の振幅を 一定とするようにしても良い。
[0632] 具体的には例えば次のように行われる。
[0633] 今、 N—1次元の複素パターンが Ρ (χ , X , · · · , X )で表されているものとする。こ
1 2 N-1
のとき、 Pの実部、虚部を P , Pで表すものとし、
[0634] [数 81]
Ρ(χι , χι , - , χΝ^ ) = Β(Χ] , χ2 , - , χΝ_, ) ejaTixi ( 1 0 6 )
とする。但し、 jは虚数単位であり、 ωが周期信号の基本周波数の角速度である。
[0635] 周期信号生成部 131において周期信号 f (t)が生成されたものとする。
[0636] B, τを、 f (t)で変調し、次式で N次元のパターン Mを得る。
[0637] [数 82]
一般的な QAM変調とは異なり、ベースバンド信号 Pは時間方向ではなぐ時間方 向と直交する N— 1次元の方向(例えば、映像信号の場合の空間方向)で変動してい ることに注意されたい。
[0638] このような時間変調により、 N次元の埋め込みパターン 922の位相が N— 1次元空 間上の位置によって異なるように拡散されていることになり、電子透かし検出時に埋 め込み前信号 912に起因して現れるノイズ成分の大きさがより小さくなる。
[0639] く第 6の実施の形態の特徴〉
本実施の形態の電子透かし埋め込み装置は、第 1の実施の形態の電子透かし埋 め込み装置における時間変調部 130aの異なる構成例を示したものであり、第 1の実
施の形態の電子透かしにおける特徴と同様の特徴を持つ。
[0640] 特に、時間変調部 130cにおいて、 N— 1次元の空間にスペクトル拡散された N— 1 次元の埋め込みパターンを、それと直交する N次元目の方向に周期信号の位相と絶 対値を用いて変調しており、 N次元目の方向に与えられる同期変位に対して N— 1次 元の空間では共通の影響を及ぼすようにして!/、ると!/、う特徴を持つ。
[0641] また、時間変調部 130cにおいて、時間方向と直交する N— 1次元の方向(例えば 映像信号の場合の空間方向)で、埋め込みパターン 922の位相が異なるようにするこ とで、例えば、映像信号の場合に、最低の映像信号量子化値未満になって実際には 電子透かしの埋め込みがなされな 、フレームが発生するのを防ぐことができ、電子透 力しの伝送路としての映像信号を有効利用できると共に、電子透かしの振幅の大き いフレームを狙って改変するといつた攻撃に対する耐性を増すことができる。
[0642] また、埋め込みパターン N—1次元空間上で位相が拡散されていることにより、相関 計算の結果の中で埋め込み前信号に起因して現れるノイズ成分の大きさがより小さく なり、結果、より信頼性の高い電子透力しの埋め込み、検出が可能となり、また従来と 同程度の信頼性でより品質劣化の少ない電子透力しの埋め込み、検出が可能となる
[0643] [第 7の実施の形態]
く時間軸複数周波数帯域埋め込み〉
以下に、本発明の第 7の実施の形態における電子透かし埋め込み装置について説 明する。
[0644] 本実施の形態は、第 1の実施の形態における電子透かし埋め込み装置 100の電子 透かし埋め込みを異なる周期信号に基づ!/、て複数同時に行 、、より長 、スペクトル 拡散系列を用いて埋め込み情報を埋め込む例である。
[0645] 図 52は、本発明の第 7の実施の形態における電子透かし埋め込み装置及び電子 透かし検出装置の構成例を示す。
[0646] 〈電子透かし埋め込み装置〉
図 52に示す電子透力 埋め込み装置 500は、複素パターン生成部 510、時間変 調部 520、埋め込みパターン重畳部 530から構成され、埋め込み情報 3111、埋め
込み前信号 3112が入力され、埋め込み済み信号 3113を出力する。
[0647] 電子透かし埋め込み装置 500による電子透かしの埋め込み処理は以下の手順で 実施される。
[0648] 図 53は、本発明の第 7の実施の形態における電子透力し埋め込み装置の動作の フローチャートである。
[0649] ステップ 1601) 複素パターン生成部 510において、入力された埋め込み情報 31 11に基づ!/、て、複数の埋め込み複素パターン 3121を生成する。
[0650] 各埋め込み複素パターン 3121は、複素数力も構成される N—1次元パターンであ り、埋め込み情報の内容を表している。
[0651] 複素パターン生成部 510の動作の詳細については後述する。
[0652] ステップ 1602) 時間変調部 520において、各複素パターン生成部 510で生成さ れた各埋め込み複素パターン 3121に基づいて埋め込みパターン 3122を生成する
[0653] 時間変調部 520の動作は、第 1の実施の形態における時間変調部 130と同様であ る。但し、各時間変調部 520において生成する周期信号はそれぞれが互いに直交 する周期関数であるとする。例えば、それぞれ基本周波数の異なる周期関数であつ ても良い。
[0654] また、時間変調部 520として、第 1の実施の形態以外の実施の形態で示した時間 変調部を用いても構わない。例えば、第 2の実施の形態、もしくは第 6の実施の形態 の時間変調部を用いても構わな 、。
[0655] 時間変調部 520として、第 2の実施の形態の時間変調部 130bを利用する場合に は、複数の周波数の時間変調の処理を一度のフーリエ変換で実施することも可能で ある。
[0656] ステップ 1603) 埋め込みパターン重畳部 530において、各時間変調部 520で生 成された各埋め込みパターン 3122を、入力された埋め込み前信号 3112に重畳し、 埋め込み済み信号 3113を出力する。
[0657] 埋め込みパターン重畳部 530の動作の詳細については後述する。
[0658] く電子透力 埋め込み装置ー複素パターン生成部〉
以下に、上記の複素パターン生成部 510の動作の詳細を説明する。
[0659] 図 54は、本発明の第 7の実施の形態における複素パターン生成部の構成例を示 す。
[0660] 複素パターン生成部 510は、埋め込み系列生成部 511、複数の複素配列生成部 5 12から構成され、埋め込み情報 3111が入力され、埋め込み複素パターン 3121を 出力する。
[0661] 複素パターン生成部 510による埋め込み複素パターン生成処理は以下の手順で 実施される。
[0662] 図 55は、本発明の第 7の実施の形態における複素パターン生成部の動作のフロー チャートである。
[0663] ステップ 1701) 埋め込み系列生成部 511において、入力された埋め込み情報 31 11に基づいて、埋め込み情報を表す数値の列を生成し、これを分割して複数の埋め 込み系列 3211を生成する。
[0664] 埋め込み系列生成部 511の動作の詳細については後述する。
[0665] ステップ 1702) 複素配列生成部 512において、埋め込み系列生成部 511で生成 された各埋め込み系列 3213を、 N- 1次元の複素配列上の要素の実部及び虚部に 割り当て、埋め込み複素パターン 3121を生成する。
[0666] 個々の複素配列生成部 512の動作は、第 1の実施の形態における複素配列生成 部 112の動作と同様である。
[0667] また、複素パターン生成部 510を第 3の実施の形態における複素パターン生成部 1 10bに基づいて構成するようにしても良い。すなわち、複素配列生成部 512で得られ たパターンを更に、第 3の実施の形態における N—1次元逆フーリエ変換部 113と同 様の処理によりフーリエ変換した結果を埋め込む複素パターン 3121としても良い。
[0668] く電子透力 埋め込み装置ー複素パターン生成部 埋め込み系列生成部〉
埋め込み系列生成部 511では、第 1の実施の形態における埋め込み系列生成部 1 11と同様の手順によって埋め込み系列を生成した後、埋め込み系列を複数の部分 に分割する。例えば、埋め込み系列生成部 111と同様の手順によって系列 w= {w , w , · ··, w }が生成されたとき、各埋め込み系列 3213w[1], wC2], · ··, w[n]を、
[0669] [数 83]
w[2l = {Wl+1 , wL+2 ,---,w2L) (1 08)
とする。
[0670] 但し、 nは分割の総数である。
[0671] なお、ここでは埋め込み系列を先頭力 順に所定の数ずつ分割する例を示したが
、予め決められた分割方法で分割すればどのように分割しても良い。例えば、
[0672] [数 84]
={w],wn+i!--,wa_i)n+1)
W[2】 = {w2 ' W„+2 -■■·■ W(I-l)n+2 } (1 09)
のようにしても良い。
[0673] く電子透かし埋め込み装置 埋め込みパターン重畳部〉
以下に、埋め込みパターン重畳部 530の動作の詳細を説明する。
[0674] 埋め込みパターン重畳部 530の動作は、第 1の実施の形態における埋め込みパタ ーン重畳部 140と略同様である力 以下の点のみが異なっている。
[0675] 埋め込みパターン重畳部 530では、埋め込み前信号 3112として入力された N次 元信号に対し、各時間変調部 520で生成された N次元の各埋め込みパターン 3122 を加算することで重畳し、重畳した結果の N次元信号を埋め込み済み信号 3113とし て出力する。このとき、複数の埋め込みパターン 3122を全て加算して重畳する。また 、埋め込み強度として各埋め込みパターン 3122を異なる強度で強調して重畳しても
構わない。例えば、埋め込みを行う各埋め込みパターン 3122の周波数帯域に対す る劣化特性が異なる場合などにそれぞれ埋め込み強度を異ならせるようにして、各埋 め込みパターンの検出が同様の精度で行われるようにしても良い。
[0676] く電子透かし検出装置〉
本実施の形態における電子透かし検出装置 600は、複数の同期検出部 620、検 出情報抽出部 630から構成され、埋め込み済み信号 3113が入力され、検出情報 3 114を出力する。
[0677] 電子透かし検出装置 600による電子透かし検出処理は以下の手順で実施される。
[0678] 図 56は、本発明の第 7の実施の形態における電子透かし検出装置の動作のフロー チャートである。
[0679] ステップ 1801) 各時間復調部 610において時間軸方向の復調を行い、検出複素 パターン 3161を得る。各時間復調部 610における処理の内容は第 1の実施の形態 の電子透かし検出装置 200における時間復調部 210と同様である力 各時間復調 部 610毎に、電子透かし埋め込み装置 500の時間変調部 520で用いた周期関数を それぞれ用いる。
[0680] なお、時間復調部 610による時間復調処理に先立ち、埋め込み済み信号 3113に 対して前処理を行っても良いことは第 1の実施の形態の電子透かし検出装置 200と 同様である。
[0681] また、時間復調部 610として、第 1の実施の形態以外の実施の形態で示した時間 復調部を用いても構わない。例えば、第 2の実施の形態における時間復調部 210cを 用いても構わない。
[0682] 時間復調部 610として、第 2の実施の形態の時間復調部 210cを利用する場合に は、複数の周波数の時間復調処理を一度のフーリエ変換で実施することも可能であ る。
[0683] ステップ 1802) 各同期検出部 620において、時間復調部 610で得られた各検出 複素パターン 3161から、それぞれ埋め込み済み信号 3113に対して予め加えられて いた時間軸 (N番目の次元の軸)の方向で同期変位の大きさを検出し、同期変位量 3 162として出力する。
[0684] 同期検出部 620の動作は、第 5の実施の形態における電子透かし検出装置 300の 同期検出部 320と同様である。
[0685] ステップ 1803) 検出情報抽出部 630において、時間復調部 610で得られた各同 期変位量 3162に基づいて電子透かし埋め込み装置 500で埋め込まれた電子透か し情報を抽出し、検出情報 3114として出力する。
[0686] 検出情報抽出部 630の動作の詳細については後述する。
[0687] く電子透かし検出装置 検出情報抽出部〉
以下に、検出情報抽出部の動作を詳細に説明する。
[0688] 図 57は、本発明の第 7の実施の形態における検出情報抽出部の構成を示す。
[0689] 同図に示す検出情報抽出部 630は、第 5の実施の形態の検出情報抽出部 330に 類似した構成であり、検出系列抽出部 631が、入力された各検出複素パターン 316
1及び各同期変位量 3162毎に容易されて 、る点が異なる。
[0690] なお、図 57においては、図 54との対応の理解を容易にするため、下から上に情報 が流れるように構成が記載されて 、ることに注意された 、。
[0691] 検出情報抽出部 630による検出情報抽出処理は、複数の検出系列抽出部 631が
、それぞれ入力された検出複素パターン 3161及び同期変位量 3162に基づいて検 出系列 3313を抽出する点と、相関値計算部 632の動作の詳細とを除き、第 5の実施 の形態の検出情報抽出部 330における検出情報抽出処理と同様である。
[0692] また、第 5の実施の形態で述べた検出情報抽出部 330の他の構成例のように、最 大値判定部 633を用いず、同期検出部 320において最大の複素相関値を得た埋め 込み系列を持って検出情報を再構成すると共に、同期検出部 320で得られた同期 変位量に基づいて、当該検出情報の信頼性を評価するための相関値を改めて計算 しなおすようにしても良い。
[0693] く電子透かし検出装置 検出情報抽出部 相関値計算部〉
以下に相関値計算部 632の動作について詳細に説明する。
[0694] 相関値計算部 632における処理は以下の手順で実施される。
[0695] 1) 検出系列抽出部 631によって得られた各検出系列 3313i"[1], ΓΕ2],…を統合 し、系列 Γを得る。すなわち、
[0696] [数 85]
ここで、 Γの肩に記載した [k]は、 k番目の検出系列抽出部 631によって k番目の検 出複素パターン 3161から得られた検出系列であることを表し、 nは入力される検出複 素パターン 3161の総数である。なお、ここでは、各検出系列を単純に連結する例を 示した力 電子透かし埋め込み装置 500の埋め込み系列生成部 511における埋め 込み系列の分割方法に対応して ヽれば、各検出系列から予め決められた順序で値 を取り出して系列を結合するようにされていても構わない。例えば、次のように結合し ても構わない。
2) 上記の 1)で得られた系列 Γを元に、第 5の実施の形態の電子透かし検出装置 300の相関値計算部 332と同様の処理により、相関値 3314を求める。但し、相関計 算の対象となる考えられる埋め込み系列は、電子透かし埋め込み装置 500の埋め込 み系列生成部 511において生成され、分割される前の系列 w= {w , w , · ··, w }
1 2 nL であることに注意されたい。
[0698] く同期変位量の統合による精度向上〉
同期検出部 620において、各検出複素パターン 3161毎に得られた同期変位量 31 62に基づき、次のような手順によってより精度の高い同期変位量を求めるようにして も良い。
[0699] 1) 各同期変位量 3162を、
[0700] [数 87]
△ ■ r], Δ Λ,ί2—
2π 2π
とする。ここで、 Τ , Τ ,…は、各時間復調部 610の周期信号の周期である。
1 2
[0701] 2) At , At ,…から最大のものを一つ選び At とする。あるいは、周期が最大
1 2 max
の周期信号に対応する Atを選んでも良い。
[0702] 3) 各 iに対して At, T, At 力 次の方程式を考え nを求める。
max
[0703] [数 88]
Δί,十", =Atmax ( 1 1 2)
4) 各 nに最も近 ヽ整数値をそれぞれ η'とする。
[0704] 5) η'を用いて下記の At'を求める。
[0705] [数 89]
これは、各周期信号毎に、 At の位置に合わせて、 η'周期目の位置での Ν次元 max
目の軸方向での変位量を At'として求めたことになる。
[0706] 図 58に 2つの周期信号を用いた場合の上記の計算の様子を示す。同図では周期 6の周期信号 1に対して、△ θ =5π/3,周期 4の周期信号 2に対して△ θ = π /
1 2
2が得られており、これが白丸で表されている。このとき At =5, At =1となる。また
1 2
、 At +T , At +2Tの位置を黒丸で表している。 At として Atが選ばれ、上記
2 2 2 2 max 1 の手順 3)、 4)により n' = 1が得られる。これは、 2つの黒丸のうち、左側の黒丸の位
2
置で、 2つの周期信号のそれぞれ位相が△ 0 、△ 0 の点が重なることを表す。結果
2
、 Δΐ' =Δΐ +η' Τ =5が得られる。
2 2 2 2
[0707] なお、 At として選んだ周期信号に対応する iについては、 n' = lとなる。
max 1
[0708] 6) 上記のようにして得た At'の平均値を求め、全体としての変位量 Atとする。
[0709] [数 90]
Δί ; ( 1 1 4 )
k ,=ι
但し、 kは周期信号の個数である。
[0710] 図 58の例では、各同期変位量の検出に誤差がない場合の例を示したが、各同期 変位量の検出に誤差があった場合には、 nが整数とはならない可能性がある。上記 の手順 4)で n'を整数として求め、最後に At'の平均値を求めることで、誤差を考慮 した N次元目の軸における変位量の最尤値を求めることになる。
[0711] また、 At'の平均値を求める際、例えば、明ら力に位置のずれた変位量を無視する ようにしても良い。これにより、例えば、特定の周期信号に対応する周波数に対して 攻撃が加えられ、検出複素パターン 3161から得られる同期変位量の検出に失敗し てしまった場合を除去して考えることができる。
[0712] 7) Atは実際の N次元目の方向の変位量を精度よく求められた値であるから、こ れから各周期信号の同期変位量
を求めなおす,
[数 92]
八一— Δ/ _ "; (Λί≥";Γ, の場合)
( 1 1 5 )
1' ~ Αί - («; - 1)Τ, (Αί < n Tt の場合)
上記のように各検出複素パターン 3161毎に得られた同期変位量 3162に基づ 、 て N次元目の方向の変位量を精度良く求め、それを用いて同期変位量を求め直すこ とで、より精度の高い同期変位量を算出することが可能となり、結果、電子透かしの検 出精度を高めることができる。
[0715] く第 7の実施の形態の特徴〉
本実施の形態の電子透力 埋め込み装置及び電子透かし検出装置によれば、複 数の周波数帯域を用いることでより情報長の長い埋め込み情報を電子透力しとして 埋め込むことができる。
[0716] また、各個々別々に同期合わせが行われて得られた結果の検出系列を、最終的に 全体として相関値を計算して検出の信頼性を評価することで、個々別々に電子透か しを埋め込み、検出を行うよりもより正確に全体の検出結果の信頼性を明らかにする ことができる。
[0717] また、スペクトル拡散系列長をより長くすることができ、より信頼性の高い電子透かし 埋め込みを行うことができる。これについて下記に説明する。
[0718] 前述の文献「山本奏、中村高雄、高嶋陽一、片山淳、北原亮、宫武隆「フレーム重 畳型動画像電子透力しの検出性能評価に関する一考察」情報科学技術フォーラム F IT2005, J-029, 2005」によると、スペクトル拡散と相関計算を利用した電子透力しの場 合、電子透力しの偽陽性の意味での検出の信頼性を表す検出評価値は、スペクトル 拡散の系列長の平方根に比例して大きくなる。一方、本実施の形態のように複数の 周波数帯域に重畳して電子透かしを埋め込むとき、全体の信号劣化を抑えるために は各周波数帯域毎の透かし信号のエネルギーを少なくする必要がある。すなわち、 信号劣化の程度を変化させずに (例えば、 PSNRの値を変化させずに) n個の周波数 帯域に多重化する場合、個々の透かし信号のエネルギーは単独の周波数帯域に埋 め込む場合と比較して lZnとなり、振幅は 1Z nとなる。これは、個々の埋め込み
強度が 1Z nとなることと等 U、。
[0719] 前述の文献「山本奏、中村高雄、高嶋陽一、片山淳、北原亮、宫武隆「フレーム重 畳型動画像電子透力しの検出性能評価に関する一考察」情報科学技術フォーラム F IT2005, J-029, 2005」によると、埋め込み強度が lZ nとなるとき、透かしにとってノ ィズとなる原画成分が十分小さければ、電子透かしの検出評価値は、埋め込み強度 によらず一定となる(当該文献の図 1で αが大きくなる極限、すなわち埋め込み強度 が原画成分に比べて十分に大きくなるとき、 Ε[ Ρ ]は 1に漸近する)また、透かしに とってノイズとなる原画成分が十分大きければ、電子透かしの検出評価値は、 1/ ηとなる(当該文献の図 1で αが小さくなる極限、すなわち埋め込み強度が原画成分 に比べて十分に小さくなるとき、 Ε[ Ρ ]は原点を通る直線に近づく)。
[0720] 結果として、 η個の周波数帯域に多重化する場合、単独の周波数帯域に埋め込む 場合と比較して、
一透かしにとってノイズとなる原画成分が十分小さければ、電子透かしの検出評価 値は、スペクトル拡散の系列長の平方根に比例して大きくなり、
一透かしにとってノイズとなる原画成分が十分大きい場合でも、最悪でも電子透か しの検出評価値は変化しない
こととなり、全体としては検出評価値は大きくなり、結果としてより信頼度の高い検出 が可能となる。
[0721] また、各検出複素パターン 3161毎に得られた同期変位量 3162に基づいて Ν次元 目の方向の変位量を精度良く求め、それを用いて同期変位量を求め直す方法を用 いれば、より精度の高い同期変位量を算出することが可能となり、電子透力しの検出 精度を高めることができ、逆に同程度の検出精度であれば電子透力しの埋め込みを 弱くすることができ、品質劣化の少ない電子透かしを実現できる。
[0722] また、時間変調部 520及び時間復調部 610として、本発明の第 2の実施の形態の 時間変調部 130b及び時間復調部 210c、 210dを利用する場合には、複数の周波 数の時間変調、時間復調の処理を一度のフーリエ変換で実施することができ、より高 速な処理が可能となる。
[0723] [第 8の実施の形態]
く時間多重埋め込み〉
以下に、本発明の第 8の実施の形態における電子透かし埋め込み装置及び電子 透かし検出装置について説明する。
[0724] 本実施の形態は、第 5の実施の形態における電子透かし埋め込み装置及び電子 透かし検出装置を利用し、入力前信号に対して同期パターンとそれに続く複数の埋 め込み情報に基づく埋め込みパターンを埋め込み、同期の変位量を検出して多量 の埋め込み情報を効率よく埋め込み、検出する例である。
[0725] 〈電子透かし埋め込み装置〉
本実施の形態における電子透力し埋め込み装置は、第 1の実施の形態における電 子透力し埋め込み装置 100と同様の構成を持っており、複素パターン生成部 110の 動作が一部異なっている。
[0726] 本実施の形態における電子透かし埋め込み装置 100による電子透かしの埋め込み 処理は以下の手順で行われる。
[0727] 図 59は、本発明の第 8の実施の形態における電子透力し埋め込み装置の動作の フローチャートである。
[0728] ステップ 1901) 複素パターン生成部 110において、入力された埋め込み情報 91
1に基づいて埋め込み複素パターン 921を生成する。このとき、時間変調部 130の周 期信号生成部 131の生成する周期信号の 1周期毎に、埋め込み情報に基づいて埋 め込み複素パターン 921が変化するように生成する。
[0729] 複素パターン生成部 110の動作の詳細については後述する。
[0730] ステップ 1902) 時間変調部 130において、複素パターン生成部 110で生成され 第 1の記憶部 150に格納されて 、る複素パターン 921に基づ 、て埋め込みパターン
922を生成し、第 2の記憶部 160に格納する。
[0731] 時間変調部 130の動作は、複素パターン生成部 110の生成した埋め込み複素パタ ーン 921に応じて、埋め込みパターン 922が周期毎に変化する点を除いて、第 1の 実施の形態における時間変調部 130の動作と同様である。
[0732] なお、時間変調部 130については、その他の実施の形態の時間変調部を用いても よい。例えば、第 2の実施の形態の時間変調部 130bを用いても構わないし、第 6の
実施の形態の時間変調部 130cを用いても構わな 、。
[0733] ステップ 1903) 埋め込みパターン重畳部 140において、時間変調部 130で生成 され、第 2の記憶部 160に格納されている埋め込みパターン 922を、入力された埋め 込み前信号 912に重畳し、埋め込み済み信号 923を出力する。
[0734] 埋め込みパターン重畳部 140の動作は、第 1の実施の形態と同様である。
[0735] く電子透かし埋め込み装置ー複素パターン生成部〉
以下に、複素パターン生成部 110cの動作の詳細を説明する。
[0736] 図 60は、本発明の第 8の実施の形態における複素パターン生成部の構成例を示 す。
[0737] 複素パターン生成部 110cは、埋め込み系列生成部 117、複素配列生成部 116、 埋め込み情報分割部 114、同期系列生成部 115から構成され、埋め込み情報 911 が入力され、埋め込み複素パターン 921を出力する。
[0738] 複素パターン生成部 110cによる埋め込み複素パターンの生成処理は以下の手順 で実施される。
[0739] 図 61は、本発明の第 8の実施の形態における複素パターン生成部の動作のフロー チャートである。
[0740] ステップ 2001) 同期系列生成部 115において、予め決められた同期合わせ用の 数値の列である同期系列 917を生成する。
[0741] 同期系列生成部 115の動作の詳細については後述する。
[0742] ステップ 2002) 埋め込み情報分割部 114において、入力された埋め込み情報 91 1を複数の部分埋め込み情報 916に分割する。分割の方法はどのようなものでも構 わない。例えば、埋め込み情報 911の前力も順に Kビットずつ分割するようなもので あってもよい。
[0743] ステップ 2003) 埋め込み系列生成部 117において、埋め込み情報分割部 114で 得られた部分埋め込み情報 916に基づ 、て、埋め込み情報を表す数値の列である 埋め込み系列 913を生成する。
[0744] 埋め込み系列生成部 117の動作は、複数の部分埋め込み情報 916のそれぞれに 対して埋め込み系列 913を生成する点を除いて、第 1の実施の形態の埋め込み系列
生成部 111と同様である。
[0745] ステップ 2004) 複素配列生成部 116において、同期系列生成部 115で生成され た同期系列 917及び、埋め込み系列生成部 117で生成された各埋め込み系列 913 を、それぞれ N—1次元の複素配列上の要素の実部及び虚部に割り当て、複数の埋 め込み複素パターン 921を生成する。
[0746] 複素配列生成部 116の動作の詳細につ 、ては後述する。
[0747] く電子透かし埋め込み装置ー複素パターン生成部一同期系列生成部〉
同期系列生成部 115では、次のような処理により同期系列 115を生成する。
[0748] 同期系列 115は、電子透かし検出装置において同期合わせに用いる値の列であり 、他の埋め込み系列と重複しないように擬似乱数列を用いて生成する。すなわち、擬 似乱数列 SPN= {SPN , SPN , · ··, SPN } (Lは系列の長さ)とするとき、同期系列
1 2 し
s = { s , S , …, S }を
1 2 し
s = SPN= {SPN , SPN , …, SPN } (116)
1 2 し
のように決定しても良い。
[0749] く電子透力し埋め込み装置ー複素パターン生成部ー複素配列生成部〉
複素配列生成部 116の動作は、第 1の実施の形態の電子透かし埋め込み装置に おける複素配列生成部 112と類似しているが、同期系列 917及び複数の埋め込み 系列 913のそれぞれに対応する複素配列を構成し、それを時間変調部 130の周期 信号生成部 131の生成する周期信号の 1周期毎に、埋め込み複素パターン 921が 順次入れ替わるように生成する点が異なって 、る。
[0750] 複素配列生成部 116では、次のような処理により埋め込み複素パターン 921を生 成する。
[0751] 1) 第 1の実施の形態の電子透かし埋め込み装置 100における複素配列生成部 1 12と同様の手順により、同期系列生成部 115で生成された同期系列 917に基づい た埋め込み複素パターン SPを生成する。
[0752] 2) 第 1の実施の形態の電子透かし埋め込み装置 100における複素配列生成部 1 12と同様の手順により、埋め込み系列生成部 117で生成された各埋め込み系列 91 3に基づいた埋め込み複素パターン A , A , · ··, Αを生成する。但し、 kは埋め込み
系列生成部 117で生成された埋め込み系列 913の数、即ち、埋め込み情報分割部
114での情報の分割数である。
[0753] 3) 時間変調部 130の周期信号生成部 131の生成する周期信号の 1周期毎に、 下記の順に埋め込み複素パターンを繰り返し出力する。
[0754] SP, SP, A , A , · ··, A , SP, SP, A , A , · ··, A ,…
1 2 k 1 2 k
(117)
末尾の…は、全体が同様に繰り返されることを表す。
[0755] ここで、同期系列 917に基づいた埋め込み複素パターン SPを 2回繰り返して出力 しているが、これは 3回以上繰り返すようにしても構わない。その場合は、電子透かし 検出装置において複数回繰り返していることを想定して電子透力しの検出を行うよう にすることは言うまでもな 、。
[0756] このように生成された埋め込み複素パターン 921に基づ 、て埋め込みパターンが 生成され、埋め込み前信号に重畳されることで、埋め込み情報を時分割で埋め込む ことになる。
[0757] 図 62に、複数の情報を時分割で連続して埋め込む例を示す。同図のように、各埋 め込み複素パターンから生成される埋め込みパターンが連結されて埋め込み前信号 に重畳される。
[0758] く電子透かし検出装置〉
図 63は、本発明の第 8の実施の形態における電子透かし検出装置の構成例を示 す。
[0759] 同図に示す電子透かし検出装置 700は、埋め込み済み信号分割部 710、同期時 間復調部 720、同期検出部 730、同期済信号分割部 740、時間復調部 750、検出 情報抽出部 760、パターン記憶部 770から構成され、埋め込み済み信号 923が入力 され、検出情報 3812を出力する。
[0760] なお、図 63において、図 10との対応の理解を容易にするため、下から上に情報が 流れるように構成が記載されて 、ることに注意された 、。
[0761] 電子透かし検出装置 700による電子透力しの検出処理は以下の手順で実施される
[0762] 図 64は、本発明の第 8の実施の形態における電子透かし検出装置の動作のフロー チャートである。
[0763] ステップ 2101) 埋め込み済み信号分割部 710において、電子透かし埋め込み装 置 100の時間変調部 130における周期信号の周期と同じ長さの分の埋め込み済み 信号 923を入力し、部分埋め込み済み信号 3816を得る。
[0764] ステップ 2102) 同期時間復調部 720において、ステップ 2101で分割された部分 埋め込み済み信号 3816に対し、第 1の実施の形態における電子透かし検出装置の 時間復調部 210と同様の手順によって複素パターンに復調し、これを同期複素バタ ーン 3813とする。
[0765] なお、同期時間復調部 720については、本発明のこの他の実施の形態における時 間復調部と同様の動作としてもよい。例えば、第 2の実施の形態の時間復調部 210c の動作と同様にしても構わない。
[0766] ステップ 2103) 同期検出部 730において、ステップ 2102で得られた同期複素パ ターン 3813に対し、第 5の実施の形態における電子透かし検出装置 300の同期検 出部 320と同様の手順によって同期変位量 3814を求める。
[0767] 同期検出部 730において、同期変位量を求められな力つた場合には、ステップ 21
01に戻り、 1周期分後ろの埋め込み済み信号に対して処理を繰り返す。
[0768] 同期検出部 730の動作の詳細については後述する。
[0769] ステップ 2104) 同期済信号分割部 740において、ステップ 2103で得られた同期 変位量 3814の分、埋め込み済信号 923をシフトさせた位置から、電子透かし埋め込 み装置 100の時間変調部 130における周期信号の周期と同じ長さで埋め込み済み 信号 923を分割し、電子透かし埋め込み装置 100の埋め込み情報分割部 114で分 割された埋め込み情報の数の同期済部分信号 3817を得る。
[0770] 同期済信号分割部 740の動作の詳細については後述する。
[0771] ステップ 2105) 時間復調部 750において、ステップ 2104で分割された各同期済 み部分信号 3817に対し、第 1の実施の形態における電子透かし検出装置 200の時 間復調部 210と同様の手順によって複素パターンに復調し、これを検出複素パター ン 3815とし、パターン記憶部 770に格納する。
[0772] なお、時間復調部 750については、本発明のこの他の実施の形態における時間復 調部と同様の動作としてもよい。例えば、第 2の実施の形態の時間復調部 210cの動 作と同様にしても構わない。
[0773] ステップ 2106) 検出情報抽出部 760において、ステップ 2105で得られた各検出 複素パターン 3815に対し、第 1の実施の形態における電子透かし検出装置 200の 検出情報抽出部 220と同様の手順により各々の検出情報を得た上で、さらに、各検 出情報を連結し、全体の検出情報 3812を出力する。
[0774] 検出情報抽出部 760の動作の詳細については後述する。
[0775] く電子透かし検出装置一同期検出部〉
以下に、同期検出部 730の動作の詳細を説明する。
[0776] 同期検出部 730における動作は、第 5の実施の形態における電子透かし検出装置 300の同期検出部 320と同様である力 以下の点が異なっている。
[0777] 第 5の実施の形態における複素相関値計算部 322において、想定される埋め込み 系列に基づいて構成された複素数系列との複素相関を計算したのに対し、本実施の 形態の複素相関値計算部 322では、電子透力し埋め込み装置 110cの同期系列生 成部 115で生成される同期系列 917に基づいて構成された複素数系列との複素相 関を計算する。
[0778] また、同期検出最大値判定部 324において、絶対値 1513の値が所定の閾値を越 えていない場合には同期パターンを検出できな力つたものと判断し同期変位量 150 2を出力しない。
[0779] 前述のように埋め込み済み信号分割部 710で 1周期分ずつ順次切り出された埋め 込み済信号に対して、同期変位量 3814が求められるまで繰り返し処理を行うことに なり、同期系列が見つ力るまで埋め込み済信号を順次スキャンすることになる。
[0780] このとき、図 62で示したように、同期系列から構成された埋め込みパターン(図 62 の「同期パターン」 )は 2回繰り返されて 、るため、予め同期の取れて ヽな 、どのような タイミング力 処理を開始しても、 1周期分ずつの処理を行うだけでいずれ 1周期分の 同期パターンを巡回させたものにあたるため、同期パターンを検出することができる。
[0781] このとき、例えば、映像信号の場合などで 1フレームずつずらしながら同期パターン
を探す必要はなぐ 1周期分ずつ処理することができるため、効率的に同期パターン の探索が可能である。
[0782] この様子を図 65に示す。
[0783] く電子透かし検出装置一同期済信号分割部〉
以下に、同期済信号分割部 740の動作の詳細を説明する。
[0784] 同期済信号分割部 740では、同期検出部 730で得られた同期変位量 3814に基 づき、同期を合わせた位置力も埋め込み済信号 923を 1周期分ずつ分割する。
[0785] すなわち、同期変位量 3814
[0786] [数 93]
4 ΤΑΘ
の分だけ埋め込み済信号 923を読み飛ばす、もしくは、 T Atの分だけ埋め込み済 信号 923を遡って分割を行えば、埋め込みパターンと同期のあった形で 1周期分ず つ切り出すことができる。
[0787] なお、同期パターンの検出タイミングによって、同期済信号分割部 740で分割され た先頭の同期済部分信号 3817が同期系列の埋め込まれた区間である場合と、一つ 目の埋め込み系列が埋め込まれた区間である場合とありうる力 これについては各区 間に対して再度同期系列もしくは該当する埋め込み系列の検出を試行することで容 易に判断することが可能である。
[0788] このようにして、各埋め込み系列に対応する区間をそれぞれ同期済部分信号 3817 として切り出す。
[0789] く電子透かし検出装置一検出情報抽出部〉
以下に、検出情報抽出部 760の構成例を示す。
[0790] 図 66は、本発明の第 8の実施の形態における検出情報抽出部の構成例である。
[0791] 検出情報抽出部 760は、検出系列抽出部 761、相関値計算部 762、最大値判定 部 763、検出情報再構成部 764、検出情報連結部 765から構成され、検出複素バタ
ーン 3815が入力され、検出情報 3812を出力する。
[0792] なお、同図においては、図 60との対応の理解を容易にするため、下から上に情報 が流れるように構成が記載されて 、ることに注意された 、。
[0793] 検出情報抽出部 760による検出情報抽出処理は、以下の手順で実施される。
[0794] 図 67は、本発明の第 8の実施の形態における検出情報抽出部の動作のフローチヤ ートである。
[0795] ステップ 2201) 検出系列抽出部 761、相関値計算部 762、最大値判定部 763、 検出情報再構成部 764の各部において、第 1の実施の形態の電子透かし検出装置 200における検出情報抽出部 220の対応する各部の動作と同様の処理によって部 分検出情報 3615を得る。
[0796] 但し、入力された各検出複素パターン 3815毎にそれぞれ処理を行い、検出情報 再構成部 764が複数の部分検出情報 3615を出力する点が異なっている。
[0797] ステップ 2202) 検出情報連結部 765において、検出情報再構成部 764で得られ た複数の部分検出情報 3615を連結し、検出情報 3812を構成し、これを出力する。
[0798] 複数の部分検出情報 3615の連結は、電子透かし埋め込み装置の埋め込み情報 分割部 114における分割処理の逆処理となっている。例えば、埋め込み情報分割部 114にお 、て埋め込み情報 911の前力 順に Kビットずつに分割するようにされて ヽ る場合は、部分検出情報 3615を順に連結するようにしてもよい。
[0799] く電子透かし検出装置のその他の構成例〉
上記の例において、同期済信号分割部 740では、 1周期分ずつ埋め込み済信号を 分割する例を示した力 電子透力 埋め込み装置 100の複素配列生成部 116にお いて、同期系列に対応する埋め込み複素パターン力 4回以上繰り返すようにして埋 め込まれている場合には、同期済信号分割部 740において、複数周期分ずつ埋め 込み済信号を分割するようにしても構わな ヽ。
[0800] 上記の例において、埋め込み済信号分割部 710では、 1周期分ずつ埋め込み済 信号 923を分割する例を示したが、電子透力 埋め込み装置 100の複素配列生成 部 116において、各埋め込み系列に対応する埋め込み複素パターン力 下記の例 のように複数回ずつ続けて繰り返すように生成されている場合には、埋め込み済信
号分割部 710において、繰り返しの内の先頭位置を判断した上で複数周期分ずつ 埋め込み済信号を分割するようにしてもょ 、。
[0801] SP, SP, SP, SP, A , A , A , A , · ··, A , A , SP, SP,…
1 1 2 2 k k
(118)
繰り返しの内の先頭位置を判断するためには、同期変位量 3814によって 1周期の 開始点は既に明らかであるため、 1周期分で切り出した区間毎に同期系列もしくは該 当する埋め込み系列の検出を試みることで容易に判断することが可能である。
[0802] く第 8の実施の形態の特徴〉
本実施の形態の電子透かし埋め込み装置及び電子透かし検出装置によれば、時 分割で信号の区間毎に異なる部分埋め込み情報を埋め込むことで、多量の埋め込 み情報を信号に埋め込むことが可能となる。
[0803] 電子透かし検出においては、 1周期開始点の同期合わせを容易に実施できるため 、変位量を順次試すといった総当り的な手法、すなわち例えば映像信号の場合に同 期信号を 1フレームずれ毎にマッチングして探索するような手法によらず、効率的か つ高速に同期合わせを行い、電子透力 を検出することが可能となる。
[0804] また、本実施の形態の電子透かし埋め込み装置の変形例として、同期系列を各埋 め込み系列に重畳するように埋め込むようにしてもよい。すなわち、同期系列から生 成される埋め込みパターンを各埋め込み系列から生成される埋め込みパターンと加 算し、次のように埋め込む。
[0805] SP+A , SP+A , SP+A , · ··, SP+A , SP+A ,…
1 2 3 k 1
このように埋め込みを行った場合、同期系列を検出する際のステップ 2101におい て、埋め込み済み信号 923を周期信号の周期と同じ長さに分割せずに、同期系列の 検出に十分な量の埋め込み済信号を用いて精度良く同期系列を検出できる。これか ら得られた同期変位量に基づいて埋め込み済信号を分割して各埋め込み系列を検 出することができることは既に述べたものと同様である。
[0806] [第 9の実施の形態]
く直交変換領域埋め込み〉
以下に、第 9の実施の形態における電子透かし埋め込み装置について説明する。
[0807] 本実施の形態は、第 1の実施の形態における電子透かし埋め込み装置の別な構成 例を示すものである。
[0808] 〈電子透かし埋め込み装置〉
図 68は、本発明の第 9の実施の形態における電子透かし埋め込み装置及び電子 透かし検出装置の構成例を示す。
[0809] 本実施の形態における電子透かし埋め込み装置 800は、複素パターン生成部 810
、埋め込みパターン重畳部 820、埋め込み前信号変換部 830、埋め込み済信号逆 変換部 840、第 1の記憶部 850から構成され、埋め込み情報 911、埋め込み前信号
912が入力され、埋め込み済信号 923を出力する。
[0810] 以下に、電子透かし埋め込み装置 800の動作を説明する。
[0811] 電子透かし埋め込み装置 800による電子透かし埋め込み処理は以下の手順で実 施される。
[0812] 図 69は、本発明の第 9の実施の形態における電子透力し埋め込み装置の動作の フローチャートである。
[0813] ステップ 2301) 複素パターン生成部 810において、入力された埋め込み情報 91 1に基づ!/、て埋め込み複素パターン 4021を生成し、第 1の記憶部 850に格納する。
[0814] 複素パターン生成部 810の処理は、第 1の実施の形態の電子透かし埋め込み装置 100における複素パターン生成部 110と同様である。
[0815] ステップ 2302) 埋め込み前信号 912から所定の区間 Tの長さの信号を入力する。
[0816] ステップ 2303) 埋め込み前信号変換部 830において、ステップ 2302で得た区間 の位置 (X , X , · · · , X )毎に 1次元離散フーリエ変換し、周波数分解し、変換済み
1 2 N- 1
埋め込み前信号 4022を得る。
[0817] 埋め込み前信号変換部 830の動作の詳細については後述する。
[0818] ステップ 2304) 埋め込みパターン重畳部 820において、ステップ 2303で得られ た変換済み埋め込み前信号 4022に対し、ステップ 2301で得られた埋め込み複素 パターン 4021を重畳し、逆変換前埋め込み済み信号 4023を得る。
[0819] 埋め込みパターン重畳部 820の動作の詳細については後述する。
[0820] ステップ 2305) 埋め込み済信号逆変換部 840において、ステップ 2304で得られ
た逆変換前埋め込み済信号 4023に対し、位置 (X , X , ···, X )毎に一次元離散
1 2 N-1
逆フーリエ変換し、埋め込み済み信号 923を得る。
[0821] 埋め込み済信号逆変換部 840の動作の詳細については後述する。
[0822] ステップ 2306) 埋め込み前信号 912を全て処理し終えるまで上記のステップ 230
2〜2305を繰り返す。
[0823] く電子透かし埋め込み装置 埋め込み前信号変換部〉
以下に、埋め込み前信号変換部 830の動作の詳細について説明する。
[0824] 埋め込み前信号変換部 830では、埋め込み前信号 912から取り出された区間丁の 信号を 1次元の離散フーリエ変換し、周波数分解する。
[0825] 具体的に式を用いて以下に説明する。
[0826] 埋め込み前信号 912を Ι(χ , χ , ···, χ , t)とする。
1 2 N-1
[0827] I(x , x , ···, x , t)を次のように一次元離散フーリエ変換し、 r? (x , x , ···, x
1 2 N-1 1 2 N u)を得る。
[0828] [数 94]
(1 1 9)
但し、 Τは予め決められた所定の標本数であるとする。
[0829] 7? (χ , X , ···, X , u)を変換済み埋め込み前信号 4022として出力する。
1 2 N-1
[0830] 〈電子透かし埋め込み装置 埋め込みパターン重畳部〉
以下に、埋め込みパターン重畳部 820の動作の詳細を説明する。
[0831] 埋め込みパターン重畳部 820では、埋め込み前信号変換部 830で得られた Ν次元 の変換済み埋め込み前信号 4022の、特定の周波数に対応する Ν— 1次元平面部 分に対し、複素パターン生成部 810で生成された Ν— 1次元の埋め込み複素パター ン 4021を加算することで重畳し、重畳した結果の周波数を含む全体の Ν次元の信号 を逆変換前埋め込み済み信号 4023として出力する。
[0832] 具体的に式を用いて以下に説明する。
[0833] 埋め込み前信号変換部 830で得られた変換済み埋め込み前信号 4022を r? (χ , x , · ··, χ , u)、複素パターン生成部 810で得られた埋め込み複素パターン 4021
2 N- 1
を Ρ(χ , X , · · · , X )とし、生成する逆変換前埋め込み済み信号 4023を、 7? ' (χ ,
1 2 N- 1 1
X , · · · , X , U)とする。
2 N- 1
[0834] [数 95] (H = W
0のとき)
+ αΡ * {χ] (w =ひ- u
0のとき η{χ, χ, - , χ, υ) ("≠w
0のとき)
( 1 2 0 )
但し、 *は複素共役を表し、 uは予め決められた周波数、 Uは周波数標本の数で
0
あるとする。すなわち、ここでは、 u=uと u=U— uが周波数 uに対応する N— 1次
0 0 0
元平面として選択されていることになる。なお、 u=uと u=U— uで Pの共役複素数
0 0
を与えるのは離散逆フーリエ変換の結果得られる信号が実数値となるためである。
[0835] また、 aは強度パラメータであり、埋め込み前信号 912の全体または部位力も算出 される特徴量に応じて変化するように構成されて 、ても構わな 、点は、第 1の実施の 形態における埋め込みパターン重畳部 140の場合と同様である。
[0836] また、埋め込み前信号 912の大きさが埋め込み複素パターン 4021よりも大きい場 合は、埋め込み複素パターン 4021を繰り返すように加算してもよい点も、第 1の実施 の形態における埋め込みパターン重畳部 140の場合と同様である。
[0837] また、埋め込み複素パターンの重畳に先立ち、埋め込み複素パターン 4021を複 数倍、もしくは埋め込み前信号 912の大きさに揃うように拡大するようにしても良!ヽ点 も、第 1の実施の形態における埋め込みパターン重畳部 140の場合と同様である。
[0838] また、埋め込み複素パターンの重畳に先立ち、実際に重畳を行う u=u及び u=u
0
-uとなる変換済み埋め込み信号 4022の部分を N— 1次元の離散フーリエ変換で
0
変換した後に重畳を行い、さらに、 N— 1次元の離散逆フーリエ変換で逆変換するよ うにしてもよい。
[0839] N— 1次元の離散フーリエ変換を行う場合、埋め込み前信号変換部 830での一次
元離散フーリエ変換と合わせて、 1回の N次元の離散フーリエ変換として処理しても よい。また、同様に、 N—1次元の離散逆フーリエ変換を、後述の埋め込み済み信号 逆変換部 840での一次元離散逆フーリエ変換と合わせて、 1回の N次元離散逆フー リエ変換として処理してもよい。但し、上記のように一次元離散フーリエ変換と N—1 次元の離散フーリエ変換、一次元離散逆フーリエ変換と N— 1次元の離散逆フーリエ 変換とを、個々別々に実施することで、実際に重畳を行う u=u及び u=U— uの N
0 0 1次元平面につ!、てのみ N— 1次元の離散フーリエ変換、離散逆フーリエ変換を 行えば済むことから、処理を高速に行える利点がある。
[0840] く埋め込み済信号逆変換部〉
以下に埋め込み済み信号逆変換部 840の動作の詳細について説明する。
[0841] 埋め込み済信号逆変換部 840では、逆変換前埋め込み済み信号 4023を位置 (X
, X , · · · , X )毎に一次元離散逆フーリエ変換し、埋め込み済信号 923を得る。
2 N-1
[0842] 具体的に式を用いて以下に説明する。
[0843] 逆変換前埋め込み済信号 4023を 7? ' (χ , χ , · · ·, x , u)とする。
1 2 N-1
[0844] r? ' (x , x , · · · , x , u)を次のように一次元離散逆フーリエ変換し、 Γ (χ , X , · · · ,
1 2 N-1 1 2
X , t)を得る。
N-1
u=0
く第 9の実施の形態の特徴〉
本実施の形態の電子透かし埋め込み装置によれば、第 1の実施の形態の電子透 かし埋め込み装置と同様の特徴を持つ電子透力しを埋め込むことができる。
また、第 7の実施の形態と同様の方法により、複素パターン生成部 810において複 数の複素パターンを生成し、埋め込みパターン重畳部 820において、変換済埋め込 み前信号 4022の複数の周波数に対応する N— 1次元平面部分に各複素パターン を加算するようにすることで、第 7の実施の形態の電子透かし埋め込み装置と同様の
特徴を持つ電子透力 を埋め込むことができる。
[0847] [その他の実施の形態]
以下に本発明のその他の実施の形態として、各実施の形態と組み合わせることが できる構成例を示す。
[0848] 〈検出時のプレフィルタ使用〉
第 1乃至 Z及び第 8の各実施の形態において、周期信号として正弦波を利用した 場合、電子透力しが埋め込まれているのは N次元目の方向(例えば映像信号の場合 に時間方向)の単一周波数になる。その他の周期信号を用いた場合にも、その基本 周波数が最も重要である。電子透かし検出装置による検出に先立ち、埋め込み済み 信号に対して該当の周波数を強調するフィルタ処理を行うことでより高精度に電子透 力しの検出ができるようにしてもよ!、。
[0849] フィルタの例としては、 FIRフィルタや IIRフィルタなどのデジタルフィルタを用いて特 定の周波数帯域を強調する帯域通過型フィルタを構成しても良い。また、所定の閾 値を越えるまたは下回る信号値を該当閾値に抑えるクリッピングフィルタや、所定の 閾値を越えるまたは下回る信号値を 0と見做す εフィルタ等といった非線形フィルタ を用いることで、原画成分等の電子透かしにとってのノイズ成分を効率的に除去しな 力 Sら電子透かし成分を残すようなフィルタ処理を行ってもよい。
[0850] また、本発明の第 7の実施の形態においては、複数の周期信号を用いて複数の周 波数帯域を利用して電子透力 を埋め込んでいるが、それぞれの周期信号に対する 時間復調の処理に先立って、それぞれの周期信号に合わせた特性を持つフィルタを それぞれ用いてフィルタ処理を行うようにしてもょ 、。
[0851] 特に、本発明では Ν次元目の方向の単一の周波数を用いて電子透力しの埋め込 みを行うため、直線位相特性がなく位相特性の悪 ヽフィルタを使用しても検出性能へ の影響がな 、。よって IIRフィルタのように位相特性の悪!、代わりに少な!/、ΤΑΡ数で鋭 敏な周波数特性を持ち高速処理の可能なフィルタを用いることが可能となり高精度な 電子透かし検出処理を高速に実行することが可能である。
[0852] く埋め込み済信号に対する処理〉
本発明の各実施の形態において、例えば、図 10、図 52、図 68などでは、電子透か
し埋め込み装置から出力された埋め込み済み信号を直接電子透かし検出装置に入 力するように描かれているが、埋め込み済信号を圧縮、符号化、配信、編集、改変な どした上で電子透かし検出装置に入力されてもよいことは言うまでもない。また、埋め 込み済信号を磁気媒体 (例えば、 VTR、 DVD、フロッピー (登録商標)ディスク、 CD、 H DD等)やその他の媒体 (フィルム等)にー且記録したり、ネットワークを通じて伝送し たり、光学的なデバイスを用いて再生 (例えば映画としてスクリーンに映写する、 CRT や液晶、プラズマなどのディスプレイで表示する等)したものをビデオカメラ、携帯電 話のカメラ、フィルムを用いたカメラ等の撮影手段を用いて再撮影したりしても構わな いことは言うまでもない。
[0853] く時間変調処理〉
本発明の各実施の形態において、便宜上、「時間変調部」「時間復調部」と呼んで いるが、それが実際の信号において、必ずしも時間軸方向の変調を行うものである必 要はなぐ元の N— 1次元と直交する次元であれば異なる次元方向の変調であっても 構わない。
[0854] 例えば、 2次元の信号力もなる画像信号に電子透力 を埋め込む場合に、画像の 横方向で定義される 1次元複素配列を N— 1次元の埋め込み複素パターンとして構 成し、これを縦方向に変調して 2次元の埋め込みパターンを得るようにしても構わな い。縦と横を入れ替えてもよいことは言うまでもない。
[0855] また、例えば、空間方向(X, Y) 2次元と時間方向 1次元で合計 3次元の映像信号 に電子透かしを埋め込む場合に、画像の横方向と時間方向で定義される 2次元複素 配列を N— 1次元の埋め込み複素パターンとして構成し、これを縦方向に変調して 3 次元の埋め込みパターンを得るようにしても構わな ヽ。縦と横を入れ替えてもよ!/ヽこと は言うまでもない。
[0856] また、本発明の各実施の形態においては、入力信号である埋め込み前信号は N次 元の信号である場合を例に説明した力 M (〉N)次元の入力信号に対して、 N次元の 埋め込みを繰り返すように構成してもよ ヽ。
[0857] 例えば、空間方向(X, Y) 2次元と時間方向 1次元で合計 3次元の映像信号の入力 に対して、映像の各フレーム画像毎に 2次元の信号とみなし、上述のように横方向の
1次元複素配列を縦方向に変調した 2次元の埋め込みパターンを構成して埋め込み を行い、これを全てのフレームに対して繰り返し実施することで、電子透かしの埋め 込みを行って構わない。電子透力しの検出に際しては、各フレーム毎に処理を行つ てもよ 、し、各フレーム画像を重畳した信号に対して処理を行っても構わな 、。
[0858] く誤り訂正符号等の利用〉
本発明の各実施の形態において、埋め込み系列生成部での埋め込み情報の処理 に先立って、誤り訂正符号を用いて埋め込み情報を符号ィ匕してもよぐ逆に、検出情 報の出力に先立って誤り訂正符号を復号するようにしてもょ 、。
[0859] く N— 1次元の直交変換〉
本発明の第 3の実施の形態では、 N— 1次元逆フーリエ変換部 113、 N— 1次元フ 一リエ変換部 225における N—1次元の複素パターンに対する直交変換の例として 離散フーリエ変換を用いて説明したが、離散フーリエ変換以外の複素数力 複素数 の変換を行う直交変換方法を用いても構わな 、。
[0860] なお、 N次元目の方向の同期変位を直交変換された領域で正しく処理できるため には N次元目の方向の同期変位により発生した係数 ejA 9が保存される変換であれば よぐ直交変換は線形変換であることからこの条件は直交変換である時点で既に満た されている。
[0861] く一次元の線形変換〉
また、第 2の実施の形態では、時間変調部 130bにおける一次元の変換の例として 離散フーリエ変換を用いて説明したが、離散フーリエ変換以外の複素数力 複素数 の変換を行う線形変換方法であって、下記の条件を満たす周期関数を基底に持ち、 逆変換が存在する線形変換方法であればどのようなものでも構わない。
[0862] また、同様に、本発明の第 9の実施の形態では、埋め込み前信号変換部 830及び 埋め込み済信号逆変換部 840における一次元の変換の例として一次元離散フーリ ェ変換及び一次元離散逆フーリエ変換を用いて説明したが、離散フーリエ変換以外 の複素数力 複素数の変換を行う線形変換方法であって、下記の条件を満たす周 期関数を基底に持ち、逆変換が存在する線形変換方法であればどのようなものでも 構わない。
[0863] 条件:
1)周期分積分した結果が 0となる。
[0864] 2)自己相関関数が鋭敏なピークを持たな!、。
[0865] これらの条件の詳細については既に周期信号の例として述べたとおりである。
[0866] 例えば、次のような線形変換であっても構わない。
[0867] [数 97]
べク トル ieC";i^らぺク トル e n
の線形変換を考え、変換を表す変換行列を Aとする。 :で Cは複素数全体の集合 を表す。
[0868] [数 98]
(122) ここで、
(1 23) (1 24)
= (yiy2 --ynf
とする。
[0869] このとき f (t)を上記の条件を満たす周期 nの周期関数とし、
[0870] [数 99]
(126)
となる変換行列 Aで表される線形変換であってもよ 、。ここで jは虚数単位である。
[0871] f (t)は図 4A〜Cに示したような(図 4A) (a)正弦波、(図 4B) (b)三角波、(図 4C) ( c)矩形波であってもよい。
[0872] く同期合わせ信号としての利用〉
本発明の第 5の実施の形態では、埋め込み情報を表す埋め込みパターン自体を用 いて時間方向の同期変位量を検出する方法を示したが、本発明の同期変位量検出 方法を任意の電子透力 方法と組み合わせて用いてもよい。すなわち、任意の電子 透力 方法による電子透力 埋め込みと併せて、本発明の電子透かし埋め込み方法 を用いて専用の同期合わせ信号を埋め込むように電子透力 埋め込み装置を構成 しておき、本発明の同期変位量検出方法を用いて該同期合わせ信号力も同期合わ せを行った後に、任意の電子透かし検出方法を用いて埋め込み情報を検出して出 力するよう、電子透かし検出装置を構成しても構わない。
[0873] また、同期系列を埋め込むための周期信号の周期を、埋め込み系列を埋め込むた めの周期信号の周期の整数倍となるようにしてもょ 、。
[0874] 〈その他〉
本発明の各実施の形態で示した構成を適宜組み合わせ使用しても構わない。
[0875] また、上記の各実施の形態の電子透かし埋め込み装置及び電子透かし検出装置 の各構成要素の動作をプログラムとして構築し、コンピュータにインストールして実行 させる、または、ネットワークを介して流通させることが可能である。
[0876] また、構築されたプログラムをノヽードディスクや、フレキシブルディスク 'CD— ROM 等の可搬記憶媒体に格納し、コンピュータにインストールする、または、配布すること が可能である。
[0877] 以上説明したように、本発明の一実施形態によれば、 N (Nは 2以上の整数)以上の 次元を持つ入力信号に対して埋め込み情報を電子透かしとして人間の知覚に感知 されな!/、ように埋め込む電子透かし埋め込み装置であって、前記埋め込み情報に基 づき埋め込み系列を生成し、第 1の記憶手段に格納する埋め込み系列生成手段と、 前記第 1の記憶手段の前記埋め込み系列に基づき N— 1次元パターンを生成する配 列生成手段と、前記 N— 1次元パターン上の値に応じて周期信号を変調することによ
り N次元の埋め込みパターンを生成し、第 2の記憶手段に格納する変調手段と、前 記第 2の記憶手段に格納されて 、る前記 N次元の埋め込みパターンを取得し、該埋 め込みパターンを前記入力信号に重畳する埋め込みパターン重畳手段と、を有する ことを特徴とする電子透かし埋め込み装置が提供される。
[0878] この電子透かし埋め込み装置によれば、 N— 1次元のパターンを N次元目の方向 に変調し埋め込みを行うことで、 N— 1次元のパターンの埋め込み情報を N次元空間 に広めた冗長性により、例えば高圧縮や再撮影などの改変に対しても十分な耐性が あり、品質劣化を抑え、情報長の長い情報を電子透かしとして埋め込むことができる
[0879] また、 N— 1次元の空間でスペクトル拡散された埋め込み系列を利用して N次元目 の方向での同期変位量に関わらず、同期合わせの不要、もしくは容易かつ高速に同 期合わせの可能な電子透力しを埋め込むことができる。
[0880] 前記変調手段は、前記 N— 1次元パターン上の位置によって N次元目の方向の位 相がそれぞれ異なるように N次元の埋め込みパターンを生成するよう構成してもよい 。この構成によれば、周期信号の位相を用いて電子透力しを埋め込むことで、 N—1 次元のパターンを N次元目の方向に容易かつ高速に変調が可能であると共に、周期 信号の位相変位を利用して N次元目の方向での同期変位量に関わらず、同期合わ せの不要、もしくは容易かつ高速に同期合わせの可能な電子透力しを埋め込むこと ができる。また、最低の映像信号量子化値未満になって実際には電子透力しの埋め 込みがなされな 、フレームが発生するのを防ぐことができ、電子透かしの伝送路とし ての映像信号を有効利用できると共に、電子透力しの振幅の大きいフレームを狙つ て改変するといつた攻撃に対する耐性を増すことができる。
[0881] また、埋め込みパターンの N— 1次元空間上で位相が拡散されていることにより、相 関計算の結果の中で埋め込み前信号に起因して現れるノイズ成分の大きさがより小 さくなり、結果、より信頼性の高い電子透力しの埋め込み、検出が可能となり、また従 来と同程度の信頼性でより品質劣化の少ない電子透力しの埋め込み、検出が可能と なる。
[0882] また、同一の基本周波数を持ち直交する 2つの周期信号の和を用いて電子透かし
を埋め込むことで、 N— 1次元のパターンを N次元目の方向に容易かつ高速に変調 が可能であると共に、周期信号の位相変位を利用して N次元目の方向での同期変 位量に関わらず、同期合わせの不要、もしくは容易かつ高速に同期合わせの可能な 電子透かしを埋め込むことができる。
[0883] また、周期信号として矩形波や三角波といった、自己相関関数が鋭敏なピークを持 たない特性を持ち、正弦波と比較して容易に計算可能な周期関数を利用することで 、計算資源の乏 、環境にお!、ても電子透かしの埋め込み処理をより高速に実現す ることがでさる。
[0884] また、変調に離散フーリエ変換などの線形変換を利用することで、例えば、高速フ 一リエ変換などを用いて N— 1次元のパターンを N次元の方向に容易かつ高速に変 調が可能であると共に、離散フーリエ変換係数などの線形変換係数を利用して N次 元目の方向での同期ずれに関わらず、同期合わせの不要、もしくは容易かつ高速に 同期合わせの可能な電子透力しを埋め込むことができる。
[0885] また、前記電子透かし埋め込み装置にお!、て、前記 N— 1次元パターンが複素数 パターンであって、前記配列生成手段は、前記埋め込み系列の一部を実部、一部を 虚部となるように前記 N— 1次元パターンを生成するようにしてもょ 、。
[0886] この構成によれば、複素数の実部、虚部を利用して埋め込みを行うと共に、パター ンの対称性に関する制約がなぐ N— 1次元の空間全体を用いて埋め込みを行うこと ができ、スぺ外ル拡散系列長を長くすることができ、検出の信頼性が高ぐまた従来 と同じ程度の信頼性でより長い埋め込み情報長を電子透力しとして埋め込むことがで き、従来と同程度の信頼性と情報長でより品質劣化の少ない電子透力 を埋め込む ことができる。
[0887] また、前記電子透かし埋め込み装置にお!、て、前記 N— 1次元パターンが複素数 ノ ターンであって、前記変調手段は、前記 N—1次元パターン上の複素数の偏角が 変調信号の位相となり、絶対値が変調信号の大きさとなるように前記周期信号を変調 するようにしてちょい。
[0888] この構成によれば、 N次元目の方向での同期変位量に関わらず、同期合わせの不 要、もしくは容易かつ高速に同期合わせの可能な電子透力 を埋め込むことができ
る。また、複素数の偏角が N次元目の軸の方向の変調信号の位相となるため、最低 の映像信号量子化値未満になって実際には電子透力しの埋め込みがなされないフ レームが発生するのを防ぐことができ、電子透力しの伝送路としての映像信号を有効 利用できると共に、電子透力しの振幅の大きいフレームを狙って改変するといつた攻 撃に対する耐性を増すことができる。
[0889] また、前記電子透かし埋め込み装置において、前記埋め込み系列生成手段は、生 成された前記埋め込み系列を分割して複数の埋め込み系列を生成し、前記第 1の記 憶手段に格納し、前記配列生成手段は、前記第 1の記憶手段に格納された前記複 数の埋め込み系列毎に各々対応する N— 1次元パターンを生成し、前記変調手段 は、前記 N— 1次元パターン毎に各々対応する N次元の埋め込みパターンを生成し 、前記第 2の記憶手段に格納し、前記埋め込みパターン重畳手段は、前記第 2の記 憶手段の前記埋め込みパターンを全て加算した後に、前記入力信号に重畳する、よ うに構成してもよい。
[0890] この構成によれば、複数の周期信号を利用して情報を埋め込むことで、より情報長 の長い埋め込み情報を電子透力しとして埋め込むことができ、また、検出結果の信頼 性をより正確に明らかにすることができると共に、スペクトル拡散系列長を長くすること ができ、より信頼性の高 、電子透力し埋め込みを行うことができる。
[0891] また、本発明の一実施態様によれば、 N (Nは 2以上の整数)以上の次元を持つ入 力信号に対して埋め込み情報を電子透力しとして人間の知覚に感知されないように 埋め込む電子透力 埋め込み装置であって、前記埋め込み情報に基づき埋め込み 系列を生成し、第 1の記憶手段に格納する埋め込み系列生成手段と、前記第 1の記 憶手段に格納されている前記埋め込み系列に基づき N— 1次元パターンを生成し、 第 2の記憶手段に格納する配列生成手段と、前記入力信号を直交変換し、変換済 信号を得る変換手段と、前記第 2の記憶手段に格納されている前記 N— 1次元バタ ーンを前記変換済信号の一部の N— 1次平面に重畳し、逆変換前信号を得る埋め 込みパターン重畳手段と、前記逆変換前信号を直交逆変換し、埋め込み済み信号 を得る逆変換手段と、を有することを特徴とする電子透かし埋め込み装置が提供され る。
[0892] この電子透かし埋め込み装置によれば、 N— 1次元のパターンを N次元目の方向 の信号として埋め込み前信号に重畳して埋め込みを行うことで、 N— 1次元のパター ンの埋め込み情報を N次元空間に広めた冗長性により、例えば高圧縮や再撮影など の改変に対しても十分な耐性があり、品質劣化を抑え、情報長の長い情報を電子透 力しとして埋め込むことができる。また、パターンの対称性に関する制約がなく N—1 次元の空間全体を用いて埋め込みを行うことができ、スペクトル拡散系列長を長くす ることができ、検出の信頼性が高ぐまた、従来と同程度の信頼性でより長い埋め込 み情報長を電子透力しとして埋め込むことができ、従来と同程度の信頼性と情報長 でより品質劣化の少ない電子透力しを埋め込むことができる。また、 N—1次元の空 間でスペクトル拡散された埋め込み系列を利用して N次元目の方向での同期変位量 に関わらず、同期合わせの不要、もしくは容易かつ高速に同期合わせの可能な電子 透力 を埋め込むことができる。また、最低の映像信号量子化値未満になって実際 には電子透力しの埋め込みがされないフレームが発生するのを防ぐことができ、電子 透力しの伝送路としての映像信号を有効利用できると共に、電子透かしの振幅の大 きいフレームを狙って改変するといつた攻撃に対する耐性を増すことができる。
[0893] 前記電子透かし埋め込み装置にお!、て、前記埋め込み系列生成手段は、複数の 埋め込み系列を生成して前記第 1の記憶手段に格納し、前記配列生成手段は、前 記第 1の記憶手段に格納されている前記複数の埋め込み系列毎に各々対応する N 1次元パターンを生成し、前記第 2の記憶手段に格納し、前記埋め込みパターン 重畳手段は、前記第 2の記憶手段に格納されている前記 N— 1次元パターンを前記 変換済み信号の複数の N— 1次元平面にそれぞれ重畳する、ようにしてもょ 、。
[0894] この構成によれば、変換済みの信号の複数の N— 1次元平面に N— 1次元パター ンを重畳することで、より情報長の長!、埋め込み情報を電子透かしとして埋め込むこ とができ、また、検出結果の信頼性をより正確に明らかにすることができると共に、ス ベクトル拡散系列長を長くすることができ、より信頼性の高 、電子透かし埋め込みを 行うことができる。
[0895] また、本発明の一実施態様によれば、 N (Nは 2以上の整数)以上の次元を持つ入 力信号に対して予め人間の知覚に感知されないように埋め込まれた電子透力 を検
出する電子透かし検出装置であって、前記入力信号の一つの次元方向における所 定の周期信号の成分を測定し、 N— 1次元パターンを求める復調手段と、前記 N— 1 次元パターンの値から検出系列を求め、記憶手段に格納する検出系列抽出手段と、 前記記憶手段に格納された前記検出系列と埋め込み系列の相関値の大きさに基づ いて、埋め込まれている電子透力しを検出する相関値計算手段と、を有することを特 徴とする電子透かし検出装置が提供される。
[0896] この電子透かし検出装置によれば、 N— 1次元のパターンの埋め込み情報を N次 元空間に広めた冗長性により、例えば、高圧縮や再撮影などの改変に対しても十分 な耐性があり、品質劣化を抑え、情報長の長い情報を電子透力しの検出ができる。ま た、 N— 1次元の空間でスペクトル拡散された埋め込み系列を利用して N次元目の 方向での同期変位量に関わらず、同期合わせの不要、もしくは容易かつ高速に同期 合わせの可能な電子透力しの検出ができる。
[0897] また、復調に離散フーリエ変換などの線形変換を利用することで、例えば、高速フ 一リエ変換などを用いて N次元の信号力 N— 1次元のパターンを容易かつ高速に 復調が可能であると共に、離散フーリエ変換係数など線形変換係数を利用して N次 元目の方向での同期ずれに関わらず、同期合わせの不要、もしくは容易かつ高速に 同期合わせの可能な電子透力しの検出ができる。
[0898] 前記復調手段は、同一の周波数を持つ直交する 2つの周期信号を生成し、前記入 力信号と前記周期信号との相関に基づいて N— 1次元パターンを求めるように構成 してちよい。
[0899] この構成によれば、 N— 1次元のパターンを N次元目の方向に容易かつ高速に復 調が可能であると共に、周期信号の位相変位を利用して N次元目の方向での同期 変位量に関わらず、同期合わせの不要、もしくは容易かつ高速に同期合わせの可能 な電子透かし検出が可能である。
[0900] また周期信号として矩形波や三角波といった、自己相関関数が鋭敏なピークを持 たない特性を持ち、正弦波と比較して容易に計算可能な周期関数を利用することで 、計算資源の乏し 、環境にぉ 、ても電子透かしの検出処理をより高速に実現するこ とがでさる。
[0901] また、前記復調手段は、前記入力信号を N次元目の方向の差分もしくは微分値に 基づ 、て復調を行うように構成することができる。
[0902] この構成によれば、信号の差分もしくは微分を用いて周期信号による復調を行うこ とで、検出精度の高い電子透かし検出が可能になると共に、同程度の検出性能にお V、て信号劣化のより少な 、電子透力 方式を可能にする。
[0903] 前記電子透かし検出装置において、前記 N— 1次元パターンが複素数パターンで あって、前記検出系列抽出手段は、前記 N—1次元パターンの実部及び虚部の値に 基づいて前記検出系列を求め、前記記憶手段に格納することとしてもよい。
[0904] この構成によれば、複素数の実部、虚部を利用して埋め込まれた電子透かしの検 出により、パターンの対称性に関する制約がなく N— 1次元の空間全体を用いて埋め 込まれているため、スペクトル拡散系列長を長くすることができ、検出の信頼性が高く 、また従来と同程度の信頼性でより長い埋め込み情報を電子透力しとして検出するこ とができ、従来と同程度の信頼性と情報長でより品質劣化の少ない電子透力しの検 出が可能となる。
[0905] また、前記電子透かし検出装置において、前記 N— 1次元パターンが複素数バタ ーンであって、前記相関値計算手段が、各ビット毎の複素相関値を求め、各ビット毎 の複素相関値の向きを揃えた上でそれらの総和をとり、この総和に基づ 、て埋め込 まれている電子透力しを検出することとしてもよい。この構成によれば、各ビット毎に 検出するよりもビット判定誤りが少なくなり、より高い耐性を実現できる。
[0906] また、前記電子透かし検出装置において、前記 N— 1次元パターンが複素数バタ ーンであって、前記相関値計算手段は、複素相関値の絶対値に基づいて埋め込ま れて 、る電子透力しを検出することとしてもよ!、。
[0907] この構成によれば、複素相関値の絶対値を用いて検出を行うことで、 N次元目の方 向で同期のずれた入力信号に対しても埋め込み系列との相関を得ることができ、同 期合わせの不要な電子透かし検出ができる。
[0908] また、前記電子透かし埋め込み装置にお!、て、前記 N— 1次元パターンが複素数 パターンであって、前記相関値計算手段が、各ビット毎の複素相関値を求め、各ビッ ト毎の複素相関値の向きを揃えた上でそれらの総和をとり、この総和の偏角に基づき
、前記入力信号の同期変位量を求める同期手段を有するようにしてもよい。これによ り、同期変位量を測定することができ、容易かつ高速な同期合わせによる電子透かし 検出が可能となる。また、各ビット毎の複素相関値に基づいて同期変位量を求めるよ りも、より確実で精度の高い同期変位量の測定が可能となる。
[0909] また、前記電子透かし埋め込み装置にお!、て、前記 N— 1次元パターンが複素数 ノターンであって、前記検出系列と前記埋め込み系列の複素相関値の偏角に基づ き、前記入力信号の同期変位量を求める同期手段を有することとしてもよい。
[0910] 複素相関値の偏角を用いて検出を行うことで、 N次元目の方向で同期のずれた入 力信号に対しても埋め込み系列との相関を得られ、同期変位量を測定することがで き、容易かつ高速な同期合わせによる電子透かし検出が可能となる。
[0911] 前記電子透かし埋め込み装置において、前記復調手段は、複数の周期信号の位 相を測定し、複数の N— 1次元パターンを求め、前記同期手段は、複数の N— 1次元 パターン毎に各々同期変位量を求め、前記検出系列抽出手段は、前記複数の N— 1次元パターンから各々対応する前記同期変位量に基づいて同期を補正して検出 系列を求め、前記記憶手段に格納し、前記相関値計算手段は、前記複数の N— 1次 元パターン毎に得られた前記記憶手段に格納されている前記検出系列を結合した 系列と前記埋め込み系列の相関値を計算することとしてもよい。
[0912] この構成によれば、複数の周期信号を利用して埋め込まれた電子透かしを検出す ることで、より情報長の長い埋め込み情報を電子透力しとして検出することができ、ま た、検出結果の信頼性をより正確に明らかにすることができると共に、スペクトル拡散 系列長を長くすることができ、より信頼性の高い電子透力しの検出が可能となる。
[0913] また、前記同期手段は、前記複数の N— 1次元パターン毎に得られた同期変位量 を元に、 N次元目の軸方向の全体の変位量を求めるように構成してもよい。この構成 によれば、各検出複素パターンの同期変位量を精度よく求めることができ、検出精度 の高い、また、同程度の検出精度において品質劣化の少ない電子透かし検出が可 能となる。
[0914] また、前記同期手段は、予め埋め込まれた同期系列を検出し、同期合わせを行い 、前記同期変位量に応じて入力信号を再分割し、残る複数の埋め込み情報を検出
する検出手段を有することとしてもよい。この構成によれば、時間方向に分割された 埋め込み情報を検出することで、より長い埋め込み情報を信号に埋め込むことができ 、電子透力しの適用アプリケーションを拡大することができる。
[0915] また、本発明の一実施態様によれば、 N (Nは 2以上の整数)以上の次元を持つ入 力信号に対して埋め込み情報を電子透力しとして人間の知覚に感知されないように 埋め込むための電子透かし埋め込みプログラムであって、コンピュータを、前記埋め 込み情報に基づき埋め込み系列を生成し、第 1の記憶手段に格納する埋め込み系 列生成手段、前記第 1の記憶手段の前記埋め込み系列に基づき N— 1次元パターン を生成する配列生成手段、前記 N— 1次元パターン上の値に応じて周期信号を変調 することにより N次元の埋め込みパターンを生成し、第 2の記憶手段に格納する変調 手段、前記第 2の記憶手段に格納されて 、る前記 N次元の埋め込みパターンを取得 し、該埋め込みパターンを前記入力信号に重畳する埋め込みパターン重畳手段、と して機能させる電子透力 埋め込みプログラムが提供される。
[0916] また、本発明の一実施態様によれば、 N (Nは 2以上の整数)以上の次元を持つ入 力信号に対して埋め込み情報を電子透力しとして人間の知覚に感知されないように 埋め込むための電子透かし埋め込みプログラムであって、コンピュータを、前記埋め 込み情報に基づき埋め込み系列を生成し、第 1の記憶手段に格納する埋め込み系 列生成手段、前記第 1の記憶手段に格納されている前記埋め込み系列に基づき N 1次元パターンを生成し、第 2の記憶手段に格納する配列生成手段、前記入力信 号を直交変換し、変換済信号を得る変換手段、前記第 2の記憶手段に格納されてい る前記 N— 1次元パターンを前記変換済信号の一部の N— 1次平面に重畳し、逆変 換前信号を得る埋め込みパターン重畳手段、前記逆変換前信号を直交逆変換し、 埋め込み済み信号を得る逆変換手段、として機能させる電子透かし埋め込みプログ ラムが提供される。
[0917] 更に、本発明の一実施態様によれば、 N (Nは 2以上の整数)以上の次元を持つ入 力信号に対して予め人間の知覚に感知されないように埋め込まれた電子透力 を検 出する電子透かし検出プログラムであって、コンピュータを、前記入力信号の一つの 次元方向における所定の周期信号の成分を測定し、 N— 1次元パターンを求める復
調手段、前記 N— 1次元パターンの値から検出系列を求め、記憶手段に格納する検 出系列抽出手段、前記記憶手段に格納された前記検出系列と埋め込み系列の相関 値の大きさに基づいて、埋め込まれている電子透力しを検出する相関値計算手段、 として機能させる電子透かし検出プログラムが提供される。
産業上の利用可能性
[0918] 本発明は、静止画像 ·動画像に電子透かしを埋め込む技術、及び、電子透かしを 検出する技術に適用可能である。
[0919] なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されることなぐ特許請求の範囲内にお
V、て種々変更 ·応用が可能である。
[0920] 本国際出願は 2006年 3月 7日に出願された日本国特許出願第 2006— 061745 号に基づく優先権を主張するものであり、その全内容を本国際出願に援用する。